詰みゲーみたいな島(四国)に人類を滅ぼす敵として転生した百合厨はどうすりゃいいんですか?   作:百男合

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 前回のハイライト
友奈「くっ、水瓶座の水球から出てきた水の蛇につかまっちゃったよ!?」
風「友奈! 今助ける…ってアタシもつかまったー!?」
友奈「やだー、水の蛇がスパッツの中にまで入ってきて冷たーい!」(エッチなSE)
風「ちょっと! コイツどこめくってるのよ!」(いやーんSE)
東郷「ハァハァ、いいわよ友奈ちゃん! あなたは最高よ!」(●REC)
風「ちょっと東郷! アンタ後衛のはずでしょ!?」
東郷「友奈ちゃんのピンチには颯爽と駆けつける。それが私です」(精霊3体使っていろんな角度から写真を撮る)
友奈「いやー! 東郷さん見ないでー!」
東郷「恥じらう姿もキュートよ! ハァハァ」
アクエリアス・スタークラスター(えぇ…なんなのこいつ)


アクエリアス・スタークラスター「痛いのは嫌なので防御(以下略)」

「う、ここは…」

「三好先輩? よかった意識を取り戻したんですね」

 夏凛が目を開けるとそこには白い勇者服を着た丹羽がいた。

 そのそばには見たことのない人型の精霊がいる。こいつ、また精霊が増えたのか。

 とそこまで考えて気を失う前までの出来事が早送りしたように頭の中で再生される。

「風と友奈は!? ~っ!」

 立ち上がろうとして、急に頭がくらくらして気分が悪くなった。

 まるで嵐の漁船に乗っているようだ。まともに立つことができそうにない。

「気を付けてください、多分鼓膜が破けて平衡感覚もちょっとおかしくなっているかもしれないので。今治してますけど、動けるようになるまでもう少し時間がかかります」

 分厚い空気のカーテンが間にかかったように丹羽の言葉が聞こえづらい。

 何を言っているか判断しづらかったが、鼓膜が破れて平衡感覚がおかしくなっているというのはかろうじて聞き取れた。

 ん? 今治しているって…。

「な、おす? その精霊が?」

 夏凛が見るとその精霊はぺこりと頭を下げた。

 スミやナツメ、セッカと違い礼儀正しいというかおとなしそうな子だ。ともすれば戦いとは縁遠いような。

『あの、初めまして。ミトといいます』

「ミトさん、今三好先輩は耳が聞こえにくいから」

『あ、そうですよね。ごめんなさい』

 何か丹羽と精霊が話し合っているようだが、どうでもいい。

 また失敗してしまった。今度こそ自分の力を示す絶好の機会だと思ったのに。

 これでは完成型勇者どころか不完全型勇者だ。碌な戦力にならないから欠陥型勇者に改名した方がいいかもしれない。

「情けない…なにが完成型勇者よ」

 なんとなく顔を見られたくなくて顔を手で覆う。それに対し、丹羽は手を夏凛の頭に置いた。

「全然情けなくないですよ」

 声がクリアに聞こえたのは手から骨伝導のように響いたからだろうか?

 丹羽の言葉に夏凛は指の隙間から丹羽の顔を見る。

「三好先輩が敵の攻撃を暴いてくれたから、犬吠埼先輩も結城先輩も全員やられずに戦うことができたんです。この戦い最大の功労者ですよ」

「でもあたし、また活躍できなかった。頑張ったのに、みんなに認めてほしくて」

「認めているじゃないですか。勇者部の皆は三好先輩の頑張りを誰よりも知ってますよ。もし三好先輩を悪く言うやつらがいたら、勇者部全員がそれは違うって言いますよ」

 その言葉に、ええ、そうねと夏凛は思う。

 讃州中学勇者部は本当に居心地のいいところだった。ともすればぬるま湯と感じ、いつまでも入っていたいと思うほど。

 だからしっかりしないと思った。みんなより頑張ろうと焦り、また失敗してしまった。

「あたし、結局失敗して。みんなの足引っ張って、馬鹿みたい」

「誰もそんなことを思ってませんよ。それにもし今回のことを失敗だと思ったなら、三好先輩は次は同じ失敗しないようにって心構えができたはずです」

 自分を責める夏凛に、丹羽はどこまでも肯定し優しい言葉をかける。

「だから、同じような失敗をしようとする仲間を見たら止めることができます。それは多分、三好先輩しか気づかないことで、特別なことです」

 罪悪感や無力感でいっぱいの夏凛の胸の内を、丹羽の言葉が溶かしていく。

「すごいですよ三好先輩は。人を助けるための手札を俺なんかよりいっぱい持ってるんです。だから、みんなが困った時にそのカードを切って助けられるのは先輩だけかもしれないですね」

 ずっと変な奴だと思っていた。

 スケベで、友奈とあたしを仲良くさせたがって。時々変な目でこっちを見ている不審者。

 そんな奴なのに、なんでこんなにそばにいるのに安心するんだろう。

 どうしてもっと一緒にいて優しい言葉をかけてほしいと思うんだろう?

