デートアルケミスト   作:+無音+

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今回で四糸乃編は終了となります。

次は、後日編少し挟んでから狂三編へ入ろうと考え中。

あと、活動報告でちょっとしたアンケートをしていますので



2017/4/27付け加えました。


第二十話 氷の絶望と救い

 

 

 

 

 

引っ張られる感覚を感じ、目を覚ますと地面がすり鉢状に削られた場所に四糸乃は立っていた。

周りを確認すると雨が降る空にASTが飛んでいるのが見える。ASTは四糸乃を確認すると直ぐに持っている武器で攻撃していく。

それを跳んで交わし、街中を駆けていく。それを追いかけながらマイクロミサイルや銃で追撃していく。

ミサイルや弾は、四糸乃に当たる前に不可視の被膜でふさがれ効果はない。

 

逃げるだけで反撃しない四糸乃に、迫る一人のAST、折紙がレーザーブレードを持って斬りかかる。

四糸乃は、それを軽々しく躱わしていく。当たらない事に更に攻撃を激しくさせる折紙は、筒上のモノを取り出すと目の前に投げ込みそれを斬り付ける。

瞬間、爆発と共に目映い光が発し四糸乃の目を閉じさせる。それを狙った折紙は、レイザーブレードで斬り付ける。

 

「これで……っ!」

 

声で反応した四糸乃は、後ろへと下がるが何かを切り裂かれた音と共に四糸乃自身の意識が表に出てくるのを感じ不思議に思った矢先、左手から鋭い痛みが走る。

 

「ぁ……」

 

光に馴れた目を開くと着けていたパペットは、縦に切り裂かれ、その隙間から切り裂かれた傷口から赤い血が漏れだしていた。

パペットは、自身の赤い血で染まり無惨な姿を四糸乃に見せつけていく。

 

「ぁ、ああぁ……」

 

自身の友達が目の前で切り裂かれる事実に四糸乃の心を黒い何かが滲む。

 

「あああぁああああぁぁぁぁぁああああ!!!!」

 

頭を抱え、その事実を否定しようがするが起きたことは変えられない。

叫びを上げ、涙を流し嘆く。

ガチガチと歯が鳴り、ガタガタと足が震えて、グラグラと視界が揺れて、頭の中がグシャグシャになっていく。

身体が、心が、霊結晶が、黒く黒く黒く、絶望の色に染まり始める。

 

自分の友達を殺した(・・・)相手が憎い、だけど他人を傷付けたくない。

自分に害成す存在が許せない、だけど人を攻撃するのが怖い。

傷付きたくない、傷付けたくない、そんな優しい感情が鬱陶しく感じられる。

 

こんなモノ、―――いらない(・・・・)

 

自分を脅かすASTが、他人が、人が……何よりも、こんな奴等が居る世界が許せない。

次の瞬間、四糸乃は右手を高く掲げて、

 

氷結傀儡(ザドキエル)!!!」

 

絶望の中、その口で天使の名を叫ぶ。

地面から白い巨体が現れる。現れたのは四糸乃の天使、氷結傀儡。だが、前回の現れた時とは大きさが全く違った。前は数メートルほどだった大きさは、今はビルと同じ大きさとなっていた。

氷結傀儡は、低い咆哮を上げる。

瞬間、周囲の街並みが凄まじい勢いで凍り付いていく。

街の中で響き渡るその咆哮は、まるで泣いているかのように聞こえた。

 

 

 

 

 

■■■

 

 

 

 

 

 

 

「これは……」

 

灯夜は、目覚まし時計代わりとなった空間震警報により目が覚め、精霊が現れたことで無人となった街の中を歩いていた。

遠くでは、ASTが戦闘している爆発音が聞こえ向かっている途中。

突然、低い咆哮が聞こえた瞬間街が凍り付いていく。

灯夜は、即座に錬成を使い迫りくる冷気を防壁で防いでいく。

周りが霧で覆い隠された視界を、突風を起こし吹き払う。

霧が晴れた後の光景に、絶句する。見慣れた街は完全に凍り付いていた。

どうやら四糸乃が天使を顕現させ、街を凍り付けにしたのだ。

 

