青春ガールズロックと黄昏ティーチャー。   作:黒マメファナ

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クズをハメようイフストーリー企画、第二弾は――


②鷺草ハッピーエンド・前編

 女優・白鷺千聖は傑物である。鉄壁の笑顔を常に崩さず、舞台でも、アイドルバンドのベーシストとしても、彼女の才能は光輝いている。子役として活躍してきた彼女は、常に文武両道ということを、まるで息をするようにこなしてきている。

 中高一貫である花咲川女子学園を卒業後、現在は現役女子大生としての顔を持ちながら、先に述べた芸能活動を行っている。まさに才媛、天才、傑物、という言葉が我々の頭に思い浮かぶだろう。

 

「……なにかしらこれ」

「なにって、なんだろうな」

 

 ──事務所から送られてきたそんな賛辞が並べられる記事に千聖は顔を顰めた。まだ寝巻き姿で髪も整わない、恐らくこの賛辞を書き連ねたヤツは一生目にすることが叶わないだろう白鷺千聖のオフ。お揃いのマグカップにミルクティーを淹れたソイツにオレはパンを齧りながら、きっとネットでこんな記事、気持ち悪いだとかなんとか叩かれるってのになと苦笑いをする。

 

「つか今日、仕事は?」

「今日はオフよ。だからまだこんな格好してるじゃない」

「そうだな……千聖の分のパンは」

「自分で焼けるわ」

「……サラダは冷蔵庫にあるから、あと卵は、自分で焼けるな?」

「ええ、ありがとう」

 

 あ、この鉄壁の笑顔はきっと、自信はないけれど大丈夫よ、ありがとうという意味だな。自信ねぇならなんとかしてやりてぇって言っても、オレはこれ以上コイツを構ってるわけにはいかねぇ。オレは千聖とは違って今日はオフ、オンってのが平日と休日できっちり分けられてるからな。

 昔は自分でなんでもできるヤツだと思っていたけど案外できねぇことが多いのがアイツの特徴だった。料理なんてほとんどしたことがねぇってのもその一つだな。きっとガキの頃から芸能活動でそんなことにイチイチ気を回してる余裕なんてなかったんだろうなってのは聴かなくてもわかることだった。

 

「んじゃあ、行ってくるな」

「……ええ」

 

 あと、実は……これは前から感じていたが、極度の甘えたがりだ。プライベートではどうしようもなく弱い女になる。けど自分を守るための殻がでかくなり過ぎた結果、それをうまく口には出せねぇのがコイツの弱点だ。

 だからオレができることはコイツをやりすぎなくれぇに甘やかすってことだ。芸能活動をのびのびとできるようにオレが、コイツの基盤になってやることだ。

 

「放課後、部室に遊びに来いよ。結良が会いたがってた」

「……いいの?」

「おいおい、そこはそうじゃねぇだろ」

「そうね。ありがとう、一成」

「ん、それでよし。お前はもうオレの生徒じゃねぇんだからさ」

「ええ……」

 

 出掛け際に軽くキスをして、とろんと夢の中のような微笑みを見せる千聖との間に扉を挟む。ホントなら扉の外まで出迎えてほしいところだが、相手はあの千聖だ。おいそれと人目に付くわけにはいかねぇからな。

 事務所からは半公認、みてぇな状態とは言え半分だけ。スキャンダルかなんかで週刊誌にすっぱ抜かれれば、オレと千聖の関係はそこまでだ。それはアイツの幸せにはならねぇからな。

 

「──まぁ、既に、反対を押し切って、同棲なんかしちまってるワケだしな」

 

 そこがまず問題なんだが、コレは千聖が押し切ったんだよな。オレは流されただけってのはいつものこと。行動力はすげぇんだよな。出逢ったばっかの頃にスマホをたたき割ったことといい、コイツは自分が決めたことに対して物凄いチカラを発揮するからな。

