詰みゲーみたいな島(四国)に人類を滅ぼす敵として転生した百合厨はどうすりゃいいんですか? 作:百男合
ゆるゆりキャラがいる新天地で東郷さんと銀ちゃんがごらく部の皆と遊んだよ。
新天地にいる人間型バーテックスたちがちゃんと自我を持ち自分たちとそんなに変わらないことに衝撃を受けた東郷さんでした。
(+皿+)「今回のお客様のおもてなしをみんなは頑張ってくれました。理事長…もとい大村長から皆さんにご褒美があります」
みんな「わーい」
(+皿+)「あかりちゃんにはうすしおポテチ(バーテックス製)」
あかり「わぁいうすしお! あかりうすしお大好き!」
(+皿+)「京子ちゃんにはラムレーズンアイス(バーテックス製)」
京子「ラムレーズンうめぇ! 大村長ありがとー」
(+皿+)「結衣ちゃんにはこの農業も学べるアクションゲームを」
結衣「サ〇ナヒメ? 面白そう」
京子「お、結衣。こんどそれやりに遊びに行ってもいい?」
結衣「断ってもどうせ来るんだろ。いいよ」
京子「やったー!」
(+皿+)「(京ゆいてぇてぇ)ちなつちゃんには結衣ちゃんとのごにょごにょな同人誌を」
ちなつ「なんですかこの薄い本…えっ、結衣先輩と私が⁉ ほ、ほぁーっ!」
(+皿+)「千歳ちゃんには同じく京綾ごにょごにょ同人誌」
千歳「ぶっはぁ! あかん~これは貧血になってまうわ~」(鼻血ダラダラ)
(+皿+)「綾乃ちゃんにはプリン(バーテックス製)」
綾乃「え? 本じゃないんですか?」
(+皿+)「え? 本の方がよかった?」
綾乃「いえ、滅相もないです大村長様」(しょんぼり)
千歳(露骨にがっかりしとる綾乃ちゃんかわええなぁ)
(+皿+)「で、お客さん2人を任せた2人にはこれ、倉〇ハ〇ステンボス1泊2日旅行券!」
さくひま「ええ⁉ 嫌ですよこいつ(この子)と一緒の旅行なんて!」
(+皿+)「を、家族分あげる。親孝行しておいでー(ニヤニヤ)」
櫻子「な、何勘違いしてんの向日葵。恥ずかしい奴―」
向日葵「それはあなたのことでしょう。あなたと一緒じゃなくて安心しましたわ」
(+皿+)(憎まれ口をたたきながらもちょっとがっかりもしてるのがよくわかる。さくひま、ひまさくはええのう)
新天地観光から帰って来た東郷と銀を迎えたのは丹羽と人型のバーテックスだった。
『おかえり2人とも。どう? 楽しめた?』
「ええ。ごらく部のみなさんと遊んだり、生徒会の人たちに案内してもらってここのことがよく分かったわ」
「記念撮影もしたよなー。園子はどっか行ってたけどまだ帰って来てねーの?」
「ふふ、もうすでにいるんよミノさん」
別行動していた園子の所在を尋ねた銀の後ろから、園子が現れる。その表情はとても満足げだった。
「人型さん。ここはいいねー。ネタにつまったらまた来ていい? 今日だけでいろんなカップリングが見られて大満足なんよー」
『ああ、いつでもおいで』
「そのっち先輩ずるい! 俺だってそういうの見たかったのに!」
「まあまあにわみん。帰ってから一緒に鑑賞会しようぜー。メモと写真いっぱい取って来たから」
きゃっきゃとはしゃぐ丹羽と園子に東郷と銀は白い目を向ける。こいつら、ここに何しに来たか忘れてるんじゃないか?
