【完結】【自己ベスト記録】過ぎ去りし時を求めてSS~聖竜の勇者ルートRTA:24時間31分44秒22 作:ryure
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死屍累々なRTA 勝てばよかろうなのだ
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ドラクエ11SS/聖竜の勇者ルート/縛りなしRTA
難関と名高いデスコピオンやアラクラトロに限らず、低レベルボス攻略は全般的につらい聖竜の勇者ルートRTA、続きをやっていきましょう。
今作のボスはちっとも正面突破させてくれない。
11のボス戦はデバフ祭りだ、お祈りを制するものから完走していく……という先人走者の格言があるくらいですよね。
年々進化していくドラクエの戦略の幅。
私たちを楽しませてくれるドラクエの戦闘の自由度はどんどん広がっていき……つまり、悪いところを見ればデバフの種類が増えていくわけですね。
それもこれもお祈りパワーが足りていれば何とかなります。
こちらpray動画となっております。
手強いボスたちの打ってくるいやらしい妨害工作に負けじとデバフ対抗策を一生懸命考え、各種耐性アクセサリーを人数分揃えた視聴者の方々も多かったのではないでしょうか。
特に混乱と休み、眠り、「マホトーン」は鬼門ですよね。
本走でまともな対策をするのは「マホトーン」のみとなりますが、お祈りの力が必要になるので皆さんはちゃんと対策してくださいね!
(総試行回数54敗からのお願い)
(ボス全滅は当然のリセット)
(デルカダール三等兵戦の会心ガチャは数に含んでいません)
さてアラクラトロ戦開幕、最も素早さの高いカミュが先制して暗黒陣を決めてくれましたが、そのまま集中攻撃に沈んでいきました。
見ようによっては後衛の被弾を二回も代わりに受けてくれたということで流石は公式イケメンですね。
完璧な仕事人と言えるでしょう。
それでは死体をシルビア姐さんと入れ替えます。
この戦闘のコマンドの基本はシルビア→ぼうぎょ、ベロニカ→ぼうぎょ、セーニャ→ぼうぎょ、アイくん→「ドルクマ」です。
回復の必要が出てきたらセーニャは回復のために防御姿勢を解除しても良いですが、HPが減っているのがシルビア、ベロニカだけの場合は見捨てましょう。
自分で「やくそう」を使っても良いですが、シルビアはともかく低耐久のベロニカは何をやっても追撃を食らえば簡単に落ちます。
削りきるまでの四ターン、何がなんでもアイくんを生存させることこそが勝利の鍵です。
カミュのように良い肉壁となってくれることに期待します。
特殊バフ「仄暗き闇の計略」の効果で「ドルクマ」を打つとあやしげな紫色に目が光り、暴走すると画面に黒い霧のようなものが出現するのですが(効果は特にないので演出ですが)、なんだかアイくんだけ闇堕ちした敵キャラに見えてきますね……。
アイくん自体も他のキャラクターの最上位呪文の詠唱のように(「メラガイアー」とか「マヒャデドス」とか)ドルマ系だけ呪文モーションが違うなど非常に凝っています。
それから、他のキャラクターはわりと自信満々に呪文や特技を披露してくれますが、戦闘中のアイくんは無表情・無感動・淡々と殺戮あるのみといった様相で容赦なく攻撃を叩き込んでいる印象です。
こんなアイくんを見たらそりゃ勇者は「悪魔の子」なんだ! とか言われますよね。(本チャートでは言われませんが)
さて二ターン目、防御も虚しくベロニカ死亡。
しかし起こしません。
貴重な「せかいじゅのは」を持たせているシルビア、セーニャがそれを使用できるのはアイくん死亡時か、あまりにも早くセーニャが死んだ時だけです。
RTA走者としての自覚があるアイくんは最後尾で未だ無傷で「ドルクマ」を叩き込んでいます。
そのまま頼みますよ。
カミュの無念のこもった暗黒陣も無事アラクラトロに大ダメージを与えていますし、調子最高ですね!
……よし!
三ターン目、アイくんいまだ無傷です!
シルビアも瀕死とはいえ生きていますから一撃受けられますし、ここまできて最後尾のアイくんに攻撃が集中なんてしませんよね!
四ターン目の一撃は……単体攻撃、それもセーニャ!
これは勝ちましたね!
二発目は……おっと全体攻撃!
綺麗にシルビアもセーニャも死んだ!
でも、アイくんは生きています!
追加効果の混乱も「仄暗き闇の計略」が弾きます!
トドメの「ドルクマ」が決まった!
あぁなんて素晴らしい、この好タイムでアラクラトロ戦勇者生存なんて。
経験値おいしい!