 けど果たしてオレに、千聖がそこまでエネルギーを使う必要があったのか。そうふと頭に過ることがある。そうじゃなくて、例えば芸能の裏方とかで活躍してるアイツとか、そういう、ホントに素直で素朴なのに頑張って誰かに手を延ばしてしまえるような、そんな主人公みたいなヤツの方がアイツは幸せになれるんじゃねぇのかと考えることがある。

 

「それ、贅沢な悩みってやつじゃない?」

「……そうか?」

「だってそうじゃん? 先生はさ、先生のことを好きでいてくれるちーちゃん先輩のことが好きでたまらないから、逆に不安になるんでしょ?」

 

 思わず愚痴が出ると結良は嘆息してくる。なんだコイツ。つかなんで部室で化粧直ししてんのお前。そういう目で見ていると、結良はストレートの茶髪を揺らし、決まってるよ、と立ち上がった。

 

「ちーちゃん先輩来るんだから、オシャレしとかないと!」

「当のちーちゃんは前に化粧が濃いから勿体ねぇって言ってたけどな」

「……え? それホント?」

「マジだ。つかオレも普段通りでいいと思うんだよな」

「ん……なら、そうする」

 

 なんだよ随分素直じゃねぇか。そんなに千聖の評価重視か、それとも……いや、これは考えねぇでおくか。この気付かねぇほうが幸せな部分に触れてきたからこそ千聖を始めとしたアイツらの関係は混迷を極めたんだしな。

 

「こんにちは、結良ちゃん」

「ちーちゃん先輩!」

「ふふ、相変わらず元気そうね」

「うん! 元気です!」

 

 そんなこんなで結良が化粧を落としていつもの顔に戻って数分、千聖が天文部へとやってきた。けど、なんか違和感だ。

 つか違和感、なんて生易しい表現じゃねぇ、変だ。なんで、そんな()()()()()を浮かべてるんだよ。あの後なんかあったのか? そう問いかけても千聖ははぐらかし、なかったことにしようとする。

 

「なにもないわよ。どうしたの?」

「先生、いきなりすぎるよ」

「いいや変だろ。結良もそう思うだろ? 千聖がよそよそしいだろ」

「えー……そう、かなぁ……?」

「ほら、結良ちゃんもこう言ってるじゃない」

 

 しまった。結良じゃまだ千聖の変化には気づけねぇか。ここで結良が千聖の言葉に味方したら、このハナシは有耶無耶にされちまう。つかそうするために結良を頷かせようとしてやがるな、この魔王は。

 ──けど、ねぇ結良ちゃん。私、どこも変じゃないわよね? と再確認する千聖に、結良は予想だにしてねぇリアクションをとった。首を、横に振りやがった。

 

「わかんないけど……けど、先生が、誰よりもちーちゃん先輩を大事にしてる先生が、きっぱりと変ってゆうなら……わたしも、変なんじゃないかなって、思う」

「……結良」

 

 ここで結良が言ってくれたのはでかい。千聖も戸惑って、誤魔化そうとしたけどできなくてため息を一つ吐いた。その後に見せた表情は、オレの知ってる千聖の顔だ。

 やっぱりなんかあったんじゃねぇか。なんで黙ってようとするんだよ。

 

「女誑しなのは変わらないわね」

「女子校じゃなきゃ、多分男にもモテモテだと思うんだけどな」

「そういう意味じゃないわよ、バカ」

 

 バカってなんだよ、せめてハナシをはぐらかさないでって言えよ。んで、それよりも何があったのかちゃんと話せ。結良はできたヤツだからな。ここで聴いたことを外に漏らすようなヤツじゃねぇから。つってもそれは、お前がオレに気軽に会いに来れる時点でわかってるだろうけどな。

 

「事務所から、一成と別れてほしい、って電話があったわ」

「……またそのハナシか」

「え、ええっと、また、なの?」

 

 おう、千聖と別れろってハナシは一度目じゃねぇ。むしろ定期イベントみてぇなもんだ。一般人、しかもお相手は高校時代に教師として出逢った人物、そんなヤツと同棲してるってんだから、バレた時に世間体が悪いってハナシだ。身勝手で到底納得できる理由じゃねぇって千聖も頑なに拒否し続けてる。でも、なんだって急に。

