ずいぶんと遅れてしまいすいません。
さてさて、いよいよ四糸乃編が終盤へ。
ではどうぞ!
俺は今、霞む視界で灰色の雨雲を見上げている。
いや、正確には仰向けになって倒れている。
曇り空なのに青色の空が見え、そこからは雨水がポタポタと降り注ぎ俺の頬を濡らしていく。
よく見ると青空じゃなく、青い髪をした少女が俺の顔の前にいる。
雨水は真っ赤に腫らした彼女の瞳から垂れ、何か言っている。だが、耳鳴りが酷く鳴り響き彼女の言葉は遠くに聞こえる。
呼吸も苦しい、まるで水の中にいるような感じだ。
「ごほっ…」
むせるように喉の奥から鉄臭いものを吐き出す。舌から伝わる味で、吐き出したのが血だというのがわかる。
血を吐き出す俺を見た目の前の彼女は、取り乱すように何かを叫び、身体を揺する。
揺すられる俺の身体からは力が抜け、体温が抜けていき地面に広がる水溜まりが酷く生暖く感じられる。
それが広がっていくと更に体温が下がっていく。
どうやら、俺の身体から出ているようだ。
視線を下へ、身体の方へ向けると思わず目を背けたくなる光景が映る。
右側上半身が
右局部から腹部近くまで抉れ、傷は焼け焦げたように黒くなっている。周りを良く見ると荒れ果てたように破壊し尽くされた土地と、何かを防いだように泣いている少女、四糸乃の周囲は何ともなかった。
無意識に、防いだのか?
それらを理解した瞬間、激しい痛みが脳に届き悶える。
今まで体験したことがない痛みで思考が乱れる。
痛みに悶え、側で泣き出す四糸乃。そして空中には彼らを討伐しようと現れたAST達。
何が起きたのか。何故、灯夜が重症を負ったのか。
それは、数時間前に遡る。
■
数時間前に遡り、公園にて。
はしゃぐよしのんにせがまれ様々な遊具を造り上げていた灯夜は、こちらに歩いてくる気配に気が付く。
「…おや、士道じゃないか。一体全体どうしたんだい?」
現れたのはこの間会ったばかりの五河士道だった。さっきまで傘を差していたが今は雨が降っていないため片手に持っている。
何か口にする前に一瞬、自分の耳に視線を向けているのが見えた。
フラクシナスから何か指示を受けたか。
「いやぁ、歩いてたら偶然二人を見つけてな」
なに食わない顔で直ぐに士道は、会話を再開させる。
「なるほど。…それで?士道は一体何のようで?ああ、この前の礼のことなら是非私に弄られてくれ。そちらのほうが面白い」
「おい!?」
「冗談…でもないか」
「なお悪い!!」
今日も切れのあるツッコミをする士道。
うむ、やはり士道は面白い。
「まあ、士道がいる理由など解りきっているさ」
「なっ…」
俺の言葉に息を詰まらせる。もうバレたのか?そう思っている士道に、
「士道は、可愛い
「おい待て。今の発言は聞き捨てならないんだが」
「士道はロリコンだもんね」
「違うっ!!」
「まあ、士道がロリコンというのは置いといて。用件は何かな?」
取り消そうとしていた士道は、俺が話を切り替えたことで諦めたようにゲンナリとする。
「えっと、だな…『今から一緒に遊びにいかないか?』」
また、士道の視線が片耳に行く。随分とマトモな選択が決まってるみたいだ。もしかしたら、他の選択は酷いものなのかもしれないが…
それを見た俺は、踵を地面にノックをするかのように軽く叩く。
すると周囲にあった複数の視線が幾つか消えるのを感じる。これで〈フラクシナス〉の監視の目が消えた。まあ、直ぐに別の観測機が来るだろうけど。
「勿論、そのお誘いを受けるよ。君の事や後ろにいる組織の事も詳しく聞きたいからね」
「そっかそっか……はっ!?」
突然声をあげて驚く士道。それを見た俺は可笑しく笑ってしまう。
「そんなに驚くことじゃないよ。前にも言ったじゃないか」
「前にも?…あ、あの時か」
思い出したのかポンッと手を打つ。それを見て俺は、
「ボケるには少し早いんじゃないかな?士道じいちゃんや」
「誰がじいちゃんだ」
まあ、あれを見れば俺が〈ラタトスク〉のこと等を知ってると言った事など忘れるよな。
それほどまで衝撃的だったんだろう。
現に、苦笑いしながら耳につけてるインカムに向けて謝っている。こいつ、隠す気あるのかいな?
「それで、何処に行くか決まっているかな?」
「それは、だな…」
「決まっていないならこちらで決めさせて貰うよ」
士道の言葉を途中で遮る。それに少し慌てるように、頷く。
「で、どうしようかよしのん?」
先ほどからずっと俺の後ろにいたよしのんがひょこっと顔を出す。
『そうだねー。別にトウヤ君が決めても良いよー』
「そうか」
さて、よしのんに許可を貰ったし何処に行こうか。
時間は夕方近く。天候は雨。人数は三人、と一匹かな?
