【完結】【自己ベスト記録】過ぎ去りし時を求めてSS~聖竜の勇者ルートRTA:24時間31分44秒22 作:ryure
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SSのルーメン救済RTA
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ドラクエ11SS/聖竜の勇者ルート/縛りなしRTA
それではプチャラオ村に「ルーラ」してきたところから続きを解説していきます。
村に踏み入れるとイベント発生。
メルトアの壁画事件の時のように村全体がどんよりとした雰囲気なのが感じられます。
アイくん一行は陽気で商魂たくましい普段のプチャラオ村を見たことがないのですが、それでも異様さを感じ取ったようです。
「なにか変だぞアイ、村のヤツらの様子がおかしいな」
「そうね、カミュの言う通り。全く外に人がいないわけじゃないけど、なんだか雰囲気が暗いし、昼間なのに妙に人が少ないし……みんな家の中にいるのかしら? 今日は天気がいいのに変ね」
「村の人に話を聞いてみましょう。アイ、手分けして聞き込みでいいかしら?」
マルティナの提案にアイくんがうなずき、パーティメンバーが村中に散らばりました。
ここで操作可能になります。
ちなみにPTにはカミュだけ残ります。
その辺りに散らばっているメンバーに話しかけると同伴しているメンバーを変更することができ、それによって若干ではありますが、個別でセリフを聞くことができます。
とはいえ、誰が同伴していてもイベントの流れは一切変わらないので、もし気になる方はここまで進めて教会でセーブし、ロードを繰り返すことで全員分のセリフを回収してくださいね。
さて、聞き込み状態では村の外に出ることさえできないので早速フラグを回収しに行きます。
階段をのぼり、村人バハトラの家でチェロン(バハトラの息子)とバハトラの会話を物陰で盗み聞くと進行できます。
この辺りはアイくんが「過ぎ去りし時を求める前」で経験しているので「前」と同じ事件が起きていることを察知すると進めるようになります。
この村を襲った魔物フールフールは、村にいた人間に殺されたくなければそれぞれ何か「大切なもの」を差し出すように言いました。
それで村人が「大切なもの」を「大切な人」と解釈してかなりの人数、捕らわれることになったのですが、バハトラは賢かったのでフールフールの言葉の裏を突き、自分の「大切なもの」は「息子のチェロンだ」とは言わず、「大切な物」である「妻の形見のペンダント」だと嘘をつきました。
妻を亡くしてから呑んだくれになってしまったほど妻を愛していたことからも説得力があり、まったく疑われることなく彼は本当に「大切なもの」を守ったのです。
が、当の息子チェロンは父親の「大切なもの」が自分ではなく、言葉通り受け取り亡き母の形見だと勘違いしてしまい、取り返すべく家を出て行ってしまいます。
彼がその勢いのまま魔物のいる村の外に飛び出すのを知っているアイくんはさっと首根っこを掴んで捕まえました。
「! な……何するんだ、……誰?」
「よお、悪いな。話は聞かせてもらったんだが、ちょっといいか?」
アイくん……というかドラクエ主人公はほぼ喋れないので同伴している仲間が代わりにチェロンに聞き込みをします。
彼から村に起こっている事件を聞き、父親が魔物に奪われた「大切なもの」を取り戻したいという想いを聞きます。
村が閑散としていたのは魔物の脅威による恐れによって出歩く気にもなれないのとそもそも持っていかれてしまった「大切なもの」にはかなりの数の人間も含まれていた……ということがアイくんたちにも分かりました。
彼の決意は尊いものの、ロクに戦えない子どもを外に連れて行くわけにもいかないので、代わりに村人や「大切なもの」をきっと取り返してくると約束し、アイくんは仲間を集めて情報を共有すると魔物討伐に向かいます。
これで外に出られますので、外に出る前にメンバーを並べ替え。
アイくん、シルビア、セーニャ、ロウの順に並べます。
それではフールフール・邪のいる岬のほら穴へ向かいます。
~お馬さんダッシュで移動は二倍速~
フールフール・邪戦で気を付けなければならないのは開幕味方全員が「マホトーン」状態になっていること。
ただし「聖竜の勇者ルート」では通常の「マホトーン」と同じ判定なので耐性装備やお祈りなどで弾くことも可能です。