 でも、風や友奈が彼を仲間だと認めている理由は、なんとなくわかった気がする。

 彼はきっと、優しくて強い。

 それなのに、弱い人間の気持ちがわかる人なのだ。

『お、終わりました』

 精霊の声が、今度ははっきりと聞こえた。いつの間にかグラグラとしていた気持ち悪さもなくなっている。

「三好先輩、立て…いや、まずはゆっくりと座る状態から」

「大丈夫よ」

 心配する丹羽に、あえて不敵に笑いその場に立ってみる。

 うん、確かに完治したようだ。平衡感覚も問題ない。

「あの程度で、完成型勇者のあたしがやられるわけないじゃない」

 そして改めて自分を治してくれた精霊にお礼を言う。

「ありがとう。あんた、ミトだったけ? あたしを治してくれて」

『いえ治ってよかったです。じゃあ私はこれで』

 夏凛がお礼を言うと顔を真っ赤にして丹羽の中に帰ってしまった。

 うーん、人見知りなタイプね。今までの丹羽の精霊にはいなかった奴だわ。

「いつの間にあんな精霊を?」

「気づいたらですね。謎です」

 その言葉に、「そう」と一言だけ返す。以前の自分なら根掘り葉掘り追及していただろうが、今はどうでもよかった。

 風や友奈たち勇者部の部員が丹羽の精霊に甘い理由が、なんとなく理解できた。

 信頼しているからだ。丹羽という勇者とその精霊を。

「ところでここは」

「後衛の東郷先輩のすぐ近くです。ほら、そこに」

 丹羽が指さす方を見ると、東郷がうつぶせになったまま狙撃していた。

 どうやら前衛からここまで丹羽が運んで治療してくれていたらしい。

「もう少し休んでから戦線に復帰しますか?」

「冗談。今すぐ行ってあの水瓶座にさっきのお返しをしてやるわよ」

 2振りの刀を手に取り、不敵な笑みを向ける夏凛にもう大丈夫かと丹羽は安心する。

「もしもし、誰か聞こえる!?」

 その時スマホから風の声が聞こえた。

「どうしたんですか犬吠埼先輩」

「丹羽? 夏凛はどう?」

「大丈夫よ。完全復活。今すぐそっちに向かうわ」

「え、夏凛ちゃん治ったんですか? やったー!」

 夏凛の言葉に向こうから友奈が喜ぶ声が聞こえる。

「それより丹羽、大変なのよ。アタシたちさっきまで水瓶座と戦ってたんだけど、急に姿が消えたの」

「姿が消えた?」

「そう、こう、ぶわーっと水蒸気の霧が晴れたらね、いなくなってたの」

 風の言葉に友奈がその時の状況を説明する。

 姿が消えた。逃げたということだろうか?

