詰みゲーみたいな島(四国)に人類を滅ぼす敵として転生した百合厨はどうすりゃいいんですか? 作:百男合
【呼び方】
「呼び方を決めましょう」
いつもの放課後。讃州中学勇者部部室。
今日の活動を決めたのは、部長である風の鶴の一声だった。
「呼び方って、なんのですか? もしかして勇者部の新しい劇の」
「いやいやゆーゆ。それならまず脚本家のわたしに話を通してもらわないと」
友奈の疑問に、園子が待ったをかける。
ボランティア活動で訪れる幼稚園での演劇や人形劇のシナリオは園子が担当しており、評判も良かった。
「ひょっとして、今度やる特撮ショーで戦隊みたいにイメージカラーを決めようとかいうのじゃないでしょーね」
「だったら夏凛はレッドね。単純で熱血でリーダーらしく人にお節介焼くし」
「熱血でお節介焼きなのは友奈のことでしょ。だれが単純よ! なに芽吹、あんた自分はブルーだと思ってるわけ? 知的でクールなできる女のイメージからは程遠いわよ」
また始まったと他の部活メンバーは思った。夏凛と芽吹の喧嘩というかプロレスじみた言い合いはいつものことだ。要するに喧嘩するほど仲がいい。
「いや、私はブラック一択。これは譲れないわ」
芽吹の答えに、何人かは「あー」と納得ともとれる声が漏れる。
「そうですわね。何色にも染まらない黒は頑固な楠さんにピッタリの色ですわ」
「そうだねー。メブブラックはぴったりだよ」
「メブブラック…かっこいいね、芽吹ちゃん」
「黒い衣装の芽吹先輩…かっこいいです」
褒めているのかけなしているか微妙な夕海子の感想に、雀も追従する。友奈と亜弥は基本褒めてくれるが、今回は有り寄りの褒め方だ。
「レッドは友奈として、他は? 残ってるのはブルーとイエロー、ピンクとホワイトだったけ?」
「はいはい、ブルーは東郷さんだと思いまーす。冷静沈着で、頼りになる勇者部のお母さん!」
「いや、結城さん。東郷さんはむしろピンク…いえ、何でもありません。すみませんでした」
身体の
「わっしー、どうどう。ステイステイ」
「大丈夫よそのっち。私は冷静だわ」
冷静ならその物騒なオーラをしまってくださいプリーズ。
「ピンクは亜弥ちゃんか樹ちゃんがいいと思うわ。かわいらしいし」
「そんな、かわいいなんて」
「そうですよ。樹ちゃんのようなかわいらしさなんてわたしには」
なにこのかわいい生き物たち。
思わず1つ年下である未来の後輩の頭をなでる勇者部1年生組。
「はっ、思わず撫でてしまった!」
「恐るべし、ナデナデ吸引力」
「亜耶さんもそうですが、樹さんの無自覚なかわいらしさも侮れませんわ」
「本当ね。将来は樹ちゃんか亜耶ちゃんみたいな娘が欲しいわ。ね、友奈ちゃん」
「? うん、そうだね」
「ちょっと、気づいて結城さん。多分東郷さんと結城さんが考えていることには決定的なすれ違いが起きてると思う」
1番最初に耐性を持っている芽吹が正気を取り戻し、次に夏凛、夕海子、東郷、友奈、雀と冷静になる。園子はまだ2人の髪のさらさらを楽しんでいる。
「ということはホワイトはわたくしですわね。白は古来より高貴な色。高貴な弥勒家のわたくしにこそ相応しい」
「あーうん。いいんじゃない。弥勒さんってある意味染まりやすいし」
「染まりやすいというか、染められているというか」
「毎日、園子さんに汚されてるわよね」
「だめよそのっち。汚したらちゃんときれいにしなきゃ」
「てへ☆ ごめーん」
「え、染められてるって何のこと?」
「友奈ちゃんと亜耶ちゃんと樹ちゃんは知らなくていいことよ」
会話の節々から普段の彼女に対する周囲の扱いが察せられた。
流石雀から魂が芸人と称されるだけのことはある。
「でも高貴な色って、どちらかと言えば紫だよね」
と雀がツッコむと、満場一致で園子がパープルに決まった。やはり乃木家、すごい。
「はいはーい、私イエローやりたいです。カレーうどん大好きー」
次はだれがどの色か…と考えていると雀が勢いよく手を上げる。