「四糸乃はよしのんは落としてない。なら何故天使を?」

 

考えるのは、一つ。現界の際に何かあった。

AST相手、ロストまで逃げ続ければいい。だが、前のこともある。この世界に予想外なことが起こっている。

今のこの状況、原作から離れている。

 

「考えるよりも今は四糸乃が先か」

 

灯夜は、再度錬成を行う。

赤い稲妻が足元に迸るが、特に変わったことはなくあるとすれば錬成光が走り続けているくらいだろう。灯夜は、地面を蹴ると凍った地面をスケートのように滑っていく。

向かう先は、まだ戦闘が続いているであろう爆発音の元。

 

 

 

 

 

■■■

 

 

 

 

 

 

全てが凍った世界。氷に多い尽くされた街。

街の人々は地下のシェルターに隠れ、ASTはこの光景を作り上げた元凶に武器を向け、引き金を引く。

破裂音と爆発が鼓膜を震わし、敵に命中していることを伝えている。

だが、目の前の敵には効いている様子はない。

怯みもせずそこに鎮座する姿に不気味に思えるが、ASTはお構いなしに攻撃していく。

 

「全く効いている様子はないわね」

 

隊長の燎子は、隊の指揮を執りながら愚痴る。

目の前に鎮座しているのは全身から白い靄を放つ鋭い牙に赤い目の巨大な兎の人形。

精霊、ハーミットが顕現させた天使だ。逃げ惑うハーミットが突然天使を顕現させ、街を氷付けにしたことに動揺したが天使は数名の隊員を凍り付けにした後に動く様子を見せずただそこに立っているだけ。

攻撃を受けていると氷結傀儡の口が開き、凄まじい勢いで冷気を吸い込み始める。

氷結傀儡の動きに、AST達は直ぐ様下がる。その直後に口に溜めていた冷気を咆哮と共に吐き出していく。

吐き出された冷気は、吹雪となり自身の身体に纏まりつくように覆い隠され吹雪のドームを形成させた。

 

「ちっ、厄介ね。あの吹雪、こちらの顕現装置リアライザで出力した魔力に反応して防性を高めてくるみたい。あの吹雪の中に入った瞬間随意領域事氷漬けよ」

 

「かと言って、随意領域を解除した状態では今度は氷の塊が銃弾のように襲ってきます。ワイヤリングスーツの防弾処理ではとてもじゃありませんが持ちません」

 

「魔力を帯びていない銃の砲撃はどうでしょう?」

 

「それも難しいわね。仮にあの吹雪、結界を抜けたとしても精霊には霊装があるのよ。魔力を纏わせていない物理攻撃じゃ、結局精霊に傷を負わすことはできないわ」

 

「なら、あの武器での砲撃は?」

 

「確かに、アレならあの結界を貫ける可能性はあるわね。只し、全力での砲撃ならね。そんなことをすれば狙撃者がただでは済まないわ。それに、例え結界を貫けたとしても精霊までに到達した砲撃が精霊に効果があるかは不明よ」

 

どうするかを話し合っている中で折紙はビルに近づき、

 

「折紙?」

 

「こうすればいい」

 

折紙はそう呟くと目の前のビルに手をかざし、集中力高め顕現装置の出力を上げていく。

折紙は自分の周囲に張っている随意意識を一気に広げていく。

随意意識に包まれたビルは轟音と共に浮かび上がり空中に浮遊する。

折紙の顔に苦痛の表情が浮かぶ。

 

「お、折紙!?何してんのよあんた……!?」

 

燎子の驚愕したような声を上げる。折紙がやっていることは自殺行為のようなもの。

ビルを浮かび上がらせるほどの顕現装置の使用だ。実際、脳に強烈な負荷がかかり激しい頭痛が折紙を襲っている。

 

「物量で押しつぶす。これで一瞬結界は解除されるはず。そこを狙って」

 

「……ったく、あんたは相変わらず無茶を。……みんな、聞こえた!?強引だけど他に方法もなさそうよ。総員、最大出力を維持したまま結界範囲外ギリギリで待機!結界が消えると同時に総攻撃よ!」