 しかしそれにしては樹海化が解けていない。残りの星屑を倒せばいいのだろうか。

 それに解せない。星座級7体を吸収したあの能力ならばあのまま力押しすれば風と友奈を簡単に倒せたはずだ。

 何らかの方法で風と友奈が水瓶座に対して致命的なダメージを与えたということだろうか。

「犬吠埼先輩、水瓶座が消える前に何かしましたか?」

「何かって言うか…友奈とアタシが水の蛇につかまったから、その蛇が出てくる水球に大赦からもらった振動兵器? だっけ。あれをぶっ刺して爆発させたんだけど」

「それからどうなりましたか?」

「水球から星屑が出てきて…アタシがそれを斬ったら夏凛を閉じ込めた水球を放ってきた。それを避けたら今度は大きい火球が」

「ちょっと風、大丈夫だったの?」

「犬神のおかげでね。一応乙女の肌は無事よ」

「誰もあんたの肌の調子なんて訊いてないわよ」とツッコむ夏凛の言葉を聞きながら、丹羽は別のことを考えいていた。

 おそらく風の放った振動音波兵器は水瓶座にとっても予期せぬものだったのだろう。

 だから水でできた蛇の骨組みである星屑を吐き出してしまった。

 ということはただ逃げたわけではない。おそらく魚座の樹海に潜る能力を使って…。

「犬吠埼さん! 犬吠埼さん! 聞こえたら今すぐその場所から離れて!!」

「どうしたの丹羽? 樹が一体」

「おそらく犬吠埼先輩と結城先輩の前から消えたのは、魚座の能力で樹海に潜ったからです。そして奴の狙いはおそらく星屑。今星屑が一番集まっている場所にいる勇者は」

「っ、樹ぃ!」

 姉の呼びかけにも返事はない。おそらく星屑の討伐に必死で気づいていないのか。

 もしくは――。

「丹羽! あれ見て!」

 夏凛の声に、指さす方向を見る。

 そこには地面から突如現れた水瓶座に突き上げられ吹っ飛ばされた緑色の勇者服の少女がいた。

 

 

 

「樹!? 樹は無事なの? お願い、誰か返事して!?」

「風先輩、落ち着いて」

 半狂乱になっている風を友奈は何とか落ち着かせようとする。

 だが心配なのは自分も同じだ。もしも自分たちが逃がしたあの巨大バーテックスが樹の元まで行ったとしたら、東郷とその付近に避難した夏凛と丹羽も危ない。

「風、落ち着いて聞いて」

「夏凛? 樹は? 樹は無事なの!?」

「だから落ち着きなさいっての! リーダーのあんたが冷静にならないでどうすんの」

 夏凛の叱責に風は一拍置き、深呼吸する。努めて冷静であろうと心に言い聞かせ、夏凛に返事した。

「ごめん、夏凛。現在の状況を教えて頂戴」

「敵の巨大バーテックスは星屑が大量にいる場所付近に出現。そこにいた樹を跳ね飛ばして浮上したわ」

「じゃあ、樹は」

「落ち着きなさい! 精霊バリアが働いて大した傷はない…はず。今は丹羽が回収に行ってるわ」

「回収…丹羽が? 今丹羽は切り札を使った後で戦闘できないはずじゃ」

「なんですって!? そんなことあたしあいつから一言も聞いてないわよ!?」

 通信先の夏凛が動揺しているのが声から分かった。

 おそらく丹羽は回復したばかりの夏凛より自分が行った方がいいと思ったのだろう。

 なんて無茶なことを。戦えないのにあの巨大バーテックスのもとへ行くなんて、死にに行くようなものだ。

「友奈、今すぐ後退してみんなと合流するわよ。話し合いたいこともあるし、1度体勢を立て直す」

「わかりました。行きましょう」

 それから風と友奈は東郷がいる樹海の奥へと急ぐ。

 気ばかりがはやり、樹が無事でいてくれと心の中で何度も願う。

 こんなことなら丹羽にもっと死亡フラグについて聞いておくんだったと後悔する。

 そうすれば樹に行くはずだった死亡フラグがアタシの方に――

「風、よく聞いて。樹は無事よ。今治療中」

 その言葉に風は胸をなでおろす。よかった、無事だった。

「今は丹羽が新しく呼び出した精霊で治療中。あたしもそれで破れた鼓膜とかが治ったから、安心していいわよ」

 新しく呼び出した? 丹羽が精霊を?

 驚く風と友奈だが、そういえば切り札を使った時5体精霊がいたことを思い出す。あの時か。

 まったく、あいつときたらいい意味で自分たちの想像の上をいってくれる。

「ただ、戦況は悪いかもしれない。水瓶座が樹と東郷が倒していた星屑をどんどん4つの水球に取り込んでる。丹羽によるとそれで蛇みたいなのが出てくる水球はすごく固くなってちょっとやそっとじゃ破壊できないらしいわ」

「夏凛、こっちも伝えることがあるの。あの水瓶座、アタシと友奈が攻撃している間に丹羽がつけた傷や折った角が治ってた。おそらく再生能力があるみたい」

「つまり、時間がかかる分だけこっちが不利ってことね。了解、伝えるわ」

「ええ、その件について1度合流して作戦会議をしたいんだけど」

「こっちに今来るのは危険…って何よあれ!?」

 夏凛の驚く声に、思わず足を止める。

「夏凛、どうしたの!?」

「風先輩、あれ…」

 友奈の指さす方へ目をやった風は、絶句した。

 そこにいたのは4つの水球を全身にまとい、体躯のいたるところから蛇のような触手がイソギンチャクのように生えた水瓶座の姿。

 神話時代の怪物、ヒュドラを彷彿とさせる敵の姿だった。

 

 

 

