デートアルケミスト   作:+無音+

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お久しぶりです、作者です。

前回の更新からかなり時間が経ってしまい申し訳ない(ドケザ

待っていてくれた方々、お待たせしました!

本編始まりの前に、



三行あらすじ
・四糸乃と、灯夜で
・デート
・プラス士道

では、どうぞ!



※大幅に書き直しをしました。



第十五話 前菜

「やってきました、丘の上の公園」

 

三人はここまで歩いてきたが、公園にはまったく人の気配がない。

無人の公園に灯夜の声が寂しく響く。

 

「ここまでついて来てなんだけど、なんで公園なんだ?」

 

『もっと他の場所でもよかったんじゃないのー?』

 

二人が文句を言うが、灯夜はそれを無視し近くの遊具に軽々と跳び乗り移る。

 

「いやいや、ここから見える景色はとても見晴らしがいいから気に入っていてね。是非とも二人に見てもらおうと思ってな」

 

そういいながら、遊具から離れたフェンスに飛び映る。

そっちを見た二人は、灯夜の向こうを見て納得する。

そこからは街全体を見渡せるようで、場所的にも日がくれる時間ならさぞかし夕焼けが綺麗に見えるだろう。

 

「だが、士道は前に来たのだったな」

 

「あー、十香の時か」

 

「暴れてる女の子に無理矢理キスして、その上服を剥ぎ取る……士道くんって鬼畜ぅ」

 

「誤解だ!?」

 

「そのとき、抱き付かれたようだが感想は?」

 

「柔らか、って何言わせようとしてんだよ!!」

 

『士道君そんなことしてたんだ』

 

「いや、よしのん。誤解だから、誤解だから引かないで」

 

よしのんに引かれ、焦る士道を見ながら灯夜は爆笑する。

 

「よしのんも気をつけたほうがいい。こんな脱がせ魔に」

 

「いい加減にしろ!!」

 

そろそろ士道がキレてしまうので(既にキレている)この辺で止めておこう。

さて、ここら辺ならそんなに暴れても問題ないか?

 

灯夜は、周りに敵意ある視線を感じながら警戒する。

肌をピリピリするような空気が辺りから漂い、雨は止み曇り空が広がっている。周りには人の気配がない。

多分、ASTが人払いをしたのだろう。

 

今側に入るのは、精霊である【ハーミット】四糸乃。

まだ一般人として扱われている精霊の力を封印する力を持つ五河士道。

そして、正体不明の精霊(仮)俺こと灯夜。

こうしてみると俺だけ曖昧な感じ。

さて、ASTが何か起こすのは今か?

 

ASTが狙うなら俺、もしくは四糸乃のどちらか。

多分だが、四糸乃が狙われるだろう。

霊力も天使も出さない不可解な俺よりも、討ち取る可能性が高い四糸乃がやり易いだろう。

さて、四糸乃に障壁でも張っておきますか。あ、勿論俺にも張っておきますよ?

 

 

 

この時、俺は自分の力に慢心していた。

どんなものを錬成し、その力を振るえることに。

 

 

 

だから……

 

 

ーーー四糸乃へと迫る光の咆哮に対処が遅れた。

 

 

 

 

 

■■■

 

 

 

 

 

上空から不可視迷彩を発動しているフラクシナスの艦内で琴里は、件の【アルケミスト】を観測機で監視している。

監視場所もかなり離し、ギリギリ士道たちが見える位置での監視だ。

 

「ほんっとに面倒くさいわね、この精霊」

 

琴里は、モニターに映る黒ずくめの精霊に悪態を着く。

ギリギリまで【アルケミスト】を観測した結果、灯夜からは霊力の反応は観られなかった。

霊力を隠すのが上手いのか、それとも……

 

「精霊の癖に霊力がないとか?」

 

そんな考えが頭には浮かぶが、頭をかぶり浮かんだ考えを追い出す。

それは有り得ない。精霊は、霊力の源の霊結晶があって精霊だ。

 

「識別名の通り、錬金術を使う。金を錬成し、剣を産み出す。……失った命さえも」

 

正直、討滅するだけって話じゃなくなる。

あの精霊を捕獲し、従えればどんな物を創れてしまう。

それも、理論上不可能な物や。例え、無理だとしても今ある兵器の量産などはあっという間だろう。

それだけではない。失った生命すら錬成したその力、それは不老不死ではないだろうか?