「イエロー? イエローはむしろ風さんのほうが」
「何言ってんのメブ! 風先輩は部長様なんだから追加戦士枠のゴールドに決まってるじゃない」
「あんた、わかりやすいくらい媚びてるわね」
「だとすると、銀ちゃんがシルバーかな。名前も銀だし」
「ですが乃木さんと三ノ輪さんは同じ名前ですからどちらがシルバーになるか取り合いになりそうですわ」
「それよそれ!」
話が思わぬ方向に脱線してしまったが、風が言いたかったことはそれだった。
「それって、シルバーをどっちにするかですか?」
「そうじゃなくて、うちには名前が同じ人間が2人いるからいい加減呼び方決めましょうって話!」
風の言葉に「あー」と納得する部員たち。
三ノ輪銀と乃木銀はみんなと同じ勇者部所属で、頼りになる存在だ。
名前も一緒どころか顔もそっくりで、時々どっちがどっちかわからなくなる。
だが、
「別にいいんじゃないですか? 両方銀ちゃんで」
と友奈。
「私たちは普通に呼び分けしてますけど。ねえ、そのっち」
「そうだねー」
と親友2人。
「あたしも別に、不便に感じたことはないわ」
「右に同じ。三好夏凛と同じ意見なのは癪だけど」
「私は私を守ってくれるならどっちでも」
「弥勒家の者として友人を見間違えることなんて、ありませんわ」
と大赦組。ちなみに夕海子はこう言っているが間違えたことは何度かある。
「わたしも、別に今のままでいいと思うけど」
「えっと、どうしたんですか急に。風部長?」
年少組も同意見のようだ。風も実はそうなのだが、そうもいっていられない案件があった。
「理由は、これよ」
部活メンバーに数枚の書類を見せる。
それは勇者部への助っ人依頼でコメントに「ぜひ銀ちゃんに助っ人お願いします」とか「足の速いほうの銀ちゃんに来てほしいです」とか、「オシャレなほうの銀ちゃんに来てほしい」というコメントが書かれてあった。
「えーっと、これはどっち?」
そう、それが問題なのだ。
一見するとどちらともとれる。せめて苗字が書かれていればわかりやすいのだが、もし違うほうを派遣して「ごめんなさい、あなたじゃないほうの銀ちゃんを指名したつもりだったんだけど」と言われたら本人もショックだろう。
「なので早急に、対外的にどちらかわかるようなニックネームをつけましょう」
「ニックネーム、あだ名をつけるのは今のご時世危険では?」
「メタな社会ネタ持ち込まない。じゃあみんな、いい意見ない?」
風が問いかけるが、皆黙って首を振る。そんないきなり言われても…という顔だ。
「そういえば乃木と東郷、あんたら呼び分けしてるって言ってたわね。ちょっと実践してくれる?」
「ミ↑ノ→さん」
「乃木のほうは」
「ミ→ノ↓さん」
「違いが判らないわよ!」
みんなの意見を代表して夏凛がツッコんだ。
というか片方は乃木じゃないの? と数人が思ったが夏凛と風がツッコまないので黙っている。
「じゃあ、東郷は? 三ノ輪の方をまず言ってみて」
「ぎ↑ん↓です」
「乃木の場合は?」
「ぎ→ん↑」
「ごめん。さっぱりわからない」
親友組の細かすぎて伝わらない呼び方の違いに、風は頭を抱えた。
だがそれで伝わっているということは、親友同士にしかわからない何かがあるのかもしれない。
「あのー、呼び方がどうとかになるかわからないけど…わたしと亜耶ちゃんは呼び方変えてるよ」
悩んでいる姉に樹が遠慮がちに手を上げる。
「はい。わたしたちは三ノ輪さんのほうは銀さん、乃木さんのほうは銀ちゃんさんと呼ばせてもらっています」
「え、銀ちゃんさん? なんで?」
「最初会った時に「アタシのことは銀ちゃんと呼んでくれ」とおっしゃられて。ですが先輩をちゃん付けするのは失礼なので銀ちゃんさんと」
「あ、わたしも同じです」
小学生組に部員たちも知らなかった事実を知らされて驚いた。
「どう思う、これ?」
「うーん。普通に考えればもっと親しみを込めて呼ばれたかったとか?」
「もしくはロリ…いやなんでもない」
