蛇睨み 【All For 『All For One』】   作:ゼノアplus+

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45話

「よし……行こう」

 

「俺に命令すんじゃねぇ!!」

 

「おーい、爆豪、陽炎〜。俺たちも連れてってくれ〜」

 

「頼むぜ〜」

 

 

2次試験が始まり、私は爆豪と共に行動することにした。嫌がっている爆豪だけど、私が離れないから諦めたようだ。そしてついて来たのは切島と上鳴。

 

 

「なんつーか、珍しい組み合わせだな」

 

「救助とか……面倒だから」

 

「「ヒーローが言っていいセリフじゃない!?」」

 

「チッ……コイツの思惑に乗るのは殺してぇくらいうぜぇけど、救助が面倒なのは事実だ。だから俺たちはヴィランへの警戒をやんぞ」

 

「「ヴィランへの警戒???」」」

 

 

この試験が神野をモチーフにしているのなら、必ずヴィランが居るはずだ。だからこそ、救助とは別にヴィランへの警戒を強めるチームがいるべき……だと思う。

 

 

「あそっか、そういや開始の時ヴィランによるテロって言ってたな」

 

「そりゃあ、俺ら向きだな!!」

 

 

私、爆豪、上鳴、切島。奇しくも戦闘の方が向いているメンツだ。正直なところヴィランの人数が不明だったから頭数が揃うのは良いこと。

 

 

「そこの君たち!!何をしている!?」

 

「かくかくしかじか」

 

「ッ……そういうことか。よし、ここにいるもので警戒網を敷くぞ!!第3次防衛線までの陣地を築こう!!」

 

 

都合の良いことに、他の受験者達も協力してくれるらしい。

私達は現在進行形で救助されていく要救助者の最後尾につき、護衛と戦線作成を始めた。

 

 

「君、ヒーロー名は?」

 

「アザミ」

 

「じゃあアザミ、こっちを頼む!!個性はテレビで見たパワーと目を合わせたら動きを止めるのでいいな?」

 

「あってる。3つも戦線を維持するなら数が足りない……誰か救援呼んで。あとガレキでバリケードを作るべき」

 

「救援は私が呼んでくる!!」

 

「バリケードはこちらの視界も狭まってしまう。雄英組はかなりの手だれだったはずだ。補ってくれるか?」

 

「了解」

 

 

すごいな、流石にまだ半年とちょっとしかヒーローを学んでいない私達とは違って判断が早い。

こういう咄嗟の判断力、対応力がヴィランを抑え込む秘訣の一つなんだろうね。

 

 

「陽炎、ヒーロー名……」

 

「ん?……あー、アザミにした。覚えといて」

 

「おう!!とりあえず第1次防衛線は俺が行くぜ!!俺の個性なら壁役になれるしな!!」

 

 

着々と防衛線を固めていく。だけど、取りこぼしがあったのか要救助者を2名発見した。

 

 

『目を欺く』

 

 

「歩けますね……体の痛みは?」

 

「主人は頭を打って……私は右腕が動かなく……あの!!私達、どうなるんですか!?」

 

「大丈夫です、ここにはヒーロー達が居ます。もう安心ですよ」

 

「「うわっ」」

 

「上鳴、この2人を救護所まで護送して。自分で歩ける怪我だからあくまで寄り添うように」

 

「わ、分かった……!!」

 

 

能力で無理やり笑顔の私を要救助者に見せ、敬語で安心させるように話しかけた。切島と上鳴があり得ないような物を見る目で私の事を見ているけど、そりゃ試験なんだからこれくらいするよ。

 

 

「……キチィな」

 

「言わないでよ……自分でも気持ち悪いとは思ってる」

 

 

作業をしていた私達だけど、近くにいた爆豪がボソッと呟いた。

 

 

「おい」

 

「なに……一応今忙しい」

 

「今夜デクと一緒にツラ貸せ……テメェらの個性の話だ」

 

「……へぇ?」

 

「ッッッッ!!!!」

 

 

作業を続けながら口元をにやけさせた私に、爆豪が冷や汗をかいた。

原因はもちろん、私の殺気。爆豪だけに向けた、久しぶりの本気の殺意だったはずなのに冷や汗で済んでるんだから神野の経験が生きてるよね。

 

 

『目を盗む』

 

 

(コイツ……やっぱあの顔金玉の関係者だな。あん時の事……問い詰めてやる……!!)