 

「先日、日菜と彩ちゃん……パスパレの周囲に、どうやら怪しい動きがあったらしいわ。日菜ちゃんが気付いて捕まえたらしいけれど」

「……さすがヒナ」

 

 そういう時は相変わらずホントぶっ飛んでるな。けどその捕まえた相手の素性が、週刊誌の記者だったらしい。そりゃ、確かに事務所も警戒するし、幾らか強引な策ではある気もするが。大人の事情的には煙が立つ前に火元を消しておこうとするだろうな。

 

「ええ、特にその記者はイヴちゃんを含めて全員のスキャンダル写真を持っていたのだから、余計に」

「……手遅れ、だったんだ」

 

 若宮の実際はなにやらファンにいつのもバイト前でばったり出会ってっつうなんだかかわいらしいでっち上げらしいが、それ以外は完全に事実。その中でも特に同棲してるオレと千聖はまずいモンが撮れてるってワケだな。

 別に事務所の規約として恋愛禁止としてるワケじゃねぇけど、アイドルはファンのための偶像、ってのが暗黙の了解で、そんなアイドルが特定の誰かに愛を向けているというのは批判の対象になる。特に今話題で、汚い言い方をすれば稼ぎ頭のアイドルバンドは、できれば地雷源を減らしていきてぇよな。

 そんな大人の事情を察知していると、千聖の顔が険しくなって、周囲の温度が下がった感覚がした。

 

「……ねぇ、一成? どうしてあなたは、そう、納得した顔をしているの?」

「いや、納得はしてねぇよ」

「でも理解はしたのね?」

「そりゃあな……」

 

 笑顔だとか、自分のそのものだとか、そんなカタチにならねぇもんを売ってはいるが結局は利益ありきだろ。そういうのを度外視したバンドならオレや千聖の知り合いに、笑顔そのものを目的とした慈善事業かなにかかと思うのがあんだろ。それとは違うってのも、千聖は理解できてるんじゃねぇのかよ。

 けど、千聖はオレの態度が気に入らなかったようで、下がった温度をいきなり上げてきた。

 

「──ふざけないで!」

「な、ふざけてねぇよ。頭ごなしに否定するのはどっちの特にもならねぇだろ」

「そうやって……っ、そうやって、大人ぶって理解を示すところ! あなたのそういうところが嫌いなのよ! なにもわかってないクセに……」

 

 急激な怒りの感情にアテられて、オレも激情が腹から昇ってくる。さらに最後の一言が、オレに火を点けた。何もわかってねぇって言われるのはムカっとくる。

 そうなると、自分でもこの暴れる感情を制御できぬままに、声を荒げちまう。熱された頭じゃ、上手く考えもまとまらねぇまま。

 

「わかってねぇってなんだよ。なにが、どこでわかってねぇっつうんだよ」

「そ、そういうところよ……一成のその上から目線が、気に入らないのよ。苛立つのよ!」

「はぁ? ガキっぽく泣き喚くお前の目線がどこにあんのか教えてほしいくれぇなんだがな? せめて()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「……っ、すぐそれよ……私だって……わたし、だって……っ、わたしだって、()()()()()()()()()()()()()。バカ……もういい、今日は、もう、帰るわ」

「おい千聖!」

 

 思いっきり扉を開けて走り去る千聖を追いかけようとするが、まって、と結良に後ろから腰を抱き締められる形になってそれ以上進めねぇまま、千聖の後ろ姿を見送るハメになった。

 ──なんだよ、黙ってたと思ったらなんで邪魔すんだよ。そう苛立ちのまま口調を荒げると結良はビクっと怯え交じりではあるが静かにオレに反論を投げてくる。

 

