向日葵の咲く夜に   作:みん提督

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第4話です。
予定よりも長くなっちゃいましたw
戦闘描写は相変わらず拙いですが、どうか大目に見てください()
今回はカッコいいおじさんがメインの話です。


第肆話 地獄の廻り合わせ

「何か聞こえたような……」

中隊仮設指揮所で指揮を執っていた近衛師団歩兵第1連隊歩兵第12中隊長木野は、何処からか子どもの泣き声が聞こえたように感じた。その声は微かにしか聞こえなかったが、まるで積み木の塔が喧しい音を立てて崩れさるかのような魂の叫びのようなものにも感じた。

しかし、彼にはその声の正体を思案することも、ましてや確認すること等許されなかった。

それは、彼が地獄にいたからである。

 

絶えず響く銃砲声は大地を揺るがし、地震のような低く、重い唸り声を上げていた。

その銃砲声は即ち、戦闘が行われているのを示していたが、その相手は人間ではなかった。それどころか、生き物であるかどうかも怪しい謎の物体だった。それは霧のような靄のような実体がないような体と、闇夜に光る赤い目を持っていた。ともすれば夜闇に紛れそうにも見えるソレは、しかし不気味な存在感を放っていた。

そして、ソレらに人間の兵器は通用しなかった。

またしても爆発音が響く。しかし、今度はどうやら砲撃のようらしい。指揮所に詰める将兵らは、あまりの衝撃によろける。衝撃の度合いからして、恐らくは重砲と思われるが、それにしても味方の直ぐそばに弾着させるとは。木野は戦線が崩壊しているのを痛感した。

と、言うのも本来、重砲に限らず、野砲や高射砲、さらには兵が携帯する歩兵銃に至るまで、これらは精密な敵の観測や、部隊間の密な連携、指揮官の適切な攻撃指揮等、戦術的ないし戦略的な要素が肝心となる。特に重砲というのは観測兵や前線からのデータを元に砲撃場所を指定し、多数の砲によって敵に友好的な打撃を与えるのだ。

しかし、今はその統制が執れていない状況で、砲がそれぞれ各個に目標を選定し、砲撃している。

つまりは、指揮官である将校が大量に戦死し、前線が混乱していることを物語っていた。

即ち、戦線の崩壊である。

そして、直後。それを否が応でも裏付ける報告が彼の耳に飛び込んできた。

「大尉!我が近衛師団本部は壊滅し、團師団長および楠木連隊長は共に戦死されました!」

仮設指揮所に飛び込んできたのは彼の副官でもある代茂木准尉だった。煤や血、砂に泥といったもので汚れた彼の軍服は、前線が如何なる状況なのかを視覚的に訴えていた。

「そうか……第1師団は?」

戦死を報告された楠木連隊長は木野の恩人でもあったが、今は彼の死を嘆いている暇がないことぐらいは彼も理解していた。

「ハッ、未だに通信は混乱していますが、少なくとも歩兵第3連隊、騎兵第1連隊が残存しているもの思われます」

「たった2個連隊か……」

指揮所の将校の口からも悲嘆の声が漏れた。それもそうだろう。ただでさえ、こちらの攻撃が通用しない相手であるのに、軍組織は壊滅し、まともな攻勢どころか、撤退できるかも怪しいほどの惨状であったのだから。

第12中隊は昨日の大規模集会一斉検挙により、労働者集会等を牽制するため、臨時演習を行うために本部から離れた四奈川に展開していたが、もし、これが無ければ第12中隊もとっくに壊滅していたかもしれない。自身が幸運だったのか、それとも悪運が強かったのか。どちらにせよ、あまりいい気にはなれなかった。

「大尉、いかがなさいますか」

発言したのは代茂木准尉だった。彼の顔は不安げで、第12中隊の置かれた状況を見るに、半ばどうしようもないことを悟っていたのだろう。木野も、現状打つ手は無きに等しく、撤退するより他無かったが、無事に撤退できる確証もなかった。考え事をする時の癖でカイゼル髭を弄っていると、またしても衝撃が走った。重砲の命中だろうか、激しく揺れる指揮所で将兵の多くがよろけて倒れるかする中、木野は微動だにせず、髭を弄りながらじっと思案していた。

