【完結】【自己ベスト記録】過ぎ去りし時を求めてSS~聖竜の勇者ルートRTA:24時間31分44秒22   作:ryure

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Part12 魔道士ウルノーガ戦〜デルカダール城

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魔王討伐RTA

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ドラクエ11SS/聖竜の勇者ルート/縛りなしRTA


それでは魔導士ウルノーガ戦(HP約2500)開幕です。

 

開幕早速特殊バフ「運命に抗う者」の効果でカミュにゾーンが入りました。

すかさず連携の「暗黒陣」を敷いておきます。

スリップダメージ&闇耐性減少の抱き合わせは最高です。

 

この戦いでの主な動きは、

・アイくん→「ゾーン必中」からの「オーバーロード」を入れて魔法攻撃力がかなり上がった状態で「ドルクマ」を連打。「魔力かくせい」が切れたり「いてつくはどう」を受けたりしたら再び「ゾーン必中」→「オーバーロード」→「ドルクマ」の繰り返し。「マホステ」されたらぼうぎょで壁役へ。

 

・シルビア→「ハッスルダンス」で回復係、回復する時以外はぼうぎょ、グレイグが「におうだち」している場合は適当に殴ります。

 

・カミュ→ゾーンに入ったら「暗黒陣」、以降もうどく狙いで「ヴァイパーファング」、もうどくが入ったらぼうぎょ。

 

・セーニャ→回復係、出番以外は基本的にはぼうぎょ。暇ならスクルトを打ちたいところですが相手は残念なことに「いてつくはどう」持ちです。

 

死んでしまった仲間は基本的に蘇生し、セーニャが落ちた場合は出来る限り「せかいじゅの葉」で迅速確実に蘇生します。

ザオラルは信用しません。

 

回復不可状態付与の「冥界の霧」がきたらグレイグが「におうだち」してくれていない限りは全員ぼうぎょしてしのぎます。

なお、アイくんにかかっている「???の加護(呪)」は「冥界の霧」効果中はなぜかリジェネ回復に効果が反転します。

ちなみにどんな状況でも「???の加護(呪)」のスリップダメージでは死にません。

それで死んでいてはせっかくの「仄暗き決意の証」の「女神の祝福」で生き残っても次のターンで落ちてしまうのでほぼ意味を成しませんしね……。

 

グレイグがなかなか「におうだち」してくれないのでシルビアちゃんのハッスルハッスル〜♪ が止まらないのですが、その間にホメロスが「ディバインスペル」を二回も入れてくれました。

有能ですね。

グレイグの攻撃は「魔力かくせい」状態のアイくんの足元にも及ばない数値しかでていないんで早く盾になってください!

またか弱いカミュが死ぬ前に!

「冥界の霧」が来てしまいました。

あ、このタイミングで「におうだち」してくれるんですか?

なんて有能な将軍なんだろうか……これを待っていましたよ!(手のひらドリル)

 

見てください、この連携力。

アイくんとホメロスの共闘はここでしか見られないだけでなく、この戦闘専用と化した「オーバーロード」はまさしく息ぴったり。

並び立っているアイくんとホメロスが同じ動きで集中し、まったく同じ動きで呪文を放つのは壮観なんですよ。

連携はボタン長押しでスキップできるので全カットしますが、皆さんのために……ではなく私のために右の方で流しておきますね。

注目すべきは攻撃のあと。

ムービーフェードアウト寸前にホメロスがやったぜ! といわんばかりに小さくポーズしているんですよね。(アイくんの方は完全に無反応です)

「大樹の勇者ルート」(過ぎ去りし時を求めた直後)や「聖竜の勇者ルート」でのホメロス闇堕ちルートではもうこの段階でホメロスは死亡しているので、完全に明暗が分かれたなあという印象です。

私は大樹で無念に何も語らず死んでいったホメロスも、天空魔城で本心を語って死んでいったホメロスも、死後にグレイグと決着をつけたホメロスも、このウッキウキのホメロスも好きです。

ホメロスに限らず本作キャラクターが良すぎるのです。

全員結婚してほしいです。(アイくんと)

残念ながら二度目のリメイクでもハーレムエンドは来なかったのですがそれでも……!