 東郷は星屑への狙撃を中止し、夏凛、丹羽、そして水瓶座の攻撃を受け気絶している樹と合流する。

 先ほどまで樹のもとへ行く丹羽を援護し星屑を攻撃していたのだが、水瓶座が現れて4つの水球から何かが伸びたかと思ったら周囲にいた星屑たちをどんどん取り込んでいった。

 そして4つの水球で自分を覆うと水瓶座の体躯が変化し、無数の蛇のような触手が次々と伸びていき遠くにいた星屑まで取り込み始めたのだ。

 今の水瓶座は無数の蛇の頭を方々に伸ばし、取り込むべき星屑を探している。

 そのおかげで樹海の地面に倒れていた樹を回収しに行った丹羽は無事だったのだが。

「あれは、本当に水瓶座のバーテックスなの?」

 東郷の疑問に、誰も答えない。セッカから聞いていた特徴とはまるで違ったからだ。

「おそらく、あいつは残りの6体の星座級を吸収し、7体分の質量をもったバーテックスです。しかも何らかの方法で通常ではありえない攻撃方法をラーニング…いや、習得しているんだと思います」

「通常ではありえない攻撃方法って?」

「水のワイヤー。それを使った応用技術です。星屑を骨組みにして蛇のような触手を強化するなんて方法、セッカさんの知る水瓶座の攻撃方法にありませんでしたから」

 そう、水のワイヤーは丹羽と同じ人格から生まれた人型のバーテックスしか使えないはずだった。

 しかも最近乃木園子相手に使った水のワイヤーを編み込み、筋組織として骨組みにゆゆゆいバーテックスを使った戦法までまねるなんて。

 いったいどうやって習得したのか? 疑問に思うが今問題なのはそこではない。

 アレをどうやって倒すかだ。

「攻撃して分かったんだけど、あの蛇を斬るのは無理ね。振動兵器のおかげで何とか逃げられたけど、次つかまったらやばいと思う」

 スマホから聞こえてくる風の声に、3人は考え込む。

「振動音波兵器があのバーテックスに効くのならばもう1回使ってみたらどうかしら?」

「いや、多分あれは油断してたから水球に取り込んだっていうのもあると思う。2回目はうまくいかないかもしれない」

 東郷の提案に、風は即否定した。

「東郷先輩の持ってる対魚座用の奴を使えば可能性はありますが、そうなるとそこに接近するまでに無事でいられるかという問題も出てきますね」

「ええ、見たところ360度どこから攻撃しても対応できそうよね」

 夏凛の言葉に全員がうなずく。

 蛇状の触手は水で覆われた水瓶座の至る場所から生えている。仮に別方向から同時に勇者たちが攻撃してきても難なくいなして逆に身体に巻き付き動きを封じられるのは目に見えていた。

 あとは動けなくなった勇者たちを1人1人順番にウォータープリズンで閉じ込めるか火球で燃やすか、あるいはウォーターショットの的にして死ぬまでなぶり殺しにするか。相手にとっては選び放題だ。

 逆にこちらは相手に有効打を与えることができるのは1手しかない。しかもそこに至るまでの道筋はほぼ相手に封じられている。

 詰み。

 そんな言葉が5人の頭の中に浮かぶ。

「やっぱり、もう満開するしか」

 友奈の漏らした言葉に、しかし誰も反論できなかった。

 だが、満開したとしても倒せるのか? という疑問が浮かぶ。

「少なくとも結城先輩の満開は今の状態では意味がないと思います。結城先輩は打撃系なのであの水球に守られた水瓶座にはダメージを与えられません」

 丹羽の言葉に友奈はがっくりとする。事実上の戦力外通告に悔しさが胸の内に広がる。

「同じように東郷先輩の武器もあいつに届く前に失速して銃弾が貫通するには至らないでしょう。だから、戦えるのは俺と三好先輩、そして犬吠埼先輩の3人」

「わたしもいるよ」

「樹! もう大丈夫なの?」

 樹の声に風が喜びの声を上げる。

「うん、ありがとうミトちゃん。それで丹羽くん、もしわたしが満開して、あの水瓶座をワイヤーで巻き取って動きを封じたら倒せる確率はどれくらい?」

 樹の言葉に丹羽は考える。できれば樹には満開してほしくない。彼女が散華して声を失うことが風暴走のきっかけと原因だからだ。

 だがそうも言ってられない。考え、結論を出す。

「もし犬吠埼さんが満開して奴の動きを封じても水は流体ですから多分ワイヤーの隙間から水の蛇が出てきて皆に襲い掛かることは変わらないかと」

「じゃあどうすんのよ! 八方ふさがりじゃない!?」

 夏凛の言葉に重い空気に包まれる。

 どうする? どうすればいい?

