【完結】【自己ベスト記録】過ぎ去りし時を求めてSS~聖竜の勇者ルートRTA:24時間31分44秒22   作:ryure

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Part16 伝説の鍛冶場~ジエーゴの試練

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多分初投稿です。

この動画の生放送アーカイブは こちら

 

ドラクエ11SS/聖竜の勇者ルート/縛りなしRTA


勇者自ら勇者の武器を作るRTA、続きをやっていきます。

鍛冶場といい、この辺りは作中で「勇者のつるぎ」に相当する強い武器(ロトの剣・オリハルコン製)を作成してもらう場面のある外伝漫画「列伝 ロトの紋章」のオマージュですね。

そちらも幼少のみぎりより親しんできましたので、この場面の初見は大変興奮したのを覚えています。ドラクエ系の漫画といえば、「エデンの戦士たち」の続きとかは……あの独特の空気感、オリジナルな展開、大好きだったんですが……なんでもないです。

前回までに必要な鍛冶場、火種、金属、ハンマーを得ることができました。

これで「勇者のつるぎ」を製作することができます。

 

画面ではホムラの里からヒノノギ火山へいつもの八倍速で向かっているところですね。

火山に入ったら鍵のかかっていた最奥の禁足地に直行し、入場してイベント。

火山の噴火口がまるまる鍛冶場になっているのですが、普段は溶岩の中に隠されています。

「聖なる種火」を使うことで伝説の鍛冶場の姿が現れる様子は圧巻です。

ハード面からくる、素晴らしく進化したグラフィックの向上をこれでもかと見せつけてくれますね。

 

「すげぇな……」

「火山の中にこんな場所が隠されていたなんて……」

 

初期メン凸凹コンビも感嘆のご様子。

アイくんはベロニカがこの鍛冶場にいたのを見たことがないので、何とも言い難い微笑みをそちらに向けていましたが、すぐに中央へみんなと歩いていきました。

そこさっきまで溶岩漬けだったのに足元熱くないんですかね。

伝説の金属であるオリハルコン。

闇を祓う特別な火。

火山を加工した大掛かりな鍛冶場。

大国に伝えられてきた大地のチカラの宿ったハンマー。

そして勇者本人。

アイくんは戸惑うこともなく、迷うこともなくハンマーを握り、みんなが見守る中、つるぎを作ります。

 

通常、「過ぎ去りし時を求めたあと」の二度目の勇者の剣作りはみんなが見守っているだけで制作自体は勇者が行い、非常にあっさり終わります。

が、この「聖竜の勇者ルート」では……。

 

「相棒、オレたちにも打たせてくれないか?」

「それ、いいわね! 邪神と戦うために使うそのつるぎにアタシたちも祈りを込めさせてくれないかしら? みんなの笑顔を取り戻せますようにって!」

「ぜひやらせて頂戴! そのつるぎは、先代勇者のローシュさまから引き継いだ勇者のつるぎではなくてアイの勇者のつるぎなんですもの、特別よ」

「そうですわねお姉さま! 大樹に奉納されていたわけではない、アイさまだけの勇者のつるぎなんですもの!」

 

このように口々に「過ぎ去りし時を求める前」と同じように一緒に打たせてくれと仲間たちは言います。

仲間たちに優しいことこの上ないアイくんは「前回」も同じように仲間たちと一緒に造り上げたはずでしょうから断ることなく、幻の「長髪のセーニャ・生存したベロニカがガイアのハンマーを打つ」ムービーが挿入されます。

仲間たちはおのおの決意を込めてくれ、記憶の有無という差があっても勇者は仲間たちに変わらず愛されているのを感じますね。

 

そうして出来上がったのがアイくんオリジナルの「勇者のつるぎ」です。

闇の衣を祓う力はなく、現時点ではドラゴン系の敵に特攻10%の性能というだけ。

これを「改」にすると、道具効果にデバフ解除の「ひかりのはどう」やらいろいろと追加効果が付きますが、それでも真バージョンとは性能が異なります。

見た目もつるぎの切っ先が従来の「ロトの剣」のような剣らしいフォルムではなく、どちらかというと「天空の剣」のような複雑な形状をしているのが特徴ですね。

 

