青春ガールズロックと黄昏ティーチャー。   作:黒マメファナ

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※初見の方へ
だいたいここまでがプロローグ、のようなものです。お疲れさまでした。今井リサはヒロインではありません。今は。

※既読の方へ
リサ関係がやや修正、というかわかりにくすぎたのでちょいわかりやすくしました。一応伏線張ってたのにこうして手直しをするまでどこだったけと作者ですら思ったんだよなぁ……


④相談カミーリアと探索ディストピア

 ──アタシ、なにかマズいこと言った? 思考が上手く纏まらない。原因はアイツの表情だった。拒絶された、とわかる困ったような顔が、ぐるぐるとミキサーにかけられてわけわかんなくなってくる。何かミスをしたのか、もしかしてもう屋上にはいなくなってしまうんじゃ、焦燥が暗い妄想になっていく。

 

「なんで……?」

 

 こういう時はいっそ、誰かに全部話せば楽になる。ケド、アタシにそんなアテはない。ひまりは口が軽いし、つぐみは一緒になって暗くなる、巴、モカ……というか、Afterglowの仲間には頼れない、頼りたくない。なんか、アタシの勘がモカはヤバいって言ってる。わけわかんない、けど、すれ違ったあの先輩を見たモカの表情が、アタシと一緒に歩いてる時にアイツを見たモカの顔が、ずっと頭から離れないから。

 

「わっ、と~、だいじょーぶ?」

「っ、ご、ごめんなさい……」

 

 考え事をしてたせいで、曲がり角で人にぶつかってしまう。一瞬見えたネクタイとスカートは青色……二年生だ。ウェーブのかかった茶髪、センスがよくわかんないウサギのピアス、いかにもなギャル風のこのヒトは見たことある。

 

「あれ~、蘭じゃ~ん!」

「あなたは……Roseliaの……!」

 

 名前は今井リサさん。モカのバイト先、コンビニで働いてて、そのせいかアタシによく話しかけてくる……言っちゃ悪いとは思うけどグイグイ来るところが割と苦手な先輩。

 ──そうだ、二年生! もしかして、アイツを知ってる? ううん、今はヒトを選んでられる状況じゃない。

 

「あ、あの……今井、さん」

「もー、リサでいーよってゆったじゃ~ん!」

「ちょっと時間、いいですか……?」

「……あはは、改まっちゃってどーしたの? おねーさんに相談?」

 

 なんというかこの人、ノリが妙にモカに似てる。というか、モカが若干真似してるんだと思う。昔からモカがこうだったかと聞かれたら、そうだったかも、って答えるけど。じゃなくて、近くの空き教室にリサさんを押し込んで、向かい合った。まず、どうしたらいいんだろう。いや、迷ったら全部話せばいいんだ。なりふり構ってなんていられない。

 

「……ちょっと長い話しても、いいですか?」

「もっちろん、何時間でも!」

「そこまでは、えっと……」

 

 ──本当に全部話した。アタシが家から逃げてバンドをしていた時に出逢ったこと、教師のクセに禁煙の学校の屋上で堂々と煙草を吸っていた先生は、あんまり教師っぽくなく、けど大人として余裕のある言葉を次から次へと吐き出したこと。くだらないこと言いやがって、って顔してたからすっごいムカついたこと。でも、それなのに先生として真面目に全部アタシの話を聞いてくれて、救われた、スッキリしたこと。

 ガラにもないとは思ったけどありがとうって言いたくて、また屋上にいたのを見つけたのにモカが来て……それから全部おかしくなった。次に会ったアイツは、なんか余裕がなくて……質問にも答えようとしなかった。全部聞いてくれたリサさんはと唸った後、ゆっくり言葉を出した。

 

「なるほどねぇ、あの清瀬センセがね~」

「アタシ、あの人の授業聞いたことないんですけど」

「あの人めっちゃテキトーだよ~? 寝てる子とかしゃべってる子いても注意しないし」

「……そうですか。概ね予想通りな気はしますけど」

「ケド、授業自体はわかりやすいし、根はいい先生じゃないかな~って思うところはあるよ」

 