「先生はっ、今ちーちゃん先輩追いかけてあの怒りをなんとかできる言葉、あるの?」

「……ねぇ、けど」

「ねぇのに追いかけるのは、先輩に言われた通りバカだと思うよ。もうちょい冷静になろ、ね? カズくん先生?」

「そのややこしい呼び方はやめろっつったろ」

 

 けど、結良の言う通りだとため息でクールダウンしていく。オレの根本はクズで、そんなクズで流されやすいオレがこれ以上感情的になってちゃ、千聖とは永遠に平行線だ。

 ここは、アイツの言った通りアイツの立場になってやらねぇとダメなんだ。オレは何を怒らせたのか、何がまずかったのか。コレはオレ一人じゃ解決しねぇんだけど、今日は心強い生徒(みかた)がいるから、頼らせてもらうとするか。

 

「なぁ、結良」

「はいはい」

「結良は、千聖の()()ってのはなんだと思う?」

 

 いつもの教える側と教わる側、じゃなくて二人で頭を突き合わせる相談の形式。結良は少しだけ嬉しそうにそうだねぇと虚空に視線を浮かべた。そもそも朝からちょっと様子はおかしかった気がする。だから千聖を天文部誘ったんだけどな。そう考えると今日のハナシから始まったことじゃねぇのか。

 

「ちーちゃん先輩がもういいってなった原因は、きっと蘭ちゃん先輩と、紗夜ちゃん先輩の名前を出したことだよね」

「そう……だな」

「二人とも先生と何かトクベツな関係があったんだよね? ちーちゃん先輩が名前だけで、ああなっちゃうってことは、それなりに」

「……そうだな」

 

 鋭い。結良には黙ってたんだけど、察知されてたのかよ。オレはかつてクズ教師として千聖を始め、複数の生徒と爛れた、カラダの関係を結んでいた。でもそれだけじゃなくてアイツらを愛して、愛された過去があるからこそ今もこうして教師をしていられる。とは言えオレはまだしもオレがアイツらとの関係があったっつうのは、結良がアイツらを見る目まで変えちまいかねねぇからな、その辺は黙ってた。いや別に結良を信用してねぇとかじゃなくてただ、それを他人に言いふらすのは良くねぇことだと思ったってことだ。

 

「そっか」

「悪いな、変なこと言って」

「ううん、じゃあさ。最近ちーちゃん先輩と、シてます?」

「……なんだよ急に」

「いいから」

 

 なんだってお前にそんなこと訊かれなきゃいけねぇんだよ、とは思ったけどそれが今回の解決に役立つってんなら、オレも生徒に対してそんなことを応えるっつう恥は、捨てるとする。

 最近、最近ってか直近だろ? 最後にヤったのいつだったっけか。あ、やべ、思い出せねぇくれぇ前だ。その後にもあっただろうけどクリスマス前くれぇだな。

 

「そんなに、なの? 倦怠期?」

「休みが合わなかったんだよ、特に芸能人は年末年始ってのが忙しい職だしな」

「でもそれで、その間に一度紗夜ちゃん先輩と会ってるよね?」

「会ってるな」

「……関係ないと思う?」

「思わねぇ」

 

 あの時は結良には声を掛けていかなかったのに良くご存じで。つか流石にもう前のような関係はねぇけど、紗夜が報告に来てくれたから屋上で話して、そのまま送ってったことを、お前は知ってるんだったな。

 何もなかったとは言わねぇ。最後ですからと別れ際にキスをされたしな。んで更に、紗夜は微笑みながら、今のカレを追いかけているのも充実しています。けれど、やっぱりあなたを好きでいたあの頃が一番、充実してたわとまで言われて揺らいだのも事実だ。それを、千聖は見抜いてたのかもな。

 

「カズくんは流されやすいクズだから気をつけて見ててあげないとってこれはヒナちゃん先輩から」

「それに反論する言葉は持ってねぇな」

「そもそもさ、先生は、なんでちーちゃん先輩を選んだの?」

 

