今回は例のあの人登場。ハヤスギルゥ
四糸乃を救い出した日から二日後、灯夜は最近畳張りにした自身の部屋で倒れていた。
ピクリとも動かないその様子に、何かあったのではないかと思うだろう。
だが、徐に顔を上げ呟いた一言でそんな心配は無くなる。
「あー、だるぅ……」
覇気の無い顔をまた伏せしまう。
主人公である士道に会い、フラクシナスと協力関係を結び、四糸乃を救う。
小説ならたった一冊程度だが、灯夜の感覚では既に三冊以上に感じる。
何が言いたいかと言うと……色々と燃え尽きたのだ。
「四糸乃助けた後なんだっけ?……あー狂三か、めんどうな。学校行かないと滅多に会えないぞ」
狂三は、士道の中で封印されている精霊の力が目当てで接触してくる。
確か、狂三の目的は過去に戻ることでその為に精霊一個分の霊力が必要なんだっけ?
なら、適当に造った賢者の石でも渡して置けば解決。はい、狂三編しゅーりょー。
「それは、面白くないよなぁ」
もしも、だ。
士道達と戦う前に分身体を全てを潰したら?
士道を後少しで食える寸前に邪魔したら?
自身の願いが叶わないとなったら?
きっと、悔しがるだろう。怒るだろう。怨むだろう。絶望するだろう。
「こっちから行って、弄りまくってその目を涙で一杯にしてみようか。うん、なんかやる気出て来た」
よいしょっと言いながら立ち上がり、ぐぐっと背伸びをしていると部屋の扉からノックが聞こえる。
開けると、仕事服の黒執事が立っていた。
『お客様です』
そう書かれたプラカードを此方に見せる。
客?士道達は、昨日の夜に来たけどなぁ。
昨日の夜、四糸乃攻略の打ち上げとして貸し切りでケミストで食事会を開いた。
その時に、こっそり琴里に四糸乃の今後を聞くとフラクシナスで保護し、霊力封印の為士道とのデートを考えているそうだ。
好感度の方は聞くと、言いずらそうにしているのを見てまさか最低値なのかと思ったがそうではないらしい。
悪くない、むしろ高い方。
なら何故そう言いにくそうなのか、聞いても不機嫌になり結局答えてくれなかった。
これ以上聞いても無駄と判断し、別の話題を振る。
ラタトスクで保有している顕現装置は、いつ渡せるかを聞くと既に手配済みのようでケミスト店の裏側に置いてあるそうだ。
琴里達が帰った後に確認したが、かなりのデカさ。
大型冷蔵庫くらいあるぞこれ……
食事会では、四糸乃と話したり士道を弄ったり、琴里の大好物のデラックスキッズプレート(カロリー増増)の味を聞いて士道を弄ったり、四糸乃の汚れている口回りを拭いて上げて何故か赤面したり五河兄妹を弄ったりして楽しんだ。
こうやって、数人での食事は久し振りだ。なかなか感傷深いものがあるな。
それに浸って黙り込んだ灯夜に、士道はどうかしたか?と声を掛けてきたが何でもないと誤魔化しておいた。
これから、士道が精霊を封印していけば更に増えていくのか。もっと賑やかになるな。
そんな遠くない未来の事を少し、楽しみにしながら食事会を楽しんでいった。
それはさておき、今は来店してきた客だ。
黒執事に後ろに着いていき、居住スペースの二階から一階のケミスト店内を降りていく。
階段付近には磨りガラスが張ってありそこから見える店内には席に座っている二人の影。
そこへ近づき、一言断りを入れてから席に座り対面する。
男女の二人組。女性の方は苺が乗ったショートケーキを美味しそうに頬張りながら食べて、男の方は出されたコーヒーを飲みながら笑みを浮かべている。
「初めまして、このケミストの経営者をやっているアルケミストだ」
「会えて光栄だよ、アルケミスト。私はDEMインダストリーのアイザック・ウェストコットだ。隣に入るのは」
「エレン・M・メイザースです」
行きなりラスボス登場かよ……
俺は内心冷や汗ダラダラにしながら冷静を装う。
「ええ、知っていますよ。精霊殺しを目的としたDEM社の社長さんに世界最強とされる魔術師」
「色々と知っているようだね、興味深いよ」
「生憎、貴方のような何を考えているか解らないような人言われても鳥肌が立つだけだ」
「そう連れないことを言わないでくれよ」
クックッと可笑しそうに笑うアイザック。隣のエレンはその目を鋭くさせて睨み付けてくる。
「そう言えば、貴方方の武器で腹に大穴空いたのですが」
「【D.D.D】のことかな?試作品だったがなかなかのじゃじゃ馬でね。使い勝手が難しくてね試しにASTに送ったものだよ。作ったのは此方だが使ったのはASTだ」
試しの武器で腹に穴空けられたのかよ……
「まあ、そうしておきましょう。それで、お二人は何の用でこんな小さな店を訪ねて?観光か何かですか?」
「時間が空いてね、一泊二日の観光さ。丁度、日本に現れた未確認の精霊が居ると聞いて立ち寄ったんだよ」
