詰みゲーみたいな島(四国)に人類を滅ぼす敵として転生した百合厨はどうすりゃいいんですか?   作:百男合

9 / 105
今日の百合厨バーテックスからのひとこと。
(+皿+)「【あ(だちとしまむ)ら^~】タグのセンスには素直に脱帽」


【わすゆルート】 キミを最悪な結末から救いに来たんだ

 神樹の結界に入った俺は、レオ、キャンサー、サジタリウスを確認するとサジタリウスに巨大フェルマータに乗ったまま突っ込んだ。

 ひき逃げアタックにサジタリウスは吹っ飛ばされて転がっていく。相方のキャンサーはまだ何が起こったかわかっていないようだ。

 銀ちゃんは……いた! サジタリウスの矢に身体を貫かれて血を流しているが、斧にすがるようにして立っている。

 間に合った!

 俺はさっそく水球を出すと銀ちゃんをその中に閉じ込めた。中身のヒーリングウォーターが受けた傷を治してくれるはずだ。

 さて、と。

 フェルマータから降りて俺は改めて3体の巨大バーテックスと向き直る。

 突如現れた人型の星屑に、3体は混乱していた。

 が、俺が銀ちゃんを水球に閉じ込めると加勢しにきた仲間だと思ったらしい。不用心に近づいてくる。

 その油断が命取りだ。

 俺は右手を毒針に変え、一番近い位置にいたレオに刺し込む。

 たっぷりと10秒間、スコーピオン印の猛毒を送り込ませてもらう。お前が1番厄介だからな。

 よし、状態:どくにできたな。こいつは御霊だけでも行動できるチート野郎だから一刻も早くここからご退場願おう。

 リブラの風を起こす能力を使い、暴風を起こしてレオを吹き飛ばそうとする。だがわずかに体勢がぐらつくだけで結界の外に押し出すには至らない。

 だったらこれでどうだ!

 俺は圧縮していた質量を解放し、巨大化する。両手を前にあげ、イメージ。変われ―変われー。

 いくぞ! 巨大アタッカくん、ダブルロケットパンチ!!

 両手をゆゆゆいステージでボスとして登場するレベルにでかいアタッカに変身させて射出する。

 分離した巨大アタッカがレオの体躯に激突した。巨大質量の物理攻撃にレオが怯む様子を見せるが、まだ踏ん張っている。

 くっ、押せてはいるけど押し出すには足りないか。

 だったらダメ押しの、ダブルフェルマータ射出!!

 いっけぇえええ!!

 さすがにジェミニ並みの速度で突進する勢いには勝てなかったのか、レオは徐々に押され始めて結界の外へと押し出されていった。

 よし、ひとまず脅威は去ったな。

 後で来る予定だったアタッカ・バッソとカデンツァたちにボッコボコにしてもらおう。その前に進路上にカルマートにアジタート機雷をばらまいてもらわなければ…。

 次々と脳内で指示を出していると、ひき逃げアタックで吹っ飛ばしたサジタリウスが戻ってきてこちらに向かって数多の矢を放ってくる。

 だが矢はリブラの風で吹き飛ばされ、それをかいくぐり背中に刺さろうとしたものも身体を覆うアクエリアスの水の膜に包まれ届くことはなかった。

 なんなんだァ今の攻撃は?

 キャラの濃さと台詞の汎用性からMADが大量生産されてる自称悪魔の超サ〇ヤ人のようなことを言いながら振り向く。

 サジタリウスは攻撃が効いていないのにも関わらず矢を撃ち続けていた。なぜ効かないのかわからず破れかぶれといった様子だ。

 カスが、効かねえんだよ(無敵)。

 攻撃してきたってことは、ぶちのめされる覚悟があるってことでいいんだよな?

 考えてみれば原作で銀ちゃんの直接の死因ってお前だったよ。これは許せんよなぁ。

 俺は体積を消費して生えてきた腕を再びアタッカにして6体ほど射出する。

 しかもただのアタッカではない。こいつはアタッカ・アルタ。アタッカの中でも最上位の攻撃と防御力を持つ上位個体だ。

 その間もサジタリウスは相も変わらず俺に矢の雨を降らせていた。

 無駄打ちご苦労様です。じゃあ、反撃の開始だ。

 巨大アタッカ・アルタと俺の拳、合計8つの拳がサジタリウスの身体に突き刺さる。

 某漫画のオラオララッシュみたいに7ページ半にわたって(本当は無駄無駄ラッシュなんだけど)殴り続ける。体躯はひしゃげ、2つある御霊がちらりと顔をのぞかせるほどボロボロになった。

 ふぅ、スッとしたぜ。じゃあな。

 顔を巨大星屑に変え、丸呑みにする。

 バリバリムシャムシャモグモグゴックン。ペッ!

