詰みゲーみたいな島(四国)に人類を滅ぼす敵として転生した百合厨はどうすりゃいいんですか?   作:百男合

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 全国の変態叡智を愛するみんな! シコんにちは~。
 みんな大好きセキレイハメ。
 さて、本来はこのお話で物語は終了して完ケツ済み小説にするつもりだったパコが104話という中途半端な話数だったから物言いが入ったハメ。
 どうせならキリのいい数字の話数で終わらせた方がいいんじゃないかって。
 それなら本編の100話で終了させた方がよかった気がするパコ。
 まあ、そういったわけで次の105話でこの変態叡智小説も終了ハメ。
 これでボクの出番も終わり。これからはゆゆゆ新作アニメをスマホ越しにオ〇ホ越しに見る生活が始まるんだパコねぇ。
 その日まで放送休止期間という泥水とスク水をすする苦い日々を送り、放送開始日まで生き残ってイきパコって日々シコるつもりハメ。
 それではその日まで皆様、よい叡智叡智ライフを~!


【ヘテロ】バッドエンドルームにようこそパコ(園子・銀編)【注意】

 映像が終わり部屋が明るくなる。

 自分に向けられる4人の視線に顔を真っ赤にしながらそれでも夏凛はきっと見返した。

「なによ。言いたいことがあるなら言いなさいよ」

「いやいや、夏凜。アンタどの口で友奈のことあれこれ言ってたのよ」

 風の言葉に「ちょっとお姉ちゃん!」と樹から待ったがかかる。言うにしてももうちょっとオブラートに包めということだろう。

「わかってるわよ自分が間抜けなことは。今だから言うけど、あの時にはもう明吾に対する好感度というか、好きな気持ちがカンストしてたのよねあたし。だから、きっかけさえあれば」

 夏凛の言葉にうんうんと東郷がうなずいている。彼女にも覚えがあるのだろう。

「あたしの世界の風や樹、東郷には不義理なことをしたと思ってる。でもしょうがないじゃない! 好きって気づいちゃったんだから!」

「大丈夫ですよ夏凜さん。少なくとも夏凜さんの世界のわたしは応援してると思います」

 樹の言葉に夏凜はそっぽを向いて「ありがと」と小さく言う。それに続き風も告げる。

「まあ、最終的に両思いになったんならいいんじゃない? アンタらが幸せならそれに越したことはないわ」

「風…」

「私は許さないわ。元の世界に帰ったら風先輩と夏凜ちゃんは警戒対象ね」

 感動的な雰囲気だったのに東郷の言葉で台無しになった。

「考えてみて友奈ちゃん、樹ちゃん。夏凜ちゃんは私たちが明吾君…いえ、丹羽君を好きだとわかってるのに油揚げを奪うトンビのようにかっさらっていったのよ」

 その言葉に友奈の目のハイライトが曇る。

「そういえば、新天地調査の時、明吾君とずっと一緒にいるんだよね夏凜ちゃん。許せないなぁ……明吾君の隣は私だけの場所なのに」

「ちょ、友奈さん落ち着いて! なんか東郷先輩よりヤバいオーラが出てます!」

 オーラというよりは瘴気(しょうき)に近いプレッシャーを部屋中にまき散らしながら言う友奈を必死に落ち着かせようと樹が奮闘していた。

「それに風先輩は2人きりになった途端本能に任せて丹羽君を襲ったわ。力は丹羽君の方が強いけど性格からして風先輩を強く振り払えないはず。だから結局最後まで致して」

「しねーわよ! というか、少なくとも樹の世界のアタシはちゃんと妹の恋路を応援したいい姉だったでしょうが!」

 東郷の言葉に必死に否定する風。それを見つめる友奈、夏凜、樹の瞳は懐疑的だ。

「そうだね東郷さん。私、2度と風先輩と夏凜ちゃんは近づけないことにするよ。特に風先輩はお正月に甘酒飲んで酔っぱらって明吾君に抱き着いてた。あれも今考えれば確信犯だったんだね」

「あ、それあたしの世界でもしてたわ。明吾のやつもデレデレしてたから腹立ってたのよ」

「お姉ちゃん…」

「待って! マイシスター! 友奈と夏凜はいいけどアンタだけはアタシを信じて!」

『いやー、いい感じにギンギン…じゃなくてギスギスしてるハメねぇ。他人の不幸でオメ…じゃなくてオコメがおいしいパコ』

 セキレイの言葉に風はそもそもこいつが元凶だと思い至り着ぐるみのような胸ぐらをつかみ上げる。

「このクソ鳥めぇ…上映会も終わったんだからもうアタシたちを解放しなさいよ。元の世界に戻しなさい!」

「おおっと、それはまだ早いよふーみん先輩!」

 声と共に最後のガラスをぶち破れ!AAのように空間を無理やりぶち破って現れた何者かがスーパーヒーロー着地を決める。

 その姿にセキレイは『ハメェエエエ⁉』と珍しく取り乱し必死にそいつから離れようとしていた。

『の、の、乃木園子様ぁ! なんでこんなところにいるパコ!? あなた様は今回招待してないハメよ!』

 その言葉に「そういえば」と勇者部の5人は思う。

 勇者部で丹羽と付き合ったメンバ―の中に彼女がいないのはおかしな話だ。園子は加入時期こそ遅かったものの丹羽と共通の趣味(百合イチャ観察)を持ち、話が合うお似合いの2人だった。

 それこそ自分たちも嫉妬するほどの。それなのになぜ?