とりあえず今はこれということで、アイくんの装備が自動で変わりますが、どうせ武器として剣を使うことはないのでなんでもいいです。

いっそ攻撃魔力の上がる杖を装備させてほしいのですが。

なお、きたるニズゼルファ戦では「勇者のつるぎ・真」を道具として使うのですが、戦闘中のコマンド、装備の欄から武器を変えれば装備袋から出すことができます。

 

ではそのまま天空の古戦場へ「ルーラ」し、もう一度「伝説のオリハルコン」を取ります。

~二度目なので十六倍速~

 

取ったらホムラの里に行き、道具屋に渡す→宿に泊まる(日付を変える)→道具屋に話しかけるで「王者の剣」を入手できます。

背景でその様子を流しながら今後の流れを説明します。

ここから先はほぼボスラッシュです。

どれもこれもそこそこの難易度で、真正面からかかれば苦戦は必至。

とりあえずボス戦ではないダーハルーネの雑魚ラッシュ→グレイグ、シルビアのスキルパネル解放のためにソルティコの町へ向かい、会話イベント→ジエーゴの試練とこなしていきます。

ここは順不同ゆえにかなり走者によって順番に違いがあり、何を重視しているのかなど特色がありますね。

 

なお、イシの村再興イベントはそもそも村がデルカダールに襲撃されていないのでありません。

イシの村にはとっくに戻れるのですが、村に帰ること自体は必須イベントではないため、帰省できるイベントがあってもスルーしていたので十二歳の時から未だ一度も帰っていない親不孝者アイくん爆誕です。

ペルラママや幼なじみのエマちゃんが盛大に心配してそうですが、クリアタイムが何よりも重いので仕方ありませんね。

それでも神の岩の頂上でデク(盗賊時代のカミュの相棒)がヘルコンドルに襲われているイベントがあり、そちらがニズゼルファ戦前必須イベントなのでいやおうなしに顔出しはしますけどね。

デクはデルカダール神殿にレッドオーブがある、という情報をアイくんが既に知っていたので本RTAでは初出になりますね。

ちなみにヘルコンドルは「過ぎ去りし時を求める前」のエマちゃんを殺害したであろう因縁の魔物になります。

ヘルコンドルのシルエットと倒れたエマちゃんの姿しかオープニングムービーになかったので推測ですが、他に異変前に彼女に危険が及ぶ場面がないんですよね……「大樹の勇者ルート」でも神の岩に登ると魔物が襲ってきて、そこで勇者が目覚めるのですがあの時の魔物もヘルコンドル系統の魔物ですし。

ともあれ、ヘルコンドルはボスラッシュの中では比較的簡単ですが、一番簡単という訳ではないので今は後回しです。

 

説明している間に「王者の剣」を入手し終えましたね。

それでは「ルーラ」で今度はダーハルーネへ。

町に入った瞬間、魔物除けが破られたのか町の中にたくさんの魔物があふれている様子に一行は驚きます。

このイベントは「過ぎ去りし時を求めた後」にしか起きないのでアイくんも初見ですね。

ボス級の魔物はいないものの、本来町や村、城などは魔物が跳梁跋扈するなんてありえないので普通に緊急事態です。

ボスもいませんし、ダーハルーネの特筆すべき点なんて不運の情報屋ルパスが滞在していることくらいですが、なんでここ襲われているんでしょうね?