(「大樹の勇者ルート」では初め確定でかかっています)
さらに攻撃面ではグループ攻撃呪文の「ギラグレイド」を使ってきまして、しかも必ず唱える前に魔法耐性低下の「ディバインスペル」を入れてきます。
戦闘中にも「マホトーン」でこちらの呪文も封じてくるのでアイくんには必ず「破封のネックレス+3」を二つ装備させてマホトン耐性を上げ、セーニャは開幕自分に「キラキラポーン」を入れます。
他の行動で面倒なのは「ラリホーマ」で、デバフ系が多いためセーニャの手が空いたら「ザメハ」持ちのシルビア→「マホカンタ」役のロウにもキラポンを入れておきます。
なお、フールフール・邪はたまに「スクルト」を唱えてくるので攻撃要員はいつも通りアイくんの魔法攻撃一本でいきます。
フールフール・邪は「大樹の勇者ルート」では異変(世界崩壊)後、まだ仲間が勇者、グレイグ、ロウの三人の時点で戦うボスです。
その時点のシルビアはNPC参戦という形です。
なので「大樹の勇者ルート」ではHP約2200、攻撃呪文は「ベギラゴン」止まりと非常にぬるい相手ですが「聖竜の勇者ルート」では必ず八人で挑める関係上、ステータスや行動に強化が入った状態で戦うことになります。
「聖竜の勇者ルート」でのフールフール・邪はHP約8000となっていて長期戦が見込まれますが、強化が入っても攻撃は比較的ぬるいほうです。
よって、盾役グレイグを抜いてロウを入れ「マホカンタ」を唱えてもらいます。
かける順番はセーニャ→ロウ→シルビア→アイくんです。
このメンバーの中だとアイくんの耐久が頭一つ抜けているので「マホカンタ」なしでもそうそう死んだりはしません。
それでも呪文反射はダメージソースになるので積極的に入れていきたいところです。
ちなみに、今作の「マホカンタ」は「味方にとって都合の悪い効果」のみを反射します。
過去作の「マホカンタ」のように味方の回復や補助呪文を反射したりしません。
「海と空と大地と呪われし姫君」では、たまに「マホカンタ」が発動するよろい「ミラーアーマー」を装備していた主人公くんの死体が蘇生呪文各種を見事に反射して目を剥いた事がありますが、「過ぎ去りし時を求めて」ではもう起きません。
優しい仕様変更ですね。
解説している間に岬のほら穴に着きました。
到着と同時にイベントムービーが入ります。
スキップ。
カットイン後、ボス戦です。
おおよその動きは先ほどの解説の通りですが、想定以上にセーニャが寝る・ロウが死ぬ・アイくんがギリギリ耐えるの三拍子で面白い戦いになっています。
キラポンを撒く前にセーニャが寝た時は思わずリセットしたくなりましたが、アイくんが開幕の「マホトーン」を弾いてくれたので良しとします。
シルビアの「ザメハ」ですかさずセーニャを叩き起こし、ロウは「マホトーン」が切れ次第、我関せずに「マホカンタ」を配ります。
「マホカンタ」の持続は攻略情報によると4-7ターンでそんなに長くないのですが、「ラリホーマ」対策としても機能します。
フールフールはねむりに強耐性を持っているのでまず効かないですが、呪文反射でフールフールのねむりを誘発できるのもいいですね。
問題はロウのすばやさがそんなに高くないことですが……回復はシルビアの「ハッスルダンス」があるので、ここはいっそ「マホカンタ」係をベロニカに変えるのもありです。
ただし、ベロニカはロウ以上に呪文を封じられたときに別の行動で時間をつぶすことが困難ですので「マホトーン」が掛かっていても「いやしの雨」で全体にリジェネ効果を入れられるロウを採用しました。どちらを採用しても紙装甲なのには変わりないですから。
ベロニカは「あやしい光」で呪文耐性低下を入れることはできるので次走の更新の際はどちらが厳密に安定・最速で勝てるのか詳しく検証してみます。
~戦闘は二倍速でお送りしています~
HPが高めでタフなものの、特別ピンチに陥ることなく勝てました。
捕らえられていた人々を開放し、アイくんはほら穴に散らばっている「大切なもの」の中からチェロンの母の形見のペンダントを勇者の紋章パワーで見つけ、拾いました。
いつも便利な勇者の紋章にはダウジング機能もあるようです。
「これで一件落着ね! 攫われていた村の人も怪我がなくて良かったわ! 戻ったら早速チェロンちゃんに形見のペンダントを渡しに行きましょうね!」