 それにセキレイのこの狼狽え様、何かあるに違いない。

「よくないなぁ…セキレイさん。わたしに内緒でこんな楽しいことしてたなんて」

 白い勇者服で槍を構える園子に『はわわ』と見た目に似合わないかわいい声を出しながらセキレイは後ずさる。

『いやぁあああ! もう勘弁してほしいパコォ! 小説のネタ探しのためにいろんな世界のご主人様と勇者部の皆との叡智叡智ライフを再生するのは嫌ハメ! もう逆さに振っても赤玉も出ないくらい能力使ってボクはマン身創痍なんだパコ!』

「嘘はダメだよ~。さっきまでふーみん先輩やわっしー、イッつんにゆーゆににぼっしー。5人の恋模様を再生したんでしょ?」

 笑顔で近づいてくる園子にめちゃくちゃ涙目になりながらセキレイは必死に逃げようとしていた。だが腰が抜けているのかバタバタするだけで全然動けていない。

「今回もネタに詰まっちゃってさぁ。いやー、別次元に逃げたから探すのに苦労したよ。この前のわたしと女体化したにわみんとイッつんとの三角関係のアイドルものを見せてもらった後ちょっと目を離した隙に逃げるなんて思わなかったからねー」

「あの、そのっち。その鳥…というか精霊と知り合いなの?」

 明らかに園子を恐れている下ネタしか言わないはずのセキレイが必死に命乞いしている姿に戸惑いながら、親友の東郷がみんなを代表して質問する。

「この子の能力は本当に便利なんよー。みんなも見ただろうけど、この子は別世界のあったはずの可能性の世界を見せてくれるんよー。それこそにわみんがわたし以外とお付き合いした世界とか、そこに至るまでの分岐点とかね」

 その言葉にこの園子も丹羽とお付き合いしている世界の園子なのだと全員が理解した。

「でもそれってその…嫌じゃないの? だって自分の恋人と他の女がイチャイチャしてる映像を見せられるのよ?」

「うーん。別に気にならないかな。わたしのにわみんはちゃんとわたしのこと大切にしてくれるし。それに、わたしはにわみんを独り占めしようとは思わないしねー。ミノさんだけじゃなくわっしーやみんなともにわみんを共有してもいいと思ってるし」

 その言葉に信じられないという顔をする友奈と東郷。

 さすが乃木家。懐が深い。それが恋愛方面にもあてはまるのが倫理的にいい事かどうかはわからないが。

「あ、ちなみにわたしはミノさんとにわみんを共有してるよ。にわみんって体力底なしだから。ほら、夜とかどうしても…ね? ふーみん先輩とにぼっしーならわかるでしょ?」

「確かに最終的にアタシが倒れて後片付けはアイツにしてもらうのは悪いと思ってるけど…って、なんで知ってるのよ!」

「いつも気絶するまで責められるからやり返したいとは思ってるけど、返り討ちに合うのよね。それがまたたまらないんだけど…ってなに言わせんのよ!」

 思わず素直に答えてしまった風と夏凜だったが園子がそのことを知っていることに驚き訊き返す。

「そりゃ見てきたから。ちなみにここにいる皆の映像も見させてもらったよー」

 爆弾発言に全員が顔を真っ赤にする。つまり園子には自分たちの恋愛模様はお見通しらしい。

「ちなみにこの子にはいろんな使い方があってね? にわみんが1番喜ぶ×××のシチュエーションとか、にわみんとわたしたち…バーテックスと人間の間に子供ができる未来とかも映し出すこともできるんよー」

「「「「「なんですって!?」」」」」

 園子の発言に5人は食いつく。

 人間とバーテックス。決して相容れない生物として子供ができなくても2人でずっと一緒に幸せに暮らしていこうと思っていた5人にとって園子の言葉はそれほど衝撃的だったのだ。

 あと丹羽が喜ぶ理想の×××のシチュエーションというのにも興味があったが。

「そ、そのっち教えて! どうやったら私のお腹に丹羽君の子供が!」

「いやいやわっしー。一応わたしたち中学生だからね。妊活は計画的に」

「次いつこの世界に来れるかわからないのよ⁉ いいから教えなさい!」

「園子さんだけ知ってるの、ズルイと思います!」

「そういう情報はみんなで共有しようよそのちゃん。だって私たち友達でしょ?」

「あ、あたしは別に子供とかどうでもいいけど。その、丹羽とあたしの子供なら当然かわいいと思うし。でもしばらくは2人きりでイチャイチャしたいかなぁ」

 東郷だけでなく風も必死だ。見ると樹と友奈、夏凜でさえ目の色を変えている。

 あらー、これはちょっと早まっちゃったかなーと園子は冷や汗をかく。みんな結構思い詰めてたみたいだ。

「まあ、それはこのセキレイさんに教えてもらえばいいんじゃないかなー? わたしもこの子のおかげでその可能性がある世界を知ったわけだから」

 園子の言葉に5人の視線がセキレイに向く。その真剣さに思わずセキレイは後ずさる。

『な、なんでみんなボクにそんな熱い視線を送ってるんだハメ? そんなに見つめられたら流石のボクも不安アンアンになっちゃうパコ。ちょ、やめ…アーーッ♂』

「さーて、みんなだけ見てわたしのお話を見せないのは不公平かなー。セキレイさん、わたしの世界の映像を見せてあげて」

『園子様ー! この状況わからないハメ! ボク今オ〇ホの耐久テストみたいにいろいろ引っ張ったりツッコんだりされてるパコ! それどころじゃ』

「やれ」

『はいハメ』

 言葉と同時に室内の電源が落ち、周囲が暗くなり画面に映像が流れ始める。

『それではよいドスケベライフを~…ってぎゃー! そこはやめてほしいパコォオオオ!」

 