 

それはさておき戦闘の方ですが、なんだかんだと六人がかりで戦っており、さらにウルノーガは全体攻撃の手段が「ぶきみな呪文」による杖召喚……の杖が唱える「イオラ」しかありません。

二回行動とはいえ、グレイグという肉壁もありますから、「冥界の霧」さえ来なければ袋叩きにされて死んでしまうということもなく。

もちろんウルノーガが唱えてくる「ドルモーア」は通常威力が120ダメージほどなのにフィールドボーナスで145くらいのダメージになってかっ飛んでくるのでものすごく痛いのですが、連続ドルモーアの上に同じ人間に当たるなんてことは滅多にありません。アイくんなら約70ダメージで済みますしね。

一定の耐久力こそ重要ですが、焦らずに殴れば低レベルでも大丈夫なのです。

大丈夫なのです。

「冥界の霧」発動時に事故さえ起こらなければ。(八敗)

 

まぁRTAなのでタイムに焦らなくてはなりませんが。

魔道士ウルノーガの名前がオレンジ色の瀕死ラインになったところで回復の手が空いたシルビアによる「バイシオン」を二回カミュにかけ、カミュは「タナトスハント」。

以降「ヴァイパーファング」→「タナトスハント」を繰り返して少しでも削っていきます。

推奨レベルから考えればかなり攻撃力は低めですが、それでもバイキルト状態に約6.2倍特攻はかなりのダメージになります。

 

トドメの「オーバーロード」が決まりました。

(MP消費がない上に連射性が良すぎるからかダメージ自体はやや控えめになっており、デルカダール城で300-350ダメージ、闇の大樹だと360-420ダメージくらいです)

勝利時点での死者はなし。

経験値おいしいです。

このグレイグにも入ったらいいんですけどね!

敵だったキャラクターが仲間になったら弱体する法則に従って、この後加入するグレイグもしっかり「におうだち」を忘却するのはなんでなんですか!

セーニャに盾おじさまと呼ばれているんだから肉壁になってくださいよ!

 

「……さすがは聖竜に選ばれし勇者か……だが、過ぎ去りし時を遡ってきたのがお前だけだと思うな……その闇はいつかお前を破滅へ導くのだから……」

 

捨て台詞を吐いて消えていくウルノーガ。

顔色一つ変えずにアイくんは死体蹴りに追加で斬りました。

霞のようなウルノーガもたまらず霧散し、そこには気絶したモーゼフ王だけがいました。

アイくんは仲間に声をかけることなく大樹のチカラの源に向き直ると紋章をかざしました。

ツタがひき、アイくんが迎え入れられます。

そして今度こそ「勇者のつるぎ」をつかみ、抜き放ちました。

さらに大樹から降り注いだ紫の光がアイくんを包み、「ドルモーア」をイベント習得しました。(条件:「ライデイン」習得、「勇者のつるぎ」入手)

 

「とりあえず、これでいいんだよな? 一件落着、か? どっちにしろ……ここにいても仕方ねえ。とりあえず王サマ回収して地上に降りようぜ」

「そうじゃの。姫もアイも積もる話があることじゃろう」

 

というわけでデルカダール城に強制移動となります。

「大樹の勇者ルート」のように目撃者がいっぱいいるわけではないですが、グレイグ・ホメロス・モーゼフ王・マルティナ・ロウ・アイくんの証言があるので問題なくアイくんが勇者であることやモーゼフ王がこれまで操られていたこと、勇者すなわち悪魔の子というのは十四年前ユグノアを滅ぼしたウルノーガによる作戦であったことなど信じてもらえます。

一見問題なく大国の君主していたウルノーガですが、兵士の間で汚職が横行しかけていたり(一部の兵士が賄賂を受け取っていたり)、魔物が地下に住み着いていたり、下層と上層の格差が著しく広がっていたりとやはり普通ではない状況になっています。

グレイグとホメロス両方が真面目に将軍やっていても悪の親玉が存在すると組織が腐ってしまうんですね。

ウルノーガとしては心の闇を利用して闇へと誘い、第二のホメロス(堕とせなかったホメロスの代わり)を狙ったのかもしれないですが、二人の将軍が目を光らせている中ですし、そもそもホメロス並みの才覚持ちは手に入らなかったのかもしれないですね。

 

ともあれ、あらゆることは翌日モーゼフ王が目覚めてからということになり、アイくんや仲間たちはデルカダール城に泊まることになりました。

アイくんは別行動で懐かしい(リアルタイムでももう十時間以上前ですね)兵舎で泊まることに。

兵舎にいるアイくん、なんだか「海と空と大地と呪われし姫君」のエンディングシーンの主人公みたいですね。

服の裾もおなじくヒラヒラしています。

とはいえ今晩カミュが兵舎に来てくれはしません。

操作が可能になったら、横の兵士に話しかけます。

 