 どんな授業でもしゃべらないアタシにはよくわからないけど、とりあえず印象通りの授業をするのはわかった。屋上であんなことをしてるくらいだからそれこそ言葉通り他の教師には煙たがれてるんだろう、っていうのはわかるけど、生徒の前では少なくともきちんとしたい、そう思ってるのかな。

 

「変な噂はケッコーあるケドね……なによりヒナが懐いてるみたいでさ。時々部室に行ってもいないのに」

「あの人、その時間は基本屋上にいますね」

「なんか不思議だよね~」

 

 確かに不思議だ。アタシはアイツの口から一切氷川先輩のことを聴いたことがない。何かあるのか……そういえば一度だけ屋上へ向かうところは見かけた。けどその時は部活終わるから呼びに行ったのかくらいにしか考えてなかったけど。ああもう、わかんないところだらけだ。アイツが情報をストップさせてるから。わかりそうなことも全然わかんない。

 

「氷川先輩なら……知ってる?」

「さぁ? 少なくともアタシは何も聞いたことがないからな~」

 

 最後に付け加えてリサさんは、なんとなくだけど紗夜も、清瀬先生のことはなんにも知らない気がすると氷川先輩の家族も知らないんじゃないかという推測をこぼした。進展というほどのものはなかったけど、わかったこともある。アタシは今井……じゃなくてリサさんに頭を下げた。

 

「……ありがとうございました」

「そんな、いーって、アタシも蘭と話せてよかった~って思ってるからさっ☆」

 

 自然な動作で星が飛んでいくようなウィンクを残して、リサさんは教室から去っていった。あのヒトまさか、なにか勘違いしてるのかな? きっとひまりなんかが本気でリサさんと同じ結論になるし、そういう勘違いがしやすいのも事実だよね。アタシが女子の会話で一番苦手なもの、オシャレ、流行……そして恋愛。別にアイツに恋をしてるわけじゃない。けど、アタシは子どもで、大人が必要だって思わせてくれたアイツが大人を保てないなら、助けてあげたい。そう、思っただけ。それが子どものわがままだったとしても。

 

「あ、蘭ちゃん」

「つぐみ、もう終わったの?」

「うん、お待たせ! 行こう?」

「うん」

 

 けど、つぐみが来たからここで時間切れ。悔しいけど今日は諦めよう。そう考えながらつぐみと二人で歩き出す。今日モカたちはいない。スタジオ予約をしにつぐみと一緒に帰るだけだから本当はアイツの隣にいられたけど……それじゃ、ダメなんだ。アタシのことを知ってくれたようにアタシだって、アイツのことを知ってないと。

 

「大丈夫? 蘭ちゃん?」

「あ、うん。平気」

 

 ──アイツのことばっかりになってたの、つぐみには気づかれてたかな。気持ちを切り替えないと。そう思って一旦家に寄ってから、道中はバンドの話をする。

 道が商店街に差し掛かった時、ポスターの前に見たことのあるネコミミに星の髪留め、あれは……確か。

 

「あ、香澄ちゃん。こんにちは」

 

 つぐみが率先して挨拶をする。戸山香澄、近くの花咲川女子学園に通ってる……なんていうかちょっと言動がアタシには理解しかねるヤツ。この辺りの住みじゃないのによく会うから、名前を憶えたよ。香澄はどうやら天体観測の申し込みをしたいけど、どうやら一人じゃ嫌だったようで、アタシたちを誘ってきた。月末……か、そういえば、氷川先輩は天文部、なんだっけ。もしかしたら何かわかるかも、と思ったけど正直そんな気分じゃない……じゃないのにツグってるつぐみと香澄に押されて、結局行く羽目になった。

 

「そういえば、氷川先輩も、ああいうタイプだったっけ」

「あーうん。そんな感じだった気がする」

 