 

とりあえず目に付いた敵から次々と斬りかかり、「ジゴデイン」など呪文主体に殴っていきます。

敵の攻撃がそれなりに痛いので最後尾にはロウを配置し、「いのちだいじに」に設定。

戦闘にグレイグ(ガンガンいこうぜ)アイくんはAIに回復させないために手動操作、三番目にベロニカ(ガンガンいこうぜ)で適当に倒していきます。

戦闘後に「ほぼ満タン」で回復していけば負けることはないです。

〜見どころがないので八倍速〜

 

倒し終えると町長ラハディオからお礼として「ライトニングソード」を貰えますが別にいらないので話しかけなくても良いです。

町の入り口付近にいるルパスに話しかけると定住地を探しているのでルコちゃんともどもイシの村に招待できますが、しなくても良いです。

なので街の危険に颯爽と現れて魔物を撃退し、黙って去っていったクール勇者ムーブでフラグ立て完了です。

あまりにも味気ないので右の方で「ライトニングソード」を貰った場合の会話イベントでも流しておきますね。

本編ではジエーゴの試練のために、シルビアとグレイグのスキルリセットをして試練に必須の連携技「大魔神斬り」のために「メタル斬り」「魔人斬り」を取得したり武器を付け替えたり並び替えたり移動したりしています。

 

スペースの関係上、セリフの文字が小さいので軽く解説するとアイくんのことをいまだ勇者だとは知らないラハディオがアイくん一行にいたく感謝し、流石はデルカダール将軍ホメロスの部下だと褒めてくれている場面ですね。

その顔だとお兄さんとは無事に仲直りしたみたいだなとも言われます。

そこでアイくんは再び彼は兄ではなく上司だと訂正しますが、ラハディオは笑いながら

「そんなことは最初からわかっている、顔は似ておらん。それくらい雰囲気が似ていて、仲がいいように見えるということだ」

と言いつつお礼に「ライトニングソード」をくれるのです。武器の性能としては決して悪くはないですが、もしこれが短剣ならカミュやシルビアに装備させたので片手剣が報酬なのはいろいろ惜しいなという印象ですね。

 

ちなみにどのルートでもアイくんとホメロス(およびグレイグ)の年齢差は二十です。

これでは兄弟というよりは親子ではないでしょうか?

なお、ホメロス隊で好感度稼ぎが足りずにホメロスが闇堕ちしていると「残念ながら仲直りできなかったようだ、それでも正義のデルカダール兵らしく振る舞う貴方は立派な人のようだ」にセリフが変わります。

グレイグ隊だったときはそもそも悪魔の子扱いから免れていないので「大樹の勇者ルート」のお礼のセリフと同じです。

 

さて、解説している間にソルティコのジエーゴ邸に着きましたね。

シルビアが屋敷の前で帰ることを決心し、アイくんに怖いから着いてきて欲しいと頼みます。

グレイグはこの段階で屋敷とシルビアを見比べ、かつての記憶を掘り出してシルビアが師匠の息子ゴリアテの成長した姿だと悟ります。

が、彼も既視感持ちなので正体自体にはあんまり驚きはしませんね。

 

「どこかで見覚えがあったと思っていたのだ……ゴリアテ。かつてのよしみで話してくれても良かったのではないか?」

「気づかないおニブな人に言われたくないわよ。でもパパは怖いからグレイグも……アタシが逃げないように見ていてね」

「……あの師匠が……パパ呼びをされて……?」

 

思うところはあるようですが。

ジエーゴはパパと言うよりはいかにも親父さんという容姿ですし。

 

さて、邸宅の二階にあがり、ジエーゴとシルビア親子の再会です。

アイくんは初見ですね。

ソルティコは滅んでいたはずです。

というかアイくんがいた世界ってだいたい滅んでいます。無事なところは……ドゥルダ郷とかですかね。

ニマ大師が命を呈して結界を張り、隕石から郷を守ったはずなので。

何分、「過ぎ去りし時を求めたあと」からストーリーが始まるのでアイくんの境遇はオープニングムービーと推測からしか伺い知れません。相当過酷だったのはわかるのですが。

 