「アイ、元気だったか? 心配していたんだぞ。

なんか大人になったなぁ、あんなに小さかったのに。え? そんなに身長は伸びてない? そうなのか? なんだか大きくなったように見えるぞ。どことなく風格っていうか……」

 

続いてベッドに腰かけている兵士に話しかけます。

 

「おかえりアイ。今日は早めにゆっくり寝て、また明日いろいろ話そうな。下手に夜更かしするとホメロスさまがラリホーしてくるからな! だからうちの隊に寝不足のやつなんていないんだ、知っているだろう?」

 

これで入口の兵士が外に出してくれるようになります。

入口近くにいる兵士に話しかけます。

 

「今日は早く寝ろって。……ん? 寝る前にホメロスさまのところに行きたい? あー、……あー、たしかに毎晩行っていたなお前。よし、見なかったことにしてやるからすぐに帰ってくるんだぞ。多分お前なら問答無用に叩き出されたりしないだろ」

 

この時のホメロスは以前のようにランダム出現ではなく、確定で自室にいます。

〜移動は八倍速〜

 

着きました。

扉をノックするとホメロスが出てきて眉をひそめました。

 

「アイ、今日は早く休むように。……、……分かった、少しだけだぞ」

 

ちなみに間違えてグレイグの部屋をノックすると問答無用で小脇に抱えられて兵舎に連行され、ベッドにポイされます。

ホメロスと話すまで翌日にならないので間違えないようにします。

 

「久しぶりだな。こうして話すのは……今は怪我をしていないな?」

 

アイくんは頷き、ホメロスを見上げていました。

何を話すわけでもなく見上げるアイくんは何かを探るようでしたが、しばらくして目を逸らしました。

 

「私が真に正義の人だと? それはそうだろう。私はデルカダール兵の半分を預かっているのだからな。アイ、お前も……私たちに話してはくれなかったが、正義を為していた、そうだろう? お前が正直に話していれば……ウルノーガに騙されていた私たちは悪魔の子としてお前を捕えただろう。いくらかすれ違いはあったがお前は正しかった」

 

少し話したあと、アイくんは部屋の外に出されました。

早寝早起きをやたら推してくるホメロス隊のみなさん健康ですね。

 

「……今日、運命が変わった? 何の話だアイ? まぁいい、今日はもう休め」

 

暗転しロード後、翌日になります。

 

さて、やや短いですが今日はここまで。

ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 聖竜の勇者。

 亡国ユグノアの王子。

 ……それすなわち、悪魔の子と呼び、それとなくデルカダールが探している大罪人の事だった。

 

 我らの王曰く、同盟国ユグノアが滅んだのはかの国に勇者がいたからだという。

 そもそも勇者が生まれなければユグノアが魔物に狙われることはなかった。

 

 だから、勇者を悪魔の子と呼び……見つけたならばデルカダールまで滅ぼされてしまう前に捕らえ、始末しなければならない。

 私たちはそう仰せつかっていた。

 我らの王は、我が父である。

 身寄りのない私たちを実の息子のように慈しみ、愛を持って育て上げた父である。

 どうして疑えようか、惨劇の日に最愛の娘を亡くして、悲しみのあまり非情になってしまった、変わってしまった我が父を。

 

 ……アイは知っていたのだろうか。

 最初から。

 それとも途中で知ったのだろうか。

 自分の出自を、そして勇者が悪魔の子だと呼ばれていることを。

 

 とどめなく呪文を唱える姿を視界の端に捉え、私はアイたちを支援する。

 父の体を乗っ取り、意のままにしていたウルノーガを討ち滅ぼしてから考えるべきなのだと自分に言い聞かせながら。

 

 私は、うすうすわかっていた。

 「悪魔の子」なんて詭弁なのだと。

 勇者の伝説を語り継ぎ、ユグノアと深い関係にあった聖地ラムダやドゥルダ郷の言い伝えによれば魔を滅ぼし、世界に安寧をもたらすのが勇者なのだ。

 ユグノアが滅ぼされたのはそれを恐れ、幼いうちに勇者を亡き者にしようとした魔の存在の陰謀。

 

 それを勇者の責任にするのは論点がすり替えられているのだ、と。

 だがどうして父にそう進言できようか。

 父は、あの襲撃で最愛の娘を亡くしたことには違いない。

 勇者が生まれていなければマルティナ姫が二度と戻られないなんて悲劇は起きなかったのだ、と言われたならば私に返す言葉はなかっただろう。

 我が父は愛情深い。

 それは私こそ分かっていたことだったのだから。

 