 ──じゃあもしかして、懐かれてるっていうならアンタもこうやって、氷川先輩のペースに巻き込まれてたり、振り回されてたりすることもあるのかな。結局また、アイツのことばっかりを考えて、アタシは帰路を歩いた。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 気分が悪い時に限って、この悪魔はオレを求めたがる。タバコ吸わせて、キスして、えっちして、ってバカの一つ覚えみたいに欲求の発露をオレに刺してくる。お前のそのシてって言葉にこっちはもう血まみれのゲームオーバー状態だから、死体蹴りはそろそろ勘弁してくんねぇかな。無理か、無理だよな氷川だもんな。

 

「ねぇ、カズ先生? お願いがあるんだけど」

「……拒否権があるときにお願いって言葉は使うもんだ」

「じゃあお願いじゃなくて……なに?」

「脅迫だな……つかマジで拒否権ねぇのかよ」

「ないよ」

 

 乱れた服を直しながらタバコを吸ってると、後ろから抱き着いてニヤリと笑ってお願い……もとい契約による命令。拒否はすなわち魂の譲渡ってわけでオレは今にも魂を抜き取ろうとしてくる悪魔を引きはがしながら訊き返した。ロクでもないこと言ったらゼッテー今日は送ってやんねぇ。

 

「今月末さ、流星群あるでしょ? 」

「あるな」

「こころちゃんと観ようって約束してさ!」

 

 こころ、ってのはハートのことじゃなくて弦巻こころ。今年から近くにある女子高、花咲川にできた天文部の氷川と同じ唯一の部員。つか、この弦巻ってやつがとんでもねぇ曲者らしいってことを学校交流の際に耳にした。ウチでいう氷川並かそれ以上のぶっ飛びロケットかつパンダ並の希少生物なガキなんだと。そんな珍獣と珍獣の夢のベストマッチこそ、コイツが唯一真面目に天文部として活動する日だ。その際はかかわりたくないため表向きは引率だが絶対に同行しない。向こうの顧問も同様だ。

 ──だが、その話を今した、ということは……オレにもついてこいってことだろうな。

 

「まさか、車がないと行けねぇ場所なのか」

「うん! あと、山で夜中に活動するから、流石に大人を連れていった方がいいんじゃないかと思って」

「んで、お前と弦巻の引率にオレが行くと」

「そう!」

 

 このクソメンヘラ女……余計なことを。だがまぁ、その理論はわからんでもない。あと氷川の顔にはどう考えてもオレと一緒に泊まりたいって書いてある。オレはカレシじゃねぇし、弦巻がいるんだからデートにもなってねぇ。

 

「暗いから、触ってもバレないかもよ?」

「触ってくるから覚悟しろ、って言え、日本語は正しく使うもんだ」

「あはは、誘ってるんだよ~♪」

「山の中で迷子になりやがれ、二度と帰ってくるな」

 

 そんな草も生えない不毛なやり取りをしながらも、いつの間にかスーツの内ポケットからオレの薄給で買われているタバコと消耗品のライターを取り出して、カチカチと鳴らすが、ざまぁみやがれ、オイルが切れたせいで点きやしない。それを尻目に吸うタバコのなんと美味いことか……いや、あんまりだな。今日はやけに、不味い。

 

「むー、点かない」

「日頃のオレに対する行いだろ」

「あんなに気持ち良くしてあげてるのに」

「そのせいだとわからんなら一生点かんな」

「じゃあいい」

 

 ライターをその辺の床に投げ捨てて、氷川はずんずんと近づいてタバコの先をオレのタバコの先に押し当てた。意図に気づいて慌てて息を止めようとするが、時既に遅し、同時に息を吸い込み氷川のにも火が点いた。蕩けるような女の笑顔で、氷川はオレに向かって紫煙を吐き出してくる。

 

「あは、シガレットキス、だっけ? るんってくるね♪」

「……ゼッテー送ってってやんねぇ」

「え~、こんなの、カノジョさんともしたことないでしょ?」

「だからテメーがいい思いさせてやったってか?」

「……ううん、カズくんの初めて、欲しかったんだ」

 