 2つあるサジタリウスの御霊を吐き出す。水のワイヤーでくくって巨大フェルマータにけん引してもらいながら壁の外へ運んでもらった。

 これで残りはキャンサーのみになったな。

 往生せいや! この蟹やろう!!

 6体の巨大アタッカ・アルタを突っ込ませると6枚のシールドで的確に防御してくる。

 だが数撃打ち合っていくと何枚かのシールドがひび割れ始めた。

 これは銀ちゃんが頑張ってくれたおかげだな。本編での銀ちゃんの最期の戦いを思い出しながら俺は宙空に大型のみずしゅりけんを2枚、作っていく。

 喰らえ! 殺意マシマシハンドスピナーみずしゅりけんダブル!!

 しかもスコーピオンの猛毒入り! 名付けてどくどくみずしゅりけんダブル!!

 水のワイヤーで操りながら、キャンサーの体躯を切り刻む。

 くそ、リブラの風で回転数を上げたけどやっぱり固いな。体躯に食い込むだけで切断できない。

 だがそれこそが狙いだ。傷口から入ったみずしゅりけんの毒液がキャンサーの体躯を侵していく

 動きが目に見えて悪くなった。シールドも巨大アタッカ・アルタに押し負けて体躯にぶち当たる。

 あとは一方的にタコ殴り状態となった。殴られるたびにどんどん抵抗する力が弱くなり、やがて機能停止したのか御霊が露出し始める。

 キャンサーの御霊は範囲型だ。俺は結城友奈は勇者であるで犬吠埼樹がやったように水のワイヤーで絡めとりながらまとめると、そのまま壁の外へ放り投げた。

 ふぅ、あれは帰るときに回収しておこう。

 キャンサーの御霊が飛び出した抜け殻の前まで行くと、顔を再び巨大星屑に変え丸呑みにする。

 バリバリムシャムシャモグモグゴックン。

 うーん、カニカマボコの味がする。防御力が心なしか上がったような。

 さて、これで残った脅威は壁の外のレオだけか。

 外の星屑と視界を共有する。

 アジタートの爆発に巻き込まれたのか、レオの背面はかなりダメージを受けているようだった。

 そこに巨大アタッカと6体のアタッカ・バッソが四方八方から突進している。

 レオは火球を発射して撃ち落とそうとするが、その攻撃は防御特化のタチェットに防がれていた。作った時にアクエリアスの水でコーティングしておいてよかったよ。

 業を煮やして熱光線ですべて薙ぎ払おうとすると巨大フェルマータに突進されて狙いが外れたり、チャージ中にカデンツァのはかいこうせんを受けて自滅していた。

 これはしばらく任せても大丈夫だな。

 俺は身体を圧縮して元の大きさに戻ると、仮面をかぶり水球のもとに向かう。

 思ったよりも傷が深い。だがアニメ本編の最期ほどではない。

 この状態なら人間の医療施設に任せても大丈夫かな。でも三ノ輪銀が生きたまま帰ると2人に精霊が与えられない可能性が…。

 そんなことを考えていると、頭の後ろから飛んできた矢を手が勝手につかんでいた。

 え、なにこれ怖っ!? 俺全然意識してなかったんだけど。

 バーテックスたくさん食べたからスキルに自動防御追加されたの?

 振り返ると、そのっちに肩を貸した須美ちゃんが矢を放った体勢のままこちらをにらみつけている。

「銀に、何してるの」

 あー、そうだよな。

 人間側から見たら、勇者をバーテックスが水責めしているようにしか見えないよね。

 殺意に満ちた2人の目を見て、俺はなんとか対話しようと試みて顔を蒼くする。

 しまったー! 精霊置いてきたー!!

 あまりにも急いでいたため、精霊型星屑を置いてきてしまったのだ。中には勇者と対話する能力があるやつもいたのに。

 後悔先に立たず。俺はこの場での対話をあきらめた。

 現在は押しているとはいえレオの脅威は去ったわけではない。

 もし外で戦っているアタッカたちを振り切って再び結界の中に入られたら2人を守りながら戦わなければならない。

 俺を敵だと思っている相手を、だ。2人は仲間を取り戻そうと死に物狂いで攻撃してくるだろう。

 さっきの自動防御のこともあるが、俺が意図せず相手を傷つけてしまうかもしれない。そうなっては元も子もない。

 水球の中に手を入れ、勇者服から銀ちゃんのスマホを取り出す。

 その時に身体を多少まさぐったがワイセツ行為は一切なかった。いいね?