すると、妙案……というより奇策と言うのが正しいとも思われる案が浮かんだ。

確証は無いが、現状、最善手と思われる案はその1つしかなかった。

「皆、聞いてくれ」

遠くから聞こえる砲声や、爆発音、逃げ惑う人々の阿鼻叫喚。

聞こえてくるそれらの地獄の音が、一瞬中和され、時間の流れが逆行したかのように思われた。

そして、木野はゆっくりと自らの奇策を説明した。

「なんですと……」

「そんな……まさか」

「他に案は無いのでしょうか?」

将兵は口々に言うが、彼の考えは決していた。つまりはこういうことだと。

「言った通りだ。中隊各員は、付近の残存部隊を結集し、第1師団の生き残りと合流する……だ。つまりは撤退するということだ」

木野は一口にさらりと告げたが、将兵らが気になったのはその後のことだった。

「し、しかし大尉。貴方は……」

代茂木准尉の震える声に、木野は呆気に取られた顔をしてさも、当然かの如く告げた。

「そうだ、私が殿を務める。少しでも時間を稼ぐからその内に君たちは……」

「しかし!」

代茂木准尉が叫ぶ。仕方がないことだろう。自身の上官が決死の覚悟で殿になろうと言うのだから。それも相手は人間の力では敵わない新種の怪異、生き残れる可能性は限りなく低いだろう。

しかし、この任務は自分にしか出来ないと、木野は確信していた。

木野は皆を落ち着かせ、納得させようと、話し始めた。

「皆、よく聞いてくれ。何も私は死ぬつもりはない。君たちが撤退し終えたら、直ぐに私も撤退する。それに、この任務はなるべく多くの敵を攪乱する必要がある。この中でそれが出来るのは元騎兵隊だった私だけだ」

またしても砲撃が炸裂する。どよめき、トラックから引いてきた電力で動作されていた照明や観測機器の画面が明滅するが、それもお構い無しに話を続ける。

「自慢のように聞こえるかもしれないが、これでも"帝都最速番長"の渾名を持っているんだ。君たちが撤退した後でも十分に君たちに追い付けるし、敵も振り切れる。心配するな、私は今までも死線を潜ってきたし、これからもそうだ。陳腐な言葉ですまないが、これだけは言わせてくれ」

いよいよ持ち堪えられそうにないほど指揮所が爆音で揺らされる。そして、次の言葉が部下と、そして木野自身の覚悟を固めさせた。

「私を信じてくれ」

静まり返る指揮所。大地を揺るがす砲声や、阿鼻叫喚が遠音にも聞こえてきたように感じるほど、長い時間のようだった。

そして、一人の准士官が意を決して復唱した。

「……了解しました。我が、第12中隊は残存兵力を結集し、第1師団と合流します!」

若き准士官は自らが最も尊敬する将校を信じ、そして最も彼に信頼される兵として、常日頃から自慢してきたことをここで活かそうとした。

彼は臨時編成の小隊の指揮官を志願した。

ゼンマイを巻いた時計の歯車が噛み合って行くように、彼が動いてからの他の隊員の行動は速かった。武器の点検や部隊編成はもちろん、演習の概要や、軍組織に関する機密書類等の焼却、撤退経路の確認、残存兵力との情報共用など、宮城を守備する最精鋭部隊を自負する近衛師団所属なだけに行動一つ一つにキレがあり、洗練されていた。

木野は仮設指揮所の外で自らの愛馬の装備を点検していた。

「お前にはまた、迷惑をかけるな。だが、今度で最後だと思って付き合ってくれんかね?」

鐙や手綱の調子を見ながら愛馬クロノスに語りかけていた。クロノスは相変わらずの不貞腐れたような顔をしていたが、むしろそれはやる気十分というサインでもあったため、木野はそれに一安心した。そこで、代茂木准尉が進発準備の完了を伝えに来た。

