デートアルケミスト   作:+無音+

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狂三キラー
第二十二話 狂三


日が沈み、月が頭上で天宮市を照らす夜。

誰もが寝静まる深夜、それは鳴らされる。

けたたましいサイレンが街中に鳴り響き、この地に災厄の時を知らせる。

既に、この街の住人はシェルターへの避難を終え、街は無人となっていた。

人が消え静寂が支配しているこの街に、災厄の破壊の音が鳴り響く。

災厄に対抗するASTは既に何人もが力尽き、瓦礫が広がる地面に倒れ付していた。

その中心で、戦い続ける二人の姿があった。

 

一人は、黒いローブを身に纏い、フードで顔を隠しているため表情を見ることは出来ない全身真っ黒の変人。言わずもが、錬金術師・灯夜である。

もう一人は、赤と黒を基調としたデザインのドレスを着て、ヘッドドレスやガーターベルトを付けている。所謂ゴスロリ。左目は、文字盤と成っておりその針は時を刻むように回っている。

手には歩兵銃と短銃を持ち、それを灯夜に向け全弾撃っていた。

彼女は、狂三はその顔を憤怒に染め上げ目の前で優雅に立っている灯夜に弾を撃ち続けていた。

 

「はぁ、きょうぞうちゃん?今、何時だと思ってるんだい。女の子はお肌に気を使っているものじゃないのかな?あ、きょうぞうちゃんは夜の住人でしたね。月が私に力を貸して――――」

 

「きひひっ。絶対、絶対絶対ぜぇええええったいに殺してあげますわ!」

 

灯夜の台詞を途中で止める。

灯夜の煽りに怒りで赤くした顔を更に紅くし、自身の影を広げる。

 

「さあさあ、わたくしたち!出てきなさい!!」

 

狂三が叫ぶと、影から白い何かが這い出てくる。

それは、手だ。一本だけではない。

にょきにょきと影から現れ、徐々に這い出てくる。

見た目、ホラー映画のワンシーンだ。

そして、その姿が出てきたのは――――無数の狂三達だった。きひひっとその手に武器を持って笑っている。

 

「わたくしたち、あの良く回る口を塞いでしまいなさい!」

 

本体である狂三の指示で、分身体は一斉に灯夜に襲い掛かる。

様々な攻撃が、灯夜にぶつけられていく。

銃での攻撃、自身の身体を使った攻撃、そこらに転がっている瓦礫などを使った攻撃。

だが、それ全てが灯夜が展開している障壁で無効化されている。

攻撃を受け続けている灯夜は、フードで顔は見えないがうんざりとした表情を浮かべている。

 

「私には無意味だ。だから、諦めてくれないかい?」

 

「ええ、ええ!食べる前にその憎たらしい口を塞いでからで美味しく頂きますので」

 

話が通じない。

何故こうなったのだろうか。突然、警報がなり様子を見に来れば倒れ伏すASTの上に立っていた。

興味本位で、近付き話でもしようかとしたがどうやら俺を狙って空間震を起こしたらしく、早々と仕掛けてきた。

狂三の攻撃は全て防壁にて防ぐことが出来るが、いい加減鬱陶しい。

 

 

狂三自身、灯夜を狙うも此方の攻撃を全て防がれ、その上天使の力を使うも無力化され自分の不利を感じ、その場を逃げるつもりでだった。

 

たが、灯夜の一言でそれは変わる。

 

「おやおや、きょうぞうちゃんじゃないですか。左目の疼きは止まったのかな?」

 

その言葉で一瞬、頭の中が真っ白になる。何の事か理解できない。いや、解っているが理解したくない。

 

「きょうぞうちゃんもそう言うお年頃だったんだよね。うん、解る。解るよ。早めに気付かないと将来大変だもんね」

 

優しく語り掛け、心無しか暗闇が広がるローブのその奥にある筈の瞳が生暖かい眼差しでこちらを見ているのが解る。

目の前の存在は、自分の過去を知っている。それも、よりによって知られたくない過去を。

それを理解した狂三は・・・

 

 

「あ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああああああああああああああ!!!!??」

 

 

 

恥ずかしさのあまり絶叫した。

 

 

 

 

 

 

 

そんな事があり、今現在も狂三の襲撃は続いていた。

挑発染みた事を言った灯夜は、別に狂三を怒らせようなどとしてはいない。

ただ、つい。そうつい言ってしまったのだ。

いきなり絶叫を上げ、発狂しながら攻撃の激しさを増していく。

 

「はぁ、面倒な」

 

「面倒なら早く死んでくれませんか?」

 

灯夜の呟きに冷たくいい放つ狂三。

 

額には青筋を立てて声を荒気ながら、両手の銃の銃口を灯夜へと向け、発砲する。

弾丸も防壁へと阻まれて無効化される。

 

「時計の針は深夜を指している。もう良い子は夢の中にいる時間だ」

 

「なら、貴方はあの世へ送って差し上げますわ!」

 

懲りずに発砲。灯夜はため息を付きながら防壁で防がれる弾を一瞥しながら言う。

 

「私は、もうそろそろ帰りたいのだよ。だから終わらせようか」

 

「何を言って―――」

 

狂三が言い終わる前に踵を地面を叩きつけ、周囲一体を爆破させる。

爆風で、狂三達は飛ばされ砂煙で視界を遮られ灯夜の姿が視認できない。

砂煙の中で姿が見えない灯夜が話し掛けてくる。

 

「私はこのまま、帰らせてもらう。次は昼にでも会おうか、〈ナイトメア〉」

 

急かさず狂三は、声のするほうへ発砲。一発の弾丸が放たれ何かに当たる音が聞こえた。

暫くすると砂煙は晴れ、何に当たったのかハッキリとした。

当たったの録音機。先ほどの声はこれから流されていのだろう。

まんまと灯夜に逃げられた狂三は、怒りで視界が赤く染まるのを感じる。

 

「きひっ、きひひひひひぃ!次は、次こそは貴方を殺して差し上げますわ!〈アルケミスト〉!!」

 

狂三の怒号は、夜空へと消えていき後には静けさが残るだけとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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