「丹羽君、身体の調子はどう? 変なことされなかった?」
「大丈夫です東郷先輩。むしろ今までより調子がいいくらいで、セッカさんやスミも完全回復しました」
人型に聞かれないようこっそりと耳打ちする東郷に、丹羽は心配いらないと答える。と同時に胸元からスミが出てきて東郷の胸に飛びついた。
『スミー』
「きゃっ⁉ もうスミちゃんったら」
「おい、ちいさいあたし! おまえなんてうらやまけしからんことを!」
『べー! うらやましいだろー』
東郷のメガロポリスに顔をうずめるスミに物申した銀に、ニヤリとスミが笑った。
その姿に確かに…と銀はあのミニマムサイズで東郷の豊満な胸に顔をうずめて溺れるシチュエーションは夢みたいだなと羨ましく思う。
「須美のエベレストにビバークするのはあたしだけの特権だぞ! いいからお前はあたしの中に帰れ」
『いーやー! スミー! スミー!』
「もう、銀。スミちゃんをいじめちゃだめよ」
「いや、よく見ろ須美。そいつアタシに向かってすっげぇ悪い顔してるぞ! 多分性格悪いって!」
銀の言葉に東郷は胸元にいるスミを見るが、目はきらきらとしていて純真無垢といった様子だ。
「なに言ってるのよ銀。スミちゃんがそんな悪い顔するわけないじゃない。こんなにいい子なのに」
「気づけー須美! そいつ、お前の前だけで猫被ってるって!」
銀みもの間に入るスミ(精霊)。手玉に取っている感じで嫉妬から百合イチャを加速させている。
この関係は逆にありなのでは? と百合イチャ好きの人型、丹羽、園子の3人は思う。
『まあ、このまま眺めてみるのもいいかと思うけど話が進まないから、スミは銀ちゃんの中に入る。セッカとミトも2人の中に戻ってあげて』
人型の言葉に『はーい』と丹羽の中にいたセッカとミト、あとなぜかウタノが東郷と園子の中に入っていく。スミは東郷と離れるのに最後まで抵抗していたが、業を煮やした銀が無理やり掴んで自分の中に入れてしまった。
『さて、銀ちゃん。こいつは俺からの快気祝いだ』
言葉と共に銀の前に烏帽子をかぶった白髪で角が生えた精霊が現れる。銀を見ると刀を持っていない方の手でよろしく! というように手を上げてハイタッチを求めてきた。
『こいつは白静。最初鈴鹿御前と静御前を間違えて静って名前を付けちゃったんだけど、まあ好きなように呼んでやってくれ。俺が最初に生み出した精霊で、いろいろとカスタマイズしてスミに負けないくらいの強さに進化した。きっと君の役に立つと思う』
「おう、あたしは三ノ輪銀だ。よろしくな、白静ちゃん」
銀も手を伸ばしハイタッチをして白静に応える。元になったのがゆゆゆいの銀専用精霊ということもあって相性はばっちりのようだ。
『で、どうする? ここで1日休んでから四国へ帰るかい? 急ぐようならフェルマータを3台用意するが?』
「そうだねー。ここから四国までどれくらいかかる?」
『フェルマータの速度なら多分来た時の半分もかからないだろう。ここは赤一色の世界だから時間の経過がわかりにくいけど、ここに来てから3時間くらいは経っているはずだ。今帰れば夕食の時間には間に合うよ』
人型のバーテックスの言葉に園子、東郷、銀はスマホを開く。確かに人型のバーテックスの言う通り、時刻は夕方を示していた。自分たちが思っていたよりも結構時間が経っていたらしい。
「そっかぁ。最悪2、3日はこっちに留まる覚悟だったんだけど、こんなに早く大赦との交渉カードとにわみんの治療が終わるとは思わんかったんよー。名残惜しいけどお暇しようかなー」
「え? 大赦と交渉するような方法、見つかったのか?」
園子の発言に銀は思わず尋ねる。それに東郷が説明した。
「壁の外にこんな自然豊かな場所があったっていうだけでも驚きなのに、そこに私たちと同じように考えて行動する人がたくさんいたっていう事実だけでも大赦は上へ下への大騒ぎになるわよ。壁の外は人が住めないっていう大赦の教えを根本から揺るがす情報だから大赦はどうしてもその情報を握りつぶしたい。でも、なかったことにするには土地を浄化していく人型さんの存在は魅力的すぎる。きっと大赦は2つに割れるでしょうね」