レベルアップのファンファーレが嬉しいですね!
小さな喜びのポーズをキメるアイくんの周りは見事なまでの死屍累々ですが、このあとイベントなのでご都合主義的に全員自動蘇生されます。
「アイ、もう奴は動けないぞ? 何? まだ生きている? 確かにそれは危ないな……おい、アイ?」
倒した後なのに執拗に呪文を唱え続けていたアイくんが剣を抜きました。
この世から根絶してやると言わんばかりの鬼気迫る様相で藻掻くアラクラトロを突き刺すと、とうとう大蜘蛛の体が闇に解けるように消えていき、ようやくアイくんが戦闘の時の無表情から仲間たちの前や兵士イベント時のような人懐っこい微笑みを浮かべました。
その場面で笑うとかむしろサイコパスさを感じたのは私だけでしょうか。
流石闇の勇者アイくんです。
その後、救出した唯一の生存者に肩を貸しながら、生存者の隣の繭で干からびていたらしい遺体を一行は運んでいきました。
悪事がバレたことも知らずに闘技場でのうのうと戦っているハンフリーを断罪するためですね。
生存者のモブはかなり弱っていますが、自分たちをとんでもない目にあわせたハンフリーへの恨み満点、絶体絶命のピンチを救ってくれたアイくんたちへの感謝充足といったところ。
体を回復させるために休んだ方がいいとセーニャに諭されながらも更に他の犠牲者が出る前にどうしてもハンフリーと対面し、罪を暴いてやりたいとごねたのでアイくんが肩を貸して闘技場まで行くようです。
さて、この後はハンフリー断罪ムービーですがスキップします。
チャンピオンへの私怨の可能性がある証人はともかく、証拠の遺体があまりにも衝撃的で試合を止める騒ぎになります。
如何にも「もがき苦しんで死んだミイラ」という感じの、水分も生気も魔力も全て吸い尽くされた遺体は本作のレーティングCギリギリといったところでしょうか。
もちろん聖竜の勇者ルートの入っていない通常版ドラクエ11SSはいつも通りのレーティングAです。
昔から、ドラクエのストーリーや描写は文面やドット絵、魅力的なキャラクターや時折混じる軽いノリに誤魔化されていただけでエグい・暗い・鬱い・王道ダークファンタジーではありましたから、描写の緻密さによるレーティングの上昇は最新ハードの面目躍如といったところでしょう。
ムービーのあとの会話でほとんどムービーの内容が補完されます。
「ハンフリー……オレたちグロッタの外から来た闘士をあの化け物に餌として与え、命を吸い取らせていたんだろう? どうせそのおこぼれでお前はチャンピオンになり続けただけだ。怪しげな薬をよく飲んでいたじゃないか。言い訳なんてさせねぇ! オレは糸の中で力を吸い取られていた感覚が未だに消えねえんだよ! 地下にはそこの遺体以外にも大量の遺体やら防具の残骸があったしな、行方不明になった闘士の身元と溶けなかった防具でも照らし合わせてみれば簡単に誰かわかるだろうよ」
「ふむ。この事件、町長の要請を受け、このロウがあとを引き継ごうぞ。そこな者はゆっくりと身体を休めるべきじゃの。何、回復してからでも問題なかろう? もはや逃げることは出来まい」
ということで、今度は証拠をさらに集めるためにロウとマルティナをNPCに加え、血気盛んな闘士たちを引き連れてもう一度グロッタ地下遺構のボスエリアへ向かいます。ボス戦もないので移動は八倍速。今度はガバりません。
ボスエリアでロウが付近を調査し、一行は大量の遺体を発見。
もちろん場所が孤児院の地下から入れること、明らかにハンフリーが入口を隠していたことも明白に分かります。
その後強制的に闘技場へ移動。
闘士たちに身柄を拘束されたハンフリーの前に、地下遺構で発見された遺体の山と孤児院から押収されたドーピング剤が並べられ、さらに地下遺構でも同じビンを発見され、公開処刑の形で裁かれています。
孤児院の子どもたちは最初、優しいハンフリーの姿しか知らないこともあって何かの間違いだと抗議していますが、次々と闘士たちによって運び出されてくる遺体の山が、それも慣れ親しんだ孤児院の地下室からぞくぞくと出てくることに何も言えなくなってしまいます。
心優しく圧倒的に強いチャンピオンハンフリーを慕っていた町の住民たちも最初はハンフリーを庇う声をはりあげていましたが、防具や服など、アラクラトロに消化されなかったもので遺体の身元が判明すると、その持ち主がファンだった闘士だったり知り合いだったりするわけで、次第に怨嗟の声は大きくなり。
ハンフリーは彼らの嘆きを無表情に眺めていますが、とうとう孤児院の子どもたちが泣き出すと流石にうつむいてしまいました。
