錆兎と義勇が最終選別会場である藤襲山に潜む異形の鬼について話した翌日、狼の姿は鬼殺隊本部である産屋敷邸の広間にあった。
向かい合うのは、鬼殺隊最高責任者である産屋敷耀哉。報告書を受け取った彼は、その日のうちに狼へと招集をかけたのだ。
「それで、この報告書に間違いはないんだね?」
「はい。伝聞にはなりますが、聞き出したこと自体には相違ありませぬ。
また、あの場で斯様な偽りを述べる利は薄いかと」
狼からの報告を聞いた耀哉は、悲しそうに眉を顰めた。
「私たちの管理不足で、ずいぶんと子供たちになったかもしれない者を死なせてしまっていたようだね」
「これは山の管理をしていた担当者、ひいては鬼の執念を甘く見ていた我々皆の責。御館様に帰するものではありませぬ」
狼がとっさに声を挙げるが、耀哉は首を横に振った。
「いや、負担がかかるとはいえ藤襲山を定期的に一掃していればすんだ話だよ。特に弟子を殺され続けた鱗滝へは償いのしようもないね」
「それは、此度を機にかの鬼を討滅することが最大の心遣いかと。
逆恨みによって弟子を殺され続けたなどと、残酷な真実を伝えることはありませぬ。かの御仁は、必ず自らを責めます故」
「それで、今回の嘆願なんだね」
耀哉はそう言いながら、手元にあった文を拾い上げる。
「訓練として、狼衆を使って山狩りをするか。
実践へと送り出す前に最後の確認をしたいとのことだね」
「はい。すでに錆兎と義勇によってほとんどの鬼が切られた今、藤襲山はほどよい危険地帯となっております。
潜む鬼を見つけ出し、それを伝達する訓練には丁度よいかと」
既に狼衆は十分な訓練を終えており、上澄みたちは実戦に耐えうる水準に達していると狼は判断していた。残る問題はどう実戦に関わらせるかだったのだが、そこでこの問題が発覚したことは僥倖であると言えるだろう。
狼にとっての恩人である鱗滝に加え、教え子になる義勇と錆兎に害を与えた存在を確実に仕留めたいという考えを心の底に隠して狼は主に決断を迫った。
「事は秘密裏に行い、なお心配ならばこの身単独で動きまする。
ご判断を」
わずかな沈黙の後、耀哉は確固たる意思を内包した声で厳かに告げた。
「狼及び狼衆に命じる。藤襲山に潜む異形の鬼を見つけ出し、討滅しなさい」
「御意」
主の命に、狼は深く頭を垂れた。
狼衆の訓練場である狼屋敷の庭に、赤襟巻きを身につけた若者たちが集合していた。全員が訓練で一定の評価を得た者たちであり、実戦に投入される時期も間近であると仲間内で噂されている精鋭たちだ。
頭目である狼からの招集により訓練場の庭へと集められた彼らは、集められた理由について各々の予想を語り合っていた。
「いよいよ実戦へ移るのではないか?
この面々ならば、剣士の補佐は十分に務まるだろう」
「いや、その前段階の訓練をはじめるんじゃないか?」
「初めて招集されたときに言っていた、組み分けの実施だと思っているのだが」
口々に自らの予想を語り合う狼衆だったが、突然一斉に口を閉じると一列に整列した。彼らの視線の先には、いつのまにか狼が立っていた。
一見柱合会議に似た光景だったが、誰も跪かず挨拶もしない。これは狼が徹底して言い聞かせたことであり、あくまでも部隊の長である狼へ必要以上の敬意は必要なく、頭を垂れ言葉を奏上するのは主である産屋敷家にのみするべきという考えからだった。
故に余計な前置きはなく、狼は今回招集をかけた理由について話し始めた。
「狼衆に対する最終試験が決定した。三日後、藤襲山に潜む異形の鬼を狩り出す」
その一言に集められた狼衆は、態度に出さずとも昂揚した。いよいよ、長く苦しい鍛錬の成果を見せるときが来たのだと。
「試験の結果により、実戦への投入も検討される。
よって、この場にいる者たちを中心とした組み分けを行う」
狼が背後においてあった箱から、色とりどりの襟巻きを取り出し一人一人に手渡した。