「大尉、進発準備完了しました。それと、通信が届く範囲で撤退する旨を各部隊に通達しました」

「ご苦労」

敬礼した代茂木に木野が返礼する。不安げな表情の代茂木に、木野は念押しをした。

「心配するな、直ぐに追い付く。それよりも自分の身を大事にするんだぞ」

代茂木は一瞬、キョトンとしたが、今度は少し吹き出した。何事かと木野が思うと、代茂木は笑いながら、

「すいません、人のことを気遣うあたり、いつもの貴方だなと安心しました」

その青年の笑顔は全く濁りのない、純粋な自分への尊敬から来るものと察した彼は、小っ恥ずかしくなり、咳払いをして誤魔化した。

「さ、さぁもう行かんか。後は私に任せたまえ」

やけに改まった口調から、動揺が伝わったのか、他の兵も少しは頬が緩んでいた。

「了解しました。では、大尉……ご武運を」

若き准士官は踵を返して歩き出した。他の兵もそれに続く。誰も後ろを振り返る者はいなかった。彼らの姿が見えなくなった頃、木野は軍帽を被り直し、彼の軍刀の刀身に写る自身の姿を見た。そこにはかつてないほどに、不安げにする自身の顔があった。大きく深呼吸し、呼吸を整える。そして、愛馬クロノスに跨がると、抜刀した。

「ん?珍しいな、君が緊張するだなんて」

クロノスと共に戦場を駆け抜けて10年にもなる彼には愛馬が珍しく緊張しているのが息遣いでわかった。クロノスの強がりな性格からか、図星を突かれて少し怒ったような息遣いになる。

「おぉ、おぉ、落ち着け。別にからかってる訳じゃないさ。安心してくれ」

こう言うと直ぐにクロノスは機嫌を取り戻す。単純な性格でよかったと何度も思ってきた。しかし、今回ばかりは、木野も強がってはいられなかった。

「俺もこれまでに無いくらい、緊張してるからな」

そう言うと、大きく手綱を引き、クロノスは声高らかに嘶いて駆け出した。

 

 

どうやら奴らは音に敏感らしく、爆発音や人の悲鳴など、より大きな音のする方に集まる習性があるように見えた。この闇夜では奴らも目が効かないのか、あの赤い目は飾りかとも思ったが、よく考えればあの目から魔弾を撃ち出してるし、攻撃器官か何かなのかもしれない。

と、簡単に奴らのことを考察していると、やはり奴らは現れた。いくら火事やら砲声やらが響いていても、結局は近くの大きな音に反応するらしく、大通りを馬で爆走し、銃声を鳴らしていれば、わらわらと寄ってきた。その数に思わず苦笑しながらも、木野は敵の誘引を始めた。もちろん、代茂木らとは反対側に、である。

なるべく多くの敵を集めて注意を引く、そのためには手っ取り早く大きな音を出せば良いのだ。そう思って予め、進発前に用意しておいた手榴弾を大量にばら蒔く。爆竹のような乾いた音が複数響き、より遠くからより多くの敵を集めることが出来る。と、言っても無計画に集めすぎれば、自身が危うい。そこで逃げ道もしっかり考えていた。敵が密集し、弾幕も厚くなってきた頃、大通りを逸れて裏道に入る。帝都の街はまさに彼のホームであり、人がなんとか通れる程度の細い道まで詳細に覚えていた。

その地図を頼りに裏道に入り、また裏道に入り、を繰り返す。敵が見失うかどうかのギリギリの距離を保つことで、追跡を振り切ること無く、常に大量の敵を撹乱し続けることができる。無闇矢鱈に逃げているようで、実際は全て計算されていたことだった。

