【完結】【自己ベスト記録】過ぎ去りし時を求めてSS~聖竜の勇者ルートRTA:24時間31分44秒22 作:ryure
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実家に帰るRTA
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ドラクエ11SS/聖竜の勇者ルート/縛りなしRTA
それでは続きをやっていきます。
イシの村、リアルタイムでもデルカダールへ奉公に飛び出してから十時間は経っていますね。
現地時間でも二年ぶり以上で大変お久しぶりです。
アイくんは見違えるほど成長しましたよ。
(グラフィック的には身長が伸びるなどの成長はありません)
おそらく傍目には見事なまでに闇堕ちしていますが、悪事を働いている訳ではないので多分セーフでしょう。
その辺りにいる村人に話しかけると都会で不良になってしまったのか、勤務先や旅先でグレてしまうような嫌なことでもあったのか、お勤めはもう立派にしたんだからいつでも帰ってきてもいいんだよ、と言われます。
それに対してアイくんは特に反応しませんが、この時仲間会話で話を聞くと不良……? あの真面目なアイが? という反応をしてくれて面白いので是非見てくださいね。
カジノやウマレースに入り浸りのギャンブル勇者でもみんな庇ってくれます。
愛は盲目。
さて、イシの村に足を踏み入れるとイベント。
入口の方にいた村人がすぐに大きくなったアイくんに気づき、一斉にそれが村中に伝わります。ムービーで焼き討ちされ、火を放たれ、ガレキの山と化していた
状況証拠(オープニングムービー・イベントムービーという名のフラッシュバック)から読み取れるのでこの解釈が必ずしも正確とはいえないかもしれませんが、アイくんが「過ぎ去りし時を求める前」では地下牢でイシの村の人間は全滅しているのに、イシの村の廃墟にデルカダールの疎開民が、イシの村を焼き払った国の人間が……魔軍司令ホメロスが命じたこととはいえ……我が物顔で、蹂躙者側の人間が怯え暮らしている様子を見ていたアイくん、よく闇堕ちしなかったですね。
……闇堕ちは結局したようなものですが……。
閑話休題。
本編の様子に話を戻します。
闇堕ちしてまるっとやり直し勇者アイくんはスレ気味とはいえ、十四年間平和に生活してきた故郷の村で村人に適当に振る舞えるはずもなく、善意百パーセントで幼なじみのエマちゃんが大人しく従うアイくんをペルラママの所へ連れていきました。エマちゃんも何気なく、怪我が治ってから元気な姿をアイくんに見せるのは初めてですね。
アイくんもさぞや嬉しいことでしょう。
今作で一、二を争う聖人・ペルラママももちろん元気です。
ホメロスによる焼き討ちも魔王によって活発化した魔物の暴走も起きなかったこの世界線では、とても穏やかかつ平和なイシの村は何の脅威に襲われることなくそのままの姿ですから。
元気な姿で再会できたアイくん、本当に良かったですね。
以降、自宅ではタダ宿が使えます。
RTAにおいては自宅まで歩数がそれなりにかかる上、泊まるならどこのキャンプでも効果の変わらないタダ宿なので回復するにしてもわざわざ泊まりに来ることはありませんが……。
家まで歩く道で周囲の人間や仲間たちはせっかくだから泊まっていきなさい、今晩は久しぶりなんだからご馳走にしよう、数年ぶりだし親子で積もる話もあるだろうと口々に言ってくれますが、このあたりは任意のイベントなので泊まる必要はありません。一連の会話のあともう一度ペルラママと話すと珍しく来た観光客らしき商人の男が神の岩に向かったという話を聞くことができます。
フラグのようですが、別にこの話を聞かなくても神の岩頂上にはデクがいます。
アイくんの実家にいる時の仲間会話では、ロウに話しかけると言葉もなくひたすら感涙しています。
セーニャは同じ室内にいるエマに対して結構な意味深発言をしてきます。