 

 

「いいよ……貴方には知る権利がある。いや……知る権利は私が与える。覚悟は?」

 

「テメェ……ったりめぇだろうが」

 

「そっか。オールマイトも呼んでおいて。知ってるから」

 

「……んだと?チッ、洗いざらい吐かせてやるよ。クソがッ」

 

「楽しみにしておくね」

 

 

人の親に向かって顔金玉とは、言ってくれる。よほど惨たらしい拷問を受けたいらしい。

 

【言ってはねェだろ。爆発小僧もワードセンスは独特だなァ……(まァ、俺も思ったことはあるけどなァ)】

 

相棒?なんかクソ失礼な事考えなかった?

 

【お前がビジネススマイルすると気持ちわりィなって】

 

……殺してやる。殺してやるぞ緑谷出久ゥ………!!

 

【無関係の小僧を巻き込むなよォ。てかネタが古い】

 

 

「避難が完了したぞ。それに仲間から連絡だ。アザミの言った通りヴィラン役が現れたらしい!!ヴィラン役は、ギャングオルカだ!!」

 

「「「ギャングオルカ!?」」」

 

「……あー」

 

 

他校の受験者がこっち側にいる全員に向かってそう叫んできた。

 

鯱ヒーロー ギャングオルカ

 

ヒーロービルボードチャート10位の実力を誇る実力はヒーロー。

個性は名前や見た目の通りシャチの特性を水陸どちらでも発揮できる。

 

サイドキック達も確か高い実力を持ってるって聞いたことがある。

 

うーん、戦いたい。すっごく戦いたい。そういえばトップヒーローとは戦ったことないんだよねぇ。

 

【おい、分かってんだろうなァ?】

 

分かってるよ相棒、今は試験中。防衛ラインを整えているこの場を離れるのは悪手だし、私情を優先して痛い目を見るのは……もうやめにしたい。仕方ない、今日は我慢しよう。

 

 

「へっ、おもしれぇ!!陽炎、俺は行くぞ」

 

「お好きにどうぞ」

 

「ぶっ殺してやるぜぇ!!」

 

 

いや殺すな。

 

爆豪は意気揚々と爆破で飛んでいった。

 

試験落ちればいいのにアイツ。せっかく人が落ちそうなやつ合格させてあげようとしたのに。

 

 

「お、おい陽炎。あっち見ろ!!」

 

「ん、分かってるよ。私達の出番」

 

 

次は切島がとある方向を指差した。そちらに目を向ければ、同じ格好をしたヴィラン役が20人ほど現れている。

おそらくギャングオルカのサイドキック達で、試験用にハンデの装備か何かをつけてるんだろうね。ご丁寧にフルフェイスのマスクまでしちゃって。露骨な私対策じゃん、意味ないのに。

 

 

「切島……いや、レッドライオット。いける?」

 

「あったりめぇだ!!ここでやらないのは漢が廃る!!いくぜ陽炎……じゃなかった、アザミ!!」

 

 

切島が腕を硬化させるのを見て私も捕縛布を構える……いや、結構距離がある。久しぶりにこっち使おうかな。

 

 

「『無音拳』」

 

 

まずは1人。実力を見るためにわざわざ声に出してみたけど、誰も反応できてない。

 

……なんだ、この程度か。

 

 

「うおっ、久しぶりにソレ見たけど、ずりぃなやっぱ!!」

 