「聖竜の勇者ルート」にしては珍しく、事件の規模の割に被害者はゼロの様子です。
もちろんこの世界にそんな甘いことがあるはずなく、これはただのフラグです。
村人たちを引き連れて戻ったプチャラオ村は、先ほどのどんよりとした雰囲気とは真逆の喧騒に包まれています。
何が起きているのか見ると、なぜか村人たちが踊り狂っています。
楽しそうならともかく、皆さん必死の形相で踊っており、一行唖然とします。
アイくんもみんなと同じようにぽかんとした顔をするのですがレアですね。
基本的には「知っている」のでみんなが驚いていても無反応なのですが。
「……一体こりゃなんだ? なあ、プチャラオ村ってのは旅人に対してこんな歓待をするものなのか?」
「ま、まさか! ほら見てください、恩人の皆さん!」
先ほど助けた村人も必死の否定です。
実際この踊りはハッスルじじい・邪のせいなので呪いと言っても過言ではありません。
体の丈夫な若者ならともかく、よぼよぼの老人まで無理やり立たされてリズミカルに踊らされています。
幸い、アイくん一行が岬のほら穴に出発してからまだそこまで時間が経っていないので無茶苦茶な時間踊っているわけではないようですが、地味に辛そうですよね。
助けた村人たちは混乱しながらも踊り狂っているめいめい「大切な人」のところに戻りましたが、苦しそうに踊っている村人に少しでも触れたとたん、その呪いが伝播して村のダンサーが増えてしまいました。
アイくんたち、思わず後ずさります。
「見た目はコミカルだけどちっともみんなに笑顔がないわね。こんなに楽しくない踊りをさせているのは一体誰なのかしら……」
「うむ。体が自由にならないというのは見た目以上に深刻なことだろう。早く解決しなくては死者が出かねん。
すまない、そこのご婦人……この呪いの踊りはいつから発生したのか、ゆっくりでいいので教えてくれないか」
村人は疲労にもがき踊りながら、先ほど突然村に現れた老人のような見た目の魔物がメルトアのいた古代遺跡の方へ立ち去ったことを教えてくれました。
これで壁画世界に入り、ハッスルじじい・邪を討伐するフラグが立ちました。
フールフールの事件はアイくん二回目なので理解していたようですが、ハッスルじじい・邪の事件は初見ですし、これまでシリアスひたむきに勇者していたアイくんにはこの事件全く意味分かりませんよね。
何とも言えない顔をしています。
まだ過労死するような危険な様子ではないことからも危機感はないようです。
とはいえ、一つ事件を解決して戻ったら次の事件が発生していて……という流れは「エデンの戦士たち」のルーメンに起きた三つの事件のようですね。
度重なる事件に引っ掻き回され、街が滅んだり救われたりしたルーメンと同じく、プチャラオ村もメルトア・フールフール・ハッスルじじいと三度の危機に見舞われています。
どんなに下手な進め方をしてもプチャラオ村が滅ぶなんてことはありませんが。
チェロン・バハトラも例外なく踊り狂っていて形見のペンダントを受け取る余裕もないのでさっさと次の事件も解決します。
壁画世界に踏み込む前にボス戦に備えて並び替え。
アイくん、マルティナ、セーニャ、ロウと並べます。
~壁画世界は二度目なので道中八倍速~
最深部、ハッスルじじい・邪が勝手にお気に入りとして認定した若者と一緒に踊り狂っている現場に踏み込みます。
取り巻きとして踊らされている村人は息も絶え絶えとしていて可哀想ですね。
アイくんは情緒がないのでなんの言い分も口上も聞かずに斬りかかり……カットイン後、ボス戦です。
この戦いも特殊バフはありません。
ハッスルじじい・邪はHP約5400。
闇属性に極大弱点を持ち、さらに弱体耐性がガバガバです。
マルティナを編成した理由はひたすら「あしばらい」を入れてもらうためですね。
セーニャはこの戦いも「さそうおどり」対策に順番にキラポンをばら撒き、ロウはハッスルじじいに「ラリホー」を唱えてさらに足止めし、それ以外は取り巻きどもを倒すために「マヒャド」を連発します。
アイくんは闇属性極大弱点の良い的に向かって延々と「ドルモーア」を連発します。
ハッスルじじい・邪は完全二回行動で「バギクロス」「メラガイアー」「さそうおどり」などがとんできますが、「あしばらい」が非常に有効なため、実質一回行動なので回復は追いつきます。
取り巻きを呼ばれるのが一番面倒で、その時はアイくんに全体攻撃呪文(「大樹の勇者ルート」とは仕様が異なります。あちらでは敵一グループの攻撃呪文です)の「ライデイン」を打たせます。
