落ちた地獄は歪んだ現実

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Sunday Prayer

どこかの夜でのこと。

 

「助けてくれよ。なぁ、俺が悪かったんだ」

 

そこは狭い裏路地。誰も名前を知らない、日夜誰が通るかも知らない。ただ作られただけの道に男が二人、夜の闇が全ての邪なことをを隠すように裏路地を無感動な暗黒が覆う。

 

なぜ、こいつは命乞いをしているのだろう。

 

自分の眼下には腰を抜かしヘタリこんだ姿勢で自分に命乞いをする男が顔を青白くしながら命乞いをしている。こんな様を招いたのは己の行いの筈なのに男はみっともなく命乞いをしてくる。その、現実が一種の冗談のように感じた。

 

すまない、おまえの死もビジネスなんだ。

 

死刑宣告を男に伝えると手に持つナイフを目にも止まらぬ速さで動かし男の首、ちょうど頸動脈が走っている側面にプスリと刺す。

 

「待ってく」

 

サクリ

 

そんな気が抜けた音が闇の中を駆け抜け静寂が支配する。誰かの悲しみに満ちた慟哭も蒸せ返るような血生臭さも悪意さえ覆い闇が無情に広がる。

 

相棒を片付けた次は見知らぬ誰かの人生を刈りとらなければいけない、今日はやることが多いなとボンヤリと脳の片隅で考えながら夜の闇に身を覆う。たった今眉間をぶち抜き殺したかつての仲間の亡骸を無感情に一瞬一瞥し消える。

 

 

男は世の中に不満を抱えていた。自分を肯定してくれない世界が憎かった。ただただ腸が煮えくり返り全てを破壊してやりたかった。だが、そんな大それたテロまがいのことは出来ず男は強盗をし、または自分よりも弱い人間を痛め付け有り金と身ぐるみを剥がし日々の金を稼いでいた。

 

くそが。

 

誰に向けられるわけでもない罵りを口から漏らしながら夜の道を歩く。もしも他に通行人がいれば今の苛立ちを発散するようにぶちのめし有り金全てを奪うだろう。なんなら、一歩間違えて殺して身ぐるみを剥ぐかもしれない。

薄暗い妄想をし口元を嫌味に歪ませ歩く。季節は移り変わり秋から冬へ、身を削ぐような寒さが支配する季節に気づけばなっていた。

 

冬は好きじゃない。ただただ寒く辺りはすぐに暗くなり損した気分になるからだ。きっと冬が好きだと言う人間は狂っているか酔っているのだろう。

そんなどうでもいいことを考えながら早足で目的の酒場に足を進める。強い酒を浴びるほど飲み気絶するかのように眠ろう。そうすればこの怒りも消えて失くなるだろう。

 

「あぁ、酒を喉に流し込みたいぜ」

 

すまないが、もうお前は酒を飲めない。

 

理解の及ばぬ展開。口を何者かに背後から塞がれ悲鳴を挙げることも考える暇なく背中から冷たい無機質な『何か』が入り込んでくる感覚。目を見開き抵抗しようとするが背後の何者かの力は万力のように強い。もがこうとした瞬間に背中に激痛が走り何かが切れる男がした。

 

ぷつん

 

それが自分の生命が途切れる音だと気付いたときにはもう遅い。男は永遠の闇に意識を委ねる。冷たく無機質な闇が広がる常闇に。

 

対象の男から温もりが消えたと分かれば男の口から手を放しナイフを引き抜く。抜いた瞬間に血が少量飛び散るが気にせず死体でナイフに付着した血を拭う。

今日は二人の命を奪った。1人は世間一般的に仲間と称される人間。もう1人は金を支払われ依頼されたどこの誰かも知らない男だ。

たった今殺した男を見下ろす。目を見開き背中からは血が堰を切ったダムのように止めなく溢れている。きっと数時間もすれば蒸せ返るような臭いが漂うようになるだろう。

この男の死を悲しんでくれる人間がいるのだろうか。花を手向け、死化粧のされた男の顔を見て生前の記憶を振り返ってくれる人間がいるのだろうか。

 

そんなことをボンヤリと考え夜の闇に身を隠す。全てを平等に受け入れる常闇に。




続編書くかと

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