転職先は正義の魔法少女の悪側面【完結】   作:畑渚

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昨日ぱっとみたらお気に入り777件ジャストだったのでいいことがあるかもななんて思いながら書きました。


俺の朝

 朝日が差し込んできて俺は目を覚ます。カーテンをわざと開けて寝ているので、朝日で自然に目が覚めるというちょっとしたテクニックだ。今の季節の日の出の時間はわりとちょうどいいので、ここ最近はずっとこれで起きている。

 

「……またか」

 

 起き上がろうとすると、腰に回されている腕が邪魔をする。

 寒くなってきたからか、ここ数日よく抱きつかれながら寝てる。俺は別に寝付けば数時間なにがあっても起きない人なので構わないのだが、こうぬいぐるみやだきまくらの扱いを受けるのはいささか不満である。

 ちなみにベッドはマットレスから掛け布団にいたるまで凝りに凝りまくったカスタム仕様である。寝心地は最高級に良い。寝具には金をかけろとばっちゃが言ってたからな。

 

「う……んん……」

 

 っとやべえ。もぞもぞとしてたら起こしちまいそうだ。俺はそっと腰に回ってる手を振りほどいて、布団をかけなおす。うーんと唸ってるのは急に寒く感じたのか。

 

「まだ早いんだからな寝てな」

 

 ベッドから抜け出した俺はぐいっと背伸びをする。これをしてようやく体が起きる。

 

 

 寝室の扉をそっと閉じてから台所に向かう。

 リビングへと入れば、すでに一人?一匹?が新聞を広げていた。

 

【やあおはよう】

 

「常々思ってたんだが……お前いつ寝てるんだ?」

 

【僕は特に睡眠を必要としないからね。基本的にはずっと起きたままなのさ】

 

「へぇ。不便な体だな」

 

【不便?そう言われるのは初めてだよ】

 

「そうか?まあいいや。コーヒー淹れるけどいるか?」

 

【ではありがたくいただくよ】

 

 冷凍庫を開けば、密閉容器に入ったコーヒー豆が出てくる。こうしてると風味が長持ちすると聞いて試しているが、正直素人の舌じゃあよくわからない。

 

【いい香りだ】

 

 分かる人にはわかるらしい。俺にはさっぱりだ。この体になってから鼻詰まりとかしてないから匂いがわからないわけじゃないと思うんだがなぁ……。

 

 コーヒーを一杯飲んでから、俺の朝は始まる。むしろコーヒーを飲まないと始めないタイプとも言う。

 

「さてと……さすがにそろそろ取り掛かるか」

 

 飲み終わったコーヒーカップを回収し、台所へと向かう。エプロンをつければ、俺の戦闘準備が完了する。弁当箱を2つ用意し、下の段にご飯をつめる。そう2つである。

 

 朝は忙しい。弁当の用意もしながら朝ごはんも用意しなきゃいけないからだ。俺の味噌汁はこだわりの味。毎日しっかりといりこ出汁をとる。どうしてそこまで凝るか?趣味だ。

 

「ふう。あとは……冷食でもいれとくか」

 

 冷食は主婦の味方である。まあ俺は主婦ではないけれど。弁当のおかずとして完成されているのが多くあり、種類も豊富だ。そしてなにより、おいしい。確定された美味しさってのは弁当を作る側も食べる側もうれしいもんだ。

 

 

にゃ~~ん

 

 おっとこいつを忘れちゃいけない。先日の1件以来住んでいるもう一人……いや一匹の家族だ。猫用の餌と水を補充してやれば、ガツガツと食べ始める。猫になってからはそんな態度すらもかわいく見えるのでずるい。

 

【くそっ地べたの皿で食わせるなんて……!絶対に許しません、覚えておくことです!】

 

 中身は相変わらずだけどな。

 

「お兄さん、おはようございます」

 

「ああ、おはよう」

 

 大体の準備ができたころに、魔法少女は起きてくる。最近はぐっすりと眠れているようで何よりだ。空調による温度管理や照度管理、寝る前の風呂や食事の時間まで俺が握ってるようなもんだから、あたりまえとも言えるんだがな。

 

「これ、作っといたからよろしくな」

 

「はい、わかりました」

 

 俺は食卓にランチバッグを2つ置く。一つはいつものように魔法少女ので、もうひとつは先日の少女Xのものだ。なぜ俺が作っているかと言えば、特に理由はない。正直、一人分でも二人分でもあまり手間が変わらなかったり、むしろ楽になったりするものもある。偶然にも魔法少女の通学路とかぶっていたため、俺が率先して引き受けたのだ。

 ちなみにこれまた偶然なのか必然なのか、少女Xも両親とは別居中らしい。もはやここまでくると、魔法少女の必要条件になっているような気もしてくる。

 

「ああそれと」

 

「はい、なんでしょう」

 

「今日の晩飯はすき焼きにしようと思うんだが、どうだろうか」

 

「わかりました、楽しみです」

 

【僕も楽しみだ。早めに帰ってくるよ】

 

「ああ、任せとけ」

 

 俺の家直伝の超絶美味なすき焼きをお見舞いしてやろうじゃないか。




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