目の据わったセーニャに話しかけると、マルティナ・カミュも続けて発言してくるので結構長めの会話を聞けるのですが、アイくんが育った村の平和さに安堵すると共に女性陣は若干のかわいらしい嫉妬・カミュはマヤちゃんをこんな穏やかな場所に連れてきたい旨とさりげなく自分が相棒であることを主張してくるのでアイくんは全方向から愛されているようですね。
ベロニカ・シルビアの発言が一番大人らしく、グレイグは上司目線でたまには故郷に顔を出すようにと真っ当な説教をしてきます。
帰れるうちに、と言ってくるのが出身国が幼少期に魔物に襲撃されて滅亡した仲間としての切実な思いなのでしょう。
ロトゼタシアでは三十年以内に大国がふたつも滅んでいるので危機感もひとしお、しかも邪神復活までしているので誇張でも脅しでもない普通の意見でしょう。
実家に泊まらなくても帰郷時強制イベントはまだあります。家から出ると再びイベント。
エマちゃんが最序盤アイくんに渡せなかったお守りをくれます。
「エマのおまもり」ですね。
そして会話イベントとして大樹の根が絡んだ木の下で、アイくん不在期間の村の話(兵士時代や逃亡期間に帰郷していれば起きたイベントなど)をしてくれ、最後に「勇者」の話をペルラママから聞いたと言ってきます。
イシの村では「勇者」が「悪魔の子」と呼ばれている話をあとから聞いているのであまり深刻さがわかっていないようですが。
「『勇者』のこと、私にはまだちょっとピンと来ないけど。アイが頑張っているのは分かるの。世界の色んなところで人を助けているってデルカダールからきた手紙に書いてあったわ。アイがデルカダールにいた頃も兵士としてとても真面目だったとも書いてあったの。ねぇ、アイは私たちに頑張っている姿をあんまり見せてくれなかったけど、見ている人は見ているのよ。
おじいちゃんは、村長としてもうアイに帰ってきて欲しいと思ってる。アイはもう十分、村を守れる力をつけたからって。でもね、それは魔物から私を助けてくれたのに、ちょっと怪我させたからって村から追い出したようなものなのに……成人の儀式を終えたとはいえ大人になってすぐ、全く知らない人のところに追いやったくせに、すごく勝手な言い分よね。
私は、アイの背負っているもののこと、まだよくわかっていないかもしれないけど……アイが頑張っていることを応援したい。村に帰ってきたい時はいつでも戻ってきてね。おばさまも待っているし、私も待っているわ。村のみんなも。そしてお役目を終わらせたら、一度は戻ってきてね。
おばさまはアイがやりたいことをやるように言うと思うから、私からはこう言わせて」
要約するとたまには帰ってきてね、終わったら顔を見せてねという事ですかね。
以降イベントがないのでRTA中村に戻ることはありませんが、エンディング後のアイくんならきっと戻るでしょう。
早く終わらせるためにも乱数がいい感じになるように祈っていて欲しいです。
「こうしてね、元気に生きていることがどうしてか特別なように思えるの。二年前ちゃんと言えなかったから……アイ、私を助けてくれてありがとう。あの時助けてくれなかったらきっと今は冷たい土の下だったの。でも助けてくれたから私、ほら、何ともないの」
エマとの会話が終わると動けるようになります。
続いて村の奥、神の岩の方へ歩いて行き、外れに差し掛かると再びイベント。ムービーでアイくんがゆっくりと川の方へ歩いていき、そこに釣りをしているテオ(アイくんを拾った育ての祖父)の幻覚を見ます。
大樹の根が見せているわけでもなんでもない、本当にただの錯覚なので、それはほんの一瞬でしたが。
アイくんは黙したまま川辺にある墓場の方へ向き、祖父テオのものと思しき墓の前で祈り、察した仲間たちも倣って……と、イベント終了です。
一連のイベントの後、仲間会話で再びいろいろと面白い話が聞けますが、そちら確認していない方はプレイしてのお楽しみというわけで。
それでは神の岩を登っていきます。
道中はちらほら邪神によって暴走している魔物がいますがベースが所詮チュートリアルレベルの雑魚モンスターなので避けながら駆け抜けていきます。
〜移動はいつも通り八倍速〜
着きました。