 だから、私は水面下で探っていた。

 闇の呼び声を聞きながら。

 アイに出会ってからも、まさかアイが勇者その人だと知る由もなく探っていたのだ。

 

 アイは故郷の母の実の子ではない。

 私はアイがいなくなってすぐそれを知った。

 マルティナ姫の生存。

 ユグノア前王ロウの随伴。

 その事実をクレイモランから帰還したグレイグから聞いたときは、ようやくすべての材料が揃ったと思ったものだ。

 我が王……いいや、ウルノーガの怪しい動向を既に掴んでいたからだ。

 

 どうしてアイがゆく先々の事件を解決しながら旅をしているのか?

 アイが目指す目的地はどこなのか?

 もう、その時にはわかっていた。

 大樹に赴き、勇者として聖竜の声を聞こうとしているのだろう、と。

 

 分からないことはあった。

 アイが勇者ならば、なぜ声高に悪魔の子を滅ぼさんとするデルカダールに来たのだろう?

 どう考えても危険だ。

長く務めているうちに正体を知られたならば殺されてもおかしくない。

 いくら兵士として真面目に働いていたとしても、正体を知られたならば情けなどかかるはずがないのに。

 

 デルカダール神殿の弔われた兵士、その仇討ちといわんばかりに倒された魔物たち。

 ホムラの里の誘拐事件の解決。

 サマディー王国を脅かした魔物デスコピオンの討伐。

 グロッタ連続闘士行方不明事件の真相の解明、地下遺構に潜んでいた大蜘蛛の討伐。

 プチャラオ村の壁画の呪いの解呪。

 そして記憶に新しい、クレイモラン王国を呪いに沈めた魔女の封印……。

 

 アイの歩んだ道は奇妙だった。

 聖竜に選ばれし勇者が単に大樹をめざしているならばそんな回り道は必ずしも必要なかった。

 しかし、救いを求める人間の呼び声に応えるがごとく、アイはゆく先々で手を差し伸べていた。

 

 それを知って私は、自惚れだと分かっていたが、アイがデルカダールに来た理由がそこにあったのではないか? と思った。

 私を呼ぶ闇の声は、アイがいなくなったあとにはすっかり聞こえなくなっていた。

 いや、わかっていた。

 決して私のためではないのだろう、と。

 せいぜいついでだ。

 アイはきっとあの盗賊を待っていたのだ。

 大樹に至るためにレッドオーブを必要としていたのだろうし、目撃情報においてアイと盗賊カミュは歳の頃が近く、仲の良い姿があった。

 報告した兵士はまるで幼い日のグレイグと私のようだとまで言ったのだ。

 そこには絆があっただろう。

 勇者の運命なのか、はたまた私には伺い知れぬ繋がりがあったのかまでは分からなかったが。

 

 ウルノーガを打ち倒したあと、アイは迷うことなく勇者のつるぎを抜き放つ。

 アイは、疲れた様子さえ見せることさえなく、勇者として君臨していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 小さめの、ノックの音。

 

「ホメロスさま……」

 

 懐かしい声だった。

 遠慮がちで、小さく、気まずそうなのがおかしかった。

 もしかしてダーハルーネでのことを気にしているのだろうか。

 私の方はもう、そんなことよりアイの行動の真意を少し知れたのでもうどうでもよかったのだが。

 

「アイ、今日は早く休むように。……、……分かった、少しだけだぞ」

 

 部屋に招き入れると、大人しく従ったアイは私の顔をじっと見ていた。

 旅の装束に身を包んだ姿は、見慣れたデルカダールの兵服でも鎧でもないのにしっくりとして見えた。

 私の部下が、手を離れて立派に成長しているのだ、と思えばそれも悪くない。

 今よりもよほど幼い頃の姿を知っているので感激もひとしおだ。

 

 あの手痛いドルクマが努力の末に習得したものだと分かれば褒めてやりたくなる。

 しかしそれは明日にしよう。

 

「久しぶりだな。こうして話すのは……今は怪我をしていないな?」

「はい、ホメロスさま。みんな、すっかり治していただきましたから」

 

 アイはしばらく私の顔を見て、それからふいっと目を逸らす。

 何かを確認しに来たようだった。

 聞いても良いのだろうか。

 聞くのはばかられたが。

 話せる距離、手の届く距離に帰ってきたはずなのに妙に遠く感じた。

 つめたい隔たりがあった。

 それは時間によるものか、別の要因によるものなのか、私には理解できなかった。

 