 

 

 グッドエンドルート後のお話だと思いねぇ。

 

 レオ・スタークラスターと天の神との戦いの後処理やごたごたが終わり、その戦いで負った散華の治療が終了した1か月後のことである。

「勇者部のみんなに取り次いでほしい?」

 突如讃州中学の男子生徒に声をかけられた丹羽はなに言ってんだこいつ、という目を目の前の3人組に向ける。

「そうそう。勇者部のみんなってお前以外美人ぞろいじゃん。だから、お近づきになりたいなーって」

「先輩の頼みだし、もちろん断らないよなぁ1年生」

「乃木家のお嬢様とか犬吠埼、東郷の胸とかたまらねえよなぁ? なぁ、お前揉ませてもらったりしてんの?」

 百合イチャ好きの自分にとって聞いているだけで不快になってくる言葉をかけてくるのは見るからに遊び人っぽい男子生徒だ。

 制服を着崩し下には色付きのシャツを着ている。地毛ではない染めた髪特有の汚い茶髪。ウェーイとか言いそうな陽キャムーブ。

 丹羽は確信する。こいつらは百合の間に挟まる敵だと。

「お断りします。失礼」

 そう言って無視して通り抜けようとする丹羽の行く手を1人の男子生徒が止める。他の2名はにやにやと笑っていた。

「おいおい、そりゃねーんじゃない1年生君よぉ」

「自分だけかわいい女の子に囲まれてとられたくないのはわかるけどさぁ」

「先輩たちにもちょっとくらい融通してくれてもいいんじゃないのぉ? 痛い目に遭いたくなかったらさ」

 こいつら…。エ〇同人に出てきそうないかにもなキャラだな。

 名前は知らないが丹羽のことを1年生と言っていることから2年か3年生だろう。原作にはこんな男子生徒はいなかったんだけどなぁと丹羽はどうしたものかと思う。

 ここで下手に問題を起こすのは得策ではないだろう。丹羽はバーテックスなので人間に負ける理由を上げる方が難しいのだが、大赦にマークされている身でもある。

 もしこちらが先に手を出して、大赦の人間に人型との交渉にそれを持ち出されてはたまらない。

「つうかさあ、東郷って胸でけぇけど一緒にいるあの赤い髪の奴はいらねえよな」

 ん? 今なんて言った?

「ああ、あの胸もない中途半端な奴な。名前なんだっけ?」

「さあ。どうでもいい奴のことなんて憶えてねーよ」

 ゲラゲラ笑う3人組を黙らせたのは丹羽が放った殺気だった。

「おい、テメェ今なんつった」

 自分たちに向けられた明確な殺意に思わず3人は黙り込む。背筋に冷たいものが走り足に流れるはずの血が冷たくなっていくように感じる。

「ゆうみもがいらねぇだと? よくも俺のベストカップリングをコケにしてくれたな……東郷先輩が手を下すまでもない。百合が尊いと思えるようになるまで百合好きに洗脳(教育)してやんよ」

 百合の間に挟まる男は許さんとばかりにキシャー! と3人組を威嚇した。

 とその時チャイムが鳴り、一瞬気をとられた丹羽が視線を戻すと3人組はすでに消えている。

 丹羽の放つオーラにこいつヤベェとすぐに判断し逃げ出したらしい。判断が早い。

 ちなみにその様子を偶然(?)見ていた東郷によりこの事実が勇者部全員に伝えられ、丹羽に対する親愛度が少し上がったのだが物語が終了した後だったのであまり意味はなかった。 

 

 

 

 その日の夕刻。丹羽明吾は乃木園子と三ノ輪銀が生活する乃木家別邸を訪れていた。

「おじゃまします」

「いらっしゃいにわみん! 入って入ってー」

「おう、丹羽。いらっしゃい!」

 引き戸を開け玄関に足を踏み入れた丹羽を園子と銀が笑顔で出迎える。

 乃木家本邸と三ノ輪邸は大橋にあり、そこから讃州中学に通学するのは不便だ。

 なので園子と銀は乃木家が所有するこの別邸から讃州中学に通っている。

 ちなみになぜ丹羽が今日そこを訪れたのかというと、大赦との取り決めのためだ。

 丹羽明吾が四国に戻り、今まで通り人間として生活するために保護という名の監視がつくことが大赦で決まりかけた時があった。

 それに待ったを賭けたのは園子で、週に2回自分の元で生活する代わりにそれを免除しろと迫ったのだ。

 大赦としては絶対に丹羽を監視下に置きたい。しかし今回の壁の外の状況を伝えてきた乃木園子には多大な功績と恩があり、さらにいえば間違った神託で丹羽を窮地に陥らせたという弱みもあった。