邪神の復活した今、人々の笑顔のために少しでもチカラが欲しいと訴えるシルビア。

その為には飛び出した家にも戻るし、協力も仰ぐと。

亡き妻そっくりの息子の覚悟や信念を本物だと受け取ったジエーゴは力を貸してくれ、ソルティコ騎士の二人に試練を課します。

内容としてはデルカダール神殿最奥でボス戦となり、二体の「黄金の巨人」をシルビア・グレイグの連携技「大魔神斬り」で両方のとどめを刺すように戦え、というもの。

初見で片方うっかり普通に倒してしまったりと失敗した記憶があります。

かといってあんまり神経質になりすぎると「大魔神斬り」で倒しきれなかったり。今はダメージ感覚があるので失敗しないですが、そんな苦い思い出がある方も多そうですね。

この試練をクリアすると二人のスキルパネルが追加でオープンします。

 

それでは直接は飛んで行けないので一番近いデルカコスタ地方のキャンプに「ルーラ」し、デルカダール神殿へ徒歩です。

「レッドオーブ」も既になく、ただの観光名所のようなものですが、見張り兵などはいません。

内部の雑魚も本当に雑魚なのでこっちに気づけば逃げていきますし、エンカしないように進んでいきます。

二度目なので回収物はありません。

~八倍速~

 

はい、着きました。

すでに並び替えは済んでおります。

戦い方としては、「試練」が瀕死(オレンジ)表示になるまでアイくんが「ドルモーア」を打ち続け、前衛のグレイグシルビアは防御で肉壁になり、最後尾のセーニャはスクルトを二回張って防御。回復はセーニャが主に行います。

アイくんに攻撃が集中しまくる、敵の連携が高頻度で飛んでくるなどイレギュラーがなければこれで勝てます。

シルビア、グレイグのゾーンは敵の攻撃が痛いので簡単に誰かが瀕死になる関係上わりと早い段階でなりますね。

あまりに気にしなくても良いです。

見どころは無いです。

見どころというのは基本的には操作ミスのことなのですが、RTA走者にそうそう見どころがある時点で再走案件……ですよね?(エンカのガバに目を瞑りながら)

豪運による見どころならお見せしたいのですが、運はごく普通ですね。

試行回数重ねる毎に収束しているような気がします。

〜八倍速〜

 

はい。

勝てました。

これでシルビアに「きしどう」パネル、グレイグに「はくあい」パネルが解放されました。

めぼしいスキルとしては、シルビアの「レディファースト」、グレイグの「におうだち」「だいぼうぎょ」です。

はくあいスキルがないくせにイベント戦闘で「におうだち」していた将軍がやっと本来の実力発揮の時ですね。

ふたりともスキルリセットし、それぞれ振り直します。

 

それでは今回はここまで。

ご視聴、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まぶしい場所で、僕はかつてを繰り返す。

 ううん、少し違うけれど、間違いなく希望があったあの日の再現には違いない。

 絶望の中にあった細い細い光明。

 それの再現だ。

 今は、もっともっとあの時よりも何もかも平和で、ずっとうまくいっている。

 

「アイ、マヤを助けてくれてありがとうな! オレのチカラでよければこれからもいくらでも使ってくれ!」

 

 カミュが、あの時と違って真実希望に満ち溢れた目をしてガイアのハンマーを振り下ろす。

 かつて、僕が大罪を犯したあの時に折れてしまったみんなの剣に、再び相棒のまっすぐな魂が込められる。

 できかけのただの金属の塊が、灼熱の温度のそれが僕にはかけがえのないものに見えた。

 もちろん、伝説の金属の塊なんだから相応の価値があるのだろうけど、僕には一層、大事なものに見えた。

 今度はこれを砕きたくなかった。

 

 カミュ。

 あのひどい失意と絶望を知らない君で良かった。

 贖罪を果たし、笑顔を失わず、傷まみれにもならない。

 本当に良かった。

 だから君を守らなきゃ。

 

「アイ! あなたは今までも勇者としてたくさん救ってきたわ。そして今も邪悪を断とうしているの。双賢の片割れとしてこんなに誇らしいことはないわよ! だからあたしの力、存分に使いなさいよね!」

 