「そうですよ。1つ年下をロリ扱いは失礼だよ!」
「友奈、多分論点そこじゃない」
ちゃん呼びさせようとしていた乃木の方の銀について話し合っていると部室のドアが開く。
「こんにちはー。三ノ輪銀、乃木銀、山伏しずく入ります」
「入りまーす」
「ます」
お使いを頼んでいたダブル銀としずくが入って来た。
「ちょうどよかった。アンタらについて話してたのよダブル銀」
「「誰がダブル銀ですか!」」
おお、息ぴったり。さすが双子。
風はこれまでのあらましを説明し、どうしたものかと本人たちに意見を求める。
「うーん、そんなこと言ってもなぁ」
「コイツもアタシも同じ銀だし。まあ、ややこしいのはわかりますが」
「私はちゃんと呼び分けてる」
難問に頭を抱える銀たちに、しずくが言った。
「え、マジ? 言ってみて」
「三ノ輪のほうは三ノ輪。銀は銀」
「え、それだけ?」
「そういえばしずくさんは基本苗字呼びだけど銀だけは名前呼びよね」
「わたしもそのっちでいいって言ってるのにー」
しずくの言葉に同じ小学校だった東郷と園子が言う。
わすゆルートのしずくは原作通り苗字呼びだ。ゆゆゆルートでは1年以上防人隊と一緒に暮らしていて距離が縮まっているので芽吹や雀は名前呼びになっている。
「銀は、特別」
ちょっぴり顔を赤らめてしずくが言う。ぎんしずてぇてぇ…。
「それより、あだ名なんて必要ないと思う。銀は銀。三ノ輪は三ノ輪でちゃんと見分けられる」
「それは小学校も一緒だったアンタたちだからでしょ…」
「違う、ここ」
しずくはそう言うと、銀がしているヘアピンを指さす。
「ああ~、なるほど」
しずくの言葉に勇者部全員が納得した瞬間だった。
次の日から依頼内容には三ノ輪銀、乃木銀を指名する場合には三ノ輪銀の場合は銀(桜)、乃木銀の場合は銀(牡丹)と表記することになったのだった。
【持たざる者の嘆き】
「そんな、園子…嘘だろ?」
三ノ輪銀は目の前の光景が信じられなかった。
乃木園子とは神樹館小学校時代からいつも一緒だった。
学校の授業も、お役目も、遊ぶ時も。
ずっとそばにいて、共に成長してきた。
だから目の前の光景が信じられない。何かの間違いなのではないかと思う。
その胸につけられたオシャレブラは。
「お前、この前まであたしと同じスポーツブラだったじゃん! いつの間にそんなおブラ様を!?」
「も、もうミノさん」
女子更衣室中に響く声に、園子は顔を赤くしている。
いつも人を食ったような態度の園子だが、人並みの羞恥心はあるらしい。
「こら! 銀、何言ってるのよ」
「須美! 訊いてくれ! 園子が、園子の胸におブラ様が!」
東郷に園子の異変を説明しようとした銀の目の前にマウンテンが飛び込んでくる。
K2…いや、もう少しでエベレスト級になりそうだ。
成長したな、須美。登山家としては親友の登りがいのあるお山の成長が嬉しくもありうらやましくもあり。
「どうしたの銀ちゃん?」
「友奈、会話から大体察せるでしょ。ほっときなさいよ」
と友奈と夏凛。友奈は目測だが千ヶ峰くらいだろうか? 夏凛は山というよりはまだ盆地だな。
「なんか、すごい失礼なことを考えられた気がするんだけど」
銀の視線に邪悪なものを感じたのか、夏凛がにらみつけてくる。
「どうかしたの三好夏凛? なんだか気が乱れてるけど」
ライバルの異変に気が付いたのか、芽吹が着替え途中だが問いかけてきた。
その胸のふくらみを見て、夏凛は「くっ」と視線を外す。
「なんでもないわよ! 馬鹿芽吹!」
「ちょっと、なぜ急に罵倒してくるのよ」
「いや、今のはメブが悪いよメブがー」
「うん。楠が悪い」
持たざる者の雀としずくが夏凛の元へ行きよしよしと慰めている。
なんなんだこれは? 急に同級生に責められ芽吹は混乱していた。
「え、な、なに? 私何か悪いことしたの?」
「うっさい! でかいからってでかい顔しやがって!」
いつも守ってーと頼ってくる雀からは想像できないほど攻撃的だ。それになぜかしずくもうなずいている。