「爆豪でも対処できるんだから……レッドライオットもやれば出来るよ。そもそもお前くらいの硬さには多分効かないし……今度やる?」

 

「マジか、ありがてぇ!!いよっしゃ、やる気出てキタァー!!うおぉぉぉぉぉ!!」

 

「あっ……無策で突っ込むな……はぁ。援護メインで行くか」

 

 

迫り来るヴィラン達に突っ込んでいく切島。なんのためにバリケード作ったんだよ……

まあいいや。

 

 

「先輩、援護……頼める?」

 

「任せろ!!近接はあの子に続け!!遠距離はバリケード越しで援護だ!!後輩に遅れを取んなよ」

 

「「「「「「おう!!」」」」」」

 

 

凄いな、どう足掻いても私より弱いのに頼もしく見える。ああいや、他人の事を頼もしいと感じるのは、アザミの影響かな。

 

私は仕方なくバリケードの内側に入って後方援護に徹する。

 

 

「アザミちゃん、だっけ。近接じゃないの?」

 

「遠距離も一応できる……本職には負ける。遠距離部隊の護衛も兼ねてる」

 

「なるほどね、頼りにしてるわよ……っ、来るわ!!」

 

 

先輩の合図に、遠距離組が構える。

 

私も構えようかと思ったけど、別方向からもヴィラン役が現れているのが見えた。奇襲、ね。

 

 

近接組の交戦に合わせて遠距離組は援護することに集中していて気づいていない。

これ、あれだ。感知系の個性この場に居ないやつだ。

はぁ……私が対処するか。

 

私は戦線から離れ奇襲を狙っていたヴィランの下に跳ぶ。

 

 

「行かせないよ」

 

「ッ!!おいおいマジか。気づかれるのか」

 

「抵抗を止め、目的、配置、人数、所属を話して」

 

「ソイツはできねぇ相談だな。シャチョーに怒られちまう。

(反応が早い……さあ、ここで俺たちがヒーローじゃなくて救助者狙いなことに気付けるかがミソだが。まあこの子だけが気づいても意味無いしな。はぁ、俺もシャチョーの方行きたかったなぁ。あっちの方が戦線近いし)」

 

「……ふぅん。じゃあ一旦捕縛する」

 

「は……?なっ!?」

 

 

はい、終わり。

 

あのさぁ……私相手に1対1が出来る人間って、父さんくらいしか居ないんだよね。マキアも一応相手にはなるけど、それは昔の話。女王に覚醒した今の私だと10分持つかなってところだ。

 

戦闘狂である私にとって、全くもって望ましく無い状況。

 

人間の到達点と言っても過言ではない父さんでも、もう私の事を殺し切ることは不可能。だって私は肉体的にも精神的にも不老不死だし、例え拘束されてどこかに監禁されたとしても上限無しで肉体を強化できる私からすれば現代科学の物質なんて紙切れ同然。言ってしまえば、世界最強の生物となってしまった私はもう、対等に戦ってくれる存在はこの世にいない。

 

 

「じゃあ……行こっか」

 

「なにが、起きたんだ……?」

 

「私の方が強かった。それだけ」

 

 

ヴィラン役を捕縛布で拘束して救護エリアとは別方向に運び始める。

 

つまらない。もう、誰にも私を止めることはできない。だからこそ……私が実力を合わせてあげなくてはいけない。だから私はゲームが好きだ。否応なく同じ土俵で戦えるのはゲームの世界だけ。

 

弔君が世界を壊せば、私はきっとすることが無くなるだろう。父さんが弔君を乗っ取ったとしても、まともな娯楽がある世界になるかは分からない。今の私にとってヴィラン側に加勢するのは、今後無限の時間を生きる私にとってあまりにも都合が悪い。

 

 

「あれ……レッドライオット。早いね、もう終わったの?」

 

「おう!!先輩達が合わせてくれてな。めっちゃやりやすかったぜ」

 

