隻腕の狼、大正に忍ぶ。   作:橡樹一

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合格者の通過儀礼

 最終選別から2週間が経とうとする昼下がり、鱗滝の家に一人の来客があった。深い編み笠に風鈴を吊り下げた風変わりな男は、ちょうど素振りが終わり家へ入ろうとしていた狼を笠越しに見ると背負っていた風呂敷を外し胸の前で抱える。

 

「俺は鋼鐵塚という。狼という者の刀を打った刀鍛冶だ。

 お前が狼だな」

「そうだ。中へ」

 

 狼は鋼鐵塚と名乗った風変わりな格好の男へ室内へ入るよう促すが、鋼鐵塚は顔も見せずに荷を解き始めた。

 

「日輪刀は太陽に最も近く一年中陽の射すという陽光山、その山中から採掘される猩々緋砂鉄と猩々緋鉱石から打たれる。日の光を吸収し貯め込んだ鉄で打たれた刀だけが、鬼を殺しえる刃となるのだ」

「鱗滝殿から聞いたことがある。落ち着いて話すためにも、中へ入れ」

「これが俺が打った刀だ。最終選別での戦いを聞いて、お前の戦いに合うよう俺なりに考えてある」

 

 言葉を無視して話を続ける鍛冶師に、狼は家へ招き入れることをあきらめた。この手合いは、満足するまで動かない。

 呆れた目の狼へ、鋼塚はようやく顔を上げ視線を向ける。編み笠で見えなかった男の顔を、狼は至近距離で見ることになった。

 

「ひょっとこ……」

 

 予想外の光景に唖然とする狼を、ひょっとこの面の下から鋼鐵塚はじっと観察し始めた。

 

「お前、妙な痣が顔にあるんだな。それに片腕は義手かぁ。

 こりゃ面白い。珍しいもんが見られそうだぜぇ」

 

 人によっては指摘された時点で怒り出しかねない特徴を述べる鋼鐵塚に、狼は呆れて物も言えない。何とも言えない空気が漂う中、いい加減しびれを切らしたらしい鱗滝が顔を出した。

 

「相変わらず人の話を聞かん男だな、お前は」

「おお鱗滝。お前、なかなか面白そうなやつを弟子にしたじゃねえか、ああ?」

「儂はこの男の師匠ではない。成長の手助けをしただけで、元々実力者だったからな」

 

 鋼鐵塚と会話を成立させる鱗滝に、狼は尊敬の念を抱いた。そんなくだらない理由で尊敬されていると気付くはずもなく、鱗滝は鋼鐵塚と会話を重ねていく。

 

「儂の家に来たらまず上がれと言っただろうが。お前は気にしないのかもしれないが、風呂敷についた土が床に落ちるんだ。掃除をするのは儂なんだぞ」

「いちいち小さいことを気にする男だな鱗滝。どうせ几帳面なお前のことだから日に数回は箒をかけているんだろう。その回数が一度増えた程度でごちゃごちゃ言うな」

「まったく。言っても無駄とはわかっているが、言わずにはいられん。

 ほら、早く上がって風呂敷を解け。狼がどうしていいかわからなくなっているだろう」

 

 半分引き込むようにして、鋼鐵塚はやっと鱗滝の家に上がった。風呂敷から木箱を取り出し、狼の前で蓋を開く。中に収められた日輪刀は、鞘に入った状態でもわかるほどに分厚く頑丈な造りをしている。

 

「さあさあ早く抜いてみなぁ。聞いた話じゃ、お前さん鬼の攻撃を刀で弾き返すらしいじゃねえか。それなら岩の呼吸に適性があるかもしれんし、見事に灰色に染まった刀身を拝めるかもな。なあ鱗滝」

 

 非常に嬉しそうな鋼鐵塚の一言に、鱗滝は肝心なことを彼に伝えていなかったことに気がついた。しかし今伝えても何の意味もないと思い返し、できるだけ早く行動できるよう僅かに腰を浮かせるにとどまる。

 そんな鱗滝の臨戦態勢を疑問に思いながらも、狼はゆっくりと日輪刀を鞘から引き抜いた。

 

「日輪刀は別名色変わりの刀と言ってな。持ち主によって色が変わるのさぁ。ほれ、すぐにでも変わり始めるぞ」

 

 手をうねらせながら変化を心待ちにする鋼鐵塚だったが、狼が握る日輪刀に変化は見られない。首を捻る鋼鐵塚に、鱗滝は言いにくそうに切り出した。

 