そんな中、我関せずといった様子で着替えている自分と同じ顔をしている同級生の胸を見て、銀は息をのむ。
「お、お前…それはまさか」
愕然という言葉の見本のような顔をしている銀の視線を受け、乃木銀は少し得意げに言う。
「ああ、これか? 昨日園子と一緒に選んだオニューだぜ。いいだろ」
自分にはまだないふくらみを見せつけるように谷間を寄せ、オシャレブラを見せびらかす乃木銀に、三ノ輪銀は膝から崩れ落ちる。
「お、おい。どうした? 大丈夫か?」
「銀、立ち眩み? 保健室行く?」
「ミノさーん。大丈夫?」
自分を心配する3人の声が頭の上からかかる。
全然返事をしない三ノ輪銀を心配した乃木銀が目線を合わせようとかがんでみると、その胸をわしづかみされた。
「ぎゃー! なにすんだー!?」
「ズルイ…」
三ノ輪銀から黒いオーラのようなものが出ていた。
「なんで同じ顔なのにお前の方が先に成長してんだよ! もぎる! もぎってやる! もぎってあたしのもんにしてやる!」
「ふざけんな! なにわけのわかんないこと言ってんだよお前!?」
突然始まった同じ顔同士のキャットファイトに、女子更衣室は大混乱になる。
「ちょ、ちょっと銀も銀もやめなさいよ」
「ミノさん、やめてー! ブラなら今度一緒に選びに行こ。ね?」
「そういう問題じゃねー!」
親友たちの声にも耳を貸そうとしない三ノ輪銀に、マジメな芽吹は止めようとする。
「落ち着きなさい三ノ輪さん。何があったというの!?」
「ビバーク!」
「ひゃん!?」
銀の怒りのビバークにより、芽吹の胸が揺れる。それに女子たちから「おぉ~!」と歓声が上がった。
「いいぞ三ノ輪さん! もっとやれ」
「三ノ輪、がんばれ!」
雀としずくも三ノ輪サイドを応援している。
なんなんだこれは。わけがわからない。
「か、夏凛。助けて」
涙目で下着姿の少女が懇願する姿にはグッとくるものがある。
ましてやそれが普段堅物で凛とした雰囲気の芽吹なら魅力倍増だ。
思わずごくりと生唾を飲んだ夏凛だったが、すぐに思い直して拒否する。
「な、なんであたしが楠芽吹何かを助けないといけないのよ」
「そんな、夏凛…」
「すがるような目をしても…ああもう! 仕方ないわね」
やはりにぼっしー、チョロい。正義感の強い彼女は芽吹を助けるために行動を開始した。
決して芽吹の魅力に負けたわけではない。
「夏凛、あんたこっち側だろ? あっち側の芽吹を助けるのか?」
その言葉にそうだそうだ―! といつの間にか集まっていた一部分が謙虚な生徒たちが声を上げる。
「あんたらいつの間に結託したのよ…。悪いけど、助けを求められたら助けないわけにはいかないでしょ」
「ククク、後悔するぞ三好夏凛。そいつを助けてもお前がそっち側になるわけではない」
「わかってる。わかってるわよそんなこと。それでもあたしは、絶対芽吹を助けるんだー!」
なんか勇者と魔王のような会話をしているがここは女子更衣室で、ついでに言えば彼女たちは着替え途中の半裸である。
「いっくわよー! てやー!」
「な、なにぃ!?」
夏凛が三ノ輪銀に襲い掛かり、つかまっていた芽吹を救出する。
「おのれちょこざいな」
「ぎ~ん~」
地の底から響くような声に三ノ輪銀は固まる。そこにいたのは親友の東郷だった。
「す、須美?」
「こんなにみんなに迷惑かけて、どうすればいいかわかってるわね?」
「東郷さん?」
「友奈ちゃんもみんなも、早く着替えて。私はちょっとそこの三ノ輪さんとお話があるから」
にっこりと笑う東郷の迫力に、全員が無言でうなずきそそくさと着替えだした。
そして女子更衣室を出ると三ノ輪銀と東郷だけが残される。
「えっと、須美? たしかにあたしも悪かったことは認める。だからなるべく穏便に」
「そうね。私も鬼じゃないわ」
その言葉に銀はぱあっと顔が明るくなる。
ゆ、ゆるされた!
「吊るすのは勘弁してあげる。その代わり正座でお説教ね」
ゆるされなかったー!
