【完結】【自己ベスト記録】過ぎ去りし時を求めてSS~聖竜の勇者ルートRTA:24時間31分44秒22   作:ryure

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Part5 魔蟲のすみか~ダーハルーネの町

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元上司をボコるRTA

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ドラクエ11SS/聖竜の勇者ルート/縛りなしRTA


聖女より走者が祈っています。

それでは続きをやっていきますね(蘇りしトラウマたち)。

 

RTA走者のトラウマ、序盤の壁ことデスコピオン戦は開幕全員「命令させろ」に変更するところから始まります。

AI戦闘に任せられるようになるのはもう少し先ですね。

また、残念ながらこの戦いでは特殊バフなんてものはありません。

NPCシルビア姐さん参戦だけが唯一の良心です。

経験値的にアイくんだけは落ちないように気合を入れて祈ります。

基本の入力コマンドは、アイくんは「ドルクマ」、カミュは「ヴァイパーファング」、双子はぼうぎょです。

カミュは「もうどく」を入れたらゾーンに入るまでぼうぎょ、もうどくが切れたら再び「ヴァイパーファング」。

ゾーンに入ったらすかさず連携「暗黒陣」。

アイくんはひたすら「ドルクマ」で削っていきます。

セーニャは回復ライン(HP40)になったら回復し、状況に応じてMP回復係もします。

ベロニカはぼうぎょでしのぎつつ、セーニャだけでは回復が間に合わない時のみ「やくそう」で回復参加します。

そして最も重要なことですがアイくんが落ちないように祈ります。

アイくんだけは落ちないように祈ります。

以上です。

 

余談として、デスコピオンにはねむりが入るため、カミュに「ヴァイパーファング」ではなく「スリープダガー」を取るチャートもありますが、私は長引くほどにこちらが不利になるのが嫌で、速攻で倒したいため、より攻めたチャートを選んでいます。

また、デスコピオンにねむりが効くとはいっても耐性持ち。

そんなに簡単に寝るわけではないですし、寝てもすぐ起きますからもうどくで確実にダメージを入れていきたいというわけです。

この戦闘はもちろん全員生存が望ましいですが、アイくん以外は死んでいても本走は続行します。

本当の意味で耐久が欲しいのはアイくん、グレイグだけでセーニャはあればあるほどいいですが、あとのメンバーは二発ないしは三発攻撃に当たればほぼ落ちると考えて運用します。

ところでたいていセーニャはちゃんと一発耐えているのにしょっちゅう一撃で絶える男がいるらしいですが……。

「二刀の心得」を習得するまで空いた右手に盾とか持ってくれませんかね。

叶わぬ願いでありました。

 

本走ではなぜかカミュの配置をどこにしてもやたらと被弾が多く、想定以上に死にまくっていました。

今回は先頭に置いていたので仕方ないとは思いますが代わりに想定していたよりもアイくんが生き残り、おかげでアイくんのレベルをいい感じにあげることが出来たのでタイム更新に繋がったと言っても過言ではありません。

見ようによってはグレイグよりメイン盾でした。

 

という訳で暗黒陣を入れた瞬間、カミュが落ちましたね。

仕事はきっちりしてくれました。

「せかいじゅのは」が一枚しかないので起こしませんが彼はもうどく、さらに「暗黒陣」とスリップダメージをしっかり入れた仕事人です。

あとはアイくんの「ドルクマ」とカミュの置き土産がデスコピオンをなぶり殺しにするのを待つのみ。

 

はい、非常に良いタイムで勝てました。

ベロニカも危うく死ぬところでしたがなんとか生き延びてくれたので無事レベルアップしましたね。

イベントムービーでカミュが何事も無かったかのように(HP1)生き返りました。

しっかりムービースキップします。

 

王子一行が先にサマディーに帰っていきました。

日本人なので荷馬車に拘束されたデスコピオンが海鮮売り場の伊勢海老みたいに見えて美味しそうに見えなくもないです。

ちょっと何言ってるか分からないですね……

(美味しそうには見え)ないです

 

続いて私たちも「ルーラ」でサマディーに戻る……のではなく、再びフラグを立てに行きます。

「ルーラ」でキャンプ地に引き返し、お馬さんダッシュでバクラバ石群へ。

輪の内部に入ると再びムービーが流れます。(スキップ不可)

アイくんの影からずるっとニズゼルファくん(時の化身のすがた)が現れ、石群の真ん中に向かおうとします。

もちろん放置していても今は肉体を呼び寄せようとはしませんが……ここで選択肢が出ます。

 