 大赦での協議の結果、1週間に3日の間丹羽明吾の監視を解き、その間は乃木園子の保護下に入るという条件で合意されたのだ。

 無論、裏で絵をかいていたのは園子だ。園子としては自分が丹羽を保護下に置くことで丹羽を独り占めしたかったが、それをすると乃木家が大赦以上の力を持つことになり他の人間から疎まれることになる。

 さらに丹羽の存在が生活の一部となっている犬吠埼姉妹から取り上げるのにも抵抗があった。

 たとえ恋のライバルであっても、正々堂々勝負を挑み丹羽と付き合い最後に手に入れるのは自分だと。

 そう、乃木園子は丹羽明吾のことが大好きだった。

 同じ趣味を持ち話が合う。顔が中性的なので女装させるのも楽しい。

 なによりもう治らないと思われていた散華を精霊を使い5日間一睡もせずに治してくれた恩人でもある。

 園子が彼に惹かれるのは自然なことだった。

『ソノコー』

 丹羽が靴を脱ぎ居間へ向かう途中胸が光り1体の精霊が園子の胸に飛び込んできた。

 精霊スミ。銀そっくりの姿をした人型の精霊だ。

「あ、リトルミノさん。いらっしゃい」

『ソノコー、ふかふかー。いいにおい』

「おいこらあたしのそっくりさん。お前昼に散々須美のおっぱいに顔をうずめてたくせになに園子の胸にまで顔突っ込んでんだよ」

 額に青筋を浮かべ親友2人にセクハラをかましているスミを銀がつかむ。

 天の神(RX)との戦いの後、スミは丹羽との約束通り新天地にいるKカップのお山にビバークしに行くことになった。

 そこにいた麻雀漫画の咲~s〇ki~の原〇(のどか)と真〇由暉子(ゆきこ)の胸の間に挟まる原作のエトペンのような状況になり大変満足した様子でいた。

 その後しばらくは女性を前にしてもビバークしたりせず大人しくしていたのだが最近また登山欲求が出てきたらしい。

「そういえば三ノ輪先輩はスミのビバークの被害に遭ってませんね」

 何気なく漏らした丹羽の言葉にそう言えばと園子もうなずく。

 それにあっけらかんと答えたのは銀だ。

「あたしはこいつがそうしない理由、なんとなくわかる。お前ら、自分とそっくりのやつの胸触って楽しいと思うか?」

 その言葉になるほどと思った。見ればスミもうんうんとうなずいている。

『そうだぞー。けっしてアタシのおっぱいが登りがいのないお山だからとかじゃないからなー』

「言うじゃねーかあたし。こりゃどっちが上かそろそろわからせなきゃダメか?」

 乃木家別邸を訪れるたびにこういうプロレスじみたやり取りが行われている。仲良しだなぁと思いながら丹羽はバチバチと火花を散らせる銀とスミを放っておいて園子とリビングに向かった。

「にわみん、どう? 収穫は」

「ええ。今週は三好先輩が犬吠埼家に遊びに来てくれてふうにぼいつがキテマシタワー。セッカさんに上等な生地を献上することで詳細を」

「いいな、いいな! 他には他には?」

「結城先輩と犬吠埼さんが仲良しさんでしたねぇ。ゆういつは見てて和みます。両方いやし属性だから当然ですが」

 家に遊びに来て1番最初にやることが百合談義とは。

 スミを肉体言語でわからせて持ち主の丹羽に返そうと連れてきた銀はその光景に思わず「うへぇ」と声が出る。自分には到底ついていけない。

「わたしはゆーゆとわっしーのいつもの。それとゆーゆとにぼっしーのカップリングを見ることができたんだぜー。同じクラスだとこういう時お得だよね!」

「シチュエーションは?」

「授業中ノートの端の落書きでしりとりとか、体育の授業でのボディタッチとか。前に比べてわたしたちのこと警戒してるのか自然なやり取りは見れなくなったかなー。それが醍醐味なのに」

「俺の精霊も警戒されてますからねぇ。最近犬吠埼先輩もナツメさんやセッカさんがいると警戒するんですよ。その分シズカさんとかアカミネさん、ミロクさんにはノーガードなんですが」

 丹羽が悪い顔をする。その様子に園子も同じような顔でにこにこと笑いあう。

「にわみん、お主も悪よのぉ」

「いえいえそのっち先輩ほどでは……とそうじゃなかった。今日はちょっと真面目な話があるので、夕食後時間を作ってもらっていいですか?」

 丹羽の言葉に園子と銀は首をかしげる。それを告げた丹羽の顔が珍しく真剣だったからだ。

 

 

 

