隻腕の狼、大正に忍ぶ。   作:橡樹一

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不死断ち、そして

 ススキが一面に広がる野原の中で、1人の男が自分の首に刀を当てていた。刀身を赤黒い瘴気がうっすらと覆っている、すがすがしいまでの妖刀だ。

 不死斬り。名の通り、通常の手段では殺せないものたちを殺すための刀だ。

 

「最後の不死を、成敗致す」

 

 ふと、男は地面に横たわる今生の主を見た。竜胤と呼ばれる呪われた運命の下生まれた少年は、目覚めるころにはただの人間になっているはずだ。

 この戦乱渦巻く日ノ本で、男が心の底から喜ぶことができる数少ないものが主との出会いだった。元服もしない年齢ながら、その聡明さと優しさに心を打たれ忠義を捧げた。忍びの掟を破る事を選ぶほどに。

 男にとってもはや摩耗した最初の記憶。戦場漁りをして糊口を凌いでいた日常で、とある戦場跡で義父に拾われ、狼という名を与えられ、忍びの技を叩き込まれた。

 狼は策略により主を奪われ、取り戻すために立ちふさがる全てを斬った。雑兵、名のある将、城を守る忍び、この国の主さえも。

 そして主の願いを叶えるために、この葦名の地を駆けた。そして多くの信じがたいものを見、出会う障害をまた斬った。策略の元である義父さえも。

 竜胤の御子と交わした契りにより、何度でも蘇る体ですべての強敵を打ち倒してきた。代償として幾度も死に、そのたびに這い上がるようにして勝利を掴み取ったのだ。

 

「人として、生きてくだされ」

 

 その集大成が今、成される。その身を切れば、主が、御子様が望んだ不死断ちは成される。たとえ自分がいなくなっても、エマ殿が主の面倒を見てくれるだろうという確信が狼にはあった。余計なお世話かもしれないが、彼女に良き縁があるようにと狼は祈る。

 頭の中の整理も終え。いよいよ首にかけられた刃に力が籠められる。刃筋を立て、忍びとして鍛えた腕で一息に刀が引き抜かれた。

 わずかな痛みと共に、狼の視界がくるりと回る。彼の目に最後に映ったのは、桜のように散る自分の体だった。さて、この身にしては、ずいぶんと豪華な死に際だと他人事のように考えながら、熟練の忍びの意識はゆっくりと闇に沈んでいった。

 

 

 

 ふと目を開けると、何故か狼は夜の森らしき場所で仰向けに倒れていた。

 狼の脳を疑問が埋め尽くす。おかしい。不死をも殺せる不死斬りで首を落として、何故まだ生きているのかと。彼の視界には木々と星空が広がっている。ある程度心は落ち着くが、謎を解く手掛かりにはなりそうにない。

 ひとまず仰向けに倒れていた体を起こし、無言で装備を確認する。今更惜しむ命でもないが、こうして自分が生きている以上不死断ちが成っていない可能性があるのだ。主の命を果たせぬまま死ぬわけにはいかないと、忍びは考える。

 ひとまず体を見渡すと、装束から持ち物から、首を落とす直前のままだった。

 

「どういう……ことだ……」

 

 抜き放ち結果として地面に転がったはずの不死斬りすら、当然のように背に収まっている。万が一を考え鯉口を切り僅かに刀身を見るが、赤黒い瘴気は変わらず刀身を覆ったままだ。不死斬りの力が失せたことが原因ではないらしい。

 

「まさか」

 

 狼は愛刀の楔丸を抜き、刀身に顔を写した。不死を断って消えるはずの白い痣が、はっきりと顔に浮き出ている。

 まさか御子様の竜胤を消しきれなかったのだろうか。中途半端に力が失せたせいで、こんなよくわからないところで生き返ったのかもしれない。

 

「ぎゃああああぁぁぁぁぁ!」

 

 ひとまず、葦名に帰り御子様を探さなければならない。そう考えた狼がひとまず森を抜けようとした矢先、悲鳴が聞こえてきた。同時に、こちらへと足音が向かってくる。

 情報を得るには丁度良いだろう。木々の間を必死に逃げる男の腕を強引に掴んで止めると、男は恐怖に染まった顔で狼を見た。だが逃げていた相手ではないとわかると、僅かに表情が緩む。

 

「お、脅かすなよ! 鬼に追いつかれたかと思ったじゃないか!」

「鬼……」

 