「現れた謎の黒い魔物? から深い闇の力を感じる……今なら闇のチカラを奪うことが出来そうだ。チカラを奪いますか?」

→「はい」「いいえ」

 

「いいえ」を選ぶと当然何も起こりません。

そしてわざわざしなくてもストーリー進行するのに引き返してきたのはもちろんニズくんからチカラを奪うためです。

最終的には邪神を倒すお話なのにその邪神からパワーをカツアゲする勇者くん。

かわいい顔してやることはえぐいのです。

 

「おいおいアイ、どうしたんだ? 早くサマディーに戻ろうぜ」

 

相棒もこの通り国宝を狙うような盗賊ですし、世界を救うためなら邪神からちょっとカツアゲしても大した問題ではありませんね多分。

ムービーでは視点がカミュに切り替わり、アイくんが何もない石群の真ん中にふらふらと歩いていっているように見えますね。

続いてアイくんに視点が戻り、足元を見下ろし、こっちを見ようともしないニズくんに手を伸ばしながら、おもむろにしゃがみ込みました。

暗転。

ほら、ニズさんや。

闇なチカラ持ってんだろ?

ジャンプしてみろよ!

足元でのたうち回っているニズくんと、ニズくんの腕? を何本か引きちぎって握りしめ、全身から怪しげな紫の光を立ち登らせつつ、無表情という明らかに様子のおかしいアイくんを見てカミュとセーニャ、少し離れたところでシルビアさんも唖然としていますが、ベロニカだけはすぐに冷静に戻って話しかけてくれます。

 

「アイ……あのねぇ、いくらなんでも拾い食いは良くないわよ」

 

何を言われるかと身構えていたアイくんに表情が戻り、ぽかんとした顔をしました。

ベロニカはやれやれという感じで肩をすくめ、そしてアイくんに手を差し出しながら、

 

「戻りましょ。もう用事もないでしょ?」

 

と仰るわけです。

ベロニカさんはどこまでも懐が広いですね。

見上げるベロニカの顔アップがかわいい。

アイくんがおそるおそるベロニカと手を繋ぐのもかわいいですね。

かわいい勇者とかわいい魔法使いで画面がかわいいであります。

イベントは以上です。

 

それでは今度こそサマディーに「ルーラ」します。

こちらはこちらで着いた瞬間ムービーが始まりますが、特に選択肢がないのでムービースキップできます。

 

さっきのイベントの効果ですが、こちらは特にドルマ系の威力は上がりません。

能力値に変化はないですが、邪神との戦闘の時に真価を発揮します。

ニズゼルファ戦でのステータスが一割ほど下がり、ニズくんからアイくんがタゲられにくくなります。

とはいえ全体攻撃は普通に当たるので注意しますけど。

さらにニズくんはアイくんに攻撃した時、必ずダメージの六分の一を反射されるようになります。

ダメージ反射といえば刃の鎧ですが、「刃のよろい」と違って全体攻撃だろうが非接触技だろうが反射する特別仕様です。

 

しかもアイくん側のデメリットは特にないですが……厳密には呪い耐性が若干上がって光属性耐性が若干下がるそうです……多少周囲の会話が変わり、町の人などがアイくんを見て「やさぐれるのは良くない」「不良のお兄ちゃん」などと供述したり、ウルノーガ戦後のデルカダール兵が「ホメロスさまより悪役似合ってるぜ」とか言ってきたりします。

ちょっとワルっぽい雰囲気になるんですかね。

という訳でニズくんメタのための対策でした。

どんなボス戦もメインアタッカーアイくんが生きていれば勝利を掴める可能性がありますからね!

それは邪神戦だって同じですから!

 

メインストーリーの方に話を戻します。

ファーリス王子がサマディー王にこれまでの真実を語り、そのうえできちんと当初の約束通り「真闇のきれはし」をアイくんに与えるように言ってくれていますが、「大樹の勇者ルート」の「虹色の枝」と同様、ファーリス杯の資金確保のためにすでに売りに出されていることがわかりました。

ということでサマディー王から関所を越えるための「サマディー王の書簡」を貰い、船のあるダーハルーネへ向かうことに。

街から出ようとするとシルビアが正式に仲間になります。

「既視感」があるのであっさり受け入れていますね。

 

ダーハルーネまではやや遠いですし、馬の使えない区間もあるので早めの十六倍速でお送りします。

ダーハラ湿地ではこれまで通りエンカウントを避けつつ、街に入る前にひとつ調整をする必要があります。

 