神の岩頂上に到着と同時にイベント→ボス戦なので突入前に並び替え。
グレイグ、アイくん、セーニャ、ベロニカと並べます。
では突入。
いつぞやのように、ガルーダ型のモンスター(ヘルコンドル・邪)が人間に襲いかかっているのがアイくんたちの目に飛び込んできます。
「あれは……デク?! なんでお前がここに!」
脱獄後、デクのところには顔を出していないのでカミュからしても久しぶりの元相棒ですね。
とりあえず話している暇はない、ということで戦闘開始です。
ヘルコンドル・邪は完全二回行動、グループ攻撃呪文(ギラグレイド)、鷲づかみなどを使ってきます。
強敵ではないですが弱くもありません。
幸い、「マホカンタ」をしていても構わず攻撃呪文を唱えてくる鳥頭でさらに「マホトーン」まで効いてしまいますから怖いのは物理攻撃だけです。
なのでグレイグにベロニカが「マホカンタ」、セーニャがグレイグに「スカラ」を唱えてしっかり固めてからグレイグが「におうだち」をすれば呪文の反射もできてダメージソースになりますし、後衛も守れますしで最高です。
グレイグが初回の行動をする前にきっちり自分の仕事をしたベロニカが鷲づかみ+ギラグレイドのデスコンボで息絶えましたが、「マホカンタ」の使えるロウと交換して役割を引き継いでもらいます。
アイくんはその間ひたすら「ドルモーア」で攻撃し、セーニャはグレイグの専属回復、「マホカンタ」が切れるまではロウにも「ドルクマ」で攻撃に参加してもらいます。
ヘルコンドルは闇属性が極大弱点なのでよくダメージが通ります。
アイくんの「ドルモーア」はロウの「ドルクマ」の三倍くらいダメージが出ていてよい削りです。
しかもヘルコンドル・邪は因縁の相手なのでアイくんに特殊バフ「仄暗き怨念の誓い」が入り、「スカラ」などで上書きできるものの防御力が常に一段階下がる代わりにすべての呪文が暴走しやすくなります。
攻略サイトの検証結果によるとこの暴走率は五割で永続のバフであり、「におうだち」で物理攻撃が怖くないなら破格のバフと言えます。
~以下繰り返しなので二倍速~
勝てました。
最初の事故以外は安定していましたね。
デクがカミュと会話し、カミュが投獄されてから盗賊から足を洗ってデルカダール城下町上層で商人をしていることや兵士に賄賂を贈ってカミュの見張りを弱めていたことを語り……本RTAではデルカダール兵士アイくんが自ら脱獄行為を見逃していたので意味はなかったのですが、この辺りは選んだルートによって地下牢の配属にならないので、ストーリーの整合性の問題ですかね……スキップ可能なデルカダール城下町での会話イベントの補完をしてくれます。
また、助けてくれたお礼に「アレキサンドライト」をもらえます。
別にイシの村復興で商人を探しているわけではないのでイシの村に来てくれと頼むことはありませんが、以後デルカダールのデクの店で買い物ができるようになります。有用なものが売っていますがどれもこれも高額なので困ったところですが。
なお、この後村に戻るとヘルコンドル・邪がエマを怪我させた因縁の魔物と似ているので「邪神復活であの魔物の仲間が再び凶暴化して襲い掛かってきたのかもしれない」→「でもアイが倒してくれた!」→「うちのアイが強くなってくれた嬉しい!」という流れで褒めてもらえます。アイテムがもらえるわけでもなく、別に報告自体なんら強制でもないのでスルーしますが。
ではもう用もないので「ルーラ」でクレイモランへ移動します。そのまま突っ走って城内へ。
何者かの邪気にあてられて暴れている、「魔女」の封印のために必要な聖獣ムンババをなだめてくれと学者エッケハルトが依頼してくるのでそれを受けます。
ついでに玉座の間にいる女王シャールから、氷獄の湖に封印されていた魔竜ネドラが勇者の星の爆発に誘発されたのか、氷の封印を破って暴れている話を聞いて討伐の依頼を受けます。クレイモラン王国、「聖竜の勇者ルート」では黄金病の騒ぎこそ起きませんが、この危機の起きっぷり、アイくんという勇者がいなかったらユグノアの次に滅んでいた国なんじゃないですかね……?