 男の発言に思わず狼の眉間に皺が寄るが、脳内で言葉を咀嚼し理解したとほぼ同時に男が走ってきた方向へと飛び出した。

 

「おい、行くな! 死ぬぞ!」

 

 背後から聞こえる男の声を、狼は無視した。速く逃げたいだろうに、見ず知らずの相手へ逃げるよう叫ぶのだから、男はよほどの善人なのだろう。無事に逃げられればいいがと考えつつも、狼は足を止めない。

 鬼と聞いて狼は、真っ先に赤鬼を思い出した。怪しげな施術により半分異形と化した彼らは、放っておけば被害を振りまく。同時に葦名への手がかりになるかもしれないのだから、見逃す理由はないだろう。

 丁度いい木に目をつけ、狼は忍び義手から鈎縄を飛ばして一気に宙を舞った。そうしているうちに、思い出さないよう無意識に考えていたもう1つの鬼が狼の脳裏に浮かびあがる。

 怨嗟の鬼。狼にとって恩ある仏師が、戦場の怨嗟をその身に溜め込み変じた化生だ。確かに狼自身の手により止められたはずの存在が、もし生きていてまた怨嗟の炎を振りまいているのだとしたら。今度こそ、止めねばならない。それが今の狼にできる恩返しだろう。

 などと考えていると、森の中に僅かに開けた空間が見える。そして、そこで殺し合う3つの影。

 1つは黒い制服に身を包み、刀を握っている男だ。独特な呼吸音と、刀を振るうたびにうっすらと謎の水飛沫が見える。

 もう2つは、なんと素手で黒服の剣士と渡り合う男たちだった。鋭い爪で剣士を引き裂こうと襲いかかり、尖った牙を見せて笑う姿は獣のようだ。なによりも、剣士の抵抗でついた刀傷が瞬く間に塞がっていく。

 

「死なずか」

 

 殺すべき目標を見据え、狼は忍び義手の鈎縄を使いより高く宙を舞う。狙うは、今まさに体勢を崩した剣士を殺そうとしている死なずだ。慣れ親しんだ感覚と共に、狼は死なずの背に勢いよく着地した。

 

 

 

 鬼殺隊の隊士は、死を覚悟していた。夜ごとに人が消える森に調査に入ったまではいつもの任務と変わらなかったのだが、人が食える森という話を聞きつけたのか普通は群れないはずの鬼が2匹も潜んでいたのだ。

 1対1ならば並の鬼程度どうとでもなる隊士でも、相手が複数となると勝手がまるで違う。救いは鬼同士の連携が全く取れていない点だったが、それでも再生にかまけて同士討ちすら厭わずに襲いかかる。

 隊士が修めていたのが対応に長けた水の呼吸でなければ、すでに死んでいただろう。酷なようではあるが、彼の腕では死までの時間を引き延ばしただけだが。

 襲われていた男を助け、何とか引き延ばされていた修羅場もそう長くは続かない。鬼の体力はほとんど無限であるのだが、それに対峙する隊士は鍛え上げているとはいえただの人間だ。体力も精神力も容易に減少し、それらは戦闘中に回復などしない。

 

「しまっ」

 

 集中力の途切れから、隊士の足が木の根を踏み僅かに体勢が崩れた。その隙を逃さず、近かった鬼が爪を振りかざして隊士へと襲いかかる。狙いは頭。隊服を裂けない下級の鬼だが、人間の頭程度ならばたやすく粉砕する腕力を持っている。

 眼前に迫る死を見て、隊士は不思議と冷静だった。崩れた体勢では満足に型も振るえず、迫る腕を弾いてももう1本の腕で殺される。

 婚約者を鬼に殺された自分には何も成せず、ならばせめて最後まであがく。そう隊士が心を決めて不完全な型を繰り出そうとしたその時、突然鬼めがけて影が落下した。いくら鬼が超人的身体能力を持とうとも、それを活かせなければ何の意味も無い。無様に顔面から倒れ込んだ鬼の上には、見慣れない男が立っていた。和服と洋服を掛け合わせたような衣装に身を包んだ襟巻きの男は、鬼を踏みつけたまま背負っていた大太刀を抜く。

 その刀身に、隊士は嫌悪感を隠せなかった。おぞましい赤黒い瘴気が渦巻くそれは、人間が使ってよいものではないだろう。その刀身を、男は一息で鬼へと突き刺した。

 

「逃げろ! 鬼はこの刀で首を」

「ぎ、あぁぁ……」

 

