詰みゲーみたいな島(四国)に人類を滅ぼす敵として転生した百合厨はどうすりゃいいんですか? 作:百男合
友奈「大丈夫、東郷さんは私が守るから」イチャイチャ
東郷「友奈ちゃん」イチャイチャ
|M0)じー ゆうみもトウトイ
風「ふ、不審者-!」
樹(言えない、同じクラスの男子だなんて言えない)
「無茶よあんなの。怖い、戦うなんてできない」
「東郷さん」
次々と結界の外から押し寄せてくる星屑に、東郷は恐怖していた。
怖い、とにかく怖い。あの巨大なほうのバーテックスはそれほどでもないが、小さい星屑のほうがなぜか怖い。
あの巨大な口が、剥き出しの歯が、とにかく怖くて仕方ないのだ。
まるで過去になにかトラウマになったような出来事があったかのように。
東郷には2年前以前の記憶がない。
交通事故による記憶障害と両親は言っていた。足はその時の影響で動かなくなり、車いすの生活になったのだと。
それで不自由したことはないと思えるのは今そばにいてくれる親友であるお隣さんの結城友奈のおかげだ。
彼女の明るさと嫌な顔ひとつせず身の回りの世話を何くれと甲斐甲斐しくしてくれることに救われたのだ。
それが今、脅かされている。
目の前に迫る死という現実に、東郷は恐慌状態に陥っていた。
「結城先輩、とりあえず東郷先輩を樹海の奥へ」
「う、うん。そうだね」
丹羽に促され、ちらりと戦況をうかがいながら友奈は東郷の乗る車椅子を押して戦闘から離れる。
風と樹は星屑を次々と倒していた。初めての実戦だというのに、2人ともおびえたり躊躇している様子はまるでない。
とくに樹の武器のワイヤーはすごかった。2、3体の星屑をまとめて絡め捕り、切り裂いていく。
見た目に反してかなりエグイ攻撃だ。あとはあの巨大なバーテックスがいなくなれば。
そう思った瞬間だった。爆発音が樹海を振動させたのは。
「きゃっ⁉」
「爆弾⁉」
みると乙女座のバーテックスが周囲に爆弾を展開して放り投げ、風と樹を近づけまいとしていた。
爆風に巻き込まれ、2人は攻めあぐねている。それを見た乙女座は遠くまで、友奈たちが隠れている樹海付近まで爆弾を飛ばしてきた。
「伏せて!」
丹羽が友奈と東郷をかばうように2人の上に覆いかぶさる。
大きな爆発音が聞こえた。恐る恐る隙間から見ると、樹海の壁に大きな爆発の跡が見える。
「丹羽君、大丈夫⁉」
「大丈夫です。爆風だけで、破片とかは刺さったりしてませんから」
友奈は丹羽の下から這い出すと、身体を触って確認する。本人の言う通り、怪我はないようだ。
「友奈ちゃん、丹羽君。私を置いていって。一緒にいたら2人が危ない」
「何言ってるの⁉ 友達を置いていけるわけない」
先ほどの爆発が東郷の恐怖心にトドメを刺したのか、すっかり弱気になっている。
せめて親友だけでも生きてほしいと自分を見捨てて逃げろと言う。
「だってこのままじゃ、友奈ちゃんまで死んじゃう!」
「嫌だっ! ここで友達を見捨てるような奴は……勇者じゃない!」
勇者。そういえば勇者部に入部した時も彼女はその言葉にこだわっていたように思う。
一体なぜだろう? こんな絶望的な状況でも、心が折れないのは。
「どうして、そんなにも」
「嫌なんだ、誰かが傷つくこと。誰かがつらい思いをすること。どんなつらい思いも私が何倍もがんばればいい。誰かが嫌な思いをするくらいなら、私がする!」
友奈がそう告げるのと、スマホのアプリ画面のヤマザクラの花が咲き誇ったのは同時だった。
「待って!」
東郷の制止も聞かず友奈はそのボタンをタップする。
山桜の花が咲き誇り、身体が光に包まれる。
黒いインナーにピンク色の勇者服。武器は見当たらないないが、それは彼女が拳で戦う勇者であるという証だろう。
髪の毛も赤茶色からピンクのロングポニーテールに変わり、髪をまとめるリボンも花弁状になっている。