 

「了解!」

 

隊員は、指示された通りその場を離れ折紙は空へと飛び、随意意識で停止していたビルを結界目掛けて落としていく。

が、次の瞬間ビルは飛んできた斬撃によって破壊されビルを貫通してきた斬撃が折紙を襲う。

折紙は、レイザーブレードで弾き返し防ぎ、斬撃が飛んできた方向へと向ける。

そこにはビルの屋上に佇む少女。美しい顔立ちに夜色の髪に水晶の瞳を持ち、手には威圧感を感じさせる大剣

 

「ふん、防いだか」

 

「夜十神、十香……っ!何故、貴女がここに……!?」

 

その少女は、夜十神十香。精霊プリンセスで最重要討伐対象。

呻くように十香の名を呟く。持っていたレイザーブレードを構え十香に斬りかかる。

十香はそれを跳んで回避し、鏖殺公を振りかぶる。

折紙は、空に飛んで避け十香の次の攻撃に備え再度レイザーブレードを構える。

十香も空に飛び、折紙の前に立ち鏖殺公を構えて対峙する。

 

「シドーの邪魔はさせんぞ」

 

『くっ!なんでここでプリンセスがここに……!ハーミットはあとよ。総員目標をプリンセスに変更!』

 

その様子を見ていた燎子が他の隊員たちが十香に向かい、武器を構える。

十香は、AST達に斬撃をぶつけ、その場を飛び去る。

ASTは、斬撃を回避し逃げ去る十香を追いかけていく。

それを確認した十香は、シドー達の作戦が成功したことに笑みを浮かべる。

 

 

 

 

 

 

 

十香がASTを誘い出している時、士道はサーフボードの様な形に変形した王座の鏖殺公に乗り氷の道を疾走していた。

その中で士道は琴里と通信していた。

 

『士道、どうするの。まさか、生身で結界に入る気?』

 

「それしかないだろ。大丈夫だ、俺は簡単に死なない」

 

『っ!?あの時とは状況が違うわ!一発切りの弾丸とは違う。吹雪が吹き荒れている領域内は散弾銃が乱射されているような状況よ?そこを進むのよ?しかも範囲内で回復の霊力を感知されたら氷漬けにされるわよ!途中で力尽きたら間違いなく死ぬのよ!?』

 

「やっぱり、あれは精霊の力なんだな」

 

『っ!』

 

士道に図星を付かれた琴里は言葉が詰まる。

あの回復力は、確かに精霊の力だ。士道自身が封印した力だ。

結界に向けて突き進む士道に琴里は叫ぶ。

 

『士道……士道!今すぐ止まりなさい!!』

 

既に士道の決意は決まっていた。琴里の叫びを無視して。

 

『お願い……止まってッ……おにーちゃん……!』

 

 

 

 

 

 

「妹さんを無視してんじゃねぇ……よっと」

 

「ぐぼぉっ!!?」

 

突如、横から飛んできたドロップキックにて士道は鏖殺公から落とされ冷たい凍った地面に放り出される。

 

「何格好付けているんだ。バカなの?まだ厨二か?」

 

蹴り付けた犯人は、無様に倒れ込んでいる士道を罵倒しながら追い討ちでゲシゲシと踏みつける。

 

「お、まえは、灯夜っ!?」

 

「正解!正解者にはかき氷をプレゼントだ。おらぁ頭から食え」

 

何時から持っていたかき氷(苺ミルク味)を士道の頭に被せる。

体温で溶けた氷とミルクで、ドロドロと顔に掛かっているその姿はまるで事後のような姿だった。

 

「はい、パシャり」

 

「おいっ!何撮ってるんだよ!?」

 

「いや、士道の醜態を撮ってるだけだ。後で妹さんに渡してあげよう」

 

「おいやめろ!」

 

士道は、服で顔に着いた汚れを拭いながら目の前の灯夜を睨み付ける。

 

「何しにきたんだ」

 

「そりゃ、どこから可愛い妹さんが愛しのお兄ちゃんの名を叫ぶ声が聞こえたから来ただけ。そうだろう、妹さん?」

 