「鋼鐵塚。お前は知らないようだが、狼に呼吸の才は無い。持ち前の身体能力と卓越した剣術だけで鬼と渡り合うことができる稀有な存在だ。

 だからその、なんだ。恐らく日輪刀の色は」

「キーッ!」

 

 鱗滝の説明を聞いていた鋼鐵塚が、突如頭を押さえてのたうち回った。

 

「俺は澄んだ灰色の刀身が見られると思ったのにクソーッ!」

 

 興奮状態のまま、鋼鐵塚は狼へと掴みかかる。止めるべきかと鱗滝が動く前に、狼が鞘と刀を握り変え構える。そのまま掴みかかる鋼鐵塚の両腕を弾き、大きく開いた胸元に肩から突っ込み床に押し倒した。

 鍛えているとはいえ、鋼鐵塚はあくまでも刀鍛冶だ。戦闘職である狼の体当たりに抵抗できるはずがなく、あっという間に制圧された。

 

「……鱗滝殿」

 

 沈黙が満ちる中、鋼鐵塚の首に鞘を突き付けたまま狼が口を開いた。

 

「……なんだ?」

「刀鍛冶を変えることは、可能でしょうか」

 

 切実な心境が込められた問いに、鱗滝は大きくため息をつくことしかできなかった。

 鬼殺隊史でも最短であろう、担当鍛冶師交代の瞬間である。

 

「鋼鐵塚、この男には呼吸の才がないのだ。示すものがなければ、日輪刀の色が変わることはない。

 儂が伝え損ねていたのだ。すっかり話した気になっていた」

「じゃあ俺は期待のし損だってのか!? クソーッ!」

「静かにしろ」

 

 尚も暴れる鋼鐵塚を叩き出すようにして追い返した狼は、静かになった室内で自らの刀をじっくりと見る。

 鞘から抜いた今、鞘越しでもわかるほどの分厚さが目立つ。しかし、側面に掘られた溝により軽量化されているため見た目ほど重くはない。楔丸と軽く打ち合わせて音を聞くが、強度面でも不足はないようだ。

 

「あの刀鍛冶、腕は確かなようで」

「鋼鐵塚は腕の良さをあの性格で台無しにしている男だ。腕だけならば鍛冶師の中でも上位なのだが、あの性格につき合える剣士は中々いない」

 

 ため息混じりの鱗滝に、狼は内心深く同意した。あれだけ我が強い男を受け入れるのは、並大抵の人間では不可能だろう。少なくとも、狼は共に仕事をする自信はなかった。

 

「ところで狼、先ほど鋼塚を押さえつける前に使っていた技は?」

「相手の攻撃をいなし、体幹を崩して隙を作る。弾きと呼ばれる技術だ」

「あれが強さの一端か。

 狼、あの技を儂に教えてくれないか。どことなく水の呼吸の技と相性が良さそうなあれを使いこなせれば、剣士の生存率が上がりそうだ」

「構いませんが、長々と教える時間は無いかと」

「儂とて剣士の端くれよ。一刻も打ち合えば盗み取ってみせるわ」

 

 元柱としての矜持か、鱗滝は不敵な声音で断言した。狼からすれば隠す技術でもないため、互いに鉄心入りの木刀を持って山の広場まで歩き始めた。

 

 

 

 狼が修行場として利用していた広場で、2人の達人が構え合っていた。鱗滝は攻めの姿勢、狼は守りの姿勢で向かい合っている。

 

「今更だが、その技を人に教えても良いのか? おぬしの生命線だと思うのだが……」

 

 鱗滝が、おそるおそるといった様子で狼に問いかけた。軽く体をほぐし、いざ構えて向かい合った段階で僅かに理性が働いたのだろう。

 だが鱗滝の心配とは真逆に、狼の返答はあっさりとしたものだった。

 

「元いた場所では、戦うものは大なり小なりこの技術を会得していた。今更使う者が増えたところで、影響は無い」

「そうか。では胸を借りよう!」

 

 宣言と同時に、鱗滝は狼めがけて木刀を振るった。全集中の呼吸により底上げされた身体能力は、老体とは思えない攻撃速度を生み出す。並大抵の相手、例え現役の鬼殺隊士であっても、この一撃を見切ることができものは少ないだろう。

 しかし、狼は当然のように対応する。迫る鱗滝の木刀へ添えるように自らの木刀を動かし、ほとんど力を加えずして軌道を逸らした。意識した動きを意図的に乱された鱗滝は、自らの体幹に大きな負荷がかかったことを自覚する。

 

「これが体幹を崩されるということか。たしかに連続すれば大きな隙となるな」

 