「できた。変身」
「友奈ちゃん」
すっかり姿が変わった親友の姿に、東郷は一瞬すがる言葉をかけようとする。
しかしそれを飲み込み、心とは正反対の言葉を告げた。
「行って。風先輩と樹ちゃんを助けに」
「東郷さん。でも」
「私なら大丈夫だから。ここに男の子もいるし」
「ね、丹羽君」と言う車椅子の上にある彼女の手は、かすかに震えている。丹羽はそれに気づいていたが、東郷の意思を汲み同意する。
「結城先輩、行ってください。それは多分、先輩にしかできないことだから」
「丹羽君…わかった。東郷さんをお願いね!」
友奈はそう告げると巨大バーテックスに苦戦している犬吠埼姉妹の援護に向かった。
優しいことと誰にも頼らないことは違う。
彼女はきっと、他人が傷つくくらいなら自分が傷ついたほうがいいと思う人間なんだろう。
だがその痛みは彼女にしかわからない。代わりに自分が負うはずだった怪我を彼女に押し付けたほうはそれに気づかず感謝もしない。
結局、彼女が痛みに耐えきれず潰れて、いなくなって初めて彼女の
「そんなだから、勇者の章で抱え込みすぎて自滅するまで追い込まれちゃうんですよ」
丹羽がつぶやいた声は、乙女座が放つ爆弾の爆発音にかき消され、誰にも聞かれることはなかった。
自分だけ何もできない。臆病な卑怯者。
その気持ちだけが今の東郷の心を満たしていた。
友奈が風と樹と一緒に乙女座と戦うのを見ながら、何度もスマホの画面をタップする。
しかしスマホのアプリは何の反応もせず、画面に映る花はつぼみのままだ。
「なんで! どうして!」
どうして自分だけ変身できないの⁉
悔しさで目の前が真っ赤になる。ついスマホを地面にたたきつけようという衝動に身を任せようとして…目の前に差し出された棒キャンディーに驚き、手を止めた。
「え?」
「いりませんか? 1つ」
キャンディーを差し出したのは、丹羽明吾だった。
友奈と一緒にいたところに急に現れた、よくわからない存在だ。
最初は最大警戒で対処していたが、爆風からかばってくれたし悪い子ではないと思う。
「今は、そんな場合じゃ」
「悪い考えで悩むのは、おなかがすいているからですよ。こういう時は何か食べて、一息つくのが1番です」
見抜かれていた。自分の心理状態が。
キャンディーを受け取り、包み紙をはがして口に入れる。
甘い。口の中に広がる強い甘みとバニラの香りに緊張していた身体の筋肉がほぐれていくようだ。
「甘いわね、これ」
糖分を摂取したせいか、少し冷静になることができた。イライラや胸の内を満たしていた暗い感情も、少しずつ霧散していくように感じる。
「ええ、俺のお気に入りです」
そう言って丹羽は笑った。これではどちらが先輩かわからない。
「あなた落ち着いてるわね。怖くないの? こんなわけのわからないところに連れてこられて」
「怖いですよ。でも、先輩は俺とは別の怖さを抱えてるのに我慢している。それなのに俺だけ怖がるわけにはいきません」
「別の怖さって?」
「友達や仲間を失うかもしれない怖さ。それに比べたら、自分が死ぬのか死なないのかなんて、大したことじゃありません」
言われて初めて気づいた。そうか、自分が焦っていたのは自分が変身できないせいで友奈ちゃんや風先輩、樹ちゃんを助けられなかったらと思っていたから。
後輩に指摘され初めて自覚できた原因に、頭の回転を邪魔していたものがすっと取り払われたような気がした。
「そうか。私、自分のせいでみんなが死んじゃったらと思って。結局自分のことばっかり」
「そんなことないですよ。自分が何もできなかったせいで助けられなかったと思ったら、悔やんでも悔やみきれないのは当然だと思います」
言葉には、どこか実感を感じた。もしかして、彼も何か過去に後悔を抱えるような出来事があったのだろうか?