着くまでダーハルーネでの動きを解説します。

本チャートは「ホメロス生存ルート」。

つまりホメロスが闇堕ちしていないのでダーハルーネでの悪役ムーブ……ヤヒムくんの喉に呪いをかけたり、魔物を操って船を攻撃してきたりしません。

清く正しい正義の味方デルカダールの知将ホメロスがダーハルーネにいるのは「国宝レッドオーブを盗んだ国賊カミュの捜索と、国賊に連れ去られた可哀想な被害者である三等兵アイの救出」が目的であり、ものすごく真っ当な理由です。

つまり、「さえずりのみつ」が必要ないので「霊水の洞窟」のシーゴーレム戦がカットされ、さらにホメロス戦の難易度が上がります。

二年間兵士だったのでアイくんの動きが見切られているというわけですね。

 

メインアタッカーのアイくんがこれではレベルを上げずに勝てるはずもありません。

しかし、レベリングして真っ向から戦うならこれまでわざわざ時間をかけてホメロスを懐柔した意味は全くありませんよね。

 

ちゃんと微強化ホメロス戦の勝ち筋は用意してあります。

それではまず、ダーハルーネに入るまでにアイくんのHPを四分の一以下(もしくは黄色を越えてオレンジのHP表示になるまで)まで削ります。

アイくんを先頭に置き、適当にエンカウントして削れたら逃げるなり倒すなりして調整します。

次に必要なのはホメロスの好感度最大と、周囲の評価「ムードメーカー」以上の好感度。

これまでに達成してきましたね。

これらが揃うとホメロスの戦闘中の行動が変化し、こんな低レベルでも安定して勝てるようになりました。

結構挙動が面白いので具体的なものはホメロス戦で見ていきましょう。

 

調整も完璧に済み、ダーハルーネに到着しました。

ジメジメした入り組んだ湿地帯をくぐりぬけ、長い通路を抜けると眼前に広がったのはおしゃれな港町。

初見ムービーは初見ではないアイくん目線なので流れませんが、入口近くのNPCに話しかけるとダーハルーネ全体を見渡すことが出来ます。

整然と並んだ建物に整備された水路、水に浮かんだいくつものゴンドラ、広場の見通しの良いステージなど、ドラクエ11の中でもかなり綺麗な街並みですね。

あちこち探索をしたいところですが、RTAなので早急に物色と買い物を済ませます。

 

回収物はいつものように右に表示しておきます。

重要なのは「ちからのたね」(使用:カミュ)と「まほうのせいすい」、「破封のネックレス」(入手後セーニャに装備、余った「金のブレスレット」はシルビアへ)です。

道中、船のドック→フラグを立てに町長の家を訪れておきます。(ドックで仲間が二手に分かれます)

町長ラハディオの家では「大樹の勇者ルート」のように邪険にされることはありませんが、心配そうな顔で

「君がアイくんか? デルカダールから来たっていう年の離れたお兄さんが随分と心配されていたよ。故郷でお母さんも心配しているそうじゃないか。冒険もいいがそろそろお家に帰りなさい」

「あれは兄ではなく上司? ならば尚更仕事を放棄してフラフラするなんて良くないことだ。幸いお兄さんは解雇する気はないようだから戻ってきちんと謝りなさい」

などと商人&人の親目線で説教されます。

ホメロスは行方知れずのアイくんのことをなんて説明をしているんでしょうね?

なおドックを開くのはどんな事情があっても海の男コンテストの後だとしっかり説明されてしまいます。

 

フラグ立てと物色が終わったら買い物です。

アイくんに「鉄のよろい」、シルビアに「レザーマント」、ベロニカセーニャに「皮のドレス」を購入します(「皮のドレス」は買わないで攻めるチャートもありますがお金が足りていたので買いました)。

以降、武器の買い替えはヴァイパーファングを通すため、攻撃をミスしない程度にカミュの攻撃力を引き上げるためだけに買い替えをします。

あとは落ちているもので十分です。

 

それでは中央のステージに近づくとイベント発生。

ホメロスがあからさまにイライラしながら周囲の兵士になにやら指示飛ばしていますね。

カミュも白い鎧にピンクの裏地のマントが目立つホメロスに気付き、選択肢を提示します。

 

「まずいな、デルカダールの軍師サマの登場か。見つかっちまうと牢屋に逆戻りだ。アイ、街の外に出てこの場をしのぐか?」

 

