転職先は正義の魔法少女の悪側面【完結】   作:畑渚

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魔法少女は堕とすもの

 

 

 戦場

 

 

 と聞いて皆は何が思い浮かぶだろうか。

 

 世界大戦か、一部地域の紛争だろうか。はたまた某ゲームを思い浮かべる人もいるかもしれない。

 そんな俺は今、とある戦場に身を置いていた。

 

 

 争いは何も産まない

 

 

「ただいまより~~~~~」

 

 

 そう、戦いとは、破壊なのだ。

 

 

「タイムセールを開催いたします!」

 

 

 つまりこの戦場におけるソルジャーたちも

 

 

「お一人様3パックまで、限定タイムセールですよ~~~!」

 

 

 破壊を覚悟して来ているのだ。

 

「っしゃおら行くぞ自称神の使い」

 

「なんで僕がこんなことを……」

 

 神の使いの手を引きながら、俺は戦場へと突っ込む。

 ふふ、きっとはたから見れば、お兄ちゃんの手を引いてせがむ妹なんかに見えてるんだろうな。そう、今から行く場所が主婦の戦場でなければな。

 

 

「あっくそ押すな」

 

「ぐぐぐ、潰れる」

 

「腕曲がる腕曲がる」

 

 

「はぁ、はぁ」

 

「大丈夫かい?」

 

「まったく、これだからタイムセールは地獄だぜ」

 

 しっかし、主婦ってのはなんでまたあんなに強いんだか。将来は絶対主婦コミュニティに入らずに生きていけるようになりてえや。

 

「お金がカツカツなわけではないだろう?どうしてこんなことを」

 

 神の使い野郎もボロボロである。元から見た目が良いので、着崩したファッションみたいにキマっているのが恨めしい。

 

「何言ってんだよ……金は趣味に使うもんだ。こんなところで無駄に出費できっかよ」

 

「趣味といっても僕も魔法少女も特にお金を使わないけれどね」

 

「マジかよ……枯れてんな」

 

「仕方がないだろう?休めるときはゆっくりしたい質なんだよ僕は」

 

「まあそういう生き方もあるか」

 

 もともと趣味なんて個人差があるもんだしな。

 

「それはそうとしてあの魔法少女は堕とす」

 

「へっ?いや聞き間違いかな。なんて言ったんだい?」

 

「魔法少女を堕とす」

 

「……何に?」

 

「趣味で散財する喜びに」

 

「は?へ、へぇ?」

 

 趣味での散財とはいっても、まずは魔法少女の趣味を開拓するところからなんだがな。まあ、とりあえず策は用意してある。

 

「帰宅が楽しみだぜ」

 

 

=*=*=*=*=

 

 

「それで、これは一体どういうことです?」

 

「ふふふ、まあまあ」

 

 俺は少女に、とあるスマホアプリをいれさせていた。廃課金で有名なゲームである。俺も昔どっぷりとハマり、思い出したくもない金額を溶かした経歴と実績のあるものだ。

 ふふふ、お前も課金沼に堕ちてしまえ。

 

「はあ、なるほど、こういうゲームですか」

 

「さすが若いな。飲み込みが早い」

 

 魔法少女は驚異のスピードでチュートリアルをクリアし、記念すべき初ガチャへと到達する。

 

「えっと……これを引けばいいんですか?」

 

「ああ。ちなみにこのゲーム内であたりと呼ばれているのはコイツだ」

 

「なるほど、それでどのくらいの確率で出るんですか?」

 

「えっと確か……小数点……」

 

「1%もないんですか……地獄ですね」

 

「まあまあ、引いてみなって」

 

「わかりました」

 

 少女がゴクリと喉を鳴らして画面をタップする。

 しかし、ここで驚くことが起きた。

 

「へぇ、ゲームのガチャ画面って初めて見ました。こんなに色とりどりなんですね」

 

「なん……だと……?」

 

 普段は青色ばかりと悪名高いこのゲームである。そんなはずが……ま、まさか確定演出?

 

「あっ出ちゃいました」

 

「くぁwせdrftgyふじこlp」

 

「お、お兄さん?」

 

 嘘だろ……。俺なんて大枚叩いてこいつを手に入れた後、そのスマホごとバケモノに食われたってのに。しかもパスワードは自宅の管理ソフトにしか保存していなかったため、おそらくアカウントは遺品整理と共に死滅しているだろう。

 

「い……」

 

「い?」

 

「いいや、まだだね」

 

 そう。ソシャゲとは、ただ環境キャラが1人いればいいというものではない。

 

「このキャラには必須級と呼ばれるコンビキャラがいるんだよ」

 

「なんてキャラですか?」

 

 俺は自分のスマホでささっと調べて、キャラの立ち絵を出す。

 

「あっそれならさっき出ましたよ」

 

「なん……だと……?」

 

【やれやれ、想像通りなことになってるようだね】

 

「想像通りってどういうことだ?」

 

【彼女は魔法少女だよ?つまりは幸運値が】

 

「極振りか……ちくしょう」

 

 まさか、まさかこんな、俺だけが悲しみを深めるだけになるなんて……。

 

「お兄さん、なんだかよくわからないですけど元気だしてください」

 

「う、うう……」

 

「あっなんだかメールみたいなの来てますね。記念でなにかもらえるみたいです」

 

「ああ、たぶんいろんな素材とかガチャ石だとか……」

 

「なるほど、つまりはまだ回せるんですね」

 

「ま、待て!それ以上は!」

 

 少女のスマホが鳴る。これは、先程も聞いたレア確定演出の音である。

 

「あっまた出ました。意外とよくでるもんなんですね」

 

「んなわけあるかぁぁ!」

 

 ほぼキレかけてる俺を見て、少女はクスクスと笑う。

 

「んだよ、なにがおかしいんだ」

 

「いえその……ソシャゲというものがなんなのかはわかりませんが」

 

 少女は笑う口を手で隠す。

 

「お兄さんのそういう表情を見れるのは楽しいですね」

 

 あれ、もしかして別の沼に堕としちゃった?

 





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