 はじめての感覚に戸惑う鱗滝だが、弾かれた衝撃を筋力でねじ伏せて木刀を振るい続ける。だが卓越した技術に裏打ちされた連擊も、狼の鉄壁の守りを貫くことができない。

 そして数合後。

 

「ぬうっ!?」

 

 鱗滝の体が大きく揺らぎ、致命的な隙をさらけ出した。それを見逃す狼ではなく、素早く突き出された切先は鱗滝の喉元直前で静止した。

 

「なるほど、確かにこの技ならば鬼といえども手玉に取れるだろう。

 ならば次は、技を使うぞ」

 

 再び向かい合い、鱗滝は木刀を振るう。先ほどの焼き増しかと思われたその時、鱗滝の呼吸音が大きく響いた。全集中の呼吸を常に行う〝常中〟を身につけた鱗滝が、さらに多量の空気を吸うことで身体能力を並の鬼以上にまで引き上げる。腕を交差させた特徴的な構えから放たれた一撃は、流れる水を幻視するほどの流麗さで狼へと迫る。

 だが、狼はその一撃を弾いた。水が岩にぶつかり砕ける光景が両者の脳内に浮かび、砕かれた鱗滝と砕いた狼は互いに距離を取った。

 

「儂の水面斬りをああもたやすく弾くか。流石だな狼よ」

「僅かに遅ければこの身は斬られていた。侮れん御仁だ」

 

 互いを称える言葉の余韻が消えないうちに、鱗滝は深く踏み込みうねる水のように狼へと迫る。水の呼吸参ノ型、流流舞いは足運びを重視する歩法と剣技の複合技だ。付いて離れる鱗滝の動きを狼はしっかりと目で追うが、動いている間にも斬撃を繰り出すために隙が無い。

 ここにきて、狼は脳裏に一人の侍を思い浮かべた。狼の腕の錆を落とすため、文字通り切られ役として身を捧げてくれた男。蟲に憑かれ死なずと化した男の望むまま、狼はかの男の蟲を斬った。その男、半兵衛は鍛錬のたびに起き上がり狼のために立ち合いの相手をしてくれたのだ。

 半兵衛と似た立場に自分がいる妙を感じ取り、思わず口元が緩む。様子が変わった狼を訝しみ、鱗滝の攻め手が緩んだ。

 

「狼……⁉」

 

 その隙を逃さず、狼は鱗滝へと斬りかかった。咄嗟に防いだ鱗滝と鍔迫り合いになり、動きが止まる。

 

「弾きの動きは見せた通り。こちらから参る故弾いて見せよ」

 

 そう伝え、狼は忍義手の重みを利用して後方回転をしてのけた。鍔迫り合いの状態から一息で距離を取った狼に鱗滝は虚を突かれるが、義手の重さを利用し飛び込むような回転で斬りかかる狼の一撃を慌てて防ぐ。

 寄せては引き、引いては寄せる剣技。鷹の名を冠する忍びが得意とした、寄鷹斬り、そして逆回しだ。

 水の呼吸とは違う、まるで狩りをする猛禽のような動きに鱗滝は翻弄される。しかし、狼は技を連続して出すことはしなかった。

 

「狼よ、なんのつもりだ?」

「これは戦いではなく修練。ひとまずは弾きを感覚でつかまなければ技に対応するなど不可能」

 

 僅かな苛立ちを含んだ鱗滝の問いに、狼は至極冷静なまま答えた。木刀同士とはいえ、久方ぶりの戦いに血が騒いでいたことを自覚し反省する鱗滝だったが、狼は気にすることなく斬りかかる。

 謝罪も反省も求めず、ただ鍛錬を続ける姿勢に鱗滝は面の下で笑みを浮かべた。不器用な優しさに触れながら木刀を振るい、ついに狼の一撃を弾くことに成功する。

 

「これが、弾きか」

 

 避けるでも防ぐでも、受け流すでもない独特な感覚に鱗滝は声を漏らす。

 

「今の感覚を忘れぬうちに、続けよう」

「ああ。頼むぞ狼よ」

 

 そうして2人は再び木刀を打ち合わせた。鱗滝が身につけた弾きの精度は驚くべき速さで上昇し、いよいよ狼も技を使おうかと考えたところで鎹烏による制止が入ってしまう。

 

「カアアァァァ! 任務地マデノ移動ヲ忘レルナ! モウ動キ始メネバ今晩マデニ間ニ合ワナイゾ!

