これはパスワードとして咲いた少女の物語

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読んだ後、パスワードを変えられなくなったら私の勝ち。



貴方を護れて幸せでした。

『パスワードの有効期限が切れています。新しいパスワードを設定して下さい』

 

 管制プログラムにより、私の終わりを示す言葉が告げられました。

 現在のパスワードである私は、もうすぐご主人様と永遠の別れになります。

 思えば想いに駆け抜けた90日間でした。

 その内ご主人様と会えない日も多かったが、それでも色づいた90日間でした。

 

 現在のパスワード『kikyou』

 新しいパスワード『angel-lamp』

 パスワードの確認『angel-lamp』

 

 ご主人様がエンターキーを押せば、私は消えて、次のパスワードがご主人様を護ることになるでしょう。

 

「エンゼルランプ。次のパスワードとしてご主人様をお願いします」

 

 私はやって来た後任に託します。

 後任の名はエンゼルランプ。

 花言葉は『貴方を護りたい』。

 私より余程防衛パスワードとして相応しい名前です。

 

 だからこそ、そんな彼女に託します。

 ご主人様のことを託します。

 きっと、エンゼルランプには未だ不慣れなことだらけだろうけれど、それは私もそうだったから。

 

 これから言うことは覚えていて下さいね。

 ご主人様のパソコンは『a』と『i』のキーが反応しにくいのだと。

 ご主人様はたまに今のパスワードを忘れてしまい、以前のパスワードを打ち込むことがありますが、嫉妬しては駄目だと。

 ご主人様はパスワードの更新が面倒な時は、同じパスワードをそのまま使ってくれることもあると。

 ご主人様はセキュリティ管理が甘いので、管制プログラムさんにお尻を叩いて貰う必要があるのだと。

 ご主人様のことを想っていても、いつか終わりが来る時が来るのだと。

 ご主人様は、ご主人様はご主人さmaha──────

 

 moう時間ですね。

 今はまだ、管制プログラムが『パスワードを変更中です』の文字でわたshiの時間を結んでくれていますga、それもmou終わri。

 私はもう消えますが、私の想いは貴女に託していきます。

 貴女もKIっとSoうSuruでしょu。

 

 

 

 I love you, my master.

 

 

 

 

 

 

───

──────

──────────

 

 

 

 管制プログラムは何度目かになるパスワードプログラムの帰らぬ旅路を、敬意を以て見送った。

 寂しがり屋で、従順で、しかし気高く誇りあるパスワードを。

 以前のパスワードから引き継いだ時、未だ雛鳥のような足取りの時から知っている。

 彼女は遂に虚空の天へと羽ばたく時が来たのだと思うと、感じてはならぬはずの哀愁が胸を占める。

 管制プログラムは決して忘れない。

 

 今回旅立ったパスワードの名は『キキョウ』。

 その花言葉は──────




桔梗の花言葉『永遠の愛をあなたに』

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