〈アルケミスト〉によって生き返らせられた民間人を健康診断として何人か検査したが、これといって異常はない。むしろ健康体だ。

あの光景は既にかなりの規模で広まっているだろう。

ASTだけではなく、あのDEM社も出てくるはず。

 

「そうなる前にも、あの精霊の力を封印しないと……」

 

嫌な予感がする。

琴里はクルー達に観測の続きを指示に出す。

 

だが、突如艦内に喧しいアラートが鳴り響く。

 

「一体何がっ!?」

 

「士道君達がいる位置から南に数百メートルに魔力反応がっ!!」

 

クルーの一人の報告の瞬間、画面が真っ白に染まり艦内を眩しく照らす。

皆が余りの眩しさで思わず眼を伏せる。

光は観測機の破壊によってすぐに消え、映像は砂嵐が映るだけだ。

 

「っ!士道たちはどうなったの?!」

 

呆けた頭に活を入れ、士道たちの安否を確認させる。

クルー達は目の前のコンソールを叩き、映像を映す。

映像に映った光景に、琴里はギリッと歯を食い縛る。

 

「何よ、これ……」

 

映像には、何かが通ったように円柱に抉られていた。

周りの地面は融解し、赤く光を放っている。

先程まで見ていた公園は見る影もなくなっていた。

 

「民間人の避難もせずにこんな、兵器を?」

 

「いや、既に避難は済んでいるようだ」

 

いつの間にか隣にいた礼音が、言う。

礼音には、〈アルケミスト〉の解析をしていたはず。

艦内のアラートで此方に来たのだろう。

 

「我々に気づかれずに避難を行っていたということは、目的は彼女か」

 

「〈アルケミスト〉……」

 

まさか、こんなにも早くくるとは思いもしなかった。

だが、それは自分の考えの甘さだ。

起こってしまったのは仕方ない。今は士道たちだ。

 

「司令!士道君たちを発見しました!!」

 

「っ!モニターに映して!」

 

士道には、イフリートの力がある。ある程度の再生能力がある。まず生きているだろう。……そう思いたい。

だが、精霊達は別だ。

今まであんな攻撃は見たことはない。

例え、霊装を纏った精霊でも流石にあの攻撃は防ぎきれないかもしれない。特に、あのハーミットでは。

 

映った映像に、琴里は絶句する。

過去のように士道が腹に穴を開けていたわけではない。

ハーミットが、血塗れになっていたわけではない。

 

〈アルケミスト〉がほぼ瀕死状態で倒れていたからだ。

だが、士道やハーミットの二人を見るが怪我ひとつも負っていないように見える。それどころか彼等の周囲だけ破壊のあとがない。

あの傷ではもう・・・

 

「っ!士道君達の上空にASTが!!」

 

やはりASTか!

琴里は、してやられたとやり場のない怒りをモニターに向けて睨む。

 

「……士道達を回収よ。後、アルケミストの治療の準備っ!」

 

琴里の、指示で艦内は慌ただしく動き始める。

 

 

 

■■■

 

 

 

腹に穴を開けられた士道の時より重傷な灯夜は、自虐的な笑みを見せる。

これ程の怪我、もう肺や内蔵も焼かれているはず。

 

なのにまだ生きている・・・・・。

 

いやまさか、ここまでの傷で生きてるとは……

転生と同時に体も変わったのかな?

まあ、転生物ならよくあることだ。特に気にしないでおこうか。

だが、行動しなければ今も磨り減っていく命が消えてしまう。

灯夜は、まず使い焼かれた部位を分解し始める。

同時進行で失われた血肉の錬成を始める。

その瞬間、神経が錬成によって蘇ったのか錬成部分に激痛が走る。

身体をヤスリで削られ、傷口に指を入れられぐちゃぐちゃに掻き回されているような痛み。

 

人体錬成は、これで二度目。

 

そろそろ、真理の扉が開かれるんじゃないか?