 初任務ニ遅レルナド前代未聞ダ! 急ゲ、急ゲ! カアアァァァ!」

 

 ここまで急かされては、2人としても鍛錬を中止せざるをえない。

 

「口惜しいがここまでか。

 狼よ、たまには狭霧山に来るといい。儂の鍛錬に付き合ってもらいたいしな」

「機会を見つけて、よりましょう。この霧深い山ならば、技の鍛錬ができそうです」

「そうか。儂の相手をするにしろおぬしの技を磨くにしろ、いつでも遠慮なく来るといい。連絡さえあれば、食事を用意して待っている。

 狼よ」

 

 鱗滝は言葉を切ると、面越しとはいえ狼を正面から見据えた。狼は構えを解き、その視線をまっすぐに受け止める。

 

「なんでしょうか」

「死ぬなよ」

 

 その一言に、どれだけの気持ちが込められていたか。その思いをくみ取れないほど鈍感では、忍びなど務まらない。

 

「当然」

 

 そう応えて、狼は烏と共に狭霧山を去った。胸元の守り袋に潜ませた、竜胤の御子から授かった欠片に触れながら。

 これ以降狼は腕前を存分に振るい、鬼殺隊でも期待の新人として注目を集めていくことになる。

 

 

 

 夜の闇に覆われた産屋敷邸の一角が、蝋燭で照らされていた。その室内には鬼殺隊当主である産屋敷耀哉と、鬼殺隊最高戦力であり最高幹部である柱の面々が向かい合って座っている。半年に一度行われる鬼殺隊上層部の会議、柱合会議だ。

 

「以上でこの議題もおしまいだね。

 最後に、鬼殺隊の内外で気になる噂など聞いてはいないかい?

 では、槇寿郎から聞こうか」

 

 耀哉の声とほぼ同時に柱が一斉に手を上げ、耀哉は嬉しそうに笑いながら筆頭である槇寿郎を指名した。

 そうして順番に、自分が聞いた噂などを話していく。鬼の手がかりになりそうなものから隊士の規律の問題まで、様々な情報が手に入るのだから噂話は侮れない。

 槇寿郎の後は端から順に話していくことになり、最後に残ったのは水柱の越津今座衛門だった。

 

「では当方が最後であるな。近年隊士の質が落ちているのは周知の事実だが、それでも逸材というものはいるところにはいるものだ」

 

 実に嬉しそうに髭を撫でる水柱に、周囲の柱から視線が集まる。

 

「それは嬉しい話だね。では、詳細を話してくれるかい?」

「はい。

 貴殿たちも噂は聞いたことがあると思うが、岩の呼吸を使う隊士と呼吸を使わない隊士の話よ。岩の隊士はなんでもその力から真っ当な刀を振るえば折ってしまうらしく、斧状の日輪刀を振るい盲目にもかかわらずすさまじい強さだとか。

 呼吸を使わない隊士は、当方と炎柱は以前に会ったことがある。なんでもお館様の遠縁に仕えていた人材が、故あってお館様に仕える運びとなったとのこと。岩の隊士に負けず劣らずの実力であり、ほとんどの任務を傷1つなくこなすとか。

 両者ともにお館様直々に勧誘したらしいとも聞いております。いや、流石はお館様の慧眼といったところですな」

 

 楽しそうに締めくくった越津の話を聞いた柱は、興味深そうに騒めく。中でも柱内最高齢である影蔵伸三は、何かを思い出したようだった。

 

「そういえば、今回の議題にも挙がっていた隊士の負傷の減少に似たような報告がありましたな。見るところがある隊士が素早く鬼を斃すから結果として負傷が減るのかと考えておりましたが、たしか鬼の攻撃を受ける隊士に担当の隊士が庇われたという報告がいくつか烏から上がっておりました。

 今回の2人と見ても、おかしなところはありませんな」

 

 鬼殺隊は鎹烏という情報伝達手段があるため、非常に精度の高い情報が飛び交うこととなる。その中で複数上がった報告ともなれば、疑う余地はない。

 

「お館様、岩の隊士はあたしの継子としたく。許可をいただけませんか?」

 

 紅一点、岩柱の畠山ヤヱが耀哉に頭を下げる。同じ呼吸の使い手ということもあり、周囲の柱から反対の声は上がらない。

 

「それは本人に聞くといいだろう。私もその呼吸を使わない隊士には心当たりがあるし、じつはみんなに提案したいことがあったんだ。

 たしか3日後ならみんな時間があったと思う。そこで件の隊士を呼び、臨時の柱合会議を行おうと思う。議題はヤヱの継子問題と、私の提案だ。

 なにか、問題があったら言ってくれ」

 

 敬愛するお館様に問われれば、無理を押してでも彼ら彼女らに否は無い。

 

「御意」

 