それでは再びクレイモランへ「ルーラ」して入り口に移動し、城下町向かって右側からフィールドに出てムンババの住むミルレアンの森へ移動します。
移動にはお馬さんダッシュが一番早いです。
〜移動は八倍速〜
着いたら屋外ですがダンジョン扱いなので馬から降ろされますが、構わずダッシュで最深部へ向かいます。
道中狩りは必要ありません。
〜再び八倍速〜
着きました。
道中何事もありませんでした。
多分。
多分ですがアイくんのHPが半分まで減っているのは連続逃げミスによるものではないと思います、多分。
戦闘があるわけではないのでそのまま突入します。
ムンババは目を緑色に光らせ、その辺りでうようよしている「○○・邪」のモンスターと同じように見境なく暴れ回っています。
そういえばリーズレットを即見抜いて即撃破しているのでアイくん以外は初見ですね。
「既視感」はありますが、エッケハルトからは魔女の封印に必要な「聖獣」と聞いていたのに強そうなボスモンスターにしか見えない姿に仲間たちは驚き戸惑っている様子です。
「あれが聖獣……? 見た目で判断しちゃいけないけど、もし魔女がアイを騙していて、ムンババが魔女の配下の魔物だって言われていたら間違えて倒しちゃったかもしれないわね」
「分かって見れば清らかな力を感じますが、このように暴れていてはお姉さまの言う通り勘違いしてしまいそうですわ。それにしても、話を聞いていただけそうにもないですし、どうやって落ち着いて頂けば良いのでしょう……」
「おい、アイ! 近づくと危ないぞ!」
二周目のアイくんにはもちろん解決方法がわかっています。
デイン系呪文で殴って清めればよいのです。
アイくんは勇者の紋章を宿した左手をすっと上にあげ、右手で仲間たちを下がるように示しました。
仲間たちが下がると、アイくんは無表情で腕を振り下ろしました。
凄まじい轟音と共にムンババに白銀の雷が見事に命中。
普段は闇属性勇者をしていて通常のデイン系は威力UPがないので忘れがちですが、アイくんは世界屈指のデイン系の使い手です。
勇者なのでちゃんと聖なる雷だって操れます。
実戦ではどう足掻いてもネタ呪文ですが……。
落雷の衝撃で雪が舞い上がり、視界が白くけぶります。
アイくんは「前」、この場所でリーズレットに体を凍らされたのを思い出し、周囲を警戒しますが、すでに完璧な封印を施してあるリーズレットが姿を見せるはずもなく。
視界が晴れた先には理性を目に宿したムンババがそこにいたのでした。
ムンババは邪気を払ってくれたお礼に「ふしぎなきのみ」を三つくれます。
ありがたくアイくんに使っておきます。
それでは「ルーラ」でクレイモランに取って返し、「ほぼまんたん」でアイくんをこっそり回復したら再びフィールドへ。
今度は氷獄の湖で魔竜ネドラ・邪を倒します。
そちらは次回にします。
ご視聴、ありがとうございました。
優しい育ての母、純朴な幼なじみ、穏やかな村人、平和で豊かな田舎の村。
アイの育ったイシの村に来るのは初めてだった。
オレの知っているアイはすでにデルカダールでホメロスの下で兵士をやっていたからだ。
アイはあまり自分から村でのことを語ろうとしなかったが、隠そうとしているわけでもないので聞き出す。