「で、新しい土地に住みたーいって思った人たちをわたしたちの味方にして交渉しようっていうわけなんよー。それと、にわみんを人類の敵呼ばわりした奴らへのお礼参りもしないとねー」
笑顔だが怒っていることがわかる園子に、丹羽はまあまあといさめる。
「結果的に俺が人類の敵なのは間違ってなかったわけですし。神樹様も正しいことを言ってたってわかったじゃないですか」
「よくない! 神託はまだしょうがないとしても、勇者部の皆からにわみんの記憶を消したのは絶対に許せないんよー! 下手したらにわみん勇者部の誰かに殺されてたんだよ!」
その事実に東郷はたしかに、と顔を曇らせる。
丹羽は何でもないようにふるまっているが勇者部の皆に忘れられたことはショックだっただろう。それに友奈は大赦の職員に追い詰められて精神を病みかけた。
もし丹羽を殺してしまった後記憶を取り戻したら、きっと勇者部の皆は自分を責めただろう。想像してぞっとする。
そんなことになったら自分たちはきっと立ち直れない。ずっと勇者部の仲間をこの手で殺めてしまったという後悔を胸に刻んで生き続けていかなければならないのだ。
「そうね。記憶を消したのは明らかにやりすぎだわ。それに、銀の魂をとらえていたことも」
「神樹様ってそんなことしてたのな。園子から聞いてたとはいえ、信じられねーよ」
昨日これまでの大筋の事情を一応園子から聞いていたとはいえ、改めて東郷の口から告げられた事実に銀はまだ半信半疑といった様子だ。
当然といえば当然の反応だろう。彼女の精神はまだ2年前の小学6年生のままだ。神樹様に対する信仰心も強く、あの世界にいたとはいえ神樹に魂を捕らわれていたという情報すら最初は疑っていたのだ。
『銀ちゃん、あいつのこと信じない方がいいよ。あいつ昔から女の子(物理的に)食い物にしてるし、下手したらキミも同じように食われてたかもしれないんだから。あ、思い出したらなんか腹立って来た。そのっち、今から一緒にぶん殴りに行こうか?』
「うん。気持ちはわたしも同じなんよー。でもまだその時じゃない」
にっこりと笑う園子は人型のバーテックスに用意していた予備のスマホを渡す。
「タイミングが来たら連絡するよー。まずは大赦と交渉する必要があるからその後でねー。じゃないとわたしたちが人類の敵と共謀して人類に反旗を翻したって思われかねないし」
その言葉にたしかに、と東郷と丹羽はうなずく。銀はよくわかっていなかったが。
こうして人型のバーテックスに別れを告げ、4人は四国へと帰って来たのだった。
「で、帰ってきて早々ゴールドタワーにいるまだ無事な巫女であるあーやを頼って来た大赦の人に、大赦にいる巫女さんたちが高熱を出して使い物にならなくなったことを聞いたわたしたちは帰ってきて早々巫女さんたちがいる病院に勇者部の皆とやって来たんよー」
「誰に言ってるのそのっち?」
唐突に自分たちに起こった状況を誰にでもなく説明をしだした園子に東郷は問いかける。
「うん。状況を整理するためのひとりごとー。まさか帰って来てすぐのタイミングでこんな大赦に恩を売れることが起こってるなんて思わなかったんよー。これは完全に予想外」
病室を訪れた丹羽は亜耶と東郷が犯されていた高熱と同じ症状なのを確認するとすぐ変身し、ミトとシズカの力を借りた。
白い勇者服に緑と銀色のラインが走る。それから高熱を出している巫女たちの中に自分の精霊であるアカミネ、ミロク、セッカ、ウタノ、スミ、そして亜耶から返してもらったナツメを入れて自然治癒力と精霊の力を増幅させた。
精霊が中に入り丹羽が放つ光を受けると、高熱にうなされていた巫女たちは次第に顔色もよくなり呼吸も穏やかになっていく。どうやら快方へと向かっているようだ。
「よし、この病室にいる6人はこれで大丈夫です。次の病室へいきましょう、みなさん」