 初めて、ねぇ。そんなのに拘るのもガキの証拠だっつうの。初めてのキス、初めての行為、恋人、デート、そんなのこの年になってまでフツーはいちいち覚えちゃいねぇよ。覚えてるってのはよっぽどの思い出だった時だけだろ。例えば、オレみてぇな。

 

「アタシのそういう初体験は、ほとんどカズ先生にあげちゃったけど。キスとかさ」

「キスは中二んときにカレシとしたことあるって言ってたが?」

「あれ、そうだっけ?」

「ウソばっかりつきやがって。ペナルティーはどうした」

「その時のカレシなんてもう、名前も覚えてないよ」

 

 そんくれー嫌でもわかる。けどな氷川、オレは、お前の先生になりたかったんだよ。教師として、お前を助けてやりたかった。もう、叶わない目標だけどな。にしても、このクソメンヘラ女の元カレはかわいそうだな。中学生だろ、付き合って、舞い上がって、そうしたらフラれたってだろうな。

 

「あ、勘違いしてるかもだけど、相手のヒトが8つ年上の大学生だったってのは覚えてるよ」

 

 前言撤回、ざまぁみろロリコン、中学生に手出す暇があるなら就活してろ。

 ──なら逆に氷川の苦手なタイプだったんだな。抑圧して、どうあっても氷川よりも上に立とうとして、同等にみられたくて、破滅した。コイツが人間を対等なんて、ありえねぇ冗談だ。

 

「どんな風にフった……ってかよくフれたな」

「あ! そうそう思い出した。一週間くらいして無理やりえっちしようとしてきて、その辺にあるものでテキトーに十回くらい殴ったんだった」

「……バイオレンスだなぁおい。相手死んだだろそれ」

「生きてるって! なんかキスもデートもるんってこなかったし、もういいかなって思ったトコロに、だもんね。ついやりすぎちゃった」

 

 その追加の話には本気で引いた。中二に無理やり行為を迫るそいつもそいつだが氷川の方がえげつねぇ。結局コイツはそういうヤツだ。興味を持っている間と興味を失ったときの温度差が激しい。オレだって今は興味を持たれてるからメンヘラみたいに迫ってくるが、興味が失せたら一切視界に映らなくなる。

 

「でもカズくんはね、なんかるんってする」

「そりゃあ光栄だ。できれば教師としてしてほしかったな」

「先生としてかぁ……まぁ、ちょっとは面白いヒトなのかなーとは思ったけど」

「……チッ」

 

 ものの見事に後輩との約束を果たすことも出来ず、挙句はこの言われようとはな。遣る瀬無ぇにもほどがある。

 ──いっそ、オレがコイツをカノジョにすれば……そう思わなくもないけど、それはダメだ。美竹と出逢って、オレはいつだったか、あのヒトの前で啖呵を切ったことを思い出した。オレはアンタとは違う教師になる、なんてバカみてぇな夢だ。

 

「氷川」

「……タバコ吸ってる」

「……ヒナ」

「なにっ?」

 

 攻略対象の難易度は高すぎてまだまだ勉強不足ではあったんだろうけどな。もうコイツは教師としてのオレを見ちゃいない。呼び方ひとつで変わる表情の切り替えがそれをヒシヒシと伝えてくる。

 

「つかなんでまた弦巻とそんな話になった? 天文部とはいえロクでもねぇ活動しかしてねぇのに」

「えっとね、こころちゃんが、新しい星を見つけるとそこに名前を付けれるーって話があって……」

 

 そしてぶっ飛んでやがる。明るい顔で話すその内容はもうオレの耳には入ってくるが脳にまで浸透しない。異言語のように理解できない。名前を付けれる、わかる。だが、その先に氷川が発したその星に王国を作る、という言葉は日本語として認識できなかった。

 