結局それが4時間目が終わった後で昼休みだったということもあり、銀は東郷にこんこんと正座でお説教された。
昼ご飯も食べられずその後先生にも叱られさらに部活に行ってからは部長の風にも叱られる。
三ノ輪銀にとって説教三昧のトホホな1日だった。
【ゆゆゆ、始まりません】
ヴァルゴバーテックスもどきは四国を目指しさまよっていた。
ヴァルゴもどきはかつて石川県と呼ばれていた場所で生まれ、四国を目指し旅をしてきたのだ。
途中大きな星屑の群れに何度も食べられそうになりながらも持ち前の爆弾とビームで追い払い、なんとか四国まであと1歩という場所までくる。
ああ、もう少しで自分の悲願もかなう。
全ては天の神のために! と人類が住む神樹が守る世界へ向かおうとしていたヴァルゴの脳天が、突如放たれた光の矢に撃ち抜かれる。
え、なんだこれは?
困惑していると、そこには猫のような仮面をかぶった人型の星屑がいた。
『悪いな。この先は通行止めだ。特にお前みたいな星座級もどきは』
そういうと人型のバーテックスは仮面を外し、星屑丸出しの頭部をさらけ出す。それが急に巨大化してむき出しの歯が自分に迫る。
バリバリムシャムシャモグモグゴックン。
ざんねん、ヴァルゴもどきのぼうけんはここでおわってしまった!
ヴァルゴもどきを食い尽くした人型のバーテックスは、こいつが来るのを遠征させていた星屑からの情報で知っていたのだ。
だがあえて泳がせていた。理由はたまには星屑じゃなくて味のある星座級の巨大バーテックスを食べたかったからである。
ちなみに今かぶっている猫のような仮面はそのっちのお手製だ。
「サンチョをイメージして作ったんよー」という彼女のプレゼントに人型のバーテックスは感激して受け取った。
それをかぶった姿に自分の巫女であるバーテックスの銀ちゃんは吹き出し、東郷さんと三ノ輪銀ちゃんは笑いをこらえるのに必死だったが。
この1年間、四国には星屑を含めバーテックスの襲撃はない。
理由はこの人型のバーテックスが操る星屑が四国に迫る前に食いつくして神樹の結界に一切近づけさせないからだ。
おかげで勇者である東郷美森、乃木園子、三ノ輪銀が樹海化警報で召喚され、戦うという事態は1度も起こっていない。
今のようなバーテックスもどきもかなり遠くからやってくるものしかいないので、人型のバーテックスにとってはめったにないごちそうなのだ。
『さて、今日も銀ちゃんたちは仲良くしてるかな?』
人型のバーテックスは新しく増設した百合イチャ観察専用のサーバー星屑に手を当て、意識を移す。流石に四国付近と四国の外への遠征隊を管理するサーバー星屑と四国にいる勇者と大赦を見守る精霊を管理するのを1つのサーバーでするには容量が足りなかったのだ。
四国にいる不可視の精霊を通して見えてきたのは、バーテックスの銀ちゃんこと乃木銀が山伏しずくと一緒に仲良くお泊り会をしている様子だった。
場所は乃木家で他には東郷、園子、三ノ輪銀の姿もある。
神樹館四天王そろい踏みだ。
『パジャマパーティーキマシタワー』と人型のバーテックスは大興奮する。
その姿はとても百合教という大赦で認められた新宗教の神として奉られている存在とは思えない。
「銀、今日は誘ってくれてありがとう」
お、なんか話し出したぞ。カメラさんもっと寄って!
「いいんですよ。アタシがしずくさんといっしょに遊びたかったんですから」
「うん、それでもありがとう…銀はわたしが寂しくなりそうなとき、いつも1番に声をかけてくれる。不思議」
「たまたまですよ」
「そう…。寮では楠や加賀城、弥勒もよくしてくれる。でも、時々みんなが親の話をしてると、なんだか胸がもやもやして」
話しているのは銀ちゃんとしずくだけだ。
他の皆は眠っているのだろう。もしくは眠ったふりをしてあげているだけなのか。
「そういう時は、言ってもいいんですよ。みんなしずくさんのことが大好きなんですから」
「でも、わたしなんかの気持ちでみんなを嫌な気持ちにさせるのは」
「だから、それが考えすぎなんですってば」
銀ちゃんがしずくの手を握る。きゃー! 恋人繋ぎですわよ! しかも両手!