ここは「いいえ」を選択します。

ここで「はい」を選ぶと見つかるまで会話が多く、時間もかかるのでとっととホメロスに見付かりましょう。

時間を稼いでもこの後の流れは一緒です。

 

「じゃあ街の中に身を潜めるか?」

 

こちらを「はい」と選択します。

二人で頷き合い、ステージに背を向けて逃げようとしますが、ホメロスはアイくんを見逃しません。

グレイグといい、ホメロスといい、兵士イベントの時からまるっと服装を変えたアイくんのことを遠目からよく見逃さないものですね。

 

「……アイ?」

 

素直なアイくん、分かりやすくビクッとしました。

が、カミュの手を引いて突っ走ろうとして、あっという間にデルカダール兵に囲まれてしまいました。

 

「ホメロスさま! アイを発見しました!」

「見つかって良かった!」

「故郷の村でお母さんが心配しているぞ!」

「早く戻ってホメロスさまのヒステリーを抑えてくれ!」

「何をネタに脅されているんだ!?」

「大丈夫だ、もう大丈夫だからな」

 

自分がデルカダールでどんな扱いをされているのか悟ったカミュの顔がひきつっていますね。

素っ頓狂に心配されるアイくんと対称的にカミュには容赦なく剣やら槍やらが突きつけられ、まさしく悪魔の子ごとき扱いをされています。

 

「皆の者、よくやった! そのまま国賊カミュを捕縛する! 二人をそのままこちらへ連れてこい!」

 

知将ホメロスの目に見えてご機嫌な姿はなかなか見ものです。

アイくん見つけてウキウキしていらっしゃるところ申し訳ないのですが、アイくんは見た目通りの幼くて可愛くて大人しい一般兵士くんではなく、地獄を見てスレて四六時中演技しているようなしたたか・魔導勇者くんなので(アイくんって非常に表情豊かな少年ですが、「大樹の勇者ルート」を見る限り彼の本来の姿は無表情気味の無口な少年です)むざむざとかつて歩んだ道を再演したりしません。

突然ゼロ距離ドルマをぶっぱなして周囲の兵士たちを躊躇なく蹴散らしたアイくんはカミュの腕を引っ張って走りました。

が、背後をしっかり兵士と野次馬に固められているので引き返すことができず、仕方なくホメロスに襲い掛かりました。

ホメロスのいるステージ側は人がいないですからね。背後ががら空きですよ!

 

どう見ても悪役はこっちですが、戸惑いを隠せない様子のホメロスとの戦闘が開始します。

するとフラグ立てが十分だったのでホメロスが戦闘になっているというのに話しかけてきました。

これはこの段階でホメロスの好感度が最大だと行う挙動で、しかもこれ、ホメロスのターン消費します。

つまり、話しかけてくる間は攻撃も防御もしてきません。

完全な無防備です。

戦闘中に隙を晒している軍師には「ドルクマ」をぶち込んでやりましょう。

カミュは適当に殴っておけば問題ありません。

運よくゾーンに入ったら暗黒陣を入れます。

 

「アイ……? なぜ私に剣を向けるのだ……」

 

フラグ立てが十分でない場合、好感度上昇によるホメロスの行動不能はこの一ターンで終わりです。

しかし、アイくんはさらに自身のHPを削っておきました。

好感度最大+アイくんの瀕死でホメロスがさらに話しかけてきます。

 

「アイ、怪我をしているのか? この前落馬したそうじゃないか、怪我を治してももらえなかったのか?」

 

すごく真っ当に心配してくれているホメロスを無視してさらに「ドルクマ」をぶち込みます。

まさしく悪魔の子ですね。

それにさっきその辺の魔物でHPを削っておいただけなのに結構前の落馬のことを心配してくれるホメロス、優しいですね。

グレイグとの追いかけっこで派手に落馬してもHPは減りませんし。

 

「アイ! どうしたんだ、相手はホメロスさまだぞ! 正気に戻ってくれ!」

 

三ターン目は横槍です。

ほかの兵士が話しかけてくる上にホメロスは攻撃してきません。

様子を伺ってきます。

こちらは好感度「ムードメーカー」以上で発生します。

もっと好感度をあげるとセリフが変わりますが足止めターンは増えません。

 

「……アイ、目を覚ませ!」

 