 小さな体で重そうにベロニカがハンマーを振るう。

 ここにかつてはいなかった君、君は今も生きていて、かつてと変わらず、高潔だ。

 ベロニカの振る舞いは何気ないものだけど、いつだって君は僕という勇者を生かすためにあって。

 君はその覚悟を決して見せないけれど、そんなところはちっとも変わらない。

 僕は「前」、それに生かしてもらったから、今度は何があっても君を守り抜くんだ。

 双子が笑い合う未来が欲しい。

 

「アイさま! 私もこれからもお力になります! これからも! ええ、これからも! どうかセーニャも使ってくださいませ! 私はその剣となり盾となります!」

 

 セーニャの長い髪が溶岩の放つ光に反射してキラキラと輝く。

 悲しい決意を込めて髪を捧げることもない、平和な世界でも君は変わらず強いひとだって知っている。

 みんなは……控えめな姿しか知らないけれど、僕はあなたが本当に強い人だと覚えている。

 だけど。

 あの姿は悲壮な決意だ。

 ベロニカが元気で、セーニャが幸せな方がいいに決まっているんだから。

 あの強いひとを、僕は二度と見ることはないだろう。

 それでいいんだ。

 

「アイちゃん! あなたについていけばきっと世界の平和を取り戻せるわ! みんなの笑顔が溢れる世界になるわね! そうしたらアタシのショー、また見に来てくれるかしら? 一番いい席で一番笑ってもらうからね!」

 

 シルビアが快活に笑う。

 僕のことなんていいのに。

 でも、シルビアはきっと諦めない。

 僕はその時「すべてが終わった後」を初めて夢想した。

 どんな風に?

 僕は過ごすのだろう。

 世界を平和にして、邪神を滅ぼして。

 そうだ、セニカさまもお救いしたい。

 どうすればいいんだろ。

 そして?

 懸念がなくなったら、きっとシルビアのショーを見に行くんだ。

 

 僕はちょっとだけ、想像する。

 平和な世界で、どこかのステージで、シルビアの摩訶不思議なショーを、目を輝かせて見ているただの十四歳のアイを。

 なんて。

 本当に夢みたいなことだね。

 

「アイ! 共に邪神を打ち倒そうぞ! その暁には……そうじゃのう、一緒に川釣りでもやろうかの! それとも世界の書店でも一緒に回ろうかのう。そんな、なんでもないことをするために戦うのじゃ!」

 

 力強いロウじいちゃんの一撃が高らかに響く。

 ロウじいちゃんの戦う理由は、なんでもないことを、するために?

 

 僕を、命を挺して守ったロウじいちゃんはそう思っていたんだ。

 愛する国を滅ぼされ、大事な娘も信頼できる婿も殺され、頼りにしていた友人は正気を失い。

 すっかり日常を奪われてしまったのに、どうしてそう言えるんだろう?

 僕なら、きっと復讐心だけに囚われてしまっただろうに。

 

 でも、僕はそれを叶えたいと思った。

 テオじいちゃんと釣りをした幼い日のように。

 小さい時は一緒に過ごせなかったけれど、僕もロウじいちゃんも今を生きているのだから、きっとできる。

 

 今度は死なせない。

 マルティナやモーゼフ王と一緒に……在りし日の幸せのような日々を過ごしてもらうんだ。

 僕はロウじいちゃんの犠牲で生き延びた。

 今度は僕が返す番だ。

 

「アイ! 立派に大きくなったあなたにはお節介かもしれないけれど、私は今度こそあなたを守るわ! その誓いよ!」

 

 マルティナに後悔があると知っている。

 だけどそれは不可抗力だった。

 幼い子どもが嵐の濁流にのまれて赤ん坊の入った包みを手放してしまうなんて当然だ。

 同じ状況でどれだけの人間が離さないで、それも自分も生存していられるだろう?