「だめね私。年下の樹ちゃんも戦ってるのに、怖くて仕方ないの」
東郷は、胸の内を
普段は決して弱音を吐かない自分が胸の内に抱えている嫌な感情を吐き出してしまう。
「東郷先輩は、自分だけが助かればいい。そのためなら友達も…勇者部のみんなも犠牲になっても構わないと思ってますか」
「そんなこと!」
丹羽の言葉に東郷はすぐさま否定の言葉を上げる。
「そんなこと、思うはずない。だって友奈ちゃんは、風先輩は、樹ちゃんは私の大切な仲間だもの」
「だったら大丈夫です。東郷先輩はあいつらじゃない」
あいつらとは誰のことだろう。疑問に思ったが、なんとなく訊くのははばかられた。
「祈りましょう。3人が無事に帰ってこられるように。それがきっと俺たちができる精一杯の戦いです」
そう言う丹羽は1つ年下のはずなのに、どこか自分よりも大人に見える。
異性なのに不思議と不快感がなかった。男子はどこかねっとりとした視線で自分の胸を見てくるか、車椅子の姿に露骨な同情の視線を向けてくるかのどちらかだけだと思っていた。
そのどちらでもない、東郷美森という人間自身を見てくれているような丹羽の視線は新鮮で、決して嫌なものではない。
「神樹様、どうかみんなをお守りください」
丹羽の言葉に、東郷も祈る。
心から、
その祈りが通じたのか、3人の勇者によって乙女座のバーテックスは倒され、出てきた御霊も封印の儀で無事無力化することができた。
なんとか全員生き残ることができたか。
俺は丹羽明吾を通して確認した映像に、結界外で待機していたゆゆゆいバーテックス部隊に、解散して引き返すように念じる。
いざという時は人型バーテックスである俺も参加して勇者に助太刀しようと思っていたが、その心配はなかったようだ。
まぁ、初戦くらいは勝ってくれないとな。下手に介入してわすゆ時代のレオみたいに予想外のことが起きても困るし、勇者たちにも経験を積まさないといけない。
でないと最終戦のレオ・スタークラスターとは戦えないだろう。天の神を除けば作中最強クラスの存在だ。
そんな奴にレベル1で挑もうなんて愚の骨頂。最低限のレベル上げは必須だろう。
そのために結界内に入れる星屑の量も調整しないと。多すぎず少なすぎず。
さて、じゃあヴァルゴとの戦いは終わったから、こっちの準備をしないとな。
俺はとあるものを入れたフェルマータ・アルタを呼び出し、神樹の結界の中へ突入させた。
戦闘の結果は大勝利だった。
初めての戦闘でみんな
それが最大の成果で最高の結果だ。
友奈は結界の奥に残してきた東郷と丹羽の元へ向かった。
自分が近づくのがわかったのか、東郷が車椅子に座ったまま手を振っている。後ろには丹羽もいる。
よかった。2人とも無事だったんだ。
思わず胸をなでおろした友奈の横を、すごいスピードで何かが通り過ぎて行った。
「え?」
それはバーテックスだった。
星屑とは違う、先端にとがった針が2つありところどころ穴が開いた頭部からはトナカイの角のようなものが生えている。昆虫のような赤い接続部と飛行機の翼のような形の脚部、白い腹部はやや楕円形で後ろのほうに行くと尾のように細く長くなっている。
その姿を友奈はなぜかはっきり見ることができた。まるで時間がゆっくりと流れているように。
それがすごい速さで東郷に向かって直進していくのを。
「東郷さん!」
思わず叫ぶ。逃げてくれ、避けてくれと。
だが彼女は車椅子だ。どんなに機敏に反応したとしても、すぐには動けない。
だめだ。やられちゃう!