「連携は経験年数が上の先輩の方が慣れてる」

 

「なるほどな。俺も出来るようにならねぇと」

 

 

【睨美……】

 

大丈夫。

そうなったらそうなったで、また何か楽しいこと探しをしよう。2人……いや、蛇達みんなでね。

 

人間がいる限り娯楽は生まれてくる。だから、大丈夫。

 

【そうだなァ】

 

 

「さてと……最低限の監視を残したら、本命の加勢に行こう」

 

「本命?ああ、ギャングオルカの方だな」

 

 

「あっちは轟と緑谷がいるから大丈夫だとは思う……けど……?」

 

「うお!?なんだありゃ!!」

 

 

私がそう言ってギャングオルカの方を向いた時、炎と風が巻き上がるのが見えた。

……いや、なにあれ。炎と風が、お互いを邪魔している?あの出力の炎は轟だろうけど、風は誰?

 

連携もあったもんじゃない。しかも、推定ギャングオルカ相手に。

 

轟……なにしてんの?

 

 

「……急ごう」

 

「おう!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

ズタボロで動けないからと先輩達がヴィラン役の監視を引き受けてくれるとのことで、私と切島は主戦場となるギャングオルカの下にやってきた。

 

で、そこで見たのはめちゃくちゃ言い合いをして戦闘の邪魔をしているバカ2名。轟と夜嵐イナサ?がお互いの個性の邪魔をし合っていた。

 

ちなみに一足先に向かっていた爆豪は何故か居ない。真っ先にギャングオルカに向かっていそうだったけど。

 

 

「かっちゃんなら要救助者担いで救護所に行ってたよ」

 

「…………明日は世界が滅びる」

 

「滅びないよ!?そう思う気持ちはわかるけど、言い過ぎじゃないかなぁ!!」

 

 

気持ちはわかるんだ緑谷。爆豪が人助けねぇ……どうせ飛んでってる途中で見つけて舌打ちと暴言吐きながら助けたんでしょ。

 

他のヴィラン役と戦闘をしていた緑谷に加勢し一瞬で制圧した私は、捕縛布でヴィラン役を縛りつけながら緑谷から情報を聞いていた。

 

バカ2名がヴィラン役のコンクリ銃で拘束されているけど知ったことではない。あれで大人しくしてくれるならそっちの方がいい。ああ、どうせなら要救助者側になってくれた方が楽である。

 

 

「ふぅん……じゃあ、私がギャングオルカ抑えてるから、バカ共と救助者助けて早く試験終わらせて。あの醜態見てたらやる気なくなったから」

 

「やる気って……え、あ、ギャングオルカを1人でって……あっ!?陽炎さん!?」

 

 

緑谷に一方的に言ってギャングオルカに走る。

 

 

「初めまして、ギャングオルカ。一手お手合わせを」

 

「ほう……貴様、神野の時の……いいだろう。しかしいいのか?」

 

 

ギャングオルカは倒れているバカ2人を見た。

 

 

「……アイツらはもう、要救助者側。私の役目は……貴方を抑える……いや、捕縛すること」

 

「くくくっ、威勢が良いのはいいことだがそれは出来ればの話だろう?」

 

「今からそれを証明する……だけのこと」

 

「ッ!!」

 

 

っ……無音拳を当てたのにびくともしない。すごい体幹だね。

 

 

「なるほど、甘く見ていたつもりはなかったのだが……貴様、出来るな。確か個性は、メデューサだったか?即座に俺を石化させるべきではないのか?」

 

「神野を再現しているのなら、ボスを失ったとしても引かないヴィラン達が統制を失って暴れる可能性がある。だからボスの動きを抑えつつ被害を最小限に……そうでしょ」

 

「完璧だな。ウチのサイドキックにでもなるか?」

 

「むしろ、貴方は私の上司に相応しいか確かめてあげる」

 

「傲慢!!」

 

 

お互い同時に踏み込んでの接近戦。

ギャングオルカの大振り、ちょっと受けてみる。重いけど全然受けられる。

 

次は私の大振りで鳩尾を狙う。っ、躱した。結構素早い!!