「私の店にでも来るかい?」
☆
場所は代わり、灯夜達がいる遥か上空。
不可視迷彩で姿を隠した空中艦〈フラクシナス〉の艦橋席に座る燃えるように赤い髪をした少女、五河琴里はチュパチャプスを口に加えながら砂嵐が走る映像をみていた。
「やっぱり、こっちに気付いてたわね。今度は距離を離してたのに」
はぁーと溜め息を付きながら、先程飛ばした新たな観測機からくる映像を待っている。
「それにしても、あの馬鹿は。なんで肝心な事を忘れていたのかしら」
琴里が言っていることは、灯夜が〈ラタトスク〉を知っていた事だ。
精霊を保護する組織、当たり前だが精霊のことは公にできない。空間震が実は災害の力を持つ精霊でした、なんて民間人が知ればパニックになる。
その上、〈ラタトスク〉のことはASTにもわかっていない。故に、何故精霊である〈アルケミスト〉が知っているのか。
「ほっっんとに謎ねぇ」
再度溜め息をつく琴里。出来ればあの精霊を此方に来てもらいたいがもし、暴れたりなどしたら大惨事だ。
それに、
「公園全体を覆う不可視の膜が邪魔で直接、転送は無理ね」
観測機が壊される前に公園全体を覆う不可視の膜があることが今まで解析していたクルーから伝えられている。
どうやら膜で、降ってくる雨を遮っているようで公園に雨が降ってないのはその為だ。
士道が普通に公園に入れたところを見ると特定のものを防ぐもののようだ。
雨が触れた瞬間、弾かれるように膜を避けて降り続けている。
「今は士道に任せるしかない訳ね」
観測機や転送も使えず、唯一解っているのは士道が身に付けているインカムの音声だけだ。
此方からの指示は出せるが、相手はこちらの事を知っている。迂闊に指示を出せずにいる。
今も、フラクシナスの選択を行う瞬間に彼方が先に決めてしまっている。
だが、幸なことにどうやら彼女が営業している店に招待されたようだ。
「士道、チャンスよ。誘いにのって少しでも好感度をあげて頂戴」
そう士道に指示を出し、こちらも準備を始める。
舐めきったチュパチャプスの棒をゴミに捨て、新たに取り出し口に含む。
「さあ、私たちの
☆
「3時過ぎだがおやつでも食べるとしよう」
ケミストに来店した三人は、灯夜に渡されたお品書きを見て悩んでいる。
「なあ、なんでこんなに安いんだ?」
「ヒント、私の能力」
士道が書かれている料金表示が他の店と比べてかなり安いという疑問を灯夜に投げつけ、それに答える灯夜。
能力で造ったことに納得する士道だったが、相変わらず規格外な能力だと内心思いながらサイドメニューに視線を戻す。
「んじゃ、俺はホットケーキで」
『よしのんはこのスペシャルジャンボフルーツパフェでお願いねー』
「ふむ、私はショートケーキにしようかな」
カウンターで注文を聞いた黒執事は、一つ頷くと店の奥にある調理場へ向かった。
それを横目で見ながら、士道は話を切り出す。
「なあ、灯夜。聞きたいことがあるんだけど」
「なにかな、士道。あ、よしのんのスリーサイズが聞きたいとかはなしで」
「誰が聞くかっ。…お前がなんで俺のことや琴里達の事を知っているのかを聞きたい」
灯夜はフード越しから士道の顔を見る。真剣そのものだったが、それに対して灯夜はクスクスと笑い出す。
「確かに、士道の事は色々と知っているが…君の妹も関わっているみたいだねぇ?」
「っ!」
しまった。と言う顔をするが既に手遅れ。フード越しでもわかるニヤケた笑みを浮かべていることは士道はわかった。かまをかけられたことを…自分の失態に苦虫を潰したような顔する。
「まあ、知ってたけどね」
「って、知ってるのかいっ!!」
失敗したと思っていた士道は思わずツッコミを入れる。
そんな士道を見て声を出して笑い出す。
「あー、面白い。…さて、何故知っているか…なんて答えればいいものか」
顎にてを当てて悩む。原作知識を持っていると言っても信用されないだろうし、頭がおかしいやつと思われてしまうだろう。
「私の能力の一つ、とだけ言っておこうかな」
「錬成以外にまだあるのか?」
呆れたような顔をする士道。
『トウヤ君は、チートだもんねぇー』
「…否定はしないね」
その気になれば兵器でも何でも創れるだろう。
四糸乃の封印の件が終わったら何か創ってみるとしよう。そう考えていると奥から黒執事が頼んでいた料理を持って来た。
「おお、旨そうだな」
『でっかぁい!』
「よしのん、それ食べきれるのか?」
テーブルに置かれた中でひときわ目立つパフェ。
座っているよしのん以上はあるパフェを見てはしゃいでるよしのん。
「料理も来たことだ。食べよう。」
「それもそうだな」
『いただきまーす』
先によしのんがスプーンを持って食べ始める。
口に入れる度に、無表情を保っていた四糸乃の目が開かれ美味しそうに食べていく。
流石は、黒執事の料理。隠れている四糸乃の人格を表に出すとは…
「そうだ、士道。質問に答えたんだ、何か話してくれてもいいじゃないか?」
「何話せばいいんだよ」
「そうだな…君達が保護している精霊、確か十香だったかな?その子の事を話してくれ」
「十香の事を?」
十香編の後に転生した灯夜にとって原作通りに封印出来たのか気になっていた。
「あー、それじゃぁ。まずは十香と会った時から話そうかな」
■
「なるほど、要は無理やり相手の唇を奪った上に服をひっぺがして辱しめをーーー」
「いや確かにキスはしたけど無理やりはしてないし服もひっぺがしないぞ!!?」
士道の話を聞いたが、原作通りに十香に会い、名を与え、封印したようだ。
前々から思っていたが、なんでキスで精霊の力を封印出来るんだ?