丹羽の言葉に精霊たちはうなずき、変身した丹羽と共に別の病室へ向かっていく。恐らく大赦にいた巫女たち全員が高熱から回復するのは時間の問題だろう。
「さて、これで大赦に大きな貸しを1つ作ることができた。いままで勇者として戦ってきたこともカウントすると大赦はわたしたちに頭が上がらないはずなんだけど、そうはいかないんだろうねぇ」
最近の大赦は勇者に敬意を払い感謝をしていてくれたが、今回の丹羽を敵として勇者たちに触れ回ったことからどこまで信用していいかわからない。
下手をしたら今までの行動はすべて見せかけで、自分たちを信用させるための布石だったのかもしれなかった。
どちらにせよ最悪の事態を想定して行動すべきだろう。安芸に内部工作を頼んだが、どこまでこちらに抱き込めるか。
「園子ー? なんかお前悪い事考えてるオーラ半端ないぞー。銀さんちょっと困惑中なんだが」
親友の知られざる一面を見て困惑する銀が言う。自分が寝ている2年間の間に何があったんだと。
「えぇ~そんなことないよミノさーん」
その時安芸からスマホに連絡があった。大赦の最高責任者と丹羽と園子が会う約束を取り付けたらしい。
「さっすが先生、仕事が早い。あとはここにいる皆を治して大赦に向かうだけなんよー」
「それならもうおわりましたよそのっち先輩」
声に顔を向ければ丹羽が6体の精霊を引き連れてこちらに向かってきていた。
近くまで来るとセッカは東郷の中に、ウタノとミトは東郷の中に入り、続いてスミも東郷の元へ向かおうとしたのを銀がひっつかむ。
『スミー、ソノコー』
「お前は―! 事あるごとに須美の胸に飛び込もうとしやがってー! いいからあたしの中に戻りやがれ」
言葉と共にスミを自分の中に入れる。全く誰に似たんだか、とこぼす銀に「おまえじゃい!」と思わず丹羽はツッコみかけてギリギリ言葉を飲み込んだ。
「で、にわみん。聞こえてたと思うけどこれからわたしと大赦に行ってくれる? トップと話し合うのに、にわみんの存在は欠かせないからねー」
「乃木、だったらアタシたちも!」
「そうだよそのちゃん!」
「わたしじゃ力不足かもしれませんけど、丹羽くんの力になりたいんです!」
自分もついて行こうとする風と友奈と樹に、園子は首を振る。
「勇者部の皆も連れて行ったら、完全に敵意ありって思われて交渉どころじゃないから。残念だけど」
「風、友奈、樹。ここは園子に任せましょう。少なくとも悪いようにはならないと思うわ」
園子の言葉に納得いかないといった様子の面々も、夏凜の言葉にうなずく。
「でも、いざという時は助けに行けるようにすぐ近くにいるわ。それくらいはさせてもらうわよ」
「ありがとう。にぼっしー、ふーみん先輩、みんな」
こうして勇者部の皆と別れ、丹羽と園子は迎えに来た黒塗りの高級車に乗って大赦へと向かったのだった。
それから丹羽と園子の2人は大赦へと向かい、大赦の最高責任者と会談をした。
園子が新天地から持ち帰った情報。人間が住めるようにテラフォーミングされた大地。人型のバーテックスによって解放されたその地で眠っていた神霊たち。
なかでも驚かれたのは大量の穀物や野菜が作られている畑や田んぼの写真だった。東郷のデジカメの写真や丹羽が持っていた百合イチャ録画用の小型ビデオカメラの映像に大赦の重職にいた者たちは驚く。
なにしろ四国以外の土地は灼熱の大地で人が住めないと思われていたのだ。
それなのに自然豊かなだけではなく、そこに自分たちのように意思を持った存在がいるなどとても信じられなかった。
「これは…本当のことなのですか?」
大赦の奥、いつぞやは園子が変身して大赦の最高責任者に詰め寄ったり、丹羽が大赦の最高責任者を洗脳した座敷にいる大赦仮面たちがざわめいている。
その中央にいる大赦の最高責任者は難しい顔をしてその映像と写真を見つめていた。
嘘や作り物にしては手が込みすぎている。それに純真である神樹様に選ばれた勇者が自分たちを騙すとは思えない。
だが、思わず尋ねてしまう。この話は真実なのかと。
それほど四国に生きる人間にとって、この情報は魅力的すぎた。