よく見ると、襟巻きの端に金の飾り模様が施されている。
「金飾りは、組の頭目である証だ。各々手裏剣打ち、体術、弾きにおいて一角の実力を持つことは把握している。
明日の朝までに、自らと同じ技を得意とする者を数名選びこの場に集まれ。
その場において組み分けを正式なものとし、藤襲山へ向かう」
そう言い残し、狼は屋敷の中へと去っていった。彼の姿が完全に見えなくなると、残された若者……狼衆の精鋭たちは、自分の部下を集めるため足早に鍛錬場へと向かった。
夜の帳に覆われた藤襲山で、手鬼は憎しみを滾らせていた。怨敵である鱗滝門下生の鏖殺を己に誓ったにもかかわらず、2人も同時に取り逃がした自らへの苛立ちだ。
負の感情に支配されていた手鬼だったが、周囲への警戒を切らすことはなかった。この山では他の鬼に襲われることなど珍しくない。しかも今は、自分の存在が鬼殺隊に露呈しているのだ。いつ山狩りが行われてもおかしくない状況下で警戒を切らす愚行を犯すならば、この鬼は異形と化す前に他の鬼の腹の中だっただろう。
そんな手鬼の視界に、1つの違和感が出現した。最終選別が行われていないにもかかわらず、木々の隙間に人影が見えるのだ。
相手が鬼でないことは気配でわかるのだが、手鬼はそれが人間なのか判断ができなかった。闇の中で生きる鬼の目は、僅かな月明かりの元でも問題なく周囲を窺うことができる。しかし、問題の人影は気がついたときにはすでに手鬼の視界内に存在したのだ。
一切の接近を察知できなかった人影に対し、手鬼は警戒を強める。すると、人影は口元に手をやった。そして夜鷹にも似た音を立てる。鳥笛だ。
「貴様っ!」
咄嗟に手鬼は孤独に立つ影へと襲い掛かった。錆兎が大半を切ったとはいえ、未だこの山には多くの鬼が蔓延っている。その環境下で自然音に紛れるとはいえ音を立てる危険を冒す理由は1つ、何かしらの合図だ。
伸ばされた鬼の腕は、無数の手が絡み合い即座にその間合いを伸ばす。常人ならば反応する間もなく捕らわれるであろう魔手を、影はなんと宙へと舞い上がることでいとも容易く回避した。
「な……縄だと⁉」
見れば、影はいつのまにか上へと伸ばされた腕から縄を木々の枝へと引っ掛けていた。それを腕で手繰り、まるで宙を飛ぶように移動している。
予想外の行動に動揺した手鬼の耳に、夜鷹に似た笛の音が入り込んだ。眼前の影からではなく、山のどこかからだ。先ほど目の前の影が吹いていた物と同質の音色に、手鬼はいやでも状況を理解した。山に潜む影の仲間に、現在の居場所が発覚したのだ。
もはや一刻の猶予もない。宙でこちらを伺う影に背を向け、手鬼は躊躇うことなく逃走を選択した。この状況で集まってくる者が、隊士希望の若者よりも未熟であるはずがない。正規の隊士を数名相手にして生き残ることができると考えるほど、手鬼は自らを高く見積もってはいない。
手鬼は長く暮らしているだけあり、山中の洞窟や窪みは全て把握している。それらを利用した逃走経路を考える鬼の前に、突然新しい影が出現した。
「そこをどけ!」
逃走を現在の最優先に位置づけている手鬼は、眼前の影へ拳を繰り出した。殺すことができればそのまま走り去り、避けられても道は開ける。
そんな手鬼の算段は、叩きつけたはずの手が奇妙な手応えと共に逸らされたことで瓦解した。困惑の中で数度乱打するものの、そのすべてが逸らされる。
「なんだきさ――」
苛立ちのあまり集中が乱れた隙を突き、手鬼の両目めがけて飛来物が襲いかかった。手裏剣だ。時代遅れの遺物に対し、咄嗟に顔を動かし眼球への直撃を避ける。怒りのままに軌道の先を睨めば、樹上にまた新しい影が。
そこで手鬼は気がついた。焦りと怒りのあまり聞き落としていたが、自分を中心に無数の鳥笛が鳴り響いている。
ぴいぴい、ちちちち、ぴぴぴ、ちいちい、ぴい。