「しずくさんが悩んでいるなら、手を差し伸べたい。みんなで考えて解決方法を見つけたい。勇者部のみんなはいい奴らばっかりなんですから」
「でも、まだ銀と乃木と鷲…東郷と三ノ輪以外はやっぱり苦手。みんないい子だってわかってるけど、ちょっとまだ怖い」
「そうですか。じゃあ、みんなに甘えられるように少しずつ頑張りましょう。練習ならアタシがいつだってお付き合いしますから」
「うん。銀…」
「なんですか?」
「今日は、手をつないだまま寝ていい?」
キ、キマシタワー!
「いいですよ。なんならこっちの布団に来ます? なんて」
「うん。お邪魔します」
もぞもぞとしずくが銀ちゃんの布団に入っていく。ぷはっと顔を出して至近距離で見つめあう。
さらにキマシタワー! え、なに? いいのこれ? いいの!?
「銀の紫の瞳、きれい」
「え、そ、そうですか? うーん、そう言ってくれたのはしずくさんが初めてかも」
紫色の瞳はバーテックスである証だ。
白い髪と同じく言葉にしないだけでやっぱり気にしていたんだな…と人型のバーテックスは思う。
「わたしは、きれいだと思う。けどそっか。わたしが初めて…ふふ」
「な、なんっすか?」
「銀の初めてになれて嬉しい。特別になれた気分」
そう言ってしずくは銀ちゃんの胸に頭を。あーいけません。これ以上はいけません!
「何言ってるんですか。しずくさんは最初からアタシにとって特別ですよ」
そう言うと銀ちゃんはしずくの頭を優しくなでていた。これ、完全に事後じゃん。
やがてすうすうと寝息が聞こえ始める。バーテックスである銀ちゃんは眠る必要はないので、必然的にしずくの寝顔を見守ることになった。
はぁ~、ぎんしずごちそうさまです。いいもん見させていただきました。
「ところで、お前。見てるよな?」
その言葉に人型のバーテックスはぎょっとする。
え、バレてた?
「次行くときはその件に関して話があるから、覚悟しとけよ」
にこやかだが笑ってない銀ちゃんの瞳に、精霊を通して目線があった人型のバーテックスの背筋が冷たくなる。隣で眠っていたしずくが何やらうなされだした。
いつからバレてたんだろう? 四国にいる不可視の精霊についてはまだ話していないのに。
ひょっとしてアレか? 大赦の職員に精霊突っ込ませた時にバレた?
うわー、やっばいなぁ。銀ちゃん怒ると怖いし、なんとか機嫌を取らないと。
どうすればいいか人型のバーテックスは考える。
その姿は四国全土を守る十二星座と天の神の力を取り込んだ最強のバーテックス、通称『百合神』として崇められている存在とは思えなかった。
気が付けば投稿数も50を超えていました。
これもひとえに読者様のおかげです。特に誤字脱字報告してくださる方には感謝。感想も読んで1人でにやにやしてます。
ゆゆゆ3期までの場つなぎとして書き始めたものでしたがもうすぐ2020年秋アニメ終わりそう。やべぇよやべぇよ…。
そしてゆゆゆ、ゆゆゆいというコンテンツを生み出してくれた原作者のタカヒロ神には最大限の敬意と感謝を。
起立、礼、タカヒロ神に拝。
わすゆルート星屑「今そっち何やってるの?」(以下わすゆ)
ゆゆゆルート星屑「四国以外の土地テラフォーミングして人類が生存できる土地作ってる」(以下ゆゆゆ)
わすゆ「えぇ…(困惑)」
ゆゆゆ「少女救済AVGやってたと思ったら人類救済SLGになってた。そっちは?」
わすゆ「なんだかんだあって神様やってる」
ゆゆゆ「えぇ…(困惑)」
わすゆ「でも勇者と防人隊の子たちの百合イチャ見放題だぞ。今こっちはぎんしずとそのゆみ、メブかりん、亜耶ちゃんハーレムが熱い!」
ゆゆゆ「あ、いいな! いいな! こっちは勇者部と西暦勇者型精霊の百合イチャしか見れないから防人組の情報皆無なんだよ」
わすゆ「え? 西暦勇者型精霊ってなに? 棗風とかせっかりん見れるの? いいなー。あとでこっちの世界の百合イチャ映像と交換しようぜ」
ゆゆゆ「いいぜ」
わすゆ「世界線違っても百合イチャ観察は欠かさない」
ゆゆゆ「流石だよな。俺たち」(AA略)