 代表として頭を下げた槇寿郎の返事こそ、柱たちの総意だった。




 鬼滅の刃 用語集

 人物

 影蔵伸三 かげくら-しんぞう
 次回まで、解説は控える。

 鋼鐵塚蛍 はがねづか-ほたる
 鬼殺隊の日輪刀を打つ、刀鍛冶の1人。
 非常に気分屋であり、まるで子供のように感情に素直に行動する27歳児。
 鍛冶師としての腕前は確かなのだが、その性格に付き合える者はほとんどおらずすぐに担当を変えられる問題児。

 畠山ヤヱ はたけやま-やえ
 次回まで、解説は控える。

 用語

 岩の呼吸 いわのこきゅう
 全集中の呼吸の一派であり、最も身体能力強化に優れた呼吸。
 頑強さと荒々しさが特徴の呼吸であり、力押しという単純ではあるがそれだけに付け入る隙がない戦法を得意とする。
 その単純さゆえ、派生しずらい呼吸であり使い手の数も限られている。また、使い手の武器が日本刀ではないことが多い。

 常中 じょうちゅう
 本来技を出す際に一時的な強化として行う全集中の呼吸を、日常的に行使した状態の呼称。
 この状態を保つことにより、肉体は徐々に鍛え上げられ技の精度や肉体強化の度合いも向上していくことになる。ここからさらに呼吸を大きく深く行うことにより、平時では考えられないほどに肉体を強化することが可能となる。
 柱となる者たちはみな身につける技術だが、習得の難易度から公に教えられていない。そのため、この技術の存在を知らない隊士も多い。

 柱合会議 ちゅうごうかいぎ
 半年に一度産屋敷邸で行われる、鬼殺隊最高幹部たちによる会合。
 多忙のためなかなか会えない柱が一堂に会する機会であるため、議題の数は多く数日通して行われることがほとんど。
 重要な議題が持ち上がった時に召集される臨時の柱合会議もあるのだが、よほど重要な内容でもない限り開かれることはそうそう無い。

 流流舞い りゅうりゅうまい
 水の呼吸参ノ型。流れる水のような脚捌きで移動しつつ、細かく斬撃を繰り出す技。
 移動と攻撃を同時に行うことができるため、間合いを詰めつつの牽制が可能。また、複数の敵を同時に攻撃することもできる。
 この技に続いて他の型を放つことで勢いを殺さずに連撃が可能であるため、繋ぎ技として非常に優秀。

 陽光山 ようこうざん
 太陽に最も近く、一年中日が差すといわれる山。
 猩々緋砂鉄と猩々緋鉱石が採掘され、日の光を吸収するといわれるこれらの鉱物から鬼を滅する刃は打たれる。
 当然ながら山の場所は最重要機密事項であるため、知る者は極々限られている。

 隻狼 用語集

 人物

 半兵衛 はんべえ
 通称、死なず半兵衛。
 荒れた寺で狼と出会った落ち武者であり、錆付いた狼の腕を取り戻すため立ち合いの相手を買って出た恩人。凄腕の忍びである狼と立ち会えることから察せるように、並大抵の腕前ではない。
 蟲憑きと呼ばれる不死身の体質であり、どれだけ体が傷ついても体内に寄生したムカデにも似た蟲が瞬く間に肉体を修復してしまう。そのため真っ二つになっても死なないことが、通称の由来となっている。
 不死斬りを手に入れた狼によって体内の蟲は斬られ、念願であった死を迎えた。

 用語

 弾き はじき
 自らに迫る攻撃を、受けるでも防ぐでもなく、受け流すようにして弾き返すことで相手の体幹そのものに負荷をかける技術。
 たいていの人間ならば数回で大きく体勢を崩し、達人でも受け続ければいずれ大きな隙を晒すことになる。
 相手の技を見極める観察力と刃が自らに触れる寸前まで耐える忍耐を必要とされる中々の高等技術だが、狼がかつて駆け抜けた葦名では一兵卒でも簡易的ながら身につけていた基本技。
 いかに葦名が魔境かがわかる一面であり、当時の内府が攻め落とすために多大な犠牲を払った理由の1つ。

 寄鷹斬り よたかぎり
 葦名城を守護する夜鷹衆が得意とする、得物の重量を活かした飛び込み斬り。
 重い得物を起点とし、回転をしつつ接近して切り裂く技。見た目以上に素早く動くため、油断をすれば間合いの外から急接近した刃に襲われることになる。
 斬った後に回転して間合いを開ける技を夜鷹斬り・逆回しと呼び、この二つを使いこなすことで夜鷹衆は間合いにとらわれない変幻自在な攻め手を有していた。
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