てけてけかなたさん   作:南澤まひろ

19 / 21
おかわり・その3「しゃてい」

「うーん……パス」

「うしっ」

 エースでこの場を流してくれたのは、とっても有り難い。

 手持ちのカードは、3が二枚に4が三枚、そしてキング……私の計画を発動させるにはちょうどいい場面じゃないですか!

「それじゃあ……はいっ、"革命"っ!」

 そう言いながら、私は4枚のキングを場に出してみせた。

 これで強弱の立場は逆転! 私のカードは、今この瞬間から最強カードに生まれ変わったのですよ!

「あらあら」

「へ?」

 困ったように言うお母さん。だけど、その顔は全然困って無くて、パスもしなくて……

「じゃあ、私もっ!」

「ちょっ!」

 えっ、えっ?! 5が四枚で革命返しデスカ?!

「これで流して、2と、2と、2と」

 さ、最強カードを一枚ずつ出すなんて、なんというトドメ……

「ジョーカーと、あと3であがりっと」

「お、お母さん強すぎだよー……」

 大富豪のソフトから「かなた さんの十六勝〇敗」ってダイアログが出たのを見て、私は思わず突っ伏した。

「ふふふっ、たまたまよ」

「ううっ、勝者の理論だー、余裕すぎだー」

 突っ伏した顔を上げて、あごをパソコンデスクに乗っける。ああ、PCの中のお母さんの笑顔も、すっごく眩しいや……

「お母さんさ、まさかズルしてないよね?」

「えっ? ず、ズルなんてしてませんっ!」

 ムキになって返すお母さん。うーん、さすがにそう言うんだろうけど、

「だって、都合良く革命とか、2が三枚とか出てきたじゃん。その前はダブル革命とかもあったし。お母さんだったら、CPUいじってちょちょいのちょいで余裕ッチとかできそうだもん」

「そんなことできませんっ! もうっ、勝負はいつも真剣にやってるのに」

 むう、さすがにここまで言うとなると、何もやってない可能性のほうが強いか。

「じゃあさ、お父さんと学生時代で遊んでたときはどうだったの?」

「……よく、そう君におちょくられながらあしらわれてたかも」

 ああ、頭に思いに浮かびますよ。セーラー服姿のお母さんがあたふたして、学ラン姿のお父さんが楽しそうにその姿を見ているっていうビジョンが。

「じゃあ、PCの中でやってたら突然強くなったってこと? だったらやっぱり何かあるよーな」

「だからっ、何でもないんだってば」

 私に負けじと、お母さんもほっぺたをぷうっと膨らませる。いや、もしかしたらそうムキになるほうが怪しいのかもしれない。

「こうなったら、別のソフトをダウンロードして――」

 そう言って、私がブラウザを立ち上げようとした瞬間「ぽぉん♪」って音といっしょに、何かのダイアログが現れた。

 

――――――――――――――――――――――――――

■ プログラムからの警告         [_][□][×]

――――――――――――――――――――――――――

『かなた姐さんの言うことにケチをつけるんかい

 

 いちいちゲームのことでつっかかるなんて野暮も野暮。

 胸だけやなく、根性までちっちゃいんじゃ救いナシやな。

 わははははは。

 

 [ はい ] [ OK ] [ 了解 ] [ すべて ] 』

――――――――――――――――――――――――――

 

「ちょっ、お、おかーさん?!」

「しっ、知りませんよ! 私は知りませんってば!」

 いきなり出てきたメッセージだけど、こ、これって、PCからのメッセージ?!

「うっわー……お母さん凄いね、PCの中の人にまで慕われるなんて」

「ううっ……だから、私は姐さんじゃないんですってばぁ……」

『中の人などいない』というダイアログに手をつきながら、がくーんと落ち込むお母さん。

 ……ん? 待てよ? もしかして、PCがお母さんに手助けしてくれてるってこと?!

「そ、それじゃあずーっと勝てるわけないじゃん!」

 とんでもない守護者がついていたっていう事実に、私はただ愕然とした……

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。