正直なところ、グロッタの仮面武道大会不参加ルートは若干胸糞であります。
特に「聖竜の勇者ルート」をプレイできる人間はすなわち通常ルート(大樹の勇者ルート)をクリアしているので更生するハンフリーの姿を見ていますし、ハンフリーが根っからの悪人ではないことも、経営が立ち行かない孤児院を救うため、子どもたちを飢えさせないために本気で頑張って戦ったものの、なんともならず、結果としてアラクラトロの甘言に乗ってしまうという話の流れを知っていますから。
しかしアイくんもそれは同じ。
既視感持ちのカミュたちの仲間会話から前回大会に参加したのは分かるのです。
それでもアイくんはハンフリーを断罪したということは……推測として、アラクラトロをそうまでしてもこの時点でトドメを刺さなくてはならない理由があったという推測もできます。
最序盤の回想シーンの世界崩壊後グロッタが要塞都市なのにも関わらず、「大樹の勇者ルート」のように妖魔軍王ブギーに支配される間なく見るも無残な廃墟になってしまった理由であるとストーリー考察勢は想像していますね。
どっちにしろ孤児院は滅んだわけです。
廃墟を照らす毒々しいネオンと不釣り合いなカジノの建物はムービーでの登場は一瞬でしたが異様な光景でしたし。
さて、根っからの悪人ではないゆえに否認しきることもできなかったハンフリーが子どもたちの涙に押され、罪悪感を煽られる形で罪を認め、ヒートアップした周囲は声高に彼の処刑を望みました。
生存した被害者はアイくんたちのことをものすごく感謝尊敬しているので是非ともこの魔物に魂を売った男を処刑してくれと頼んできます。
この世界、汚染された大樹による闇の加護と魔物の蔓延り方が尋常ではないせいでイシの村やデルカダール・サマディー・クレイモランの富裕層(および王族や統制された兵士たちなど)以外の倫理観は世紀末気味でして、処刑とか私刑とか本当に大好きです。
被害者の男は善意百パーセントで楽しくてたまらないはずの私刑を恩人に譲ってくれているのですね。
もちろん薬を失ったとはいえチャンピオンだった男にあの蜘蛛を倒したアイくんなら勝てそうだから、というのもあるのでしょうが。
周りのシュプレヒコールも殺せ! 殺せ! 殺せ! と盛大ですし、まとめて殴れ! とか 囲んで殺せ! とか苦しませて殺せ! とかもあります。
しかしアイくんは思うところがあるので一対一で戦うことにします。
タイムが伸びるのでリンチさせて欲しいのですが
それではイベント戦闘・ハンフリー戦です。
ハンフリーは薬がないので激弱で、反撃もほとんどミスするほど。「ドルクマ」を三回叩き込めば倒れます。以上です。
チャンピオンの見る影もなく、あっさりとやられてぐったりと倒れたハンフリー。
狂った観客たちのトドメを差せ! 殺せ! 殺せ! という声を受けているアイくんですが、流石に勇者の上にお人好しの村出身のアイくん、殺しはしません。
代わりに暗黒勇者のアイくん、ハンフリーの右腕を思いっきり蹴っ飛ばしてへし折ると攻撃するのをやめました。
ハンフリーは痛みに悶絶していますが、殺されなかったことに驚いてもいます。
「もはや闘士として戦うことが出来なくなった元チャンピオンは死んだも同然……そういうことなのじゃな? アイ」
アイくんが頷きました。
強者イコール尊敬の的。
不正をしていたとはいえハンフリーは長らくチャンピオンだったわけなので、そんなハンフリーをあっさり倒したアイくんのヒエラルキーは相当上になりました。
ですから異論を唱えるものはいません。
一件落着、となりました。
アイくん(たち)がアラクラトロを倒し、ハンフリーを私刑した報酬としてさらに「真闇のきれはし」を貰います。
このあとその辺の人間に話しかけるとまるでデルカダールのグレイグ将軍のように強くて慈悲深いんだな、もしかしてかの有名なデルカダール兵をやってなかったか? とか言われます。
ものすごく褒めているだけのつもりだと思いますが、結果としていつまで経ってもアイくんを捕捉できないデルカダール勢より勘のいいモブですよね。
ハンフリーは罰として、折られた腕などの傷の手当を受けることが出来ず、さらに無給無休で孤児院の子どもたちを育てる役目を与えられ、資金不足が彼の凶行を煽ったとして多少の援助が町長からなされることになるのでハンフリー再起不能以外は割とハッピーエンドに終わるんですけどね。
「優しくて強いお兄ちゃん」の暗黒面と沢山の死体を見た子どもたちのトラウマは残りますが……しかしNPCの話を聞くに、資金援助は足りていないのでそれなりの困窮はするようで、孤児院の終焉も時間の問題に思えます。