異質だ。この影たちはあまりにも異質だった。鬼殺の隊士であれば、もっと積極的に首めがけて斬りかかってくる。しかしこの影たちは、進路を塞ぐ以外に手鬼に近づこうとしない。ある影は鷹のように宙を舞い、進路先には鼠のように小柄な影が出現する。少し離れた場所には、ぽつりぽつりと孤独な影が手鬼を包囲するように現れては消えを繰り返していた。
そしてそのすべてが、一切の音を立てない。
「なんだ、おまえたちはなんなんだ!」
手鬼は腕を天に掲げる。手が腕へと絡みつき巨大な肉柱へと育つ様を見ながらも、影たちは一切の妨害を仕掛けなかった。まるで手鬼がその場から動かなければいいとでも言うように。
「消え去れ!」
そして倒木のように成長した腕が、周囲一帯を剛力のままに薙ぎ払った。木々が、轟音と共にへし折られ、草花が風圧に煽られる。
破壊が過ぎ去った後に、しかし影らは変わらずそこにあった。単調な一撃で払われる影など無いと言うかのような佇まいに、手鬼は恐怖と苛立ちが限界に達する。
そして影らを睨みつけ、怒鳴り散らそうと口を開いた。
「貴様ら、あ?」
怒りに眩んだ視界いっぱいに、赤黒い刃が飛び込んできた。その切っ先は吸い込まれるように手鬼の眉間を貫き、後頭部までをあっさりと貫通する。
手鬼の体から急激に力が抜けていく。思考が散り散りになる中、その目は近くの草叢から立ち上がる最後の影を捕らえた。
音も気配もなく潜む影。その正体を最後まで知らぬまま、手鬼の意識は永遠の闇へと沈んでいく。薄れゆく意識の中で何かを掴もうと必死に手を伸ばすが、その手は宙を掴むばかりだ。力が抜けた腕が地面に落ち、異形と成り果てた鬼は崩れ去らぬ死を迎えた。
手鬼が動かなくなったことを確認し、草叢に潜んでいた影……狼は不死斬りを鞘に収めた。眉間を一突きされた手鬼の目を瞑らせ、鳥笛を鳴らす。
その音を合図に手鬼を包囲していた影……狼衆は狼の元へと音もなく集合する。
「藍は周囲の警戒、茶と黒は鬼の死骸を運搬せよ。
各組頭は此度の動きを思い返し、問題点を洗い出せ」
狼が襟巻きの色ごとに役割を伝えると、狼衆は無言で指示通り動き始めた。彼らの内心は、実戦の興奮と自らの頭に対する畏敬の念が渦巻いている。
訓練で狼の強さと技量は身に染みて知っていたものの、この場の誰もに察知されず鬼の眼前に忍び寄り一撃で絶命させたのだ。得物の異質さも相まって、ある種の畏れが生じたのは避けられない事柄だった。
異様な静けさが続き、しばらくして手鬼の死骸に対する運搬準備が終わった旨を伝える鳥笛が鳴った。狼は無言で踵を返し、狼衆もそれに続く。
藤襲山の山狩りは、ほとんど無音のままにその全行程が終了した。
狭霧山の麓にある鱗滝の小屋に狼が向かったのは、山狩りから数日が経ってからのことだった。藤襲山における行動内容の精査や狼衆の正式な任務への同行などを決める会議が重なった結果と考えれば、驚くべき速度だ。
山狩りが終わった日に鎹鴉を送ったため、結果自体は鱗滝門下生に伝わっている。にもかかわらず狼が多忙を押して足を向けているのは、2人の少年へと直接話すべきとの判断からだった。
通い慣れた道を抜けると、すでに鱗滝が小屋の前で待っていた。烏は、問題なく伝言を伝えていたようだ。
「よく来たな、狼。2人は小屋の中だ。動ける程度には回復しているが、まだ無理はさせられない。
儂に聞かせにくい話もあるだろう。山の修練場にいるから、事が済めば烏で知らせてくれ」
「度々かたじけない。できる限り早く収まるよう、手短に済ませます」
狼の礼を、鱗滝は手で制した。
「いや、教え子のためにわざわざ足を運んでくれたのだ。あの子たちはおぬしに懐いているようだし、ゆっくりと話してやってくれ」
鱗滝はどこか寂しそうな声音だ。
それも仕方のないことだろう。自らの弟子が、自分ではなく彼らの兄弟子に近しい存在を頼ったのだ。
この場で何かを伝えても逆効果だと悟った狼は、去っていく鱗滝の背に無言で一礼し小屋へと入った。
小屋の中では、幾分か顔色が良くなった2人の少年が布団の中から狼を見ていた。未だ回復しきっていない2人を心配した鱗滝に、無理矢理押し込まれたようだ。