思わず目を閉じようとするが、勇者として強化された身体能力と普段空手で稽古して鍛えた反射神経がそれをさせてくれない。
友奈は目撃するはずだった。車椅子であるがゆえ逃げられなかった親友の死の瞬間を。
1年前に知り合い、家が隣同士ということですぐ仲良くなった大切な存在が命を奪われる瞬間を。
そこに今日出会ったばかりの1つ年下の後輩。丹羽が東郷をかばうように前に出なければ。
東郷美森は恐怖した。自分へ向かって突進してくるバーテックスに。
風からバーテックスが神樹様の元へたどり着くと世界が終わるとは聞いていた。だったら敵を倒し、油断したところを神風特攻のように突っ込んでくるバーテックスがいてもおかしくはない。
前線にいた犬吠埼姉妹は突破され、こちらに向かっていた友奈の横も通り過ぎた。残っているのは自分だけだ。
お役目として、四国の人間を守るために自分が盾にならないと。
ここには自分しかいないのだから。
「危ない! 東郷先輩」
いや、もう1人いた。
今日出会ったばかりの後輩。樹ちゃんと同じクラスの年下とは思えない妙に大人びたところがある男子。
丹羽明吾が、東郷をかばうように前に出て特攻してきたバーテックスの頭部に腹を貫かれていた。
あまりの出来事に、悲鳴も上げられない。
それは本来自分の役目だ。勇者として、四国の人々を守るのは。
あれ? どうしてそう思うのだろう。勇者に選ばれたというのは、今日初めて知ったばかりだというのに。
そんな思考の矛盾はどうでもよかった。早く丹羽を助けないと。
気ばかりが焦り、車いすから転げ落ちてしまう。こんな時動かない脚が恨めしい。
丹羽の元へ駆けつけようと樹海を這うように動いていた東郷の目に、その光景は飛び込んできた。
白い花、あれは百合だろうか。丹羽の身体を包むように咲き誇り、光に包まれる。
光が消えた後、丹羽の姿は劇的に変わっていた。
黒い学生服だったはずの身体にまとっていた服は真っ白な勇者服に。デザインは風と似ており、白い服に赤いラインが走っている。
髪も真っ白になっていて、どこか神秘的な雰囲気がしていた。
右手には黒い斧。左手には白い斧を持ち、丹羽が右手を振り下ろすと、斧で真っ二つにされたバーテックスは消滅する。
「丹羽君」
あなた、変身できたの? と東郷が言おうとすると、振り向いた丹羽が車椅子から落ちた東郷に気づいた。
「東郷先輩、大丈夫ですか⁉」
心配そうな顔をして、抱き起してくれた。馬鹿ね、それはこっちの台詞よ。
変身した影響なのか、結構な力作業のはずなのに楽々車椅子まで抱き上げて座らせてくれた。と同時に友奈がやってきて「東郷さん、大丈夫?」と訊いてくる。
「ええ、大丈夫よ友奈ちゃん。丹羽君が助けてくれたから」
「そうなんだ。ありがとう丹羽君、私の親友を助けてくれて」
「親友というより、恋人では?」
と丹羽君が言ってくれる。こ、恋人って。やっぱりそう見えるのかしら。
この子に対する認識を、少し改める必要があるかもしれない。
「ははは、やだなぁ丹羽君。そんな冗談ばっかり」
え、友奈ちゃん冗談って…ああ、丹羽君がいるからそう言ったのね。ごめんなさい、あなたの愛を疑うところだったわ。
少し遅れて、風と樹もこちらへやってきた。2人ともしきりに東郷のことを心配して声をかけてくれる。
「東郷、無事⁉ って、アンタその姿は」
「丹羽君、だよね? 変身できたの?」
東郷の無事に安堵したのも束の間、今度は白い勇者服に真っ白な髪に変化した丹羽に驚いている。
「あ、なんかできちゃいました」
「できちゃいましたって、勇者は神樹様に選ばれた穢れ無き乙女しかなれないって」
「それ、本当なんですか? 風先輩を散々騙していた大赦の情報でしょう? きっと言ってないだけで隠してただけなんじゃないですかね」