 夕食が終わり乃木家のお手伝いさんが下がった後、丹羽は2人に頭を下げた。

「まず最初に謝っておきます。ごめんなさい」

 突如謝罪されて園子と銀の2人は戸惑う。

 百合イチャを見るために自分たちに内緒で何かしたのだろうか? いや、それならこんな真剣な顔はしない。

 どういうことか訊こうと銀が口を開きかけて、園子にそれを制される。

「そのごめんなさいは、何に対してのごめんなさいなのかな? にわみん」

「俺がそのっち先輩と三ノ輪先輩を騙していたことに対しての謝罪です」

 その言葉に2人は顔を見合わせる。

 丹羽がバーテックスだったというのは自分たちだけではなく勇者部のみんなが知るところだ。

 それ以上に衝撃的な事実などあるのだろうか? 疑問に思いながらも話を促す。

「俺が人型のバーテックスに作られたという話はもう知ってますよね」

 丹羽の言葉に園子はうなずく。

 丹羽の創造主であり銀の命の恩人である人型のバーテックス。

 それに関わりのあることだろうか? そう思った園子の目が、次の瞬間見開かれた。

「実は俺、記憶がないなんて嘘なんです。本当は、創造主である人型のバーテックスの記憶を継承しています。もちろん、三ノ輪先輩を助けられなかったあの日の記憶も」

 銀はそれがどうかしたのかというように首をひねっていたが、園子は怒りから拳を強く握る。

 今まで自分は、いや勇者部の皆は丹羽が人型のバーテックスに作られ送り込まれた結果2年以上前の記憶がないのだと思っていた。

 だがその前提自体がこの話では嘘だったということになる。つまり、最初から勇者部の皆や自分たちを騙すために近づいた。

 目の前の人の姿をしたバーテックスはそう言ったのだ。

「あの日、3人を…銀ちゃんとそのっち、須美ちゃんを助けられなくてごめんなさい。間に合わなくてごめんなさい。俺があと少し早くたどり着けていれば…いや、それより前の蠍座を俺の勝手な判断で倒さなければ3人があんな大怪我をすることは」

「園子⁉」

 園子は気が付けばスマホを手にして変身し、丹羽に武器の槍を突き付けていた。

 瞳は冷酷であり温度を感じさせない。

「おいやめろ園子! 丹羽が人型の記憶を持っていたからって何だって言うんだよ!」

「ミノさん。わたしはにわみんが…ううん、こいつが善意から勇者部の皆や私たちに優しくしてくれてるんだと思ってた。でも違った」

 突き付けられた槍に臆することなくこちらを見返してくる目が腹立たしい。園子は槍を胸のあたりに突き付ける。

「人型さんの記憶を持ってるなら、憶えてるよね? 私が槍であなたを滅多刺しにしたこと」

「ええ、もちろん」

「やめろ園子! 今のお前、なんかおかしいぞ!」

 銀の声も聞こえないほど園子の血は頭に上っているようだった。

「ふざけないでよ」

 声は涙声だ。だが、怒りを込めた隠し切れない慟哭だった。

「わっしーを助けてくれたのも、バーテックスを倒したのも、わたしの散華の治療をしてくれたのも、同じ趣味の話で盛り上がったのも! 全部全部演技? それともただの罪悪感からの罪滅ぼしだったっていうの⁉」

 信じたくなかった。自分を助けてくれたのは優しさで、丹羽明吾という人間の善意なのだと。

 だが丹羽が人型の記憶を持っていたとしたら行動原理がすべて打算からの行動に変わる。

 どうして黙っていてくれなかったのか。どうして自分たちを騙したままでいてくれなかったのか。

 その方が、ずっと幸せで…丹羽明吾というバーテックスを好きなままでいられたのに。

「ミノさんとわたしとわっしーを助けられなかったから、勇者部の皆と一緒に戦ってくれたの? バーテックスから守ってくれたの?」

「はい」

「どこからどこまでがあなたの…あなたたちの筋書きだったの? 教えてよ」

「散華の治療ができたのは偶然。2年間で三ノ輪先輩の意識が戻らなかったのは誤算。最終的に目を覚ましたのも偶然ですね。7体のバーテックスが融合してアクエリアス・スタークラスターになったのは誤算。あと神樹と天の神まで敵に回したのも誤算ですね」

 そこから丹羽は語っていった。人型のバーテックスはある程度未来を見通す能力を持ち、自分はその通り行動していたと。

 バーテックスが訪れる周期を知っていて攻略法も承知していたこと。12体倒してもまたやってくることも知っていた。さらに言えば防人たちの存在も2年前から知っていたのだそうだ。

 その言葉に園子はただただ驚くしかない。

 なんてことだ。自分たちは最初からこいつと人型のバーテックスの手のひらの上だったのかと。

「俺ともう1人の俺の目的はただ1つ。誰も何も失わず、この理不尽な不幸が待っている物語から少女たちを救い出すこと」

 丹羽の言葉に園子は手に持った槍を握る手に力を籠める。なんとなく、次に丹羽が言う言葉がわかったからだ。

「だから、それが終わった今。そのっちと銀ちゃんには俺を裁いてほしいんです。2人の幸せを…当たり前の日常を奪ったのは俺だから。だから、壁の外で土地の外を再生している俺には手を出さないでください」

 深々と頭を下げて土下座する丹羽に、園子は冷たい瞳で武器を突き付けたまま告げた。

「そんなこと言って、わたしが君を許すと思う?」

「いいえ」

「2年間だよ? ミノさんの大切な2年間をあなたは奪った。ミノさんの家族からも。それは許されると思う?」

「いいえ」

「やめろ園子!」

 園子と丹羽の間に入り、銀は必死に説得する。

「お前が丹羽を…人型のバーテックスを許せない気持ちがあたしにはわかんねぇ! そいつと人型はあたしの命の恩人なんだ! それに丹羽も大事な後輩だし」

「ミノさん」

「もしお前がその槍を使うなら、あたしごと貫きやがれ! あたしはこいつと人型のやつには感謝しかしてねえ! それに丹羽は間に合わなかった、助けられなかったって言ったけど、バーテックスに助けてもらえるなんて当時のあたしたちには想像もしなかっただろうが!」