合わせて村人たちの話も聞くに、アイはこの村の成人である十二歳で儀式を受け、その際幼なじみを魔物から守りきれず、怪我をさせてしまったらしい。
アイがこの辺りの魔物に後れを取ったっていうのはにわかには信じがたいが、力不足のために奉公に出され腕を磨くという名目でデルカダールに送り出されたらしい。
幼なじみと名乗ったエマちゃんは村長の孫。
……まぁ、こんな狭いコミュニティの権力者の孫娘を守れなかった、まともな後ろ盾のない拾われ子に下された処分としては温情もいいところか。
搾取されていたわけでもなく、ただ都会に出て兵士をやっていただけだしな。
これが……あの海賊どもだったらどんな折檻をしてくるか想像するだけで肝が冷える。
アイは本当に穏やかなところで育ったんだな……。
久しぶりの母親にも、すっかり快復した幼なじみにも、親しげな村人たちにも、アイは曖昧に微笑みかけこそすれ、少しも弱さや隙を見せなかった。
親しいからこそ自分の弱いところを見せたくないのか、「勇者」としてのプライドなのか、オレには分からなかったが、こんなに平和な故郷に戻ってもその心が凍てついたままなら、オレたちにどうにもできないのも理解ができるってものだ。
こんなこと理解したくないが。
唯一、アイが「弱さ」らしきものを見せたのは育ての祖父の墓を参った時だった。
アイは自分を拾って育ててくれた祖父を「テオじいちゃん」と呼び、村のはずれにある祖父が良くいたらしい釣り場を嬉しげに紹介した。
この川で拾われたらしい、という言葉に何かロウじいさんには合点がいったようだった。
曰く、聖竜の大樹から流れ出る水流らしい。
だからきっと御加護があったのだろう、と。
オレにはアイを「勇者」に選びやがった大樹の思惑なんか分からないが、ともあれ川べりで真摯な祈りを捧げていたアイは亡き祖父との思い出を大事にし、普段は無茶振りしても、こうして村に戻れば足を止めて墓参りはするくらいの「大切な思い出」を見え隠れさせていて、死に急ぐような普段の姿からすれば人間らしい姿にオレたちは若干安心した。
どう見たって、邪神を倒した後、この場所にアイは戻りたがっている。
戻りたいという感情があるなら、アイが命を差し出すような真似をするのをやめるかもしれない。
村で過ごして、「戻りたい」という気持ちが増強されればなおいいはずだ。
オレたちのアイにも当然、オレたちの知らない過去がある。
「勇者」として目覚める前のただの少年としての顔が。
当たり前だ。
それが嬉しいのにオレたちは子どもっぽく、分かりやすくアイの穏やかな過去を知る存在に嫉妬した訳だが。
オレたちの知るアイはいつでも切羽詰まって、走って、手を伸ばす痛々しさがあったから。
なんたってアイはいつだってオレたちを想ってくれる存在で、オレの相棒で、もう一度旅をすると約束して、そして、……そして?
そして、なんだ?
アイはアイだ。
聖竜の勇者に選ばれてしまった、「勇者」に向きすぎてしまった、自己犠牲を厭わない、こんな広い世界の、たったひとりの救いの主にされてしまった、世界の生贄。
アイをただのアイに戻してやりたくて、同時にオレたちは「勇者」として戦うのを助けたくて、アイが自分を傷つけるのを少しでも止めたくて……それで。
オレたちは旅をする。
アイを中心に、進む。
オレたちは、……?
なぜ?
穏やかな「ただのアイ」だった証明に、なぜ嫉妬したんだろう?