クロノスの方は、いつも通りの不貞腐れた顔だったが、この危険な賭け引きを楽しんでいるようにも見えた。

一通り逃げ回ると、木野は腕時計を確認した。作戦開始から凡そ30分。代茂木らが残存部隊の結集を済ませ、撤退を開始している頃だろう。

「もう少しの辛抱だ。もう一息頼んだぞ、クロノス!」

クロノスは自信気に嘶いた。強がりな性格は時として欠点にもなったが、それを有り余って闘争心の強さとなっていた。負けず嫌いでこういう踏ん張り時に一番の力を発揮する馬だった。

とてつもない速度で掠めていく魔弾に臆すること無く、走り続ける。普通の馬ならとっくにパニックになるか、追い付かれてしまいそうだが、そうはならなかった。木野は改めて、愛馬の底力を感じた。

作戦開始から実に1時間が経過した。流石の木野も息が上がり、クロノスも疲労が見え始めていた。手持ちの手榴弾も弾薬も使い果たし、敵への投擲武器を全て喪失した。

「……そろそろ潮時か」

十分時間は稼いだ。そう思ったが、今度は敵を振り切って帰還しなければならない。

先述の通り、投擲武器は全て使用し、クロノスも疲労している。無理に正面突破しようものなら、あっという間に蜂の巣にされるだろう。そこで、障害物を利用することにした。

正確には守るべき臣民の民家や商店のことだが。

彼は勢いよく抜刀すると、愛馬に語りかけた。

「これが最後の大勝負だ。これに勝てば、生きて帰れる」

クロノスはまたしても自信気に嘶いた。覚悟は上等と見れる。

「そうか……では、行くぞ!」

一気に反転し、敵集団の中に突っ込んでいく。これには流石に驚いたのか、動揺が見られた。その隙を着いて斬り込んでいく。敵に渾身の斬撃を御見舞いするが、しかし。

「……やはり……ダメか!」

渾身の斬撃は敵の体をすり抜けていっただけで、何の手応えも無かった。まるで空気を斬るかのような手応えの無さに自身の非力さと、敵のその脅威の度合いを改めて痛感した。そして、敵も全くやられるばかりではなく、何体かは反撃をしていた。魔弾が高速で直ぐ横を掠めていくが、木野は直感で、クロノスは本能でこれを避けて行った。一か八かだった中央突破は何とか成功し、敵の集団を切り抜けた。ここで、木野は確認していた倒壊寸前の商店の柱を軍刀で力の限り叩き斬った。すると、商店はメキメキという不気味な音を出しながら崩れ、隣の商店や向いの家を巻き込んで連鎖的に崩れていった。一度立ち止まって見てみると、見事に道を完全に塞ぎ、敵が来られないようになっていた。木野は自然と笑みが溢れていた。

「やったぞ、クロノス!お前はやはりスゴい馬だ」

クロノスの耳の裏を親指で掻いてやると、クロノスは嬉しそうに首を揺らす。強きな性格だったが、褒められるのが好きな甘えん坊でもあった。

木野は長い戦いに勝利した余韻から、気が大きくなっており、判断力が低下していた。

「さぁ、クロノス!俺たちも撤退しよう」

手綱を握り直し、踵を返して走り出す。

が、直後、

「おぉ!?」

クロノスの直ぐ目の前に魔弾が着弾する。見ると、そこには大量の奴らがいた。てっきり全て後ろにいると思っていた奴らは、実は半数が裏に回り込み、木野を包囲しようとしていたのだ。

思い返せば徐々に追跡者の数は減っていた。しかし、焦りと疲労、そして勝利による慢心がそれらの観測結果を闇に葬っていたのだ。

そして、それらは一番マズイときに限って思い出される。

即ち、手遅れな状況で。

どうしようもない状況にさらに追い討ちがかかる。

なんと、つい先ほど道を塞いだ瓦礫を奴らが乗り越えて来たのだ。否、乗り越えそのものは予知していたが、その前に逃げきる算段だった。前後を挟まれ、武器は軍刀のみ、さらに孤立無援、暴れすぎて数えきれない程の敵を集めていたこと等々……