 必死に訴える銀に、園子はため息をつく。それからスマホをタップして変身を解いた。

「園子?」

「もー、ミノさん! 今にわみんの弱みに付け込んで色々要求できる絶好のチャンスだったのにー! いろいろ台無しだよー」

 先ほどまでの冷たい刃みたいな雰囲気が嘘のように普段のぽわぽわモードの園子に銀は「へ?」と思わず固まる。

「人型さんとはとっくに和解してるし、さっきにわみんが話してたような内容は人型さんも謝ってくれたの! だからにわみんが気にする必要は全然ないの!」

「え? あれだってお前…だったらなんであんなこと?」

 わけがわからず混乱する銀と丹羽に、園子は「そんなの決まってるでしょー」と丹羽を助け起こし、そのままギューッと抱きしめた。

「わたしの2年間を返して―ってにわみんをわたしから離れられないようにしようとしてたのに。計画が台無しだよー。勇者部の皆もにわみんのこと狙ってるから、早いうちに婚約宣言とかしようと思ってたのに―」

 丹羽に抱き着きイチャイチャという擬音が付きそうなくらい近づいている園子に、銀は思わずずっこけて言う。

「な、なんだそりゃ―⁉」

 一方で丹羽は驚きから声も出せない。今回の懺悔で最悪園子や銀に恨まれて殺される可能性も考えていただけに、園子の行動は予想外すぎたのだ。

 真意がわからず自分に抱き着く園子を見る。その視線を受け、園子はにっこりと笑った。

「あのねにわみん。君が思い悩んでることなんて、わたしとミノさんは気にしてないの。ミノさんも言ってたけど、間に合わなかった、助けられなかったって悔いているならそれはお門違いだよ。本当は、わたしたちがあの3体を倒さなくちゃいけなかったんだから」

「それでも…それでも俺がもう少し早くたどり着いていれば誰も傷つかずに済んだ! 2人だって須美ちゃん…東郷先輩といっしょに普通に中学生として讃州中学に通って勇者部で楽しく過ごせた未来もあったかもしれないのに!」

 泣きそうな顔をしている丹羽に、ああ、この子はまだ2年前の出来事にとらわれているんだなと園子と銀は知る。しかも自分たち以上に。

「あのねにわみん。わたし、今までの2年間が不幸だったなんて思わない。そりゃ、2年間ベッドの上で寝たきりだったけど安芸先生や防人の皆も居たし。わっしーが幸せに生きているっていう希望もあった。なにより今、人型さんとにわみんのおかげでわっしーやミノさんと一緒に勇者部の皆と楽しく過ごせてるし」

「そうだぞ丹羽。あたしなんてあの時死んでてもおかしくなかったんだからなー。2年間園子や須美、家族を心配させたけどそれでお前を恨みやしないよ」

 2人の言葉に、丹羽の瞳から涙が流れ嗚咽を漏らす。

「どうして恨んでないんですか、どうして許してくれるんですか…。俺は、どうやってこれから2人に償っていけば」

「いらねーよ、償いなんて」

「にわみんはにわみんのままでいてくれればいいんだよー。それが、わたしたちは1番嬉しいかな」

 2人の笑顔に、丹羽は子供のように泣きじゃくった。

 それは丹羽明吾というバーテックスが勇者の誰にも見せたことのなかった情けない姿。

 それを知るのは、ただ2人。銀と園子だけだった。

 

 

 

 丹羽の懺悔の告白から数日後の昼休み。

 三ノ輪銀は1人屋上をさらにはしごで登った高い場所にいた。

 人3人ほどが転がれるスペースで何をするでもなくぼーっとしている。

 頭の中にあったのは丹羽が懺悔したその日の夜の出来事だ。

 あの日の夜。ふと目を覚ますといつも隣で眠っているはずの園子の姿がなかった。

 トイレかと思い自分も催してきたのでついでに探しに行った時、丹羽がいる寝室に明かりがついているのが見えたのだ。

 興味本位で近くを通りかかり耳を澄ました銀の耳にその声は聞こえてきた。

「たとえにわみんがバーテックスでも、わたしがあなたを好きなこの気持ちに嘘はないよ。だから、嫌なら振りほどいて」

 間違いなく園子の声だ。その後丹羽の戸惑うような声。そして……

「だー! やめやめ!」

 思い出しかけたその夜の出来事を無理やり頭の中から追い出す。

 園子が丹羽に告白した次の日から、銀は2人を避けていた。

 理由はわからない。ただ胸の中がもやもやする。

 それは一緒に暮らしていた親友を丹羽に取られたと思ったからか、あるいは…。

 そこまで考えてあり得ないと銀は首を振る。確かに丹羽に思いを寄せられているのではないかと冗談交じりに園子に漏らしたこともあったがそれは人型のバーテックスの記憶があったからで、丹羽自身は銀に特別な想いを抱いていたわけではないとわかったばかりではないか。

(まったく、何を期待してたんだか)

 今頃2人は勇者部の部室でイチャイチャしてるんだろうなぁ…と思いながら放課後は勇者部に顔を出さなければならないことにちょっと憂鬱な気分になっている銀の耳に、その声は聞こえてきた。