丹羽の言葉に「そんなはずは…いや、そうかも」と風は半信半疑な様子だ。
「なんにせよ、全員無事ならそれでいいじゃないですか」
という丹羽の言葉に、全員納得しようとする。が、そうはいかないと東郷は丹羽に近づき、白い勇者服を脱がせようとする。
「無事じゃないでしょう! あなた、さっきバーテックスに腹を貫かれたのよ! 傷は? いいから見せなさい」
「いやいや、大丈夫ですって。痛くもなんともないし、気にしなくても」
「あ、そうだ! 丹羽君さっき東郷さんをかばって刺されてたんだ」
「え、アンタ腹刺されたの⁉ 大変じゃない、すぐ見せなさい」
「丹羽君、大丈夫?」
4人の少女が丹羽を囲み、しっちゃかめっちゃかになる。丹羽が大丈夫だと言っているのに、誰も訊く耳を持たない。
結局脱がせる脱がないの攻防は樹海化が解け、勇者部全員と丹羽が学校の屋上に転移するまで続いた。
運動場で運動する生徒たちの声が聞こえる。風が木の枝を揺らし、青い葉が空を舞っていた。
「みんな動いてる。今の出来事、誰も気づいていないんだ」
帰ってきたんだ。あの世界から。
樹は停止した世界から抜け出せたことに、安堵する。
「そ、他の人からすれば今日は普通の木曜日。ちなみに今はモロ授業中」
「「「ええーっ⁉」」」
風が伝えた衝撃の事実に、勇者部部員たちが驚きの声を上げる。
「まあ、それについては大赦にフォローを…頼んでいいのかしらね。というか、信用していいのか自信がなくなってきた」
丹羽との会話から、風は大赦不振になっていた。少しやりすぎたかもしれない。
「一応、頼むだけ頼んどくわ。何もしなかったら、それはそれで交渉の材料にもなるし」
スマホを操り、大赦へのメールを送る風。よかった。少しは立ち直ってくれていたようだ。
「犬吠埼さん、犬吠埼先輩、結城先輩、怪我はなかったですか?」
丹羽が尋ねると、樹の頭の中を先ほどまでの出来事が走馬灯のように駆け抜ける。
なんだか現実離れしていたが、あれで死ぬかもしれなかったのだ。今更ながら恐怖が足を伝ってくる。
「アタシは大丈夫。友奈と樹は…樹?」
「お姉ちゃっ…わたし、怖かった。ふぇえ…っ。もう、わけわかんないよぉ」
「よしよし、冷蔵庫のプリン食べていいよ。あんたのだけど」
おい、と友奈と東郷がツッコむべきか迷っていると、それ以上のツッコミ対象が現れた。
「あら^~やはりふういつは正義。百合姉妹っていいよね」
なぜか目をキラキラさせた丹羽が抱き合う風と樹を眺めている。
あれ? さっきまで私を助けてくれた男の子はどこに?
東郷は一瞬自分の目がおかしくなったのかと疑う。
「えっと、丹羽君?」
「なんですか、結城先輩」
あ、元に戻った。変わり身早いのね。
「本当に怪我はない? 大丈夫?」
「だから大丈夫ですって。俺としては前線でバーテックスと戦ってた3人のほうが心配ですよ」
丹羽の言葉はもっともだ。東郷も友奈に確認する。
「友奈ちゃん。怪我は大丈夫なの?」
「もっちろん。この後東郷さんを背負ってランニングだって出来ちゃうよ」
なんとも頼もしい答えだ。東郷としては友奈と密着できる機会なのでぜひお願いしたいが。
その前に確かめなければならないことがある。
「風先輩、聞きたいことが」
東郷の視線を受け、風も覚悟を決めたようにうなずく。
「わかってるわ。全部話す。アタシが大赦から教えられていること全部」
「おかえりなさいませ、勇者様」
突如聞こえた第3者の声に驚き、勇者部4人と丹羽が振り向く。
そこには、原作にはいなかったはずの存在がいた。
好感度は上げたら即下げていくスタイル。
だって百合イチャが見たいんだもの。 丹羽
三ノ輪銀
↓
minowa gin
↓
niwa mingo
↓
丹羽明吾
偶然だぞ!