「狼さん、その……」
「異形の鬼は討滅した。今後鱗滝門下生が選別に沿わない鬼に襲われることはない」
口を開いた錆兎を手で制し、狼は事実を端的に伝えた。その一言に、錆兎と義勇の顔色が目に見えて明るくなる。
「ありがとう、ございます……!」
錆兎が深々と頭を下げた。陰になった顔面からは、止めどなく涙の雫がこぼれ落ちていく。その横で、義勇は声もなく泣いていた。
「錆兎、腕がなくとも鬼にあらがう術はある。直に戦わずとも、戦うものを助ける道が。
義勇、悔いるのならば強くなれ。どれほど泣こうとも、過ぎたことは戻らない。鬼殺の剣士として、なすべき事を見据えろ」
そう言い残し、狼は静かに小屋を去った。
「強くなれるかな、狼さんみたいに」
その背を見送った義勇が溢した一言を、錆兎は聞き逃さなかった。
「なれるさ。おまえは俺よりも水の呼吸の型を正確に修めてたじゃないか。弾きも咄嗟にできるほどの観察眼もある。弛まず努力を続ければ、柱だって夢じゃない。
俺は隠になる。片腕でも人を運ぶくらいはできるから、怪我人を素早く医者のところへ連れて行けるようにな」
新たな目標を見据えた2人の少年は、互いに固い決意を秘め頷き合う。その様子を、窓から差し込む陽光が優しく照らしていた。
狼に弟子を任せ小屋を去った鱗滝は、狭霧山の修練場へと足を運んでいた。何をするでもなく霧のかかった木々の間を見る初老の男性の目には、光が無い。
「手鬼……厄除の面が、厄を呼んでいたとは」
錆兎と義勇は、1つの失態を犯していた。老いから人の顔がおぼつかない義勇の烏を、話し合いの間遠ざけなかったことだ。
入用中天狗の面を外した鱗滝を、義勇の鎹烏は主人と間違い話しかけた。鱗滝は悪いと思いつつも、弟子たちの尋常ではない落ち込みの原因を知るべく間違いにつけ込んだ。その結果真実を知ってしまったのだ。
「儂は、鬼に餌をくれてやっていたのか。未来ある若者を、儂への怨みを鎮めるための人柱としていたのか」
考えるほどに、思考は負の面へと傾いていく。聞こえないはずの、子供たちの怨嗟の声すら聞こえてくるようだった。
衝動的に、護身用の短刀を握りしめたときだった。その手を、背後から伸びた手が握り止めたのだ。
「……狼か、ずいぶんと早いな」
「鱗滝殿、今なにを?」
誤魔化すような鱗滝の一言に頓着せず、狼は珍しく強い口調で詰問した。
「なに、あまりの情けなさに思わず手が動いただけだ。この情けない身が首を差し出したところで、贄にされた子供たちは許してはくれない。
無意味に死んで楽になるなどという逃げは、儂には許されん」
「鱗滝殿、まさか」
「儂の予感は当たっていたわけだ。儂はあの藤の檻に入れた鬼に、餌を放ってやっていた。他でもない、儂が捕らえた鬼にだ。聞けば、見分けがつきやすいよう面の目印まで付けてやっていたというではないか。
……狼よ、儂は怨まれているだろうな。鬼に喰われた子供たちは、みな才気ある若者だった。その芽を摘んだ儂を、今も怨み呪っているだろうな」
深く息を吐いた鱗滝へ、狼はかける言葉が見つからなかった。これは、ほとんど鱗滝から教えを受けていない狼には立ち入ることができない問題だ。
霧の中、狼は沈痛な趣で懐を弄った。
「狼?」
鱗滝の疑問に答えず狼は懐から2つの品を出した。1つは僅かな水が封ぜられた和紙の風船。もう1つは、鈴の細工が施されたクナイだ。
「鱗滝殿、この身は鱗滝殿の弟子を知りませぬ」
狼は風船を胸の前で構え、音を立てて割った。計算したのか、水は鱗滝の足下へ飛び散る。
しばらく祈るように両手を合わせると、狼はクナイを持って鱗滝の周囲を歩き始めた。
「狼、何をしている?」
鈴の音を聞き流しながら鱗滝は訝しむが、狼は足を止めない。
「故に、これはこの身が見せるものではなく、また鱗滝殿が生み出した都合のいいものでもありませぬ。