「で、首尾は?」

「万全だ。あの丹羽って奴、俺が書いたラブレターを本物だと信じ込んでるみたいだぜ」

「ったく、フラミンゴみたいな名前をしてるくせに調子乗ってるからだ」

 声は下の方から聞こえてきた。どうやら男子生徒3人が密談しているらしい。

 銀の姿は死角になっていて誰も気付いていないようだ。そいつらが会話している中に丹羽という言葉が聞こえ、銀は耳を澄ます。

「たかが合コンのセッティング頼んだだけなのにおどかしやがって。なにが百合の間に入る男は許さんだ」

「わけわかんねえよなぁ。自分はあんなきれいどころに囲まれてるくせに」

「勇者部の女の子を独り占めにして、マジ許さん」

 どうやら会話から察するに彼らは勇者部の女の子を紹介してもらおうと丹羽に近づいて返り討ちにあったのだろう。

 茶髪にピアスと見るからに遊び人な見た目だった。銀もああいう手合いは園子や樹に近づけたくない。

 東郷に聞いていたとはいえこういうやつらを未然に追い払ってたのか丹羽の奴…と銀は1人感心していた。

「でも、あいつ本当に来るのか? たかがラブレター1つで」

「問題ない。ラブレターもらって浮かれない男はいねーよ。ましてあの陰キャみてーなやつは小躍りしてるだろうぜ」

「しかも『来てくれなかったら死にます』って書いておいたからな。勇者部って正義感強い奴らの集まりなんだろ? だったら見捨てねーよ」

 ゲラゲラと笑う3人の男子生徒に銀は不快感しかわかない。

 なんだこいつら。丹羽のことが気に食わないなら直接言えばいいのに、なんでこんなひどいことするんだよ。

 思わず下に降りてボッコボコにしてやろうかと立ち上がりかけた銀の耳に昼休み終了のチャイムの音が聞こえてきた。

 たむろしていた男子生徒3人が屋上から去った後、銀はスマホを取り出し園子に連絡していた。

 放課後。

 珍しく勇者部の活動を休む丹羽を不審がり後をつけた勇者部の面々が見つけたのは、体育館裏で待ちぼうけを食らっている丹羽の姿だった。

 手にはピンク色のかわいい封筒を持ち、きょろきょろと辺りを見回している。その様子は一発で人待ち状態なのは明白だった。

「樹の情報通り、どうやら本当にラブレターをもらってたみたいね」

 風の言葉に樹はうなずく。

「うん、登校してきて机に手を突っ込んだ後、急にどこかへ行ったから変だと思ったんだ。だから席を外した時を見計らって中身を改めたよ」

「樹、普通にそれやばい行動だからね。同じクラスとはいえ普通はやっちゃいけないことよ」

 普段の彼女からは考えられないような行動をした樹に若干引きながら夏凜がツッコむ。

「それにしても相手の女性はいつ来るのかしら? さすがに待たせすぎじゃない?」

「だよね。丹羽君がここに来てからもう30分は経ってるよ」

 こそこそ隠れながら言うのはゆうみもである。

 なんだかんだ言って彼女たちも思春期の乙女。他人の色恋が気になるお年頃なのだ。

「しっかし、丹羽に告白とは奇特な奴もいたものね」

「そうそう。あんな百合イチャ好きのどこがいいんだか」

 そう語る風と夏凜だが、声にはどこか焦りが感じられた。

「ええ、本当に。ぽっと出の癖に丹羽くんのことを好きだなんて…おこがましい」

「樹ちゃん? なんか身体から東郷さんみたいな黒いオーラが出てるんだけど」

「え? 私こんなの出してたの? 嘘でしょ友奈ちゃん」

 隠し切れない剣呑な雰囲気を出している樹を諫める友奈とその言葉にショックを受ける東郷。

 5人とも内心では丹羽がこの出来事をきっかけに勇者部以外の誰かと付き合うのではないかと気が気ではないかったりする。

 一方その様子を陰から見守っているもう1組のグループがいた。

「ど、どうするよこれ? 勇者部に誰もいなかったから丹羽のいる場所に行ったら勇者部の皆ここにいるし」

「これじゃあ丹羽がいない間にお誘いとか無理じゃん! 誰だよこんな計画立てた奴」

「しかも実は俺らが嘘の手紙で呼び出したってバレたら勇者部の女の子たちの好感度爆下げじゃん! やべーよ」

 男子生徒3人組が困惑している。

 策士策に溺れるとはこのことで、まさか丹羽が勇者部メンバーたちにここまで慕われているとは思っていなかったようだ。

「そういえば乃木は? こういうのアタシたちが知らなくてもどこかから嗅ぎつけてそうだけど」

「そういえばいないわね。珍しい」

「そのっちもそうだけど銀もいないのよ。どうしたのかしら」

 風の言葉に夏凜がうなずき、東郷が首をかしげる。

「しっ、3人とも黙って! 誰か来ました」

 樹の言葉に全員が丹羽の方を見た。

 そこにいたのは黒髪のかわいらしい少女だ。丹羽と相対して何事か話し合っている。

 その少女を見て丹羽は何か驚いた様子だが話は続いていた。どうやらそんなに悪い雰囲気ではない。

 その様子を見て男子3人組は大混乱に陥っていた。

「おいおいおい、誰だよあの娘!」

「知るか! 勇者部の女の子に負けないくらいかわいい娘じゃねーか!」

「ぬぐぐぐ、なんであの男ばっかり」

 やがて話がまとまったのか、丹羽と少女が抱き合い腕を組んでこちらに近づいてくる。

 男子生徒たちは慌てて隠れようとするが近くまでくるとにっこりと笑って女子生徒は言った。

「ありがとう。あなたたちのおかげで丹羽くんとお付き合いすることができました。あたしの気持ちを代筆してくださって助かりました」

 その言葉に男子生徒たちは固まる。この少女、自分たちが書いたラブレターの内容を知ってる!?