「それはそれは、遥々イギリスから来るなんてよっぽど暇なんですね」
「ここまでくる価値はあったからね」
アイザックは不敵な笑みを見せ、余裕を見せ付けるようにこの店で出されたコーヒーを飲む。
「……ここに来たのはただの観光で偶然にも立ち寄ったと?」
「そうなるね」
この店は前にも言ったが、常にオープンしている。狙ってくださいと言っているように。
ASTも無防備に堂々と店を構えているとは思っていないようで今までここに襲撃は無かった。
だが、この男は違った。
日常でも幾つかのフラクシナス以外の観測機の視線を感じたが、まさかこうも目の前にその姿を現すとは。
襲われでもしたらどうするんだ?側に最強の魔術師が居たとしても無限にも近い武器や兵器の錬成の中ではその身は守れないだろう。
命知らず。原作でも自身の命を狙われているにも関わらず士道の様子見で日本に来たがな。
多分、自分に攻撃してこないという絶対的な自信を持っている。
「ああ、それと君に会ったら聞きたい事が合ったのだよ」
「聞きたい事ですか、スリーサイズ等は話せませんよ?」
「ははっ、それは別の機会にでもしておこう」
軽口を笑いながら流す。そして、光が無い青いで此方を見る。瞳からは底知れない何かを感じる。
「アルケミスト、我々DEM社に来てくれないだろうか?」
その言葉に驚きを隠せなかった。隣に居たエレンも驚きを顔に出してバンッとテーブルを叩いて立ち上がる。
「アイク!?一体何を、こんな訳の解らない精霊を勧誘しようとなんて……精霊なら私が殺し、霊結晶を取り出せば!」
「エレン」
激情のエレンに声を掛けるが聞いていないのかそのまま喋り続ける。
「確かに彼女の力なら即戦力になりますが……その力は我々の目的の邪魔にもなります!」
「エレン」
先程より強く言うと、エレンはハッとした顔をしてその口を閉じ収まらない怒りをぶつけるように此方を睨み付ける。
「ウチのエレンが失礼した、謝罪しよう」
「いや、気にしていない。だが、一つ言っておこう。少し力を持った自称最強に殺られるほど私は弱くない」
ガンッとぶつかる音が目の前から聞こえる。視界に広がるのは展開された障壁に斬り付けんばかりに降り下ろされたCRユニットを身に纏ったエレンの持つレザーブレード。
「この程度の障壁すら斬り捨てられない人間が最強を名乗るな」
錬成を行い、エレンのCRユニットに干渉する。赤い閃光がエレンの身体に走るとフッとそこに無かったかのように消え去る。
「なっ!〈ペンドラゴン〉が……!?」
消えたCRユニットに唖然とするエレン。
琴里から受け取った顕現装置を解析したことによってCRユニットに干渉することができるようになった。
いやはや、もし渡されるのが遅かったら今頃もやしっこー部長と激しい戦闘が始まっていただろう。
「お前は少し大人しくして貰おうか」
錬成で造られた鎖で身体を縛り付けられその場に倒れ込む。CRユニットが無ければただのモヤシであるエレンにはこの鎖からは抜けられない。
「くっ!離しなさいアルケミスト!」
身体の自由を奪われたエレンはその口を動かす。
なら、その五月蝿い口も塞いでやろう。
新たに錬成を行い、エレンの口にマスクが造られる。
マスクには×と書いてあり、マスクを付けられただけ筈だが何故か喋れずモゴモゴと言うだけ。
「その姿じゃぁ、最強の名は相応しくないと思わないか?自称最強さん」
んぐー、と何か言ってるがきこえなーい。
「あのエレンをこうも簡単に倒すとは」
「おや、切り札が倒されたのに余裕ですね社長さん。今なら貴方の首を取れる状態なのに」
床から出てきた剣がアイザックの首元に突き付ける。
「生憎、私はエレンの様に強くはないんだ。抵抗したとしても殺られてしまう」
絶体絶命の状態でも余裕を見せる。剣先が少し刺さったのか首からは血が垂れ落ちる。
それを見た床に転がるミノムシは、騒ぎ足すが踏み付けて黙らす。
「……ふぅ、どうやら貴方は私が殺さないと確信しているようだ」
剣を消し、次いでに首の傷口を直してから溢れた飲み物の代わりに新たに出されたカップに口を付ける。
アイザックもそれに笑みを浮かべ、彼も新しいカップに口を付ける。
「社長さん。観光と言ってたけど次いでにビジネスの話でもいかがでしようか?」
もやしっこう部長(笑)
エレンは前に勝てないといったな、あれは嘘だ。CRユニットがない人類最強等ただの貧弱モヤシだ。
感想で言われたけど、もうオリ主最強でいいんじゃないかと思ってきた。
オリ主のDEM社フラグが立ちそうです。士道達が大変になるなー
次の更新はオリ主の設定辺りを考え中。
オリ主の腹を貫いた武器の名前はエイダ@97さんから頂きました、有難う御座います!
活動報告にてオリ主のヒロインをアンケートしております。期限は次の更新まで。