鱗滝殿、この者たちに心中をお話しくだされ」
狼が鱗滝の正面で立ち止まり、強く指を鳴らした。霧の中、硬質な音が緩やかに広がっていく。
そして、変化が訪れた
「これ……は……」
霧の中から、滲み出るように狐面の子供たちが現れたのだ。皆意匠の違う狐面を付けており、腰には日本刀を佩いている。
木々のざわめきが、風の音がまるで声のように響く。
鱗滝さん、僕たちは怨んでないよ。怒ってないよ。
僕たちはみんな鱗滝さんが大好きだから、謝りたかった。
帰ってこられなくて、悲しませてごめんなさい。
「おまえたち、そんな、儂がもっとおまえたちを鍛えられていれば……あの鬼を捕らえず切っておけば……!」
鱗滝は服が汚れることも忘れてか、両膝をつくようにして崩れ落ちた。仮面の下からは涙が溢れ落ち、霧の子供たちを抱きしめるように腕を広げている。
その様子を背後に、狼は静かに山を下りはじめた。背後から聞いたことがある少年の声が狼へと呼びかけたように感じるも、彼が振り返ることはなかった。
数日後。鱗滝とその弟子たちから手紙が届き、狼は珍しく笑みを溢すことになる。
鬼滅の刃 用語集
独自用語
金飾りの襟巻 きんかざりのえりまき
狼衆を組み分ける際、その代表に渡された特別な襟巻。
襟巻の端に施された金細工は、あると知らなければわからないほど生地に溶け込んでいる。
組頭と呼ばれる精鋭にのみ身につけることが許され、所属する組を率いるに足る技量の証となっている。
藍襟巻の狼衆 あいえりまきのおおかみしゅう
孤影組とも呼ばれる、隠密と単独行動を得意とする狼衆。
場に溶け込んでの情報収集に加え、狼が伝えた独自の拳法を得意とする。他の組と比べて、単独行動が多い点も特徴。
かつて狼が葦名で戦った影は、一人一人が卓越した技量を持ち主からも強い信頼を受けていた。彼らは、名に恥じぬ実績を得るだろうか。
黒襟巻の狼衆 くろえりまきのおおかみしゅう
乱破組とも呼ばれる、潜入と支援を得意とする狼衆。
潜入工作に加え、常に地を這い相手の攻撃を受け流す戦法を得意とする。手数こそ少ないものの、堅牢な守りから生還能力は極めて高い。
かつて狼が葦名で遭遇した鼠は、敵対者の城下にまで潜り込み粘り強く戦った。彼らもまた、並々ならぬ粘り強さを身につけるだろうか。
茶襟巻の狼衆 ちゃえりまきのおおかみしゅう
寄鷹組とも呼ばれる、距離を取っての戦闘と手裏剣撃ちを得意とする狼衆。
籠手に装備されている縄を使い、宙を飛ぶように移動することを得意としている。また、極端に重さの偏った装備を利用し距離を惑わす戦法が可能。
かつて狼が葦名で見た鷹は、曲がる手裏剣を使いこなす精鋭だった。彼らは、その域にまで辿り着けるのだろうか。
戦いの残滓、手鬼 たたかいのざんし、ておに
類い稀なる強者との戦いを記憶し、経験へと変えた者の証。
手鬼と称されるこの鬼は、自らを捕らえた鬼狩りへの復讐心に従い異形とまで成り果てた。
鬼の異形はその者の心理が現れる。多くの人間を握り潰したその手は、何を掴みたかったのか、何に縋りたかったのか。結局知りうる者は現れず、もはや現れようとも知る術は無い。
研鑽を積んだ者にとっては珍しくもない実力であろうとも、初任の者たちにとっては自らを高めるに十分な鬼であった。
隻狼 用語集
用語
魂寄せのミブ風船 たましいよせのみぶふうせん
源の水と呼ばれる霊水を内部に封じている、和紙で作られた桜色の紙風船。
鎮魂に使われていた神器であり、割って水を浴びることで祈りの力を強めるとされている。
霊水と音で魂を呼び寄せ、祈りの力で荒魂を鎮める。古い神職の業は廃れても、その本質が消えることはない。
まぼろしクナイ
鈴の細工が施された、細身のクナイ。
持ち主であった忍びは、まぼろしの名を関するほどの卓越した幻術使いであった。
まぼろしを見せるための仕掛けは未だ壊れておらず、幻術を扱う際にはこれ以上ない助けとなるだろう。