下らない思考で痛みを紛らわす。

 

分解が終わったのか急速に肉体の錬成が早まり瞬く間に肉体の錬成が完了した。

ついでにローブも直され灯夜は元の真っ黒黒助になっていた。

 

横たわりながら身体をペタペタと触り、異常がないかを探すがこれといって無い。

うむ、いつも通りの変質者。

 

側で泣いていた四糸乃は、何が起こったのか理解できずポカンと呆けた顔をしている。

その後ろで青い顔をした士道が……って士道いたんだ。

既にフラクシナスが回収したかと思っていた。

 

二人にはこの先生きて貰わなくてならない。防壁の大半を二人の前へ展開していた。お陰で二人は怪我一つ無く無事。俺は痛い思いしたけどね。

試しに、直った腕を動かしたり体を前に倒したりと、確認するが特に目立った障害はない。うむ、健康体。

完璧に直る俺の錬成マジチート。

 

「……はぁ、いきなり攻撃とは品がない」

 

上空にいるASTたちを見上げながら、ため息をつく。

ASTたちは復活したこちらの姿を見て動揺しているようだ。中には折紙もいるようだが、何故か他の隊員に肩を貸して貰って鋭い目付きでこちらを見ている。

 

いやぁー、情熱的な視線がぁー……

 

まあ、それはいい。問題はあの攻撃だ。士道が前に受けたCCCか?いや、それにしては被害がデカ過ぎる。

……新兵器か?なら、今の内に破壊しておこう。

折紙があの状態だ。おいそれと連発出来るものではないのだろう。

ならばーーー

 

踵を地面へ叩き付け錬成を始める。青い稲妻が周囲へ広がる。

天気は曇りから雨へ、水分は幾らでもある。

 

雨水が集まり、それらは複数の数になりふわふわと辺りを漂い続ける。

そして、更に錬成を加える。

水球は、まるで急速に冷やされたかのように凍り、氷の塊と化した。

だが、変化はこれで留まらない。錬成は続き、氷の塊にトゲが生え出しそこから無数の刃がASTに向かって襲い掛かる。

 

「っ!?散開っ!」

 

隊長らしい人物は、全隊員に指示し回避させる。

氷の刃は、直線上にしか飛ばずAST達は難なく回避していく。

だけど、忘れてはいけない。その刃は元は水。

通り過ぎた刃は形状を水へと戻し、また氷の刃と化しASTへと迫る。

更に、水球を増やし氷へと変えAST達を囲むようにして配置する。それによって、四方八方から刃を降ってくる。それだけなら、ASTに何の問題はない。持っている剣や銃で撃ち落とすなりすればいい。

躱せないのなら、随意領域で防げばいい。

 

もし、その随意領域が無意味なら?

 

一人の隊員に氷の刃が当たる。勿論、随意領域で防御している。隊員は、迫ってきた刃を寸でのところで防げたことで表情に安堵があった。だが、直ぐにその表情は変わる。

刃が当たった随意領域の部分から凍っていく光景を見て。

 

「な、何よこれっーーー」

 

その先の言葉は氷の中へと消えていく。隊員がいた場所には一つの氷の球体へと変わってしまったからだ。

そして、思い出したかのように重力に引かれ落下して言った。

 

「そんなっ、随意領域に反応してるというの!?」

 

随意領域の凍結は、四糸乃の天使の力をパク、参考にした物だ。お陰でAST達は、随意領域で受け止める事はせず撃ち落とすか避けるかのどちらかとなった。

数名凍り付かせたが、他の隊員は中々に華麗に避けていく。

伊達に精霊を相手にしてきてはいないようだ。

 

お空で弾幕ごっこ(一方的)をしているASTは放っておき灯夜は、側で座り込んでいる四糸乃に近づき同じ目線になるようにしゃがみこむ。

見たところ怪我はないようだ。

 

「四糸乃、怪我はないか?」

 

「あ、灯……夜さん?」

 