 相手は水を使う防御特化、しかも自動回復持ちで長引くだけこちらには不利。

 しかも相手は360度どこから攻撃してきても対応できて、四方八方に伸びる蛇型の触手は勇者たちの武器ではちょっとやそっとじゃ切断できないほど強固だ。

 それにつかまったら最後、敵の攻撃でなぶり殺しにされてしまう。

 考えろ、考えろ、考えろ!

 今まで勇者部皆が教えてくれた情報と、人間だったころの記憶はないが憶えているサブカル知識を総動員して。

 水の中では音響兵器がよく効く。これは使える。勇者たち全員が持っている振動音波兵器を全部使えばあの水で覆われた蛇の装甲をはがすことは可能だろう。

 だが、その下の水瓶座本体を倒すには相当な火力が必要だ。それこそ一瞬で吹き飛ばすほどの。

 丹羽の切り札状態でも傷つけるのがやっとだった。だが、勇者の満開なら…。

 いや、待てよ?

「三好先輩、先輩は確か1人で封印の儀と結界が使えるんですよね?」

 丹羽の言葉に一瞬戸惑った夏凛だが、首肯する。

「ええ、山羊座戦でもやって見せたでしょ?」

「犬吠埼先輩、結城先輩と2人…いや、犬吠埼さんも合わせると封印の儀はどれくらいかかりますか?」

「え? 多分だけど乙女座を封印した時と同じくらい…夏凛ほどは早くないけど」

 よし、いける。

「でも、御霊はバーテックスが弱らせないと吐き出さないし、そんな簡単には」

 そうか、本体にダメージを与えないと無理か。

 風から告げられた言葉に、計画を最初から練りなおそうとする丹羽だったが、

「ふっ、だからあんたらはトーシローなのよ」

 夏凛の声に顔を上げた。

「あたしくらいの完成型勇者になると、とりついて傷をつけたらすぐに結界を展開して封印の儀を行えるわ。完成型勇者をなめるんじゃないわよ!」

「三好先輩!」

 急に丹羽に手を握られ、夏凛はびっくりする。

「な、なによ?」

「流石完成型勇者! あなたがいて助かりました。これで作戦がうまくいく」

「丹羽、作戦って?」

 スマホの向こうから聞こえてくる風の声に、丹羽は明るく返す。

「はい、カギを握るのは三好先輩と…犬吠埼さんです」

「え、わたし!?」

 突如指名されて自分は戦力外だと考えていた樹は驚いた。

 




精霊「ミト」
モデル:覚+藤森水都
色:白(バーテックス専用)
レアリティ:SSR
アビリティ:「諏訪の巫女」
効果:出陣した全員の全ステータスアップ。
花:「オニユリ」(花言葉は賢者)

 髪が白い以外はまんまゆゆゆいに出てくる西暦時代の諏訪の巫女、藤森水都のSD姿。
 勇者の力の欠片である英霊碑を取り込み生まれた人型精霊。のはずだがなぜか巫女の彼女が生まれてしまった。
 武器はない代わりに勇者たちの能力を上げる全体バフを使える。これはミトを取り込み変身している間ずっと有効。
 精霊としても卓越した能力を持ち、丹羽と一体化しないでも傷ついた勇者の傷の治療。未来予知なども使いこなす。
 ウタノが大好きでミトを呼び出すとなぜかウタノが一緒に来てしまうことが多々ある。

 アクエリアス・スタークラスター【第2形態】(ヒュドラの姿)

 水球の水で自分自身を覆い、取り込んだ星屑を骨組みにしてワイヤーで織り込み筋組織のようにした蛇の形をした触手を無数に生やした姿。
 その姿は神話に出てくる怪物、ヒュドラそのもの。
 本物との違いは猛毒を持たないのとたいまつの炎で切り落とした首を焼けないこと。再生しない首がないところ。スコーピオン吸収したら毒属性はついたかもしれない。
 全方位防御機能付きで、近づいてきた勇者を無数の蛇型触手で捕らえ、レオの火球で焼いたり強力になったアクアショットでとどめを刺したり、自分のいる水球に取り込んで溺死させたりする。
 変身少女モノには触手緊縛は外せないよね! とのことなので。
 ちなみにヒュドラはすでに海蛇座として存在する。水瓶座なのに海蛇座とはいったい…うごごご。
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