 千聖を選んだ理由、それはあの三角関係に苦しむ千聖だけはオレ以外に拠り所がねぇと思ったからだ。ヒナや蘭、モカ、紗夜も根っこはめちゃくちゃ強いヤツだ。オレに依存しなくてもちゃんと自分の幸せを掴めるヤツらだったから。だけど千聖は元カレの、今は丸山のカレシでもあるマネージャーと丸山との関係に挟まれてボロボロになってた。

 だけどそれをなんとかしねぇと、と考えてる時に知り合いの弟に舞台裏で活躍してる、めちゃくちゃ性格がイケメンでカッコいいクセに裏表のねぇっつう、当時カノジョと別れたばっかの優良物件と飲む機会があった。

 

「これは運命と捉えるべきか、否か」

「なんの話ですか?」

「いや、コッチに優良、かはどうかは各自の判別に従うとして、顔と一部の中身だけはめちゃくちゃにいい女がちょうど傷心なんだよ」

「えっと? それをボクに紹介ってことですか?」

「いや、お前は近いうちにソイツに会うから……そうだな」

 

 丁度顔を合わせるってハナシだったから任せる、いや押し付けようとした。けどなにかが引っかかったんだ。そうじゃねぇだろって、声が聞こえた気がした。だから、傷心の男に傷心の女を引き合わせて恋をさせるのとは違う選択をした。

 

「ソイツの()()()()()()()()()()? 不審がるようだったらオレの名前を出してもいい。お前も傷心のとこ悪いけど、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。頼まれてくれねぇか?」

「ええもちろんです。清瀬さんには元カノ(あのこ)も紹介してくれた恩がありますから」

 

 ストンと腑に落ちた。オレは、()()()()()なんとかしてやりてぇ。アイツの肩に乗ってる重荷はオレの荷物でもあるって思った。傍にいて、愛して、たった一人として選んでやりてぇって考えることができたんだ。

 

「ねぇ、それって……一回でもちーちゃん先輩に伝えた?」

「そりゃ……言葉にはしてねぇな」

「ダメだよ。言葉にしなくても伝わる、なんて……そんなの、言葉にして伝えあったから、できることなんだよ?」

 

 結良の言う通りだ。オレは告白して付き合って同棲して、ってそれだけのことで以来どんどん落ち着きを取り戻していく千聖に、安心しきってたのかもしれねぇ。

 信頼していた相手が突如いなくなるっつう痛みを、オレも千聖も経験してるっつうのに、そんなことを忘れてオレは千聖を蔑ろにしてたんだ。

 アイツはどこかで怯えてるんだ。オレが紗夜や蘭を選んで、どっかに行っちまうんじゃねぇかって。オレがアイツらに感じた恐怖そのものでもあるあの気持ちを。それが今回最悪のタイミングが重なって表に出てきただけだ。

 

「確かにこれはわかってねぇな。なにもわかってねぇクセに、オレは千聖の気持ちじゃなくて、事務所の都合に理解を示しちまった」

「うん。それはちーちゃん先輩にとって、裏切りだよ。まるで、じゃあ別れようか、って言われると思っちゃうよ」

「──ヒドイ男だな、オレって」

「すごくヒドイ。流石クズ教師、だね」

 

 謎は解けたってとこだな。これなら千聖を追いかけれるけどまだ問題として、あのオヒメサマ(まおう)はどこにいったのか。帰るっつってたけど、オレがいる以上、家はねぇんだよな。すると実家の方か。それとも別のどっかで途方に暮れてるのか。

 

「きっと、ちーちゃん先輩は思い出に浸ってると思うよ。ほら、どっか思い出の場所とかないの?」

「思い出の場所……か」

 

 すると幾つか思い浮かぶな。その中でも、千聖が優しさを求めてるってんなら、場所はきっと、あそこだろ。()()()()()()()()()()()()()()

 頼りになる生徒に、サンキュ、とひとまずの感謝の言葉を述べて、オレは千聖を迎えに行くことにした。

 

 

 ……後編に続く。

 




というわけで後編に続きます。文の量がおかしい。
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