詰みゲーみたいな島(四国)に人類を滅ぼす敵として転生した百合厨はどうすりゃいいんですか? 作:百男合
これには安達もキュンキュンですわぁ。
安達としまむらはいいぞ
ゆゆゆルート開拓に当たり、【残酷な描写】タグを追加しました。
わすゆルートはサイコロの目の6を連続で出し続けたルート。
ゆゆゆルートは出せなかったルートです。
忘れた人のための3行でわかるあらすじ。
3体の星座級出現にわっしー序盤で戦線離脱。
園子負傷で動けず。最悪な戦況にぴっかーんと閃けない。
銀ちゃん1人で蟹座、獅子座、射手座に挑む! 間に合うか主人公(星屑)
たどり着いた時には、すべてが終わっていた。
燃え尽きた樹海。真っ黒に焦げた木の根。そして、人の生の気配がない空間。
嘘だ。
これはきっと、悪い夢だ。
俺の身体にないはずの心音がうるさい。目がかすみ、まともに前が見られない。
こんなこと、現実であるはずがない!
よろよろと巨大フェルマータから降り、樹海の中をさまよう。
誰か、いるはずだ。
須美ちゃん、そのっち、そして銀ちゃん。
3人のうち、誰かがいなければならないのだ。
誰か、誰かいないのか?
樹海の壁に手を突き、身体を支えようとしたが木の根が灰となって砕けた。
馬鹿か俺は。この状況を見て、まだ気づかないふりをするつもりか?
俺は、間に合わなかった。
もう、すべて終わったあとなんだ。銀ちゃんどころか彼女たち3人を守れなかった。
馬鹿はどっちだ、俺。
俺は死体を見るまであきらめない。最後まで希望を捨てない!
そんな自問自答をしながら結界の中を進んでいると、その光景は見えてきた。
そこにいたのは、キャンサーの6枚の盾で身体をなぶるように切り割かれている、乃木園子だった。
紫の勇者服はボロボロで、そこから覗く白い肌から出血している。リボンで結んでいた髪は解かれ、長い髪がそのまま垂れていた。
その姿を見た瞬間、理性は消えていた。
俺は右手を毒針に変え、キャンサーの体躯を殴る。固い体躯に毒手が刺さるたび毒が送られ、動きが鈍くなっていく。
何発殴っただろうか。気が付けば毒針に変えた両手がつぶれていた。怒りに任せた結果、拳が壊れるほどの打撃を与えてしまったらしい。
キャンサーは虫の息だった。俺は園子の身体をヒーリングウォーターで覆うと、顔を巨大化させ体躯を喰らう。
幸いにも息はあった。かなり危険な状態だが、生きてはいるようだ。
他の2人も探そうと俺はさらに結界の奥へ向かい――見てしまった。
赤い勇者服。斧を持った手と千切れた腕。ハリネズミのように刺さった無数の矢。
そして、口を開けたまま動かない三ノ輪銀。
ああ、間に合わなかったのか。
それだけが、はっきりとわかってしまった。
真っ黒になった樹海の地面に手を突き、くやしさから固く握る。神樹の根が手の中で灰になり地面へとこぼれていく。
ここまで樹海を焼きつくした炎に、精霊バリアもない普通の子供が耐えられるわけがない。
身体を樹海にうずめ、無力さに打ちひしがれている俺にサジタリウスが放った無数の矢が迫る。
だがキャンサーを取り込んだ俺の身体はそれをはじき、サジタリウス自身にその矢を返す。
予想外の出来事にサジタリウスは
その姿に俺は知らず笑ってしまった。
この程度で痛がっているのか。銀ちゃんはそれを耐えてお前らに挑んだというのに。
俺は虚空からみずしゅりけんを4つ作り出し、リブラの能力で回転数を上げて水のワイヤーを使って放つ。
あっという間にサジタリウスは切り裂かれた。2つある御霊を残し、俺は何度も何度もその体躯を切り刻む。完全な八つ当たりだ。
顔を巨大化してひとのみにする。味はサプリっぽいというか、駄菓子のラムネ、ヨーグレットみたいな感じがした。
俺は弁慶の立ち往生状態の銀ちゃんに近づき、その様子をしっかり見る。
原作より、大分酷い。かなり重度のやけどが身体を覆っていて、人間の医療技術ではまず助かることはないだろう。ヒーリングウォーターでも後遺症なく治せるかどうか。
いや、俺があきらめてどうする。人間の技術ではダメでもバーテックスの力なら。