イベント後、町から出ようとするとロウ・マルティナに呼び止められ、繰り上がり優勝した二人が準優勝賞品の「イエローオーブ」を入手したこと、アイくんにユグノア城跡にぜひ来て欲しい、話したいことがある、ここでは人に聞かれる可能性があるからと言われます。
話すだけ話して別行動をしようとするロウたちですが、アイくんがロウを見る目を見て考えを変え、この時点でパーティに仮加入します(NPCで戦闘に参加します)。
そして一行はユグノア城跡へ向かうことに。
ちなみにこのルートでは「エレノアの手紙」、「翡翠の首飾り」を入手していないので仲間たちはアイくんが亡国ユグノアの王子であることは知りません。
勇者であることはもちろん知っているので双賢あたりはアイくんがユグノア縁者ということくらいは推測しているかもしれませんが。
アイくん、仲間と仲が良さそうですが、そこまで話していないのか、証拠がないから黙っていたのか、以前は知っていたから話すのを忘れていたのか、重要な事だとは思っていなかったのか。
謎ですね。
「ルーラ」でネルセンの宿屋まで飛び、そこから白いお馬さんでユグノアまで駆け抜けていきます。移動はいつもの八倍速でお送りします。
レベリングの関係上、ロウ・マルティナが正式加入してからの方が効率がいいので道中、雑魚はしっかり避けていきます。
移動中……
〜本日の酔い止めは「やくそう」のアイコン〜
ユグノア城跡に着いたところで今回はここまで。
ご視聴、ありがとうございました。
バキッ、と骨の折れるみごとな音が静まり返る闘技場に響いた。
鋭い蹴りに骨の折られた痛みにのたうち回るチャンピオン……いや、極悪非道のハンフリー。
ちらりとぽっきりと折った腕を見、攻撃するのをやめたらしい少年は剣を納めた。
「利き腕を折られた闘士に価値はありますか? 大罪を犯した彼の腕をきちんと治療する人はいますか? ……そんな、無価値になった彼を、僕が殺す意味はありますか?」
こちらを射抜くのは暗い紫の目。
闘技場に響く、声変わり前の少年の声。
地の底の大蜘蛛を倒し、ハンフリーの罪を暴いた少年。彼には人を惹きつける何かがあった。
カリスマというのだろうか。
それとも、圧倒的なチカラに対する畏怖というべきなのだろうか。
視線が吸い寄せられる。
しかし決して近づきたくはない。
彼の横に平然と立っている彼の仲間たちは慣れているのか、それとも鈍感なのか?
彼は正義の行いを為したが、何故だろう。
彼を見ていると心臓を鷲掴みにされているような、背筋が寒々とするような闇の気配を感じた。
たしかに彼は闇の魔法を使っていたが、そんなものじゃない。
どう見ても格上の魔物に対峙したような……ひとりぼっちの夜に複数犯の野盗の物音を聞いているような……そんなひどい絶望の匂いがする。
恐ろしいのに目を離せない。
「もはや闘士として戦うことが出来なくなった元チャンピオンは死んだも同然……そういうことなのじゃな? アイ」
「ええ。
観客の皆さん、いいですか? 皆さんは彼を殺せと言いましたね。僕はね、たくさんの人間を殺した大蜘蛛を殺す意味はあると思ったから殺しました。これ以上の被害者が出るのは良くないし、あんなのが町の地下にいるなんてゾッとするでしょう? だから殺しました。トドメもしっかり刺しておきました。二度と甦らないように、何があっても闇から再び現れることのないように念入りにね。
でもね、僕は張りぼての名声を失い、利き腕を失い、薬を失い、何もかも無価値になったみじめな男を殺す意味なんてないと思うんですよ。彼がやるべきことはほかにありますしね。
死んで償え、という意見はあるでしょうが、あんなに殺したのにたった一度死ぬだけで許していいんですか? 搾り取れるだけ尊厳を搾り取り、むしれるだけ労働力をむしりとり、その矜持をはずかしめるだけはずかしめた方が生産的ではありませんか? ね、よく考えてみてくださいよ。こんなに殺したのにたったー度死んだだけで許していいはず、ないでしょう?」
少年の暗い目がハンフリーを射抜いた。
憐れむような目だった。
「きっと、反省ならいらないです。あなた、悪い人ですけど……これまで罪悪感がないわけじゃなかったでしょう? だって子どもにあんなに優しかったですし、旅人の僕にも親切でしたし、人格者でもありましたよね。名声が欲しくてやったんじゃないでしょう? どうしても孤児院のためにお金が欲しくて、それでやったんでしょう?