ハッスルじじい・邪は光属性も極大弱点なので。ダメージ効率は劣りますが、取り巻きどもに「ハッスルダンス」や「さそうおどり」をされることが遅延に繋がります。
〜以下二倍速〜
勝ちました。
ハッスルじじい・邪が消滅間際、「邪神さまに捧げる踊り」と口走ったので一行に緊張感が走りましたが、それ以外は平和なものです。
事故はありませんでしたし。
これにてプチャラオ村の危機は去り、ようやく村に平和が訪れます。
死者なし! 快挙ですね。
被害者たちを再び連れて村に戻ったアイくんはチェロンに形見のペンダントを渡し、チェロンはそれをバハトラに返しました。
チェロンが外に行って取り返しに行ったのだと勘違いしたバハトラがチェロンの頬を激しく打って危険な行為を叱り飛ばしますが、チェロンはチェロンで「父親の大切なもの」ではなかった悲しみを吐露します。
その後、気持ちが通じ合い「本当に大切なのは息子だったが魔物に奪われることを察知して嘘をついた」という真実によって親子が絆を深める流れなのですが、感動のムービーはスキップします。
RTAなので。
「大樹の勇者ルート」ではこの二人の親子愛を見て飛び出した実家に一度戻る決心をしたシルビアですが、既に父親と和解しているのでただ感動するだけに留まり、特にこのイベントを終わらせたからといって何かのフラグになっているわけではありません。まさに一件落着ですね。
以降、商魂たくましいプチャラオ村ではこの踊りを利用しようと観光事業を打ち立てます。
そのひとつが踊るお神輿。
このお神輿、借りることで踊り狂う村人(+シルビア)をフィールドで連れ歩けるようになります。
勇者くんもヒラヒラの服を着て踊ります。
実はこのお神輿を連れている状態だと、その辺にいる雑魚敵のお供にメタル系のモンスターが湧くようになるのでちょっとしたレベル上げにいいですね。
「過ぎ去りし時を求めて」の定石レベリングといえば「スペクタクル・ルーレット」が有名ですが、あれはレベル50以上から効率が良くなってくるのでそこまで上げるまではプチャラオのお神輿メタル狩りがおすすめです。
余談はともあれ、今回はここまでにします。
ご視聴ありがとうございました。
「ホメロスさま、帰還いたしました!」
「ご苦労。魔物が凶暴化している中、よく任務を遂行させてくれたな。下がって休むように」
「はっ! ホメロスさまもご自愛ください!」
「さっさと下がらんか」
古代図書館、聖地ラムダ、ドゥルダ郷に派遣していた兵士たちが帰還し、私のもとに資料が取り揃えられた。
本来門外不出の書物も多いだろうが今は邪神が復活し、世界存亡の危機なのだから慣例など知ったことか。
四大国の国家権力とデルカダール王国による勇者アイのバックアップを全面に押し出して無理やり用意させた。
本当なら私自ら出向きたいものだったが、ウルノーガによって内部から腐敗させられていたデルカダールをそのままにしておくことはできなかった。
兵士たちを各地に派遣して集めさせたのは、「聖竜の勇者」「邪神」「勇者ローシュ伝説」についての書物だ。
デルカダール王国は十四年前ユグノア王国で開催された四大国会議で勇者を全面的にバックアップすると約束した。
その事実を持ち出し、我が王から各地から勇者についての情報を集める許可をもぎ取ったのだ。
「聖竜の勇者……闇の大樹に選ばれ、勇者の紋章を持ち、世界を闇に閉ざさんとする邪神を倒す者。いくら伝説の存在だからといって定義が曖昧すぎる。大樹信仰のユグノア王国が健在ならばもっと具体的に分かったのだろうが……だからウルノーガは勇者の生まれたユグノア王国を滅ぼしたのか。まったく忌々しい。デルカダール王国側の資料は『悪魔の子』にまつわるものはウルノーガの命令で焚書してしまったから全くないしな……」
集められた資料をめくる。
勇者についての記述は曖昧ながらも確かにあった。
曰く、勇者は紋章を持ち。
これはすでに知っていることだ。
我が王曰く、赤ん坊のころのアイの左手の甲にはすでに勇者の紋章があったらしい。
思い返せば、休日だろうがお構いなく熱心に訓練にいそしんでいたアイは常にきっちりと支給された防具か兵服を身に着けていた。
つまり顔以外は覆われる格好だ。
ガントレットか皮手袋をした姿しか身に覚えがない。
あの下にあったのだな。
それで?