「見ての通りだよー。わたしは、あなたたちと違って嘘は言わないよー。勇者ににわみんが人類の敵って吹き込んで戦わせるようなひどいことしないって」
「そのことについては、本当に申し訳ない!」
一斉に頭を下げる大赦の要職にいる大赦仮面たちに、逆に丹羽と園子が驚く。
「あれは我々が神託を曲解したことによる間違いでした。現に丹羽明吾様はバーテックスが襲来した際他の勇者様方と一緒に四国の人々を守ってくださった。そんな方が人類の敵など」
「そうなんよー。おかげでゆーゆやみんながにわみんと殺し合いしちゃうところだったんよー」
にこにことしていたが、よく見ると若干青筋が浮いている。相当怒っていらっしゃるようだ。
(そのっち先輩、いいんですか? そこはマジで神託通りだったって)
(にわみん、いいんだよ。わたしたちは嘘をついてない。本当のことを言ってる。ただ向こうが勝手に勘違いしてるだけなんだから)
丹羽の言葉ににっこりと笑う園子に、この子本当に敵に回さなくてよかったなぁと丹羽は改めて思う。
「本当に、申し訳ありませんでしたー!」
大赦の要職にいる大赦仮面全員の土下座という本編では絶対に見られない光景に丹羽が困惑していると、園子はにこにこ笑ったまま言う。
「で、大赦としてはにわみんをどうするのかな? もちろん、その対応によってはわたしたちは本気で大赦と敵対するよ」
「実は、そのことで丹羽明吾様にどうしても確認しておきたいことが」
ああん? この期に及んでまだ何か言うことがあるの? と内心で般若の仮面のようになっている園子をどうどうといさめながら、丹羽は質問に答えた。
「なんですか、いったい?」
「誤眠ワニというのは、あなたのことなのですか?」
「え?」
「え? そうですけど」
予想外の言葉に、丹羽と園子はキョトンとする。さらに丹羽の言葉に園子は目を飛び出さんばかりに驚いた。
「えぇ―⁉ にわみんが誤眠ワニ先生だったのー⁉ ファンです! サインください!」
突如頭を下げてどこからか色紙を出してきた園子に、困惑しながら一応サインをする。
まさか園子が自分の書いていた百合小説を読んでくれていたとは…と思いながらもどういうことかと丹羽は大赦の最高責任者を見る。
「実は…大赦の苦情相談部門にとんでもない抗議メールやウイルスが送り込まれまして。内容は「誤眠ワニ先生の作品を消した大赦マジ許さん」だとか「同性愛を認めない大赦マジクソ」だとか、他にもいろいろ。通常業務に支障が出るレベルで正直危機的状況です。どうやら丹羽明吾様が書いた小説を大赦が消したと読者の皆様が思ったようで、我々も必死に説明したのですが聞く耳持たないといった様子で」
そのことにああそういえば、と丹羽は思い出す。
ゴールドタワーで暇だった時百合小説を投稿しようとしてアカウントが消されているのに気付き、新しいアカウントを作り消された小説を含め新作を投稿したのだ。
その時に「大赦の偉い人(神樹様)に目をつけられてアカウント停止されて作品も全部消されちゃった☆」と書いたのだが、その影響だろうか。
「ええっと、実は」
かくかくしかじかと丹羽は自分が行ったことを話す。ついでに神樹が自分に関わる記憶や記録も消去した事実も話すと、大赦仮面たちは大変驚いていた。
「なるほど。得心しました。つまり丹羽明吾様を憶えていた者たちは洗脳されたわけではなく、丹羽明吾様の記憶を消す神樹様の奇跡の力が効きにくかった者たちだったと」
「そういうことになりますね」
まあ、ガチで洗脳してバーテックス人間にしてましたとは言えないなこれは。と丹羽は冷や汗をかく。
「そうですか。なるほど得心しました。それと丹羽明吾様、差し出がましいようですが…我々にもサインをいただけませんか。先生の作品、毎日楽しく拝見させていただいておりました」
言葉と共に大赦の最高責任者や他の重役大赦仮面の何人かがいそいそとサイン色紙を取り出して頭を下げている。
ええ…。大赦の偉い人たちにも百合イチャ好きいたのぉ?