灯夜は、耳に手をやり通信を行う。士道はその様子から灯夜にもインカムが付いているのに気づく。

 

『何しにきたの?それに、なんでインカムを持っているのよ』

 

「やれやれ、兄妹揃って同じ質問をするな。さっきも言っただろう?今から死に行く兄を止める妹の声が聞こえたから来ただけだ。後、これは前に士道の壊した奴を再錬成したから」

 

琴里はそれに舌打ちしたくなるのを抑える。

 

『それだけじゃない筈よ。さっさと話なさい』

 

「せっかちだねぇ。そうだな……この状況は君たちには荷が重いから変わりに私が出てやろうと思っただけさ」

 

『……結構よ。私達だけで対処するわ』

 

「その割には、切羽詰まった声を出したけど?」

 

そう言うと、艦内のスピーカーから先程の士道との会話が再生される。丁度、琴里が士道に対し叫んでいるところ。

 

『なっ!?やっやめ、今すぐ止めなさい!!』

 

「ほら、止めて欲しければ言うこと。あるだろ?」

 

『くっ!』

 

琴里は、顔を赤くして口をつぐむ。今のフラクシナスではこの状況に対処でない。

魔力砲ミストルティンでの砲撃でも魔力に反応する結界を削り切れない。

一か八かの賭けで、士道の回復便りで突破するしかないが今もなお膨れ上がる(・・・・・)結界の前ではたどり着く前に士道の中の霊力が尽きるだろう。

だが、今士道の目の前には協力関係を築いた存在がいる。だが、こんなにも早く灯夜の手を借りることに躊躇いがある。

……まさか、これを予想して?

 

『手を……して』

 

「聞こえない」

 

『……私達に手を貸してっ』

 

「お兄ちゃんを付けるのと甘えるように、もう一回」

 

『っっっっ!!……おにーちゃんっ!私達に手を貸して頂戴!』

 

「アハハ、おーけー。愛しの妹よ」

 

『誰がアンタの妹よ!!後で覚えておきなさい……っ!』

 

顔を赤くして、羞恥に悶える妹さんの顔を想像して先程の会話を録音したインカムを仕舞い込む。

うむ、これをネタに何かやらせようかな。

 

「さて、士道。ここからは司令官(・・・)殿の指示通り私が承った。四糸乃は任せろ」

 

「……本当に四糸乃を助けられるのか?」

 

「やるだけやってみるさ。それに」

 

「それに?」

 

「錬金術者に不可能はない」

 

そういって結界に向かって歩いていく。

灯夜は、思い出したのか再びインカムを取り出し通信を再開させる。

 

「司令官、一つ聞きたいことがある」

 

『……何かしら?』

 

ドスの効いた声で返事を返した琴里。明らかに先程の事が効いているようだ。

 

「四糸乃の何故ああなった?」

 

『……あのパペットが折紙に切り裂かれたからよ』

 

「は?」

 

あのパペット、よしのんは四糸乃の友達でありヒーローだ。もしそれが目の前で切り裂かれるなら、それは……

 

「司令官、四糸乃の霊力値はどうなっている?」

 

『それが、どうしたのよ』

 

「良いから答えろ」

 

『……霊力値が徐々に下がっているわ。既に半数を切っている』

 

「……それは不味い」

 

霊力値が下がる。それは霊結晶が反転する合図だ。

このままだと四糸乃は、間違いなく反転し二度と戻れなくなる。

 

『その様子だと知っているようね』

 

「勿論」

 

琴里は何か言っているが灯夜は無視して通信を切って仕舞い込み、目の前の結界に目を向ける。

 

「さて、四糸乃。ヒーローではないが錬金術師が助けに行くぞ」

 

錬成を発動させ、周囲に障壁を造ってから吹雪の中へと入っていく。

吹雪が灯夜の防壁へと当り、バチバチと音を立てているが破られる様子はない。

満足げにそれを見ていた灯夜はそのまま奥へと進んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

結界内は、入ってきた時よりも吹雪が凄まじく、防壁がぎしぎしと嫌な音を立てている。

一応、今の錬成は賢者の石を媒介にして行って要る為、使う内に賢者の石が消耗していく。

これは帰ったら補充しないとな、と思いながら更に先へと進んでいく。

 