何……勇者の紋章は奇跡を起こせる、と。
勇者の奇跡。
奇跡か。
これまた曖昧な言葉だ。
だが、まるで何でもかんでも「勇者の奇跡」とやらで何とかできるとでも言いたげな書き方だ。
アイは確かに闇の大樹に寵愛されているにふさわしい闇の魔法の使い手だが、あれも奇跡だとでも?
アイの努力の結果も奇跡と片付けてきそうで気に食わん。
それに世界に奇跡なんて起きやしない。
グレイグの故郷もアイの出身もすでにこの世になく、私の家も滅んで久しい。
それでも書物によれば世界を救う勇者には奇跡が起きるらしい。
いや、奇跡を「起こせる」らしい。
奇跡のチカラとやらを駆使して世界を救え、というわけか?
「勇者伝説」というだけあって現実的な内容には思えないが。
勇者には大樹から特別な魔力が与えられているという解釈でいいのだろうか。
それを奇跡と呼称していると考えるべきか?
よくわからんな。
次。
曰く、勇者ある時、闇もまた存在する。
あぁ、よく知った言葉だ。
にっくきウルノーガの常套句。
勇者が生まれたから闇は存在する。
そう言って憚らなかった。
ユグノア王国が滅んだのは悪魔の子が生まれたからだとでも?
忌々しい。
まったく逆だったのだ。
ただの詭弁だ。
次。
曰く、勇者ローシュと賢者セニカは恋仲だった。
……そうか。
世界を救う英雄とその仲間の恋愛物語……使い古された冒険譚だがこれが原点か?
いかにも民衆が好きそうな展開だな。
アイも故郷では成人をとうに迎えた年頃だし、あの中の誰かと色恋に……私の部下のアイはこのような危機的状況でそのように恋愛沙汰にうつつを抜かすような軽薄な人間ではない!
まったく。
次。
曰く、邪神を滅ぼした勇者ローシュはその死後、「勇者の星」となって空から世界を見守るようになった。
……あの星から邪神が復活したが?
勇者ローシュが実は邪神だったとでも言いたいのか?
そんな訳はあるまい。
勇者ローシュとその仲間たちは今のアイたちと同じく正義を胸に戦っていたはずだ。
やはり伝説などあてにならんな。
次。
これは……聖地ラムダの書物か。
随分と分厚い本だ。「我らの誓い」というタイトル。
その本曰く。
命を司る大樹は、ロトゼタシアを創造した聖竜が姿を変えたものである。
母なる聖竜は世界の創造前、世界を闇に閉ざしていた邪神と戦い、これを打ち滅ぼしたが聖竜は闇に汚染されてしまった。
大樹は今も闇を抱き、ゆえに勇者はすべての命に司る大樹、この世界で最も光の加護を受けた存在の代行者でありながら、同時に最も闇に近い者である。
我ら聖地ラムダの民、願わくは勇者と共にあらんことを。
聖竜の勇者のお心のままに。
あなたの剣となり盾となる者。
どうかご命令を。
かつての賢者セニカと同じように我らもお供いたします。
世界を光に満たすならば従いましょう。
敵を打ち払うため闇を受け入れるなら助太刀いたしましょう。
その身、勇者のつるぎあれば大樹の大いなる光の加護を受け入れられるでしょう。
その身、勇者のつるぎあれば、大樹の大いなる闇を受け入れる器となりましょう。
大樹のチカラ、あなたの思うままに。
光と闇の選択を我らは尊重いたします。
「その身、勇者のつるぎあれば闇を受け入れる器となりましょう……」
アイは大樹で勇者のつるぎを手にしていた。
この目で見たのだから間違いない。
その後もあのつるぎを装備していた。
その時脳裏に宿ったのはダーハルーネで私を突破していったアイの姿。
感情を殺し、温度のない目で「最善」を突き進んだ姿。
いや、それはいい。
あの場で私を説得するなんてアイにはできなかった。
私は「勇者」すなわち「悪魔の子」であると信じていたし、アイが「勇者」であると理解してしまえばウルノーガにアイを差し出したに違いないのだから。
私が危惧したのはあの時既にアイが振るっていた、強大な闇のチカラだ。
「光と闇の選択……」
――どうしてアイに触れると考えるだけでひどく恐ろしく思えるのだろう。
囁く声さえ、思い出すだけで背筋が凍る。
子どもが夜闇を恐れるように。
生きとし生けるものが、闇を抱く大樹を畏れるように。
かつて私はアイを畏れた。
その身に宿る闇が、怖かった。
――全てを飲み込みそうな程に濃い闇を纏う。
もしかして、アイは、すでに闇を選んだ後なのではないか。
――こんばんは、ホメロスさま!