 スマホがカラカラと音を立てて樹海の地面に転がり、2人の元へたどり着く。

 これがあちら側にあれば2人に精霊が大赦から与えられ、後の完成型勇者の誕生につながるはずだ。

 よし、目的は達成した。あとは水球ごと三ノ輪銀を回収しよう。

「待って! 返して!! 銀を返しなさい」

「ミノさん、ミノさーん!!」

 2人の叫びに心が裂けるような思いだが、仕方ない。撤退だ。

 精霊を連れてこなかったことが返す返す悔やまれる。

 あっと、その前に。

「あぐっ?!」

「わっぷ?!」

 指先からヒーリングウォーターを須美ちゃんとそのっちに向けて放つ。

 狙いは違わず口の中に入れることができた。2人も大けがしてるから治療しておかないと。

 俺は銀ちゃんの入った水球を身体の中に取り込んで全速力で神樹の結界から逃走した。

 3体のバーテックスが襲来するまで訓練していたおかげで身体の扱いも慣れ、今では星屑並みのスピードで動ける。フェルマータには及ばないがそれでも人間は追いつくことができないだろう。

 ゆゆゆいバーテックスが頑張ってくれているとはいえ、レオは実質最強のバーテックス。

 加勢するなら早いほうがいいだろう。

 俺が壁の外へ出ると、神樹の結界が消えていく。これで2人は四国に戻れたな。

 おっと、キャンサーの御霊回収も忘れずに。

 取り込んだ銀ちゃん入りの水球とキャンサーの御霊を巨大フェルマータたちに託し、水球は秘密基地のデブリへ向かうように指示する。

 さて、ここからは第2ラウンドだ。

 俺の全身全霊を持って、最強の星座級に挑戦しよう。

 ……と、思ってたんだが。

 もうボロボロとか、うっそだろお前!?

 レオは満身創痍といった状態でアタッカたちに殴られ、カデンツァのビームの餌食になっていた。

 嘘っ、俺が作ったバーテックス、強すぎ!?

 これはもう、食べてもいいくらい弱ってるな。

 俺はまた顔の部分を巨大化し、レオの体躯にかじりつく。

 レオは御霊の状態でも攻撃できるので丸呑みはできないのだ。モグモグバリバリごっくん。

 辛っ⁉ なにこれ激辛料理じゃん。食べるとなんか舌がピリピリする。舌はないんだけど。モグモグバリバリごっくん。

 今度はしびれるような辛さ。これは、ウナギとかにかける山椒か? バリバリムシャムシャ。

 〇〇味じゃなくて香辛料の塊とか、どうなってるんだよ。バリバリムシャムシャ。

 くっ、今度はからし。鼻が! 鼻がないのに痛いっ!! モグモグゴックン。

 この目の覚めるような刺激はコショウか! 辛い! 最初の激辛料理とは違った辛さだ! モグモグゴックン。

 ふぅ。

 ひととおり食べて御霊だけにしてみたけど、どうするかな。

 こいつの周りに星屑を配置するのは危険だ。他の星座級と違い御霊だけで行動できるので勇者の力で砕かない限り安心はできない。

 フェルマータにできるだけ遠くに運んでもらっても再生して戻ってきそうだし、さっき試してみたが俺が現在使える最大火力の武器であるどくどくみずしゅりけんでも破壊できなかったのだ。

 と、そこでぴかーんと閃いた。

 まず、スコーピオンの下半身の毒液が入った瓶としっぽの球体を作ります。

 そこにレオの御霊を入れます。

 あとはアクエリアスの水とスコーピオンの毒で溶解液を作って入れると。

 はい、できました。レオの御霊専用の牢獄です。

 この牢獄に入れることでレオの御霊は炎を出そうとしてもアクエリアスの水で蒸発。

 さらに常に溶解液で御霊を溶かされ続けるので再生の心配もありません。

 溶解液は下半身の瓶から常に作られ御霊がいる球体に送られ続けるので、水が全部蒸発して逃げられる心配もなし。

 いつか根負けして御霊が全部溶けるまでこの状況は続きます。

 …うん、これ酷いな。拷問器具としても。

 バーテックスの姿が拷問器具をもとにしてるとしても、これはないわー。

 思いついてしまった自分の才能が怖い。

 こうして最強のバーテックスを無力化した元最弱の星屑だった俺は他のゆゆゆいバーテックスと連れ立って銀ちゃんを運んだデブリへと向かうのだった。

 




天の神「お前、ぬきたしとR-18要素はないとか言いながらJSにお触りしたうえ喉の奥に出すとか…」
(+皿+)「治療行為だから! ワイセツは一切なかったし」
白静「」ペシペシペシペシ(無言で腕を叩く)
(+皿+)「ああ、連れて行くの忘れてごめん! もう忘れないし今度はちゃんと連れてくから!」
白静「」ヤクソクダヨ?

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。