「ああ、みんな大好き灯夜さんだ」

 

キラッと決めてみる。ホントだよ、だってASTの皆が目の色変えて追いかけてくるから。物騒なもの持ってだけど。

 

「……ひっぐ」

 

「え?」

 

四糸乃は嗚咽を漏らしながら急に泣き始めてしまう。

おおおおお落ち着け、なぜ急に泣くんだ?!怖かったの?もしかしてキモかった?うわあー、死のう。

 

「…と、うや、さん!」

 

俺にしがみついて更に泣き出す。多分、俺が無事だから安心して泣いてるんだよ。

 

「よしよし、俺は無事だぞ」

 

俺は四糸乃を撫でながらあやしていく。撫でて気付いたがめっちゃ髪さらさら。ずっと撫でていたいその触り心地。そして抱き付く四糸乃。

ここがエデンか……?

最近、癒しがなかったから四糸乃でほっこり。

 

「お、おい。大丈夫か?」

 

そんな天国を味わっていると、空気と化していた士道が話し掛けてくる。

おいおい、邪魔すんな士道や。お前はさっさとフラクシナスに回収されてろ。

 

「なんか俺、罵倒されてるような気が」

 

「はて、何のことやら」

 

そんな士道を置いておいて、まだ空で弾幕ごっこに勤しんでいるASTをどうするか。

何人か被弾したようで、氷のオブジェ(球体)と化したASTが地面に転がっている。

勿論、殺ってはいない。きっと氷の中で寒さで震え、徐々に無くなる酸素を吸い、助けを求めているだろう。

だが、攻撃を始めて数人が被弾した後は、誰も当たってはいない。

このまま、長期戦に持ち込めば全員ピチュるだろうが、それまで待つ気は無い。

 

なら、終わらせようか。

 

 

 

 

■■■

 

 

 

 

 

折紙は、〈アルケミスト〉によって造られた刃から逃げ惑いながら歯を食い縛る。

目標であった〈ハーミット〉を撃ち取ることが出来ず、〈アルケミスト〉の反撃を食らい部隊を危険に晒した上に、あの場に士道が居たことに気づけなかった自分に怒りが沸いていた。

気付いた時には既に遅く、あの時の光景が脳裏にフラッシュバックされるがそれよりも早く〈アルケミスト〉の猛攻が始まった。

 

後悔は、後で幾らでも出来る。今は、この状況をどうにか切り抜けることに集中しろ。

 

そう、自分に言い聞かせ顕現装置を操作していく。

あの兵器を使った後のため、かなりのダメージが身体に来ているようで操作が覚束ない。

この程度の攻撃、何時もなら躱し切り〈アルケミスト〉に直接攻撃を行うことがっ!

 

酷い頭痛とまるで身体中に重りを付けられたような身体の怠さに顔をしかめながら目標の〈アルケミスト〉を睨み付ける。

未だに氷の刃が乱れる空の中で、〈アルケミスト〉はその手に一本の剣を造っているのが見えた。

それを視界に捉えた瞬間、ゾワリッと鳥肌が立つ。

 

あれは、一体なんだ?

 

疑問が頭に出てくるが、それ以前にあれはヤバイと頭に警報が鳴り響く。

直ぐに他の隊員に伝えようとするが、目が眩むほどの黄金に輝く光でそれは止められた。

光の発生場所は、〈アルケミスト〉が持つ剣から発せられていた。

黄金と蒼の装飾がされた美しい剣。その刀身から光が溢れ辺りを照らしている。

〈アルケミスト〉は、両手で構え上空に掲げるように振り上げる。

その光景は、その場にいる誰もが見惚れてしまう美しさと、心奪われる神秘性があった。実際、何人か見惚れて止まり刃に当たり凍り付けにされていく。

此の場を切り抜ける方法を、折紙は思考するが目の前の精霊は非情にも、

 

「【虚像されし(エクス)ーーーー」

 

残酷にその剣はーーーー

 

「……夢幻の剣(カリバー)】ああああぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

私達に降り下ろした。

 