「ホメロスさま、ホメロスさまは真に正義の人ですね。今日、改めてそう思ったんです」

「私が真に正義の人だと? それはそうだろう。私はデルカダール兵の半分を預かっているのだからな。アイ、お前も……私たちに話してはくれなかったが、正義を為していた、そうだろう? お前が正直に話していれば……ウルノーガに騙されていた私たちは悪魔の子としてお前を捕えただろう。いくらかすれ違いはあったがお前は正しかった」

「間違ったことをしたとは思っていません。最善であったかは、分かりはしませんが。ホメロスさま、私の呪文の傷は癒えましたか? 私は、……少しだけ、悔やんでいます」

 

 首を振った。

 何も言わなくていい、と伝えたかった。

 傷などとうに治していたし、あの場でアイを連れ帰っていれば、したり顔のウルノーガがアイの処刑を命じただろう。

 

 それよりもアイから染み出る闇の気配が濃厚で息苦しいくらいだった。

 アイは今も勇者のつるぎを帯刀していたが、つるぎから感じる偉大であたたかな光の力をもってしても、夜闇のような「人には抗えない闇」を纏っていた。

 

 だが、もう、畏れることはない。

 アイは何も変わっていなかった。

 正義に憧れる少年、という本質になんのブレもなかった。

 操られていたわけではなく、洗脳されていたわけでもなく、ただ正義を為し、我らの父を救った。

 我らの王は無事だった。

 アイのおかげだった。

 魔の陰謀を払い除け、世界を救ったとさえ言える。

 

 そもそも勇者はあの闇の大樹に選ばれるという。

 大樹で感じた我らの根源の闇は深く、……だが、包み込むような安心感もあった。

 勇者として力を振るっているアイからは同種の力を感じた。

 包み込む慈愛と、優しさ。

 アイの祖父であるロウさまとよく似ていた。

 大樹の国の王家らしい類似点だった。

 闇は、文字通りの闇というわけではない。

 光あってこその闇。

 最も光に近いアイはそれゆえにもっとも深い闇を操れる。

 そう考えれば大した問題ではないように思えるだろう、ホメロス?

 

 私は無理やり納得した。

 

「そうだ、今日、運命が変わったんです。ホメロスさま。どうしてもそれが言いたかった」

「……今日、運命が変わった? 何の話だアイ? まぁいい、今日はもう休め」

「えぇ、はい。そうします。ホメロスさま、あなたに光の加護がありますように……」

 

 アイは微笑んだ。

 それは私の知る少年らしい微笑みではなく、あまねく命を見守る勇者然とした高貴な微笑みだった。

 

 私は、読み間違えていたことをやっと悟った。

 勇者は世界を救うだろう。

 現に勇者アイは闇に魅入られそうになった私を救ったのだ。

 

 では、誰がアイを救うのだ?

 

 

 

 

 

 

 

 目の前の人は、確かに光だった。

 グレイグの言葉の意味がやっとわかった。

 光になりえたのに、闇に貶められてしまった悲劇の人。

 

 僕は打算だったけど、この人を救えたのか。

 運命は変わったのか。

 僕の手によるものではなく、彼自身の心によって闇に打ち勝ったのか。

 ほんの少しのかけ違えだけで未来は変わるのか……だって、剣によって魔物を倒したわけじゃない。

 ウルノーガを倒したのは今日になってからだ。

 これまでの僕はただホメロスを肯定しただけだ。

 少し不器用なこの人に必要だったのはそれだけのことだったのだ。

 

「あなたに光の加護がありますように」

 

 僕に祈られるまでもないはずだ。

 運命に打ち勝ったあなたは光なのだから。




勇者は誰が救うのか問題について書くのが好きです。

どこ好き?

  • RTA部分:数値付き解説
  • RTA部分:ストーリー解説
  • RTA部分:走者の他作語り
  • 小説部分:アイ視点
  • 小説部分:カミュ視点
  • 小説部分:セーニャ視点
  • 小説部分:マルティナ視点
  • 小説部分:ロウ視点
  • 小説部分:シルビア視点
  • 小説部分:グレイグ視点
  • 小説部分:ホメロス視点
  • 小説部分:その他視点
  • 全般:再構成ストーリー
  • 全般:原作死亡キャラ生存
  • その他(感想・コメントへ)
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