 

 

「試してばかりだと足を掬われるぞ!!」

 

「……本当に試してばかりだと思う?」

 

「なに?ぐぅっ!?」

 

「シャ、シャチョー!?」

 

 

回避の着地点に合わせて大きく吹き飛ばすように蹴り飛ばす。

 

体が大きい分、予想より飛ばなかったけど問題ない。他の構成員と距離を離すことが目的。

 

 

「驚いた。俺を膂力で押すか」

 

「……ちょっとずるいけど、しばらく構ってもらう。『豪殺居合拳』」

 

「またその風圧か、効かんぞ!!」

 

「貴方に効く必要は無いよ」

 

「フンッ!!」

 

 

ギャングオルカが防御姿勢を取ったことで、私の『豪殺居合拳』もほとんどダメージがない。でもそれでいい、これで狙っていたのは彼が装備している各種プロテクターだ。

 

本気で相手をさせるため。そして何より、私が楽しむため。

 

破壊されたプロテクターを勿体なさそうに眺めてからギャングオルカは私に視線を戻して言った。

 

 

「……やってくれたな。そんじょそこらの攻撃ですら壊れない逸品だったんだがな」

 

「試験官としてはプロテクターありでやらないといけないもんね。ここからは……本気!!」

 

「トップヒーローの実力、舐めるなよ!!」

 

 

私とギャングオルカの攻防がさらに激しくなっていく。だけどまだ彼は個性を使っていない。頭から出す超音波による攻撃、一度食らえば『目を醒ます』能力で超音波の効かない体に作り変えることができるけど、一応食らわないといけないから早く使って欲しい。

 

使ってくれないなら、使わせるまでだけど。

 

 

「イレイザーヘッド直伝」

 

「ッ!!」

 

「『操縛布』」

 

 

今日まで仕込まれてきた全てを使って、ギャングオルカを縛り上げる。

今までの我流じゃない、ちゃんとした相澤先生の技。

私の膂力だけじゃなく人間の構造を利用したロックを決めているからいかにギャングオルカが実力者だとしてもそう簡単には抜けられないはずだ。

 

 

「これは……振り解けんっ!!だが、貴様も俺を縛ることで動けんだろう!!ハァ!!」

 

「きた……うぁ!?ぐ、うぅぅぅぅ!!」

 

 

これきっついなぁ……!!

超音波で少しずつ私の力が抜ける。行動不能になるほどじゃないけど、頭が痺れて思考がまとまらない。高速戦闘中ならいくら私でも隙を作らされるねこれ。今がお互いにどっしり構えているから大したダメージになっていないだけだ。

 

 

「これでも振り解けないか!!だが、効いていないわけではないだろう!!」

 

「ひさびさの……良い、ダメージ……だね!!」

 

「ヒーロー側の最高戦力を抑えているのなら俺の仕事は十分だ。あとは部下達の連携でも事足りるだろう!!」

 

「そ、れは……どう……かな……?」

 

「なに?」

 

 

()()()()がそんな簡単にやられる玉か?そんなわけがないだろう?

 

 

「私……仕事……は、貴方を……おさ、えること!!」

 

「貴様、そこまで理解してわざと俺の超音波を受けたのか?」

 

「陽炎さん!!こっち終わったよ!!」

 

「……さすがだね、ヒーロー」

 

 

緑谷の声が聞こえたと同時に、私とギャングオルカの周りが炎で囲われた。轟の炎だ。

 

 

「バカな、奴らはセメントガンを食らったはず!?(まずい、体が乾く……!!)」

 

「発動型の個性なら、動かなくても使えるよね」

 

 

超音波が弱まってきた。ギャングオルカの体が炎の熱で乾いてきて力が弱まってきているんだろうね。

 

それにしてもあっつい!!アイツちょっと出力調整バカになってるでしょ!!私もいるんですけど!?あ、捕縛布に火ついた!?