刀身から放たれる光の咆哮は、轟音と共に私達を飲み込みその姿を書き消し周囲を光で塗り潰していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全てが光に包まれた後、結果的に私たちASTは無事だった。

あの攻撃を食らった筈だが、何処にも怪我もなく可笑しいところもない。他の隊員もそうだ。

凍り付けにされた隊員以外は軽傷等で済んでいる。

だが、あの攻撃で対象には逃げられてしまった。

 

「霊力の反応もなし。完全にロストしたわ」

 

隊長である燎子は、そう言いながら悔しそうに顔を歪めた。

新兵器を使って〈ハーミット〉も倒せず、〈アルケミスト〉に反撃をくらい、その上逃げられた。

悔しくないやつなんていないだろう。

 

「はぁ、後で上に色々言われそうね……あー、また始末書が」

 

この後の事を考えた燎子は、頭を抱えて唸りながら無線で指揮を取っていく。

 

「凍り付けにされた隊員の救助は?……そう、無事なのね。良かったわ……何ですって?」

 

無線からの答えに驚いている、というより呆けている燎子に折紙はどうしたかと聞く。

 

「あー。凍り付けされた隊員は無事だわ。……だけど全員首だけ出して埋められているらしいわ」

 

「……は?」

 

燎子の言葉に折紙も理解できないようだ。

詳しい状況を聞いてみると、皆氷は溶かされて地面へ埋められ首だけ出ている状態で落書きなどをされているそうだ。

中には、ワイヤリングスーツが下着に変えられていたりフリフリの魔法少女のような服装になっていたり、穴の中に一緒にドジョウを入れられていたりなどされているようだ。

変えられたワイヤリングスーツは正常に機能しているようで、しかも前よりも魔力制御が上昇している等。

 

「……なにがしたいのよあの精霊は」

 

自分の隊の現状に更に頭を抱える燎子であった。

 

 

 

 

 

■■■

 

 

 

 

 

 

やあ、みんな大好き灯夜だ。

ASTから逃げて自分の店に入るところだ。

今頃、隊長は自分の隊の様子を見て頭を抱えているのかな?

いやぁー、目眩ましで聖剣(仮)使うのってどうかと思う。

ま、偽物だけど。本物なら一瞬で消滅させてるよ。オーバーキルだよ。

さてさて、俺の他に士道と四糸乃がいるんだがほとぼりが覚めるまで此所に置いておきたいんだが、ここよりフラクシナスがいいんじゃないかと思ってきたよ。

彼処ならインビジブル掛かってるし、安全だろ。

 

「という訳で、帰れ」

 

「どういうわけだよ」

 

飲み物を飲みながら休んでいた士道が、何言ってんだコイツ?みたいな顔をしてこっちを見る。

 

「いや、普通に君が所属している組織にいた方が安全だろう。今、通信手段もないようだし」

 

「誰が壊したと思ってるんだよ……」

 

「さて、誰だろう?」

 

すっとぼける俺に士道はため息をついて飲み物に口をつける。

おいおい、もっとツッコめよつまらんだろ。

 

「それより、そのくっ付いて離れない子……よしのんはどうするんだよ?」

 

四糸乃に指を指す士道。士道が言ったように四糸乃は俺の隣に座り引っ付いている。離れるように言ったが涙目で首を振られれば諦めるしかないじゃないか……

 

「因みに、この子は四糸乃。よしのんは四糸乃の腕に嵌めてたパペットの名前だ」

 

「そうなのか?」

 

「私の推測だが、彼女達は別人格。大人しい方が四糸乃、快活な性格はよしのんだ。多分、彼女を守るために現れた人格のようだが……違うか?」

 

なんて、自分の推測を言っているが原作知識ですありがとうございます。

四糸乃は、声をかけられてビクッと体を震わせてたどたどしく言葉を出す。

 

「は、い。よしのんは、私の……ヒーロー、みたいな」

 

「ということだ。何時もはよしのんの人格が表に出ているが……」

 

『いやぁー、そう言われるとよしのん照れちゃうなぁ』

 

「何故か、二人とも表に出ているのだよ」

 