急いで銀ちゃんとその腕をヒーリングウォーターの水球で包む。しゅわしゅわと炭酸がはじけるような音をして、やけどの治療を開始していた。
水球に手を突っ込み銀ちゃんの勇者服を探ると、スマホが出てきた。銀ちゃんはボロボロなのにこいつは傷ひとつない。
思わず地面にたたきつけようとして…すんでのところで思いとどまる。
これがないと、須美ちゃんとそのっちが最後の戦いで死んでしまう。それに三好夏凛が勇者となる未来も訪れない。
俺は水球をここまで乗ってきたフェルマータにアジトにしているデブリに運ぶように頼み、キャンサーとサジタリウスの御霊を水のワイヤーで包みそのっちの元へ向かう。
そのっちの負傷はだいぶマシになっていた。出血は止まりキャンサーによる切り傷も消えて、呼吸も安定している。
これなら四国にある人間の病院でも治療できるだろう。
俺は銀ちゃんのスマホをそのっちの胸の上に置き、姿が見えない須美ちゃんを探しに行こうと結界の奥に行こうとして――踏み出した右足ごと体半分が消し飛んだ。
乃木園子は見ていた。
身体は動かなかったが、意識だけはあった。人型のバーテックスが蟹座のバーテックスを丸呑みして食っていた時も、自分の傷を癒す不思議な水で覆っていた時も。
そして見たこともないバーテックスが親友である三ノ輪銀の死体を水球に入れて運んでいるのも見ていた。
(やめて! ミノさんを連れて行かないで!!)
心の中で必死に叫ぶ。だが身体は動いてくれず、言葉は声にならない。
銀が蟹座のバーテックスに向かった後を追うように園子も向かい、3体のバーテックスと対峙した。
結果、それが最悪の展開を引き起こしてしまう。
蟹座のバーテックスとほぼ互角の戦いをしていた銀が戦場に現れた園子に意識を取られた瞬間、獅子座の火球と射手座の放つ無数の矢が銀を襲ったのである。
よけきれない。だがガードはできる攻撃ではあっただろう。
足を負傷した園子をかばわなければ。
銀は前に立ち、身体を焼かれ、無数の矢から園子を守る盾となった。
その隙を見逃さず、蟹座が武器にもなる6つの盾を振り上げ、銀の腕を切断する。
園子は思う。わたしのせいで。
わたしが、足手まといの自分が戦いに乱入したせいで、ミノさんは死んでしまった。
気が付くと、蟹座に身体を切り刻まれていた。お気に入りのリボンはいつの間にか解け、髪が重力に引かれているのを感じる。
そこからは記憶があいまいだ。
銀が見たことのないバーテックスに連れさられた。人型のバーテックスが蟹座を倒して食べた。人型のバーテックスの身体が半分消し飛んだ。白い仮面をかぶった人間だと思ったら顔が星屑だった。獅子座を人型のバーテックスが結界の外に押し出した。人型のバーテックスが銀のスマホを自分の胸に置いた。人型のバーテックスが自分を水球で覆い、傷を治してくれた。
時系列がバラバラで、整合性のない記憶だった。医師の話によるとそういうことはよくあるらしい。
幸いにもというか園子の怪我は軽傷で、須美より1日早く退院できた。あの人型のバーテックスがやけどや傷を治してくれたおかげだろう。
だが、なぜ敵であるバーテックスが自分を治してくれたのか。なぜ同じバーテックス同士で争っていたのか。
自室で考えに考え、思索に没頭する。
「そのっち、入るわよ?」
須美が園子の家を訪ねたのは、そんな時だった。
銀の告別式を明日に控え、応急処置だけしてもらい退院したのだ。
病室を訪れた乃木家の両親から園子が部屋にこもったまま食事もとらずふさぎ込んでいると聞いて居ても立っても居られず部屋に訪問した。
あの戦いで自分が1番足手まといだった。そのせいで銀は死んでしまい、園子も怪我を負ったと聞く。
樹海でのことはすぐ気絶してしまったのでおぼえていないが、自分を守り、銀を目の前で失った園子の傷心は察するに余りある。
せめて自分に何かできないか。そう考え園子に会いに行くのは必然だった。
「そのっち?」
部屋の中は、静かだった。
明かりもついていない。子供の1人部屋には広すぎる空間が今はどこか寒々しい。
足を踏み出すと、つま先に何かが当たり須美が拾う。