「見つけたら、先生も一緒に住もうね! 楽園だよー!」

「……はぁ、断固お断りなんだよなぁ」

「えー、なんでー!」

 

 珍獣と珍獣の世界にオレひとりが楽園? 冗談よせよ失楽園だろ。屋上を後にしながら、オレは氷川を躱し続けた。やがて火が消え、世界が紺色に包まれ始めた頃、そろそろ誰か助けてくれねぇかなぁと思ったその時、救世主はジャージ姿で顔周りの汗を拭きながらやってきた。

 

「……あ、あれ、ヒナもここにいたんだ。部活は終わり〜?」

「リサちーだ!」

「今井はダンス部か?」

「まぁ、そんなところですね」

 

 学年会議の名前が挙がる人物の一人、今井リサ。成績は上の中で教師への態度はまるで模範生、見た目を除けば特に問題行動はないが、常に囲いのいる同性殺しの瀬田、マトモに関わってはいけない氷川の二大問題児をコントロールできるハイスペックギャルのため良く聞く名前だ。あとダンス部の顧問の教師が()()()リサはって自慢してくる。ホントロクな大人がいねぇ。

 

「つかそろそろ日も暮れるが、親御さんとか来てくれるのか?」

「あ、一人で大丈夫です」

「いや危ねぇだろ」

「……えーっと、ヒナと先生は?」

「あたしは先生の車なんだよー! 送ってってもらうの!」

 

 送り狼になるけどな、氷川が。

 と思ったけどあるじゃねぇか、回避する方法。ナイスタイミングで今井がいてくれた、一学期の内申4.5以上だったら5つけてやるレベルだ。

 

「一人になっちまうんなら今井も来い。最近不審者出たらしい、春は何かと物騒だ」

 

 副社長様……教頭が鼻息を荒くして会議の際に不審人物撃退! 躊躇う必要なく警察に突き出してやるべきですと言っていたから真実だ。あ、コイツら全員通報していいんだ、と一瞬本気で思った。だからオレの足から退けろ氷川、踏んでるから。グリグリしてくんのやめろ、めっちゃ痛えし。

 

「あ、あはは……お邪魔しちゃってもいいの、かな?」

「子どもが大人に遠慮するもんじゃねぇよ。今井がもしも襲われたら困るしな」

 

 オレもこれ以上襲われるのは腰痛的な意味で困るしな。氷川は大人であるオレに少しは遠慮してほしい。獣みてーにむちゃくちゃするからな、コイツ。それに、なんか元気ない感じなのも気になっちまってるんだから、一人は余計にあぶねぇよ。

 

「ヒナ……えっと、いいの?」

「いいよ、リサちーが危ない目に遭うの、あたしも嫌だもん」

「いいよ、じゃねぇよ。オレの車だろ」

「ふん」

 

 ってかそれよりなにより嫉妬を隠せっての。今井にダダ漏れなせいでオレじゃなくてお前に確認とってるんだからな。呆れていたら腕を組まれて小さな声で、あたしが助手席ねと脅された。わかってるっつうの。

 

「じゃあお言葉に甘えて……ゴメンね、ヒナ」

 

 ほら、今井のやつ、やっぱオレじゃなくてお前に謝ってるから。困ったやつ、青葉の件といいオレをそんなに教師のままにしたくねぇのなカミサマってのは。氷川は今井にはあくまで明るく振舞うけどありゃ誰だってわかるだろ。嫉妬と寂寥、そんな顔をしてる。

 

「……リサちーなら、言いふらしたりしないもん」

「バレバレなのはお前の感情だけだ」

「じゃあリサちーの前でキスしよ」

「アホか」

 

 ──そんな風に拒否してみたはいいものの、今井の帰り支度をしてる間、駐車場で結局氷川にタップリ20秒、唇を奪われ、今井にバレないように甘く誘われ、コイツの方が家が近いのに後に回しちまうんだが……ホント、教師失格のクズもいいとこだ。

 

 

 

 




――というわけでプロローグ終了でございます。
天体観測編もお楽しみに。
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