「それにしても、不思議なものだ。キスで精霊の力を封印できるなんて」
「それ、俺も思った。だけど琴里はまったくわからないんだと」
原作はまだ終わっていないから俺にはわからない。一応、士道編、つまり十二巻までは見ているがその先がなぁ...
最後は狂三が乗っていた第二の精霊がいたコンテナを覗いていたから次はその精霊を攻略するんだと思うんだけど。如何せんどういった能力で天使を持っているかは不明だ。
狂三が始源の精霊を探しているから情報源としてこの精霊を探している。第二の精霊はDEM社の地図に無い島だったか?に幽閉されている。この情報を利用して一緒に第二の精霊を強奪するか?一つの選択としてこれは保留。もしくは、精霊自ら現れるまで待つ。これも一つの手だ。
やはりこの件は狂三が来るまで保留だ。下手に手を出してDEM社、アイザック・ウェストコットに目を付けられるかも...いや、アレを見たんならもう既に目を付けられている?うわぁ、俺もう手遅れなの?
「はぁ...」
思わず深いため息が漏れ出る。良かれとやったことが後々で後悔するとは。いや、そもそも死者を蘇らせるなんて誰もが知れば狙ってくるのは当たり前。
もし、この世界にDEM社以外の組織も狙ってくるかもしれないな。有ったらDEMが吸収してるか?
「どうした。急にため息なんて付いて?」
ため息をついた俺を不思議そうに見てくる士道。
「いや、自分がやった行いを後悔してるだけさ」
「まあ、確かにお前の能力は凄いからなぁ...」
「私のを士道で例えるなら自室で自分の必殺技を―――「はいストップぅうううう!!」
士道の黒歴史を話そうとするとすぐにとめられた。
何で知ってる!?やここで言うのやめろっと言っているが、だが断る。
『そう言えばトウヤ君は、なんでこのお店を開いてるの?』
今までパフェに夢中だったよしのんが聞いてくる。
まあ、この世界での俺の戸籍やら住所は真っ白な状態。今は家があるが戸籍はまだない。戸籍は後で作るとしよう。
「飲食店に興味があった、あとは住むところがなかったからなぁ」
「あー、精霊だもんな」
精霊だから。まあ、空間震?から現れた俺を見れば精霊と思うだろう。だが、今思うと何故俺を精霊だと認識した?
俺には霊力がない。なら、精霊として識別は...ただ精霊(仮)として見ているのか霊力をうまく隠すことができる精霊としてか。一体どちらか。
「さて、そろそろ食べ終わったかな?」
「おう」
『美味しかったぁ』
テーブルを見ると食べ終えた皿はいつの間にかなく、隣にいた黒執事によって下げられていた。
本当にいつ下げてるんだろな。
「よろしい、なら食後の散歩でも行かないか?」
席を立ちながらそう聞く。士道は苦笑いを浮かべて頷き、よしのんは次はどこに行くかと聞きはしゃいでいる。
「さてさて、どこに行こうかな」
近くのショッピングモール?それとも丘の上の公園かな?
よし、そこにしよう。そこなら景色もいい...店の周りにいる
先ほどから何か動きがあるな。慌しい気配が外から感じ取れる。
「さて、デートを再開しよう」
できれば今回で終わらせたかった。本当に文才がほしぃ...
そういえば、十三巻買いました。時間がなくてまだ読んでないですがこれを書き終えたら早速読んで見ます。
次回は、今日中に今年中に書き終えたいなぁ....