それはビリビリに破れていたが、以前園子に見せてもらったバーテックスとの戦闘や戦略について記載していた『そのこのせんりゃくのーと』の切れ端だった。
「ちがう、ちがう。これじゃダメ」
そんな時だった。部屋の奥から声が聞こえてきたのは。
須美は固くなったつばを飲み、そちらに向かう。
そこには、園子がいた。
手にペンを持ち、周囲には何枚もの紙が丸まって転がっている。
「これじゃわっしーが死んじゃう。蟹座の装甲の高さを考えて敵が先行させてきたなら、それを逆に利用して…でもそうすると」
園子はブツブツ言いながら、手元の紙に様々なことを描き込んでいる。
見るとそこに描かれていたのは樹海らしき地図。その上に今回襲来したといわれる獅子座、蟹座、射手座を簡略した駒と銀と園子、そして須美に人と書かれた駒が配置されていた。
「考えるんだ。ミノさんを生かして、わっしーも一緒に帰る方法を。あのイレギュラーな人型バーテックスが何を考えてわたしの傷を癒し、獅子座を樹海から追い出したのかを」
須美は戦慄した。
園子にとって、あの戦いはまだ終わっていない。今も続いているのである。
どうやれば銀を助けられたか寝食を忘れて考え、今も答えを出せずにいるのだ。
それはとても痛々しく、見ているのもつらい姿だ。
「そのっち!」
思わず園子を抱きしめる。園子の焦点がぶれ、須美がいるのに初めて気づいたようだった。
「わっ、しー…?」
「馬鹿、そのっちの馬鹿」
こんなになるまで考えて、こんなになるまで追い詰められて。
1番最初にやられて戦線離脱した自分が、情けない。
「そんなに思いつめないで。あなたが身体を壊したら、銀も悲しむわ」
「でも、わたし。ミノさんに作戦を訊かれて、答えられなかった。わたしがもっといい作戦を思いついていれば、ミノさんは」
それは、どれほどの絶望だろう。
自分に置き換えて考えてみても想像できない。ひょっとしたら自分が彼女を殺したと考えるかもしれない。
目の前の親友のように。
「とりあえず、何か食べましょう? 明日は告別式なんだから、そんな顔をしていたら銀も安心できないわ」
「告別、式? 誰の?」
しまった、と須美は思った。
ひょっとしたら園子はまだ銀の死を受け入れられていないのではないか。
そんな相手に告別式の話をするなんて、自分は何て馬鹿なんだろう。
「食べる、安心。むしろ戦わせて…狙ってた? 最初から? 私を治したのもまだ利用価値があるから」
そんな須美の気持ちを知ってか知らずか、園子はまだペンを紙に走らせ、勇者とバーテックスを模した駒を動かし続けている。
やがて、パチリと音を立てて駒を置き終えた園子が、にっこりと笑った。
「そっか。そうだったんだー」
どれくらいの間水を飲んでいないのか、声は枯れていた。
ただ死んだ魚のように光のない瞳に、須美は知らず園子から離れていた。
それは、親友が今まで1度も見せたことのない、気味が悪い表情だ。
「全部わかっちゃった。なんであいつがミノさんを連れて行ったのか。敵のはずのわたしを治したのか。バーテックス同士で争っていたのか」
今までの先日の戦闘に対する執着は、すっかり消えていた。
どこか晴れ晴れしい気持ちが園子を満たす。
「ねえ、わっしー」
声を掛けられ、須美は一瞬返事をするのをためらった。何かとても嫌な予感がする。
「どうしたの、そのっち」
にっこりと笑顔で、楽しいことを思いついた時のように、園子は言う。
「これから、わたしたちでバーテックスを全部倒して、ミノさんを取り戻そうね」
バーテックスを全部倒す。
それは勇者にとって当たり前で、言葉にする必要もないはずのことだ。
しかし、銀を取り戻すとは? いったい何を考えているのか。
須美は目の前の親友の言葉に言いようのない不安を感じていた。
闇(病み)そのっち爆誕。
原作と違って意識がある中銀ちゃんの「またね」を見送って目の前で死んじゃうのを見たと思ったら、そうなるよね。
大赦の大人への不信感から誰にも頼れず、親友を救えなかった罪悪感でそのっちのメンタルはボロボロだぁ。
主人公(星屑)に対する勘違いから悲劇へのカウントダウンは加速していきます。