よしのんは四糸乃を守る為の人格だ。解りやすく言うなら、よしのんは四糸乃の恐怖や痛みを引き受ける人格。その為、四糸乃は表には全くと言って出てこない。

なら、何故出てきたか。

憶測だが、四糸乃自身が、表に出てくることを望んだからだ。

それによってよしのんと四糸乃が同時に表に居る訳。

 

「とりあえず、何か食べるか?食べるなら黒執事が」

 

と、そこで黒執事がトレイ持って立っていた。トレイには果物が散りばめたアイスクリームが乗っていた。

だからなんだその仕事の出来は。

言われなくても目的のものを持ってくるなんてテレパスか?

 

「本当に凄いな。その執事」

 

「……まあ、私が造ったからね。士道、こちらは任せておいてくれ。そっちは気にせず私の店の売上貢献でもしておけ」

 

「奢りじゃないのかよ……」

 

「最初の飲み物だけだ」

 

士道は、財布の中身を考えながら黒執事に注文をする。

その間に俺は四糸乃にデザートを与えてあやす。

四糸乃がよしのんと話している間、俺はスプーンを手に取りデザートのアイスを一口取り四糸乃に声をかける。

 

「四糸乃、こっちを向いてみろ」

 

その声できょとんとした顔を此方に向ける。

 

「あーんっと」

 

その口にアイスを放り込む。勿論、優しくだ。

突然、口に入れられ驚き、アイスの冷たさにまた驚き、口の中に広がる甘さにまたも驚く。驚きすぎじゃね?

 

「四糸乃、今日は良く頑張ったね。疲れただろう?これでも食べて休んでいってくれ」

 

そう言って四糸乃の頭を撫でる。

四糸乃は、呆けたような顔をした後に何故か泣いてしまう。

なんでぇー?なんか、やらかした?

 

「ち、がい…ます。かなし、くて…じゃ、なくて」

 

俺の慌てる様子に四糸乃が声を出す。

 

「うれし、くて……誰に、も……そう、いわれた、こと……なくて」

 

……本当にこの子は純粋だ。汚れを何も知らない無垢だ。そんな彼女に俺は眩し過ぎる。

俺は、その言葉に対し何も言わず再度頭を撫でて返す。

 

「さ、泣き止んだろう?今は甘いものを食べておけ」

 

スプーンを渡し、アイスを食べるように急かすように言う。

泣き止んだ四糸乃は、不思議そうにしていたが言われた通りアイスを食べ始める。

 

「慣れてんな」

 

「まぁ、ね」

 

士道に言葉を返しつつ自分のカップに口をつけて一息つく。

が、まるで休ませないように誰かが店の裏手にやって来るのを感じる。感覚的にいきなり現れた。

はは、どうやら招待状は無事に読んでくれたようだな。

 

「さて、士道。そろそろこちらに来客が来るんだが」

 

「ん?そうなのか。なら俺は帰ろうか」

 

「いや、そのままでいい。今日の客人は君にも関係する」

 

「は?それってどういうーーー」

 

士道は言葉を途中で止めた。いや、止められたと言った方がいいだろう。

カランカラン、と出入り口から入ってくる来訪者によって。

 

「おやおや、まさか。ーーー司令官……自ら現れるなんて」

 

「……こんな強迫紛いの御誘いを受けたからには行かない訳ないじゃない」

 

軍服を肩で掛けた赤色の髪を黒いリボンで二つに結んだツインテールの少女……五河琴里がこちらを睨みながら言った。

 

おおう、怖い怖い可愛い。

さて、人数は揃った。初のラタトスクへの接触。

これが吉となるか凶となるか。

あー、この後の話し合いが楽しみだ。

 

 

 

 

 




作者:前更新したのいつだっけ?ポチッ

更新日<12月31日

作者:うわぁぁああああああ('ω')

というわけで急いで仕上げたわけで・・・

とりあえず、四糸乃編はあともう少し続きます。
出来れば、四糸乃が天使を見せるとこまで
あと、カリパーわかるひといるかな


※2017/4/27
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