無邪気で明るいアイの声を昨日のことのように思い出せるのに。
アイこそ光に相応しい存在であるのに。
私を闇から救ったのはアイなのだ。
闇からの呼び声は恐ろしく、そしてひどく心地いい。
きっとアイならチカラにのまれてしまわないだろう。
きっと「聖竜の勇者」ならば、闇を使役することができるのだろう。
闇に傾倒するわけではなく、闇をうまく使って巨悪に立ち向かえるのだろう。そこに疑いはない。
だが、それでも。
闇を受け入れたアイは邪神を倒した後、元の生活に戻れるのか?
あの時点のアイはすでに将軍として一般人よりもよほど戦い慣れている私さえ畏れさせるほどの闇を纏っていたのに。
あのままで故郷の村に戻れるのか?
あのままで、普通の人間として生きていけるのか?
もっと邪推するなら「勇者」は「邪神」を倒した後「奇跡」や「闇を受け入れた」代償をどうやって支払うのだ?
アイはユグノアの騎士出身の父と大樹の王国の王家の一人娘の間の子。
「勇者」であろうが、その身に流れる血は赤く、人間だ。
人なのだ。
私と同じ人間で。
決して魔に連なる存在ではないのだ。
人間というのは……弱く、時に闇に屈するが……そもそもは、太陽のもとに生きる光寄りの存在だ。
そんな存在が闇を受け入れる?
誰もが近寄り難い大樹の闇を?
アイは、遠からず苦しむことになるだろう。
「では、アイを、誰が救える?」
アイには信頼できる仲間がいる。
私が最も信頼できるグレイグだって傍にいる。
だが、あいつらはきっとアイの選択を尊重してしまう。
きっと苦難を共にして、そうせざるを得なくなって、歯を食いしばって見ているのだろうな。
簡単に想像がつく。
ウルノーガとの戦いで見た、あんな自分の身を顧みない戦い方をするようになったアイをずっと間近で見てきたのだから。
私は必死で本を読み漁る。
ほとんど物語のようなものしかなかったが、読み取る限りは、先代勇者ローシュはどうやら「大樹から光の加護を受けた」勇者だったらしい。
強力無比な雷の魔法を使役し、様々な剣術に長けていたとある。
しかし邪神が勇者の星から復活したということは、先代勇者ローシュの戦いの結末は恐らく……。
「光の加護では邪神に勝てなかった。アイはそれを知っていたのか?」
――あなたに光の加護がありますように。
あまねく命を見守るような、高貴な微笑みを思い出す。
私は首を振って邪念を振り払うと資料を読み漁る作業に戻った。
ホメロス
古今東西の戦術に通じたデルカダールの知将。
わずかな部隊で定期的に行うデルカダール王国領内の魔物の一斉退治を成功させ続けるなど、数々の実績を残している。
確実な勝利のために、戦況に応じた作戦を実行する的確な判断力と迅速な決断力を備え、本人も剣と魔法の両方に優れた魔法剣士。
一時の感情よりも合理的な判断を重んじるゆえに冷酷な性格だと思われがちだが……。
三等兵の勇者
相棒カミュがデルカダールの地下牢に投獄されるまで正体を隠して潜伏する勇者の仮の姿。
英雄グレイグ、知将ホメロスのどちらの下で働くかは入隊時に見せる力によるだろう。兵士としての顔で鍛錬を重ねながら、虎視眈々と旅立ちの日を待っている。
闇の大樹が抱く世界で君の選択は「運命」を変え、結末を変えることもできるだろう。
――「聖竜の勇者ルート」版公式ホームページのキャラクター紹介より
添付されたイラストの紫の瞳の勇者は、知って知らずか画面の向こうに向かって強い視線を送っている。
どこ好き?
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RTA部分:数値付き解説
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RTA部分:ストーリー解説
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RTA部分:走者の他作語り
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小説部分:アイ視点
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小説部分:カミュ視点
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小説部分:セーニャ視点
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小説部分:マルティナ視点
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小説部分:ロウ視点
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小説部分:シルビア視点
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小説部分:グレイグ視点
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小説部分:ホメロス視点
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小説部分:その他視点
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全般:再構成ストーリー
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全般:原作死亡キャラ生存
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