ねえ、これから石を投げられてください? これから罵声をあびせられてください? これから永遠にタダ働きしてください? でも死んじゃダメですよ。死んだら、他人を殺してまで守りたかった孤児院なんて簡単に吹き飛んでしまいますからね。
あなたは尊厳を奪われ、死ぬ間際まで働かされながら、子どもたちに白い目で見られながら生き続けるんですよ。孤児院を今度こそ、泥臭く守るんですよ。今度こそ、ね。許されることのない罪を背負いながら……それこそが罰なんですから。
だからね、観客の皆さん。彼を蔑んでも殺しちゃダメですよ。一度死んだくらいで償える罪ではないんですから、彼を殺すなんて良くありません。生きて償わせるべきです、死ぬのは一度しかできないんですから」
何故か、少年の言葉は懺悔に聞こえた。
怯えを隠そうともしない審判が謝礼にと差し出した大会の優勝賞品だった黒い枝を受け取った彼が仲間を連れて静かに去っていくのを、黙って見送った。
……ハンフリーはいつの間にかすすり泣いていて、孤児院の子どもたちに詫び続けていた。
暗く、冷たいところで助けもなく。
魔物に蹂躙され、干からびて、もがき苦しんで死んでいった、行方知らずになっていた友人は、二度と帰ってこない……。
だけど、この憎しみに任せてハンフリーを殺してはならない。
ハンフリーが死んでも友人は帰ってこないし、たった一度死んだくらいで償えることではない。
グロッタの住民も、外からやってきた観客も、ライバルを失った闘士たちも。
きっとあの闇色を纏う少年の言葉が忘れられなくて、だからこんな極悪人なのに、ハンフリーは殺されることはなかった。
ハンフリーは利き腕を折られ、魔物の薬でボロボロになった体に鞭打って必死に働いた。
彼はなんでもやった。
下働きでも、人が嫌がる仕事でも、無理に力仕事をしてボロボロになった体に鞭打つ結果になっても。
それでも許されることはなかったし、被害者の遺族なんかは会う度に罵声を浴びせたものだ。
だが、ハンフリーはずっと真面目に働いた。
逃げ出さなかったし、孤児院の子どもたちへすべてを捧げるのは以前と変わらなかった。
うつむいて、歯を食いしばって、だが、彼は逃げなかった。
死んでしまった友人を思いながら。
何があっても友人は帰ってこない。
ハンフリーは償い続ける。
時に石を投げられ、血を流しても、彼は逃げずに償った。
いつしか孤児院の子どもたちは大きくなり、あのハンフリーの背中を見て育った彼らは孤児院に寄付金を少しずつ入れていく。
決してハンフリーは許されなかったが、ハンフリーは逃げなかった。
逃げなかったハンフリーが手に入れたのは、たったひとりが頑張らなくても経営できる慎ましい孤児院と、黙ってハンフリーに頭を下げて巣立っていく、立派になった子どもたちの姿だった。
ハンフリーは決して許されなかったが、友人は決して帰ってこなかったが。
たしかにハンフリーは罪を償い、あの時ハンフリーを殺してしまわなくてよかった、とグロッタの住民は思っている。
死ぬのは一度しかできない。
一度死んだくらいで償える罪ではないのだから。
グロッタの町から去る時、あまりの皮肉さに笑ってしまった。
「まるで自問自答じゃないか」
「あら、アイちゃん何か言った?」
「ううん、なんでもないよシルビア」
あどけなく笑え。
何も知らない無垢な子どものように。
この罪は僕のものなんだから。
決して悟られてはいけないのだ。
優しい仲間たちはきっと、一緒に背負おうと言ってしまうから。
どこ好き?
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RTA部分:数値付き解説
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RTA部分:ストーリー解説
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RTA部分:走者の他作語り
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小説部分:アイ視点
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小説部分:カミュ視点
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小説部分:セーニャ視点
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小説部分:マルティナ視点
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小説部分:ロウ視点
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小説部分:シルビア視点
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小説部分:グレイグ視点
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小説部分:ホメロス視点
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小説部分:その他視点
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全般:再構成ストーリー
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全般:原作死亡キャラ生存
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