四ターン目、ようやくホメロスが攻撃してきますが、必ずアイくんを狙い、そして必ず空振りします。

瀕死の部下にこの期に及んで攻撃できないんです。

これも好感度が最大、HP瀕死ラインの時のみ起こる挙動です。

ここでダメージ計算してみます。

二人の攻撃合わせて一ターンにつき、130程のダメージが入っていて、それが四ターン。520ダメージほどということに。

ダーハルーネでのホメロスのHPは630。

アイくんの「ドルクマ」は100-120ダメージで、かつ五ターン目にホメロスの行動がなんであれ、次のターンのホメロスは「アイくんを倒すことはない」「HP満タンのカミュはホメロスのいかなる攻撃も一撃は耐える」のでゲームセットです。

 

哀れ撃破されたホメロスは膝をつき、アイくんを見上げていますが忌々しいという様子はなく、ひたすら呆然としています。

信じて育てた部下にボコボコにされ、話も聞いてもらえなくてかわいそうですね。

背後の海ではシルビア姐さんが船を連れてきていて、すでにほかの仲間が乗り込んでいますね。

それを見たアイくんが戸惑い気味にアイくんとホメロスを見比べていたカミュを突き飛ばして船の方に押しやりました。

 

続いてアイくんも船に乗り込もうとしましたが、振り返ります。

ホメロスがアイくんに愛着があるように、アイくん側も二年間でホメロスに愛着が湧いたんでしょうか。

そうでなければ合理・速攻・脳味噌ドルマなアイくんがわざわざ振り返るはずもありませんよね。

 

「アイ……操られているのだな……」

 

ここまで完膚なきまでにボコられていてもまだ信じてくれます。

というかフラグ立てが完璧なのでホメロスはアイくんを疑いません。

アイくんが勇者だとそろそろ聞いていてもおかしくないのに、です。

そんなこじらせ三十四歳軍師を手玉に取っているアイくんは引き返し、ホメロスに何やら囁くと今度こそ船に飛び乗っていきました。

 

「我が王を疑え……? どういうことなんだ、アイ……」

 

呆然と呟くホメロスのアップからの暗転。

次は大樹で会いましょうね。

ロード後、一行の船旅が始まります。

 

きりがいいので今回はここまで。

ご視聴、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 退路を絶たれ、盗賊と共に私の方へ向かってきたアイは、これまでの人生で感じたこともないほど濃厚な闇の気配を纏っていた。

 私がかつて夜闇に紛れて聞いていた、闇からの呼び声なんて比ではない。

 まるで空に浮かぶ闇の大樹そのもののような、人間が触れてはならない根源の闇を内包しているように思えたのだ。

 アイの周りだけ、夜闇に包まれているかのように錯覚してしまう。

 

「闇の力よ!」

 

 アイは無表情に唱えた。

 鋭く、低く、感情もなく、淡々と。

 一切の躊躇なく、かつて同じ釜の飯を食った兵士たちに闇の魔法をぶつけた時と全く同じように、温度のない目をしてアイは私に……憧れだと語り、使えるようになった暁にはたくさんの魔物を倒し、王国領を平和にしたいのだと目を輝かせていたドルクマを、私に向けて放ったのだ。

 

 残酷なことに、そのドルクマは完璧だった。

 文句の付けようもない一撃と言えた。

 的確に私の体を痛めつけ、叩きのめしにかかる闇の力。

 鎧越しでもなお、その一撃は私の体を焼いた。

 炎とは違い、火傷が残る訳では無い。

 しかし、闇に蝕まれた肉体の治りは通常より遅いのだ。

 そんな闇の魔法のタチの悪さは私がアイに教えたことだ。

 だというのに……アイは、戸惑うことなく、人に向けたのだ。

 

「この世の理たる闇の力よ!」

 

 必死の呼び掛けにも応えず、淡々と私に攻撃するアイ。

 そこに彼の意思はあるのだろうか?

 さざなみをたてぬ沼のように深く、静かで、だが澱んでいるように暗い瞳を見、訴えかけても眉ひとつ動かさない姿は尋常とは言えないだろう。

 あの瞳の輝きは見る影もない。

 やはり、これはアイの意思ではないのだ。

 洗脳されているのか! 私はそう確信する。 

 

 なにか薬でも使われたのか、それとも魔法によるものなのか、はたまた浴びせられた言葉と与えられた環境によるものなのか。

 これは、ただ単に脅されただけでできるようなことではない。

 正義感に溢れ、いつでも無邪気で明るいアイの理性があってこんなことをできるはずもないではないか。

 

 ふと、アイの魔法に耐えながら正気に戻す糸口はないかと様子を伺っていると、アイは戦いながらも酷い怪我を隠していることに気づいてしまった。

 露出が少なく、目立たない旅人らしい服装だが、そでやら首元やらに乾いた血がこびり付き、唇からは今も出血し、よく見れば足を引きずってさえいる。いくら魔法が得意とはいえ、アイは剣の腕にも長けていた。

 だというのにすぐに剣を収めて魔法ばかり唱えてくるのも腕を痛めているからか!