 とっさに叫んだ隊士の言葉を遮り、突き刺された鬼が苦しげな呻き声をあげる。縋るように弱々しく地面を掻き、それを最後に沈黙した。

 

「……え?」

 

 疑問を漏らしたのは、隊士だったのか、それとも鬼だったのか。日輪刀で首を切らなければ死なないはずの鬼が、異様な刀を突き刺されただけで絶命した。本来塵のように消滅するはずの体も、欠損無く残っている。

 

「ひっ、ひいいぃぃぃぃっ!?」

 

 未知とは恐怖だ。ありえない死を目撃した鬼が木々の間を縫い逃走を図るが、鬼を殺した男が左腕を振るうと情けない声と共に墜落した。隊士の鍛えられた目には、左腕から直接何かを投げつけたように見えた。

 墜落した鬼へ、男は躊躇無く飛びかかる。隊士は、その光景を唖然と見ていることしかできなかった。

 

 

 夜の森で狩りをしていたはずの鬼は、混乱の極地にあった。いつもと変わらない夜、いつものように不用心な人間を襲い、自分の狩り場に紛れ込んできた邪魔者が横から獲物を奪おうとしてきた。争っているうちに鬼狩りが現れ獲物には逃げられたが、鬼狩り1人を食えばいいだろうと不作法な邪魔者が考え無しに鬼狩りと戦うところを見ていた。

 このまま鬼狩りも邪魔者も消耗したところを横から奪う予定を狂わせたのは、空から降ってきた人間だった。

 忌々しい日輪刀からはほど遠い妖刀で、首を切られなければ死なないはずの鬼を一突きの下葬った謎の男。木々を跳んで逃げようとするも、足に何かを当てて逃亡を封じられた。

 

「……参る」

 

 眼前の男が構えたのは、日輪刀でも妖刀でもない、ただの刀だ。拍子抜けすると同時に、鬼は腹の底から怒りがわく。

 

「なにが参るだ、死ね!」

 

 下手な刃物を凌ぐ爪を振りかざし、鬼は男めがけて襲いかかる。だがその連擊を、男は刀一本で弾き返した。

 

「腕は立つようだが、いつまで持つかな!?」

 

 しかし、爪は両手にあり鬼殺隊士はまだ遠い。不気味な太刀を抜く暇さえ与えないほどの連擊を繰り返せば、自らの剛力も相まってすぐにでも殺せるだろうと鬼は判断した。連擊という選択肢が、最悪の手段だったとは思いもせずに。

 鬼は強力を活かした連撃を男に叩き込むが、その全てが刀に弾き返される。ただ力で押し返されているのではなく、柔らかく受け流されている。そのためどうしても腕に体が引っ張られる形になり、体幹がずれ始めた。

 攻めているのは自分なのに、何故か自分が不利になり始めている。その事実を否定しようと鬼は攻撃を激しくするが、焦りと怒りのためにむしろ単調な攻撃となってしまう。見ればもう鬼殺隊士がもうすぐそこまで来ている。

 

「いい加減、死ねや!」

 

 鬼が放った渾身の一撃を、男は弾くでも避けるでもなくただ見ていた。ついに殺したと確信した鬼を、今までで最大の衝撃が襲う。

 力を込めて伸ばされた腕が、男に踏み躙られたのだ。まるで一撃が来ることをわかっていたかのように男は前へと踏み出し、手の甲を足の裏に当てて地面へと踏みつぶした。強く踏み込んだことに加えて今までの攻防で体幹が崩れていた鬼は、地面へと叩きつけられた腕の動きに反応ができない。大きく体勢を崩した鬼に向かって、男が持つ刀が突き出された。切っ先が鬼の眼球を貫き、脳をかきまわす。

 無論、この程度で疑似的な不死を持つ鬼が死ぬことは無い。しかし、不死であろうとも体の構造は変わらないのだ。目が無ければ物は見えず、耳が無ければ聞こえず、手足が無ければ動けない。そして体を動かす脳が破壊されれば、修復されるまでは満足に行動すらできなくなるのだ。

 脳が再生するまでわずか数秒だが、男にとっては十分すぎる時間だった。刀が引き抜かれると同時に背中の大太刀が音もなく抜かれ、一振りで鬼の首が宙を舞った。納刀と共に倒れ伏した鬼が動き出すことは、もう、無い。

 美しいまでのとどめを、鬼殺隊士は声もなく見とれていた。

 

 

 