 

 

「俺もいるっすよぉ!!」

 

 

聞き覚えのある声がして、風が吹いた。風が炎を纏めギャングオルカを囲うように巻き上がっていく。

そしてギャングオルカに巻き付けてた私の捕縛布が焼き切れた。

 

は?殺すぞ?

 

 

「…………頭痛い」

 

 

超音波が止まったことで自由の身になった私。だけどまだ頭がピリピリするし精神的に結構きてるかもしれない。

そして新品の赤い捕縛布が焼き切れたことによる苛立ち。

考えるのも面倒になってきた。

そして目の前には炎に巻かれて動けないギャングオルカ。

 

よし、殴ろう(脳死)

 

 

「陽炎さん!?」

 

「ギャングオルカ、覚悟」

 

「ぬぅ!?」

 

「『肘撃・轟破……」

 

『終了です!!!!」

 

 

ギャングオルカに肘打ちを決めようと肉薄したところで、ブザーがなって試験終了となった。

 

 

「……はぁ。最近、こんなの多い」

 

 

要救助者全員の避難完了、ギャングオルカ以外のヴィラン役全員の確保完了。そんなアナウンスが流れてくる。

チッ、ギャングオルカに攻撃を当ててたら完全勝利だったのに。

 

 

「ギャングオルカ、ありがとうございました」

 

「フン、ほぼほぼ完封しておいてなにを言うかと思えば……ここまでしてやられるとはな。あの小僧共にもまんまとやられてしまった。貴様らァ!!帰ったら鍛え直しだ!!」

 

「ええー!?」「そんな、横暴っすよシャチョー!!」「俺たち結構頑張ったんすよー!?」

 

 

いつも通り抱拳礼を以て、強者との戦いには最大限の礼を持って返す。ギャングオルカはサイドキック達に喝を入れながら背を向けて歩いていった。

 

 

「アザミ、だったな。興味があるならウチのインターンシップに来るといい。歓迎する」

 

「考えとく」

 

 

閑話休題

 

 

ぶっちゃけ私の合格は揺るぎないもので、帰ってきた採点表を見ると私の点数は82点。

主な減点理由として、

『遠距離チームの護衛に入ったにも関わらず単独行動によるヴィラン捕縛』

『要救助者救出への意欲があまり見られない』

が挙げられた。まあ許容範囲内でしょ。

 

そしてなんと、不合格者。

 

爆豪、轟。

 

爆豪落ちたのかよwwwwwwwwwwwww最高じゃんwwwwwwwwwうわぁウケるwwっww

なんだっけ、『今夜面ツラ貸せ』だっけwwwwwww

お前の方がどのツラ下げて私達に会うんだってねぇ!!!!

 

………はい、まあ轟は分かってたね。うん、アイツは仕方ない。

 

 

さーてと、ちゃんと合格したしまずは父さんからの使命半分クリア!!




次回予告

「アー……とりあえず、茶でも飲むかァ?ねェけど」

「気持ちだけ受け取っておくよ。愛娘の相棒君?」

「ハァ……なんでこんなことに……面倒くせェ」

「連れないなぁ。僕はただ睨美の活躍を1番近くで見てきた君から色々聞きたいだけなんだ。分かるだろう?君も人の子を育てたはずだよ」

「分かるからウゼェってんだよ。相棒が試験やってる裏で体感12時間、娘の自慢話を聞かされる身にもなってみろって。てかお前、当たり前のように『蛇の能力』と『個性に宿った人格』の壁超えてきてんじゃねェよ。バケモンかよ」

「魔王さ」

「うるせェ!?」

『唯一無二の相棒』VS『親子愛の化身魔王』
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