アイにとっての平穏の象徴であるあの幼なじみに。
オレたちの出会いは運命的だ、運命……だ。運命的ではない出会いをしたあの幼なじみとは、違う。
ある種仕組まれていた、そんな出会い。
オレがアイの相棒になったきっかけは預言者の導きと、オレが贖罪を抱えていたから。
オレは「勇者」のチカラをあてにするという打算があって、「勇者」の手助けができて、贖罪もあった。
贖罪があるから多少無茶してでもアイのチカラになる戦力だっただろう。
だから、預言者からすればわかりやすく「勇者」の最初の仲間としてちょうど良かったんだろう。
ほかのメンバーと違って、贖罪を終えたら「勇者」の旅についていけなくなっても特に困りはしない、ちょうどいい存在だ。
それになんだかんだ高貴な生まれの他の仲間たちと違って手を汚すのにも向いている。投獄された「勇者」を逃がせるのは、オレだけだったのだから。マヤを助ける前のオレは自棄だったからアイを庇うこともあった。まさにうってつけのコマだろ? まぁ、アイはそれ以上にオレたちのことを大事に思って、ここまで自分の身も心もすり減らしてしまったから、預言者の思いどおりにはならなかったに違いないが……。
オレは、「勇者」になってしまったアイを、助けたい。
間違いない事実だ。
アイのチカラになりたい。
アイを守りたい、アイに恩返しがしたい、アイが「勇者」でなくなる日を迎えたい。
それ自体は決しておかしい考えではないはずだ。
だが、オレは気づいてしまった。血の気が引くほどの、酷い酷い事実に。
「勇者」として大樹に召し上げられてしまったアイは、危機の迫った世界では信仰と祈りの対象だ。
聖竜の大樹に選ばれし、「勇者ローシュ」の生まれ変わり。
聖竜の勇者なのだから。
そんなアイを、誰よりもただの少年アイとして見るのではなく……「勇者」として「信仰」しているのはオレたちなのではないか、と。
幼なじみのあの子は、無知なだけかもしれなかったが「ただのアイ」の帰還を願っていたから、気づいた。
気づいてしまった。アイなら救うだろう、アイなら、アイなら世界を救うのだってやり遂げる! オレたちは強固に信じている。それ自体は自然な感情だろうが、アイのことを。それこそ、「勇者」という救いの主を求めているのとなんの違いがあるっていうんだ! オレたちこそアイを勇者に召し上げているんじゃないのか!
アイなら救うだろう、アイなら諦めないだろう、アイなら、アイなら!
アイの無事を願い、アイの相棒を名乗り、その隣に立ってもなお、オレたちの方こそ……オレの方こそアイを「勇者」にしていた!
オレは呆然としていた。
呆然としていて、だがそれに気づかれて心配させるわけにもいかないからいつも通りの表情を取り繕い、アイがいつものように、まるで「知っている」かのように指し示す道に従って進んでいた。
気づけば雪を踏みしめて歩いていて、そこは慣れた土地だったってのに、オレはうかつにも魔物の攻撃に気づかなかった。
痛みは、来なかった。
だが、鮮血が飛ぶ。
魔物を魔法で葬って、アイが振り返る。
オレを安心させるかのような、穏やかな微笑みを向けて。
「カミュ、大丈夫? 怪我はない?」
「……アイ、お前こそ、オレを庇って」
「庇ったんじゃないよ。あの魔物に攻撃したかったから割り込んだだけだから」
アイは、当たり前のようにオレを庇った。
「勇者」らしく。
泣きたくなるような絶望と、オレに染み込んだ「勇者への信頼」。
どっちも真実だった。
オレはアイを信じていて、信じれば信じるほど「信仰」していることと変わりない。
アイを信じないなんてありえない。
信頼していて、やり遂げるだろうと分かっていて、アイが「勇者」であろうとただの人間だとわかってもいる。
なのに、オレは。
オレは……。
相棒の隣に立っている?
いや。
オレは親しげな顔をして、その実、手の届かない星を見上げ、追いかけているだけだ。
※一番勇者信仰してるのはどう考えても勇者本人
どこ好き?
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RTA部分:数値付き解説
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RTA部分:ストーリー解説
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RTA部分:走者の他作語り
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小説部分:アイ視点
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小説部分:カミュ視点
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小説部分:セーニャ視点
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小説部分:マルティナ視点
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小説部分:ロウ視点
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小説部分:シルビア視点
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小説部分:グレイグ視点
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小説部分:ホメロス視点
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小説部分:その他視点
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全般:再構成ストーリー
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全般:原作死亡キャラ生存
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