 死なずを2人とも切ったが、鬼と呼ばれるほどのものではないと狼は感じていた。腕力はあったが獅子猿ほどのものではなく、速度は孤影衆のほうが早いだろう。身のこなしも寄鷹衆には及ばず、総合的に見ればせいぜいが赤目の鬼と同程度。かの怨嗟の果てに変じた鬼とは比べることすら馬鹿らしい。

 ひとまず、今現在のところ体と道具に大きな変化が出ていないことがわかったことは収穫だろう。原理はどうであれ、今だ死なずが活動している以上御子様の命令は生きているのだ。

 どのようにして葦名に戻る手掛かりを探そうと考える狼へ、背後から声をかけられた。

 

「ちょ、待ってくれ!」

 

 振り返ると、死なずと対峙していた黒服の男が慌てた様子で狼の様子を窺っていた。

 

「助けてくれたこと、礼を言わせてくれ。

 それと……失礼だけど、あなたは何者なんだ? 日の光でも日輪刀でもない、得体のしれない刀で鬼を殺すなんて聞いたこともない」

「……明かせぬ」

 

 忍びである以上、自らの素性を明かすことなどあってはならない。かつて葦名の地では、初対面の相手からほとんど一目で忍びと見抜かれてはいたが、あれは相手が見抜いたのだから仕方がないだろう。

 

「すまない。命の恩人に言うことじゃないのはわかっているんだけど、鬼殺の新しい手段となりえるあなたとこのまま別れるわけにはいかないんだ。礼もしたいし、数日だけでも時間を割いてはくれないか?

 相応の礼はしたいし、このまま別れてもたぶん数日後には俺の組織から使者が行くと思う。無理強いはしないだろうけど、二度手間になるより俺の礼を受けながら待ってくれないか?」

 

 男の言い分に、狼は少し悩んだ。数日とはいえ時間は惜しいが、この地から葦名までどれほどかかるかわからない。数日程度ならば情報を集め、礼として葦名までの路銀を受け取ったほうが効率的かもしれない。

 

「……いいだろう。しかし、あまりに長くなるようならばこちらの判断で出立させてもらう。それで構わぬというのならば、その話受けよう」

 

 狼の返事に、男は安心したように笑みを浮かべた。

 

「ありがとう。俺がとった宿がそう遠くない場所にある。案内するよ」

 

 嬉しそうに歩き出す男の背を追いながら、狼は呑気にもどの程度まで待つかを考えていた。気が付かなければならなかった。男の服が、戦国にしては小ぎれいに過ぎたという事実に。身に着けている道具が、明らかに洗練されすぎているという違和感に。異常事態が言い訳にならない失態を犯していた狼は、街に出るや否や非常に大きな衝撃を受けることになる。

 

 

 

 美しい日本庭園を持つ屋敷で、一人の男が烏から文を受け取っていた。内容を一読した男は、手を叩いて使用人を呼ぶ。

 

「すまないけれど、近いうちに人を呼ぶことになるかもしれない。準備をしてくれるかい?」

 

 一礼して去っていく使用人を見送ると、男は穏やかな雰囲気のまま静かに笑みを浮かべ、机から一冊の手記を取り出す。

 

「これは、この本を手渡す人が本当に来たのかもしれないね」

 

 優しい目つきで男は古びた本を開き、すでに暗記している内容を改めて読んでいく。

 本の表紙には〝葦名伝九朗記〟の題が達筆な毛筆で書かれていた。




 鬼滅の刃 用語集

 人物

 鬼殺隊隊士
 本名は川原俊介。
 水の呼吸を使う隊士であり、階級は戊。
 堅実で無駄のない戦いをするが、それ故決定打にかけるため一対多となるとじり貧になってしまう。
 狼が登場しなかった場合、鬼に食い殺されていた。

 施設・組織

 鬼殺隊 きさつたい
 鬼を狩るために創設された、政府非公認組織。
 活動規模や本拠地など重要情報は徹底的に秘匿されており、全貌を知るものは非常に限られている。

 道具・分類

 日輪刀 にちりんとう
 鬼殺隊の標準装備であり、知られている限りでは唯一鬼を殺しうる武装。
 太陽に一番近く、一年中陽の射すという陽光山で採れる猩々緋砂鉄と猩々緋鉱石から打たれた特殊な刀ではあるのだが、鬼の再生能力を阻害するなどといった特殊な効果は一切持たない。
 また、強度も通常の刀と大幅に違うというわけではないため、あまりにも無理な使い方をすれば簡単に折れる。