暫く結界を進み続けていくと突如吹雪は止み、静寂が広がる空間に出た。

その中心に巨大な氷結傀儡が鎮座し、その背にうずくまっている四糸乃の姿を確認した。

蹲っているせいでその顔は見えず、様子を伺えない。

灯夜は、氷結傀儡に触れる距離まで近づく。

目の前に立っているにも関わらず反応の一つもせず蹲っている四糸乃。灯夜は氷結傀儡に飛び乗り、四糸乃を抱き抱え、顔を上げさせる。

 

「……っ」

 

上げさせたその顔は何も表情を見せず、目は濁り虚ろだった。

灯夜は、四糸乃が自分の左手を抱き締めているのに気が付く。

左手にはよしのんが無惨に切り裂かれ、手からは血が流れ四糸乃の霊装を赤く染めていた。

灯夜は、四糸乃の手からよしのんを取り外すそうとすると今まで反応しなかった四糸乃が動き出す。

 

「ぁ、あああぁぁぁああ!」

 

四糸乃の叫びと共に動き出す氷結傀儡が口から冷気を吐き出し、背にいる灯夜に攻撃してくる。

防壁で防ぐが、吹雪よりも威力が上なのか障壁が凍り付きそれに対抗するようにバチバチと音を立てる。

 

「よし、の………ん。よしのん……」

 

ブツブツと自身の友達の名を呟く四糸乃は、氷結傀儡で攻撃してくる。

爪の斬撃、鋭い牙での噛み付き、仕舞いには巨体での体当たり等攻撃。

だが、それ全てが灯夜の防壁によって防がれる。

灯夜は錬成を行い、地面から鎖を作り出し氷結傀儡の手足を拘束する。

ただの鎖ならば簡単に振り解かれるだろう。だから鎖を何十にも絡め、強度を高めている。

手足を拘束された氷結傀儡は引き千切ろうともがくが新たに錬成された鎖により今度は胴体を拘束する。

氷結傀儡は、身動きできずその場に倒れる。

四糸乃は、氷結傀儡が倒されたことに気付いていないのか、ただよしのんの名前を呟くだけで背中に張り付くだけ。

 

目の前で手を降るが反応無し。頬を引っ張っても反応無し。...うむ、なかなかのモチモチ加減。

灯夜は、四糸乃の頬をぷにぷにしながら少し考える。この様子だと戻る気配はない。

なら、どうするか。解決法は、こうなった原因をどうにかするだ。

さっき四糸乃の手から取ったよしのんを四糸乃に向けて見せる。

それに、ピクリと反応を見せる様子を見て灯夜はハンカチを出し、よしのんに被せる。

ハンカチの中でモコモコと動き始める。

動きが止み、ハンカチを取るとそこには傷一つないよしのんの姿があった。

灯夜は四糸乃の瞳に少し光が戻るのに気付き、ゴホンと喉の調子を整え、

 

『やっはー、少しぶりだね四糸乃。元気だったかい?』

 

完璧な声真似を披露し、ピコピコとよしのんを動かしていく。

 

「あ......あぁ、よし、のん……」

 

四糸乃は瞳から涙を流し、身体を震わす。

 

『そうだよー、四糸乃の友達のよしのんだよ。四糸乃はわたしが居ないとすぐ泣いちゃうんだから』

 

よしのんを動かしてハンカチで涙を拭いていく。

それにうんうん、と頷きながら四糸乃に、灯夜は安堵の表情を見せる。

 

「やれやれ。四糸乃。助けてきたよ、お前のヒーローを、お前の友達をな」

 

「と、うや……さん。う、え、ぇぇぇ……」

 

四糸乃は灯夜に抱きつき更に泣き出してしまう。

それに灯夜は、困った顔をしながら四糸乃を抱き返しながら頭を撫でてあやしていった。

 

