噴上裕也の果てしなくカッコよく美しいアカデミアライフ 作:己道丸
〇月△日 1年A組
チーム名:Jコンビ
構成員:切島鋭児郎/瀬呂範太
担当:敵
・本訓練における活動を述べよ
対戦チーム構成員である噴上裕也を最優先で攻略すべき相手と考えました。
噴上の個性は事前に分かっていたので、こちら側の個性で実行できる対策を考え、それによって噴上を行動不能にすべく彼を誘導しました。
チームメイト両名で話し合い、対策は以下のものを考えました。
① 瀬呂の対策
噴上の個性は匂いによって標的を定めるので、施設内に個性による生成物を多数設置し、匂いを充満させることで本人を標的にできなくさせる
② 切島の対策
施設内の構造物を破壊、作り出した瓦礫を瀬呂の個性によって外装として装着し、その上で標的になることにより噴上の個性を無力化する
③ 噴上への対策
噴上の個性を切島へ誘導したのち、敵対チームが合流しないように瀬呂が挑発、切島が待機する部屋まで連れ出して両名により攻撃、一気に行動不能にする
④ 葉隠への対策
切島が装着する瓦礫を作る際に出したチリやホコリを地面に撒き、接近した際に位置を把握できるようにする
⑤ 蛙吹への対策
噴上を行動不能にした後、戦力を集中させて圧倒する
・本訓練における反省点を述べよ
想像以上に葉隠と蛙吹の行動が早く、噴上との合流を許してしまいました。
噴上への対処はほぼ完遂することができましたが、二人の救援により行動不能にする前にとり逃してしまったことが、最大の敗因だと思います。
また、噴上への対処を優先したため、蛙吹の個性でできるこちらへの対策に考えが及ばず、その後の攻勢において攻略されてしまいました。葉隠に対しても、対策をとったことに油断して突破を許してしまいました。
対策を速やかに実行すること、実行しているあいだは集中を切らさないことが重要なのだと思いました。
・授業担当者のコメント
NICE FIGHTだったぜ!!!
・クラス担任のコメント
噴上を最優先で潰す作戦は評価するが、リスクコントロールがあまい。
Hトリオが合流する前にたたく必要があると理解していながら、施設への設置物は噴上のみならず葉隠・蛙吹も誘導して合流を助長してしまうものであり、また切島の機動力を落としたことは噴上への決定打を遅らせる要因となっている。
結果的に噴上が挑発に乗ったから切島のところまで誘導できたが、そうでなかった場合の対処も考えられていない。事前に交流があり噴上の人となりを知っているというメタ的要素に依存している部分があり、その点において誘導の手立てが実践的ではない。
あと、蛙吹への具体的な対策ができていない。
噴上は即行で排除し、葉隠はその長所をつぶして対処の必要性を落とすという対処は理解するが、単純な人数比で押し切るというのは作戦とは言わん。そもそも大前提として人数に劣っている状況であり、最終的な決定打を数に頼るのは愚策と言わざるをえない。
加えて、戦力を集中させれば葉隠への警戒が薄くなる。現状での切島の注意力では対処した上でも葉隠を抑えきれないのは実証済みであり、そうなると瀬呂が蛙吹との交戦に加えて葉隠への警戒もすることとなり、負担が大きくなる。
総じて、段階を踏むごとに瀬呂の負担が増えていくのがネック。どちらがフォローする立場でもかまわないが、負担がかたよるのは合理的ではない。
今回は敵という想定だが、ヒーローが実際の現場において人数的不利を抱えて敵に対処する事例はいくらでもある。現社会においてヒーローが圧倒的に数で勝るという事実にあまんじることなく、よりバランスのとれた連携をもって敵勢力に対応するように。
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〇月△日 1年A組
チーム名:Hトリオ
構成員:蛙吹梅雨、葉隠透、噴上裕也
担当:ヒーロー
・本訓練における活動
施設内に敵が大量破壊兵器を持って潜伏しているという状況設定で、これを捕縛・阻止するために突入するヒーローを担当しました。
訓練内容としては人数で勝るためのハンディキャップとして二手に分かれましたが、これは相手に二正面作戦を強いることもでき、一概にこちらが不利な条件ではなかったのではないかと考えます。
敵勢力はこちらの個性を把握して対策を講じていましたが、合流後に打開策を協議の上で考案しこれを実行、敵構成員一名を鎮圧しつつ大量破壊兵器の確保に成功しました。
・本訓練における反省点を述べよ
第一に、敵勢力の策にのってこちらの合流を遅らせてしまったこと。
第二に、敵構成員を効率的に制圧することができなかったことが挙げられます。
前者は事前ミーティングができなかったということもありますが、敵勢力が施設内に準備した罠にはまる形となり、こちら側の構成員が個性を封殺されて行動不能になる寸前まで追い詰められてしまいました。
後者は、敵構成員がそれぞれ機動力と防御力に長けた個性を持ち、またそれを活かす作戦を用意していたことに起因します。
結果として、機動力に対しては奇策を用い、防御力に対しては積極的に相手をせず大量破壊兵器を確保する戦術的勝利で対応せざるをえませんでした。
これによりチームメイトに負傷を強いたことは大きな反省点であり、我々全員が改善していかなければいけない点であると認識しています。
・授業担当者のコメント
MARVELOUSだったぜ!!!
・クラス担任のコメント
まず、敵の挑発に乗って独断専行するのは論外。
噴上の個性は事前ミーティング無しというハンディキャップを補えるものであり、それを自分のためだけに使うのはチーム活動における要点を理解していないどころか、自分の長所を理解せずムダに使いつぶす行いである。非合理の極み。
実際の現場にたてばヒーロー側の個性が敵に知られているのは前提といってもいい。一芸ではヒーローは務まらない。対策を講じられた程度で動揺して判断を乱さず、敵の対策を突破するためにどうするのかをまず考えろ。
対応力という意味では、問題は葉隠も共通している。透明という個性の長所を優先するあまり、それが封じられた際の適応力に現状では欠いている。
コスチュームは最低限以下の防御力であり、本領を発揮しようとすれば完全にゼロとなる。代償を伴わなければ真価を発揮できないというのは合理的ではない。コスチュームは対人戦の要点、『いかに自分にとっての有利を相手に押しつけるか』の第一歩。
理想論に基づく一芸特化は現実的ではないので、抜本的に改善するように。
蛙吹については、独断専行したチームメイトの回収と、実戦中におけるミーティングをまとめたことを評価する。
ただし、リーダーとして行動するのであれば噴上の自己犠牲的な打開策を容認するべきではない。敵として行動するような連中には致死性の高い個性を持つ者も少なくない。たとえ個性自体がそうでなくても、瀬呂のような異形系個性は身体能力が高い傾向にあり、純粋な打撃で相手を十分に行動不能にすることができる。
チームメイトの損耗を前提とした作戦はリスキーであり、確実性に乏しい。噴上にとっては独断専行の名誉挽回的な意味合いがあったのかもしれんが、現場ではその種の感情的な行動はリスクが大きすぎる。
お前たちが目指すべきは、味方を損なわず・一般市民を傷つけず・敵を死なせない戦いだ。このどれか一つでも欠く作戦は、基本的に下策であると認識するように。
直近2話のまとめというかおまけというか。
相澤的には、シビアな指摘をすることで生徒側にヒーロー業の厳しさを伝えるとともに、各生徒が自分の今後について考える必要性を与えたかった、という感じ。
余談ですが、Jコンビは瀬呂、Hトリオは蛙吹がメインで書いたという設定。
次のエピソードは現在準備中。ひょっとしたら前後編に分かれるかも。
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