 

 グレイグの報告によれば、無理やりにでも盗賊と引き離そうとした結果アイは手酷く落馬し、しかしそれをまったく気にかけることなく走り去ったという。

 まさか、まさか、良いように扱われているアイは怪我さえ治してもらっていないのか?

 もしかすればここまでたどり着くまでに魔物の攻撃からの盾にでもさせられていたのかもしれない。

 

 傷を気にかけることなく、アイは詠唱を続ける。

 光の無い目で。

 私を、そんな目で見たことは一度もなかったのに。

 

 あぁ。痛みすら感じていないかのように。

 異様だ。

 まったく異様である。

 アイを正気に戻すべく、呼び掛けを続ける。

 

「薙ぎ払え、我が闇よ!」

 

 しかし、アイは止まらない。

 私という邪魔者を押しのけ、私の前からいなくなってしまおうとしている。

 濃密な闇は私から力を奪うのに十分で、可愛がっていた部下の素晴らしい成長を素直に喜べないことのなんと歯がゆいことか。

 

 この魔法の上達が真っ当なものならば私はどれだけアイを褒めてやれただろう。

 だが、これは不本意なもの。

 無理やり流し込まれた闇の力に違いない!

 あぁ、元に戻してやらなくては。

 しかし、私の手は届かない。

 

「アイ……操られているのだな……」

「ホメロスさま」

 

 無表情なアイが、ようやく振り返る。

 デルカダールからアイを連れ去り、アイを捕らえ、それに加担する悪逆の連中を逃がし、自分も立ち去ろうとして、ようやく踏みとどまる。

 しかし、近づいて気づいた。

 その目は静かだった。

 わずかに理性のようなものが見え隠れし、だがあの輝きはない。

 暗く澱んでいるのではなく、ただただ夜闇のような静けさがあった。

 

「ホメロスさま、モーゼフ王をお疑い下さい。どうか」

 

 だが、ひとつの囁きだけを残し、アイは行ってしまったのだ。

 闇に魅入られ、闇に操られ、その才能を食い潰されようとしている哀れなアイ。

 正気ではないだろう、まともな状態とはいえないだろう。

 なのにどうして、狂わされてしまったアイの言葉が耳につく?

 その言葉は盗賊が吹き込んだのかもしれないのに。

 

 我が王を疑え?

 どういうことなのだ?

 それがアイの居なくなった理由なのか?

 

 あれほど近かったのに、あれほど話したというのに、今はあんなに遠い。あの背を叩いて激励した過去があったというのに、どうしてアイに触れると考えるだけでひどく恐ろしく思えるのだろう。

 囁く声さえ、思い出すだけで背筋が凍る。

 子どもが夜闇を恐れるように。

 生きとし生けるものが、闇を抱く大樹を畏れるように。

 

「アイ……」

 

 既に船が遠い。

 あぁ、取り返さなくては。グレイグの言うように親元に返してやらねば。

 壊れそうな程に脆く、全てを飲み込みそうな程に濃い闇を纏う。

 そんなアイは知らない。

 闇の魔法こそ得意だったが、アイほど光の、真っ当な世界の似合う人間はいないのだから。

 正義の名のもとに、私は奴らを野放しにはできないのだ。

 

 私はアイの憧れである、デルカダール王国屈指の正義の人、双頭の鷲……知将ホメロスなのだから。




手玉に取られるホメロスおじさん

どこ好き?

  • RTA部分:数値付き解説
  • RTA部分:ストーリー解説
  • RTA部分:走者の他作語り
  • 小説部分:アイ視点
  • 小説部分:カミュ視点
  • 小説部分:セーニャ視点
  • 小説部分:マルティナ視点
  • 小説部分:ロウ視点
  • 小説部分:シルビア視点
  • 小説部分:グレイグ視点
  • 小説部分:ホメロス視点
  • 小説部分:その他視点
  • 全般:再構成ストーリー
  • 全般:原作死亡キャラ生存
  • その他(感想・コメントへ)
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