「とう、やさん、ありがとう……ございます……よしのんを……助けて、くれて」

 

「なに、私はただ出来ることをやっただけに過ぎないさ」

 

そう言い、四糸乃の頭をポンポンと撫でてやる。

 

「ほれ、守られるのもいいが、四糸乃。今度はお前が守ってやれ」

 

よしのんを四糸乃の手に付けてあげた。すると直ぐによしのんはぴょこぴょこと動き出す。

 

『ふぅー、助かったよトウヤ君。わたしからもお礼言わせてね』

 

「さっき言ったように、出来ることをやっただけさ」

 

直ぐに喋り始めたよしのんに苦笑しながらそう返す。

 

「さて、そろそろ夕食の時間だ。さっさとここから出て黒執事の料理を楽しもうじゃないか」

 

「でも、この……結界」

 

「おっとそうだな」

 

四糸乃の制御化から離れた結界は、尚も質量を増やし巨大化している。

灯夜は、錬成を発動させ周囲が赤い錬成光で照らしていく。するとあれほど猛吹雪の結界が雪のように消えていき曇り空であったはずの空は綺麗な青空が顔を覗かせる。

 

「き、れい……」

 

四糸乃は、青空を見てそう呟く。

と、同時に二人の身体を浮遊感が襲う。

 

「うおっ」

 

「……っ!?」

 

視界は切り替わり、何処か別の場所へと移動していた。

 

「ここは、フラクシナスの艦内か?」

 

「そう、空中艦フラクシナスの艦内」

 

その声に振り返ると、軍服を肩にかけた五河琴里と解析班の村雨令音が立っていた。

 

「おやおや、司令官自ら迎えて来てくれるとは」

 

「ふん、そっちの精霊を見に来ただけよ。まあ、別に貴方が居なくてもこっちで何とかなったわよ」

 

「それはそれは、愛しのお兄ちゃんを使った作戦で上手くいっても同じ言葉が言えるのだろうかな?」

 

琴里はその言葉に灯夜を睨み付ける。

 

「さて、司令官は四糸乃の検査などする為に来たんだろう?」

 

「その通りよ、次いでに彼女を此方で保護しておくわ」

 

「霊力を持った状態ではASTの観測機に引っ掛かってしまうからね。そちらに任せるよ」

 

灯夜は、未だに目を白黒させている四糸乃に近づき、

 

「四糸乃、一応彼女らは私の協力者だ。危害は加えないはずだ。彼女の言うことを聞いて欲しい。出来るか?」

 

四糸乃は、少し寂しそうな顔をしてコクリと頷く。

 

「よしいい子だ。後で黒執事の作るパフェを御馳走して

やろう」

 

それを聞いた四糸乃は、目を輝かせてブンブンと首を降っている。

 

「任せたぞよしのん」

 

『もっちろんよー。四糸乃のことはまっかせなさい!』

 

よしのんは元気良く頷く。これなら大丈夫だろう。

 

「それじゃ、私は店に戻るとするか」

 

「待ちなさい。貴方も検診を受けなさい」

 

「これといって健康体なんだが」

 

「それでもよ」

 

頑固に検診を勧めてくる琴里。

 

「だが、断る」

 

灯夜は錬成を使い床を液状化させ、そのまま沈んでいく。

 

「ま、待ちなさい!」

 

「後日、店に来てくれればご馳走するからそんじゃ、バイビー」

 

そう言い残して、その姿を消していった。

琴里は直ぐにクルーに艦内を捜索させるが、監視カメラにも映らず、結局見付けきれずに数時間後、発見した時にはケミストでお茶を飲んでいる姿が確認された。

その姿に苛ついた琴里だが、文句は店に行った時にでもしようと決めたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




賢者の石を取り込み大罪の能力を手に入れたオリ主。

勝てる奴なんて原作にどれだけいるんだろう。

闇堕ち十香、グー○ルモドキ二亜、変幻自在の七罪etcetc

・・・逆に錬金術のオリ主が勝てるのか?
しかも、精霊が反転したら破壊の限りを尽くす魔王となって天使もそれに従って強化されて...

あかーん(絶望



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