 姉ちゃんはちゃんと生き残った。

 それこそが正しかったのに。

 

 なのに悔やんで、悔やんで、成長した僕に誓ってまでくれる。

 なんて優しい人なんだろう。

 なんて強い人なんだろう。

 僕は報いよう。

 マルティナが、愛しい人たちと心置きなく、何の憂いもなく過ごせる日を取り戻すために。

 

「アイよ! オレはお前の真意に気づかず、ウルノーガの手先となってしまっていた。我が王を救い出し、デルカダールのみならず世界を救わんとするお前に今度こそオレは従い、盾となろう! そしてこの思いはオレだけではなく、我が友ホメロスのものでもあるのだ!」

 

 いいえ、あなたは気づいた。

 前回よりも早く、ずっと早く。

 クレイモランで話さえ聞いてくれた。

 前回だって、ウルノーガが正体を表す前にデルカダールという敵地のど真ん中で唯一ホメロスの裏切りに気づいていたじゃないか。

 

 悔やまないで。

 そして、盾となる誇りは間違いなく尊いものだけど、やめてくれ。

 もう誰も僕の代わりに死ぬなんて、ごめんなんだ。

 

 あぁホメロスはもう大丈夫。

 光の人、あなたは汚されなかったのだから。

 運命は残酷で、ほんの少しのかけ違えで全て変わってしまったんだね。

 

 だから、今度は誰も犠牲にさせない。

 

 ガイアのハンマーが僕の手元に戻ってくる。

 僕は無言で剣を完成させた。

 大地の精霊よ、聖竜よ、あるいは神さま。

 僕の大事な大事な仲間たちを、大事な人たちをどうかお守りください。

 世界の平和を取り戻す日までに誰も欠けることがないように、どうか。

 そう祈りながら。

 僕はどうなってしまっても構わないから。

 だって、僕はみんなをあの荒廃しきった世界に置いてきてしまった大罪人なのだから。

 

 そうして出来た勇者のつるぎはかつてと同じ形状の、でも少し違うような、そんな剣だった。

 どうにも力を出し切れていないように見えるのは、僕が未熟だから?

 それとも、かつてより僕が甘いとか?

 

 分からなかった。

 分からなかったけれどみんなは完成した剣を見て決意を新たにしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アイの心は動かない。

 ころころ変わる分かりやすい表情こそあれ、アイに何を言っても響かない。

 聞いていないんじゃない、むしろオレたちの声は他の人間よりも聞こうとして聞いている。

 大事なことを言っていない、ただの冗談だとしても誰よりも大真面目に聞いているさ。

 

 だけどな。

 

「アイにとってオレたちは庇護する相手でしかないんだな……」

「そうですわね……何を言っても、何を示しても。ずっとアイさまはお変わりありません。仲間のことを大事に思ってくださるその心は尊いものです。でも、でも……」

「そういうんじゃないってわかっているが、まるで対等じゃないみたいだ。もちろんアイがそのつもりがないのも、見下しているって言いたいわけでもないぜ。分かるだろ?」

「そうね。言いたいことはわかるわ。本来あたしの立場なら歓迎しなくちゃいけないこと。勇者らしく、超然としているのよね。もちろん本心から歓迎しているわけなんてないけど……どうにもあたしたちを見る目が、怖がっているっていうか、なんだろう……」

「恐れている。怖がっている。分かるわ、ベロニカちゃんの言いたいこと。でも、嬉しそうでもあるの、アタシたちを見るのがね。不思議よね、全然理解できないのに」

 

 平和を取り戻したホムラの里。

 伝説のオリハルコンを用いた剣を作るのには一晩かかるというから取った宿では双子以外に個室があてがわれ、アイは欠かさない魔法の訓練もそこそこに眠ってしまった。

 明日も寝る間を惜しんで世界の平和のために尽力すると分かり切っているからオレたちも早く眠らないといけないが、アイ抜きで話し合うタイミングは実のところあまりない。

 絶好のタイミングにオレたちはいつの間にか勢ぞろいしていた。

 

 会話の渦中のアイは、真正の自己犠牲精神の持ち主だ。

 「聖竜の勇者」とかいうクソッタレな世界の生け贄に指定されたばっかりに。

 もう仲間は誰も聖竜も大樹も敬っちゃいない。

 大樹信仰の国の王さまやっていたじいさんでさえだ。

 

 オレたちの大事なアイは無理をする。

 無茶しいで、ぼろぼろだ。

 傷は治せても、負った事実は消えないし、ゆっくり治療する時間はない。

 疲労やら心労が積み重なっているのはとっくにわかっていた。

 

 なぜアイが無茶な真似をするのか?