困惑しながらもサインする丹羽の姿を見ながら、これは思ったより交渉がうまくいきそうだなと園子は内心嬉しく思うのだった。
「というわけでにわみんの人類の敵認定は取り消し。大赦も勇者としての地位を約束するって! あと今回の神樹様のやり方に大赦としてもどう対応していいのか困惑してるんだって。いいタイミングで帰って来たねわたしたち」
スマホから聞こえる弾んだ声に、強化版人間型星屑に意識を移した人型のバーテックスは答える。
『そうか。じゃあ、俺も神樹の説得に向かうよ。おつかれ、そのっち』
スマホをタップし、通話を終了した強化版人間型星屑から人型の身体に意識を戻す。
どうやら丹羽明吾の四国にいる間の身の安全の保障はそのっちがしてくれたらしい。
本当にすごい子だと思う。まだ14歳の子供なのに大したものだ。
そういう交渉は本来大人の役目なのに。人型のバーテックスはできることなら彼女もそういう交渉や腹芸とは無縁な世界で友達に囲まれて楽しく生きていてほしい。
『まあ、そういうふうにさせなかった奴がいたんだけどな』
さて、ここからは保護者の話し合いだ。
なんだか原作以上にこの神樹は理不尽っぽいが大丈夫だろうか? 巫女を高熱にしたりとゆゆゆいエピソードでしかやらなかったことをしたり本編の印象とはだいぶ違う。
いざというときは力づくでもいうことを聞かせる準備をした方がいいかもしれない。
だが、説得で済むならそれが1番だ。まずはきちんと話し合いをしようと心に決める。
今だけは原作で友奈と神婚しようとしたことや歴代勇者にした仕打ちを忘れよう。大人になれ俺。
そう自分に言い聞かせ、巨大フェルマータ・アルタに乗り人型のバーテックスは四国を目指した。
やがて四国にたどり着くと樹海化が始まる。事前に伝えておいたおかげか、勇者たちがこちらを攻撃してくることはない。
あとは神樹を神霊たちと説得して終わり。そう思っていた人型のバーテックスは、突如樹海から飛び出してきたモノに驚く。
『おおっ⁉』
驚きながらも避けるとそれは神樹の根だった。それが切っ先の鋭い槍のように次々と襲い掛かってくる。
これはあれか? 勇者の章で友奈との神婚を阻止しようとしていた勇者たちを足止めしていたあれなのか?
こんな能力使えるなら最初からお前が戦えよと思うのだが、どうやら神樹もバーテックスが襲来したのに勇者がスルーするという事態は想定していなかったらしい。
こちらに向かってくる攻撃は必死だ。何本もの根が水を出しっぱなしにした消化ホースのようにしなりこちらに向かってくる。
それをフェルマータ・アルタのスピードで避けながら、どうしたものかと思う。どうやら向こうはやる気満々で、こちらを明確に敵視しているようだ。
これは、話し合い(物理)が必要かな?
そんなことを考えていると鞭のようにしなった神樹の根が巨大フェルマータ・アルタを叩き落し、高度が下がっていく。
仕方なく先に樹海に降り立ち墜落する巨大フェルマータ・アルタを受け止めた人型のバーテックスはゆっくりと地面に置き、目視できる距離にある巨大な樹を見る。
どうやらここから先は歩きのようだ。神樹様は壁の外から来た相手に対して厳しいらしい。
『ま、いいか。最終決戦前の準備運動と思えば』
園子戦以来の本格的な戦闘に、人型のバーテックスは軽く伸びをして準備運動をする。
目指すは神樹。四国の守護神であり、大赦が信仰する象徴。
これからするのはあくまで説得。戦争ではない。
そのことを改めて念頭に置いて、人型のバーテックスは告げる。
『さあ、それじゃあ楽しい保護者会談の始まりだ。席についてもらうぞ、神樹様』
久々の戦闘に仮面の下の歯をむき出しにして耳まで口を開き、打ち出された矢のように人型のバーテックスは神樹の元へと急いだ。
百合厨と百合厨の会話シーン多めの話は読者にもつらいやろなぁ…せや! ゆるゆりキャラとわすゆ組イチャイチャさせたろ!
(+皿+)と丹羽のシーン書くよりはかどるわぁ! 読者さんも百合シーン見られた方が嬉しいやろ。
感想を見る。→クロスオーバータグをつける。→頭を抱える。
えぇ…(困惑)