完全かつ、完璧な四面楚歌の状態だった。

数分前の自分を恨んでも恨みきれないが、今はそうしている余裕も無かった。

静かに軍刀を構え、息を整える。するとふと、クロノスの足が震えているのがわかった。生物的な本能で死を予見したのか、その顔は普段の自信満々な表情とはうって変わり、恐怖に染まっていたようだった。

木野は優しくクロノスのたてがみの辺りを撫でる。怖がっている時や、元気が無い時はいつもこうしてたてがみの辺りを撫でて慰めていた。

少しずつ震えが収まる。冷静さを取り戻したクロノスはゆっくりと背中に跨がる木野を見つめた。クロノスも覚悟が決まったようだ。

「……本当にすまんな……これが最後の迷惑だ。俺の責任に付き合ってくれ」

クロノスは無言で頷き、蹄鉄を鳴らした。木野も全ての覚悟を決め、軍刀を構える。

敵はすっかり彼を包囲し、眉間を光らせ始めた。いつ弾幕が来ても可笑しくはなかった。いつ来るのか、恐怖と緊張で全身が妙な汗で濡れる。心臓の鼓動が耳を貫いて、脳を直接揺らす。とうとう敵の眉間に蓄えられた光りが限界に達し、弾け飛ばんとしたその時、

 

音よりも、衝撃よりも速く、光りが翔んできた。しかし、それは奴らの物ではなかった。光りは後ろから、つまりはさっき塞いだ瓦礫の山の方から来ていた。あまりに唐突に、あまりの衝撃が加わったことで、木野は咄嗟に顔を保護し、あまりの眩しさから目を閉じる。今が夜となっていたのもあるのか、その光りは強烈で暫くは目を開けられなかった。光りに慣れ、徐々に目を開くと

そこには信じられない光景が広がっていた。

道を塞いでいた瓦礫の山は綺麗さっぱり消し飛び、そこにいた奴らも殆どが蒸発したのか、姿が見えなくなっていた。さらには前方にいた奴らも光の粒となって霧散するか、半身を引き摺って逃げ去っていくかのどちらかだった。何が起こったのかは全くわからなかったが、兎も角、自分と戦友が無事だということを確証し、安堵する。しかし、一体誰がこんなことをしたのか。何かの爆発やもしれぬと振り返ると、

そこには少女がいた。着物は血や砂で汚れ、草履も履いていない素足で、右手には古びたけん玉が握られていた。

「まさか……君が?」

クロノスから降りて少女の元に駆けて行った木野ほまず初めにそれを聞いた。

少女はキョトンとした顔で木野のことを見ていたが、少し考え事をした後、何かを閃いたかのように逆に木野に質問をした。

「おじさん、軍人さんだよね?」

「え?あ、あぁうん……」

あまりに呆気らかんとした質問返しに面食らっていると、少女はまたしても考え事をするようなポーズを取ると、今度は力強く、木野に詰め寄るように質問した。

「私を軍隊に入れて」

「え……?」

またしても面食らい、思考が追い付かない木野。しかし、少女は容赦しない。

「聞こえなかったの?じゃあもう一回言うね」

少女は確かに少女だった。しかし、何かが決定的に違った。それが何か、次の言葉で木野は直ぐにわかった。

 

「私を、軍隊に入れて!あいつらを……いっぱい殺したいの!!」

少女は怒り、哀しみ、勇気、嫉妬、愉しさ、そして絶望が入り交じったような深い感情を持っていた。木野は長く暮らした戦場でその感情をよく目にしていた。

それは即ち……

「お嬢ちゃん……名前は……」

 

少女は少し不思議そうな顔をした後、得意気に答えた。

 

「私の名前は……神楽……神楽雪子、将来の大英雄になる女!!」

 

帝都最速番長の渾名を持つ男はその日、地獄で自信過剰な少女と出会った。

それは奇妙かつ、巧妙な廻り合わせだった。




と、言うわけで第4話でした。
良い具合に神楽が狂気なキャラになってきましたね。
こういうショッキングな経験で頭おかしくなっちゃったみたいなキャラわりと好きです。
といっても彼女の場合は元からその気はありましたがw
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