「あたしたちこれからデートなんです。それと、こういう風に女の子の名前を騙って人を騙すような男の人って…最低だと思います」

 その言葉に男子生徒たちは真っ白になった。自業自得とはいえ相当ショックだったらしい。

 それから丹羽と女子生徒は腕を組み校舎の外へ向かう。

 ポカンとその様子を見守っていた勇者部の5人もそれを尾行し、やがて公園へとたどり着くと2人はベンチへと座った。

「だ、誰なのあれ!?」

「知らないわよ! 樹、あんたは…ってどうしたの?」

「許さない許さない許さない許さない」

「本当に、誰なのかしらあのぽっと出の女は。丹羽君も丹羽君よ。デレデレしちゃって」

「樹ちゃん、東郷さん⁉ なんか2人がこわいよー」

 普段は温厚な2人が暗黒面に落ちている姿に戦々恐々とする友奈と夏凜。

 そしてそこに現れた1人の女子生徒に風は驚きの声を上げた。

「乃木⁉ え、女の子の方もカツラをとって…あれ銀じゃないの⁉」

 丹羽と一緒にいた美少女はウィッグをつけた銀だったのだ。

 

 

 

「で、どうだった作戦は」

「うまくいったぜ。あいつら鳩が豆鉄砲を食らったような顔してた」

 昼休み、男たちの謀略を知った銀は園子にすぐさまそのことを報告し、話し合った。

 そして立てた作戦は、【嘘の手紙を出したら本当に告白相手が来ちゃった】作戦だ。

 効果は抜群だったらしく、3人組の男たちは大層驚いていた。そのことが痛快で銀は笑顔で丹羽と園子とハイタッチする。

「いやー、あの3人組もそうだけど丹羽の驚いた顔といったら…誰だこの美女って困惑してたからなー」

「え、普通に三ノ輪先輩ってわかってましたけど。ただ、どうしてそんな恰好してるんだろうなーと」

 丹羽の言葉に銀は固まる。え、バレてたの? と。

「にわみーん。本当は手紙も嘘っぱちって知ってたんでしょー。なのになんで待ち合わせの場所に?」

「万が一本物だったらと思って。来てくれなきゃ死ぬって書いてありましたし」

「本当に―? 俺にもモテ期来たんじゃね? ってウッキウキしてなかったー?」

「してませんよー」

 キャッキャと楽しく話す園子と丹羽に、ああ、本当に仲がいいなぁと銀は胸の奥が苦しくなるような気がした。

 どうやらそこに自分の入り込む余地などないらしい。そう思いさりげなく2人きりにしようと思い姿を消そうとしていると園子に腕を掴まれた。

「ねえミノさん。どうして最近わたしとにわみんのこと避けてるの? わたしたち何かした?」

 自分を見つめる心配そうな2人の視線に、銀はごまかしてもしょうがないと胸の内を語る。

「その、この前丹羽が泊まった時、聞いちゃったんだよ。園子の告白。だから…」

 その言葉に園子と丹羽は顔を真っ赤にした。どうやら避けられる心当たりに思い至ったようだ。

「えっと、もしかして最後まで聞いてた?」

「……おう」

 だけど心配するな。誰にも言わないから。

 そう言おうと笑顔を作ろうとした銀の口が園子に塞がれ、びっくりして思わず唸る。

「ん~!? んん~! むぐー!」

「どうやらミノさんをこっち側に引き込む必要があるみたいだね。にわみん、行くよ!」

「え、ちょっと、そのっち先輩!?」

 ちなみにこの時園子と銀の間では認識の齟齬が発生していた。

 銀としては園子が丹羽に告白してキスした場面までを最後と。

 園子としてはその後に丹羽に語った【勇者部百合の桃源郷計画】の詳細を銀が聞いたのだと思ったのだ。

 あれはまだバレるわけにはいかない。特に部長の風と東郷にバレたら終わりだ。

 こうして勘違いから銀は丹羽と園子の共犯者となり、仲を深めていった。

 その結果丹羽を想う自分の気持ちと向き合い、園子と丹羽を共有するという不思議な三角関係へとなっていたのだ。




 そのっちルートは単独だと108式はあるぞ!
 ノーマルエンドでもグッドエンドでもヘテロ堕ちしなくてもそのっちは容赦なく丹羽君を攻略してきます。
 同じ趣味を持つ百合イチャ好きの同志だからね。切磋琢磨しあう敬愛が恋愛に発展しても何もおかしくはない。
 銀ちゃん単独ルートは逆にかなり厳しいです。
 なぜなら丹羽君は銀ちゃんに対して無意識に負い目があり、そういう対象としては見てはいけないと思っているから。
 丹羽君はいわゆる銀ちゃんのエ〇絵じゃ抜けない勢で生きてるだけで尊い勢です。
 まあ、わすゆルートがある意味銀ちゃんルートだし。銀×銀で勇者部とくめゆ組に囲まれて楽しく生きていてほしい(切実)。
 次回で本当に終わり。みんな大好きハーレムエンドルート(ギャグ寄り)
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