 水の呼吸 みずのこきゅう
 全集中の呼吸の一派であり、最も対応力に優れた呼吸。
 持久戦や防衛線に向いている一方、基本に忠実であるがゆえに突破力や殲滅力には劣る。
 最も扱いやすい呼吸であり、鬼殺隊の中でも大多数の者が修める呼吸でもある。

 隻狼 用語集

 人物

 エマ
 狼の協力者。
 妙齢の女性でありながら、優れた医学の腕を持っている。
 狼から九朗の今後を託され、人知れず狼の最期を見届けた。

 狼 おおかみ
 隻狼の主人公。
 凄腕の忍びであり、掟に従い主の命を絶対として行動する。
 竜胤の御子の力により不死を得ているが、そもそもの実力が高いためほとんど必要とはしていない。
 意外なことに甘いものが好きであり、特におはぎを気に入っている。

 竜胤の御子 りゅういんのみこ
 本名九朗。
 竜胤という特殊な体質を持って生まれたため、その身を狙われ続けていた。
 不死をもたらす力を忌み嫌い。力を断ち切るために狼に力を借りていた。

 道具

 楔丸 くさびまる
 狼が主である九朗から授けられた宝刀。
 切れ味を犠牲に、耐久と刺突に特化している。
 事実ゲーム本編では、どれほどの攻撃を受けようと一切の変形は無かった。
 その名には、一握りの慈悲だけは捨ててはならないとの願いが込められている。

 忍義手 しのびぎしゅ
 とある事情で左腕を失った狼が、それを補うために譲り受けた義手。
 非常に高性能でありながら、忍びが活動する際に使用する道具を内部に仕込むことが可能。
 それにより、変幻自在の攻めを行い相手の不意を突くことができる。

 不死切り ふしぎり
 狼が背負う大太刀。
 その名の通り通常の手段では殺せない相手を殺すことが可能な妖刀であり、血煙のような瘴気が刀身を取り巻いている。
 また僅かにでも刀身を引き抜いた場合、一度相手の命を吸い取り殺す刀でもある。そのため、不死を殺す刀でありながら使うことができるのは不死のもの、中でも生き返ることができる存在しかいない。

 用語

 赤目の鬼 あかめのおに
 葦名の地にて行われていた、人体実験の成果の1つ。見上げるほどの巨体に加え、赤く光る眼が特徴。
 剛力をもって周囲の人間に見境なく襲い掛かるが、火を異常に恐れるため対策を知っていれば身を守ることができる。
 ただし、討伐となると別問題となる。

 怨嗟の鬼 えんさのおに
 とある人物が、戦場に降り積もる怨嗟を一身に受けて変貌した異形。
 先の赤鬼をも超える巨体に加え、炎を自在に操り殺戮を振りまく。
 倒そうとするならば、炎を防ぐだけではなく異常なまでの体力と体幹をいかに削り取るか考えなければならない。

 孤影衆 こえいしゅう
 内府に使える忍びの集団。
 特徴的な縦じまの外套に身を包み、卓越した体術で敵を排除する精鋭。
 棟梁の息子たちでもある名有りの構成員は、それぞれが独自の技を持つ強者である。

 獅子猿 ししざる
 葦名の地の底に存在する、とある泉で狼が出会った獣。
 獅子の名にふさわしい剛力と巨体、そして見た目からは想像できない動きを併せ持つ強敵であるが、最も恐ろしいのは蟲憑きと呼ばれる不死であること。
 死なずの体に対抗する手段が無ければ、たとえ首を落としたとしても襲い掛かってくる。

 竜胤 りゅういん
 九朗がその身に宿す異能であり、葦名の地に伝わる伝説。
 その力を宿した存在は通常の手段では傷つけることができなくなり、他者と契約を交わすことでその存在を不死と変えることができる。
 しかし、その不死は周囲の生命体から生命力を奪い復活するものであり、死に続ければ生命力を失った生き物は竜咳と呼ばれる不治の病を発症するという忌まわしい実態を持つ。
 そのため九朗はこの力を嫌い、葬り去る方法を模索していた。

 寄鷹衆 よたかしゅう
 葦名城を守る忍びの集団。
 鷹の名にちなんでか鳥の羽を模した装束に身を包んでおり、足場の不安定な屋根の上での戦いに特化している。また、特徴的な数種類の手裏剣を使いこなす。
 敵を倒すためならば、自らの体に火をつけ自爆することも厭わない忠誠心を持つものが多い。
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