 勇者だからだ。

 勇者として世界を救わされているからだ。

 その点において考えがぴたりと一致した。

 いや、オレたちは仲がいい。

 アイについての意見が合わないこともそうそうなかったが。

 

 まるで死地を共にしたように、オレたちの息は合った。

 最近仲間に加わったばかりのグレイグのおっさんでさえだ。

 ずっと前から仲間だったと錯覚するくらいに。

 仲間だった既視感さえ、あるほどに。

 なんでだろうな。

 

 世界は、まだ「平和だ」と言えていたころからそんなに優しいものじゃない。

 闇の大樹のご加護の下で、オレたち人間はいがみ合い、いさかいは絶えず、簡単に殺し合う。

 アイのような、あたたかな光を内包する存在なんていないさ。

 残酷に見えて、冷酷に見えて、下されるのは存外にあたたかな裁定。

 命を奪わず、差し伸べる手、救いを求める相手を引き上げるその手にどれだけ救われてきたというのだろうな。

 犠牲にして、犠牲を見て、死体の山に背中を押されながらアイは世界を救ったんだ。おい、聞こえているか? 全部忘れて呆けているのにのうのうと相棒を名乗るなよ。アイは己のすべてを犠牲にしてこの世界を救うためにひとりぼっちを受け入れた。なあ、そう思うなら思い出せ! なあ! なあオレ!

 

「無理をしないでと言っても。無理をしているつもりはないの。アイ、十四歳よ? もっとたくさん寝て、こんな重圧なんてない環境ならもっと大きく背が伸びていたんじゃないかしら。アーウィンさまはかなり長身の方で、エレノアさまもそう。でもアイ、小さいのよ」

「まるでこのままでは恐ろしいことが起きるとでもいうように身を削っているのは俺にもわかる。デルカダールにいたころから勤勉な兵士だったが、……そういえばアイが休暇を取っているのを俺は見たことがない。邪神の復活を察知していたのだろうか。

それにしてもだ、この前の戦闘でも回復魔法が使えるというのに、命絶える瞬間まで魔法を唱えて攻撃していたのは……正直なところ、恐ろしかった。あんな未来ある若者が死に急ぐ姿は痛々しいものだ……どうしたら、あの癖をやめさせられるのだろうな」

「戦いのときは何を犠牲にしても早くけりを付けたいみたいね。蘇生してくれる時、いつもアイの手、冷たいのよ。震えていて……表情は変わらないけど、泣きそうなの。それでも早く、早く倒さないとって思っているみたい。どうしてなのかしら」

 

 その日は時間許す限り、語り合った。

 結論の出ない、不毛な議論かもしれなかったが。

 

 オレたちは世界を救うためなら、己のなんだって差し出しそうなアイが邪神と刺し違えて死んでしまうことを何より恐れていた。

 アイなら、それで邪神が倒せるならやるだろうという嫌な想像さえできた。

どこ好き?

  • RTA部分:数値付き解説
  • RTA部分:ストーリー解説
  • RTA部分:走者の他作語り
  • 小説部分:アイ視点
  • 小説部分:カミュ視点
  • 小説部分:セーニャ視点
  • 小説部分:マルティナ視点
  • 小説部分:ロウ視点
  • 小説部分:シルビア視点
  • 小説部分:グレイグ視点
  • 小説部分:ホメロス視点
  • 小説部分:その他視点
  • 全般:再構成ストーリー
  • 全般:原作死亡キャラ生存
  • その他(感想・コメントへ)
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