落ちていく身体。幾つも何かを通り抜けていく感覚。
それは水のように柔らかいようで空気のように抵抗なく消える。
一体俺は何処まで落ち、何処に向かっているのか。目を開ければ、闇が視界に入り込む。
何処か地面か、右か左か。上か下・・・は分かる。
今、落ちている。
このまま落ちれば何か見えるのだろうか。
何時までも落ちていく俺は、身を任せるしかなかった。
☆ ☆ ☆
どれほどの時間が経ったのだろう。
変わらない闇に変化が訪れた。
落下している方向―今俺は背中から落下している―から光が射して来ている。
眩しい光。
自分の中では長い時間を過ごしてきたようだから懐かしい。
光はその強さを増し、その中へ落ちていった。
光へ包み込まれる。
慣れない光。光で痛む視界。視界を歪ます痛み。
それでも目を開けると、空が見えた。
青い空。
雲ひとつ無い快晴。
きっと洗濯物を干せば直ぐに乾くだろう。
なんて暢気な考えをしているが自分の置かれている状況に気づいていない。
Q:俺は今どうなっているか?
A:現在進行で落下中☆
「転生早々、ゲームオーバー!!?」
声を残し、落下していった。
☆ ☆ ☆
結果的に俺は助かった。
地面が近づき、ぶつかりそうになった瞬間。
ふわりと体が浮き、ゆっくりと降りるように地面に横たわる。
絶対死ぬと思っていた俺は、暫く動けずにいた。すっかり腰が抜けてしまっていた。
視界には落下している時と同じ、青い空。
やはり、雲ひとつ無い空。
身体に力が入るようになり、身体を起こしてみると周りの光景に唖然とした。
破壊の限りを尽くしたかのような街並み。
台風や津波で押し倒されたかのような崩壊したビル。
そして何故か俺を中心に広がる巨大なクレーター。
クレーターの所々に何かが埋まっている。辛うじて分かるのがひしゃげた看板や潰れた車、折れた木などが埋まっていた。
一体何があったのか。
考えても混乱する一方。
とにかく、ここから移動しよう。
立ち上がると、ゆっくりと歩いていくがあまりにも現実離れした現状でその足を次第に早くなっていく。
やっとのことで建っている、窓ガラスや建物に罅が入って廃墟一歩手前のビルへと入っていく。
他の建物は倒壊しているが、ここはしっかりと建っている所を見ると腕のいい建築家が作ったのだろうと思う。
まあ既にボロボロだけどな。
中に入ると、このビルはデパート、百貨店エリアだと分かった。
服屋のショーウィンドウが割れ、倒れた今時の服を着たマネキン。
潰れた野菜などが転げ落ちているショッピングコーナー。
地下へ降りるエスカレーター。今は、ビルの倒壊で瓦礫で埋まっている。
適当に歩いていく。落ちている瓦礫を避けながら。
それによって気づいたことがある。
どうやらここは俺の知らない場所、いや少し違う。
壁に掛かってあった案内にはここは、天宮大通りのデパートのようだ。
天宮市、南関東大空災によって更地になった東京都南部から神奈川県北部にかけての一帯を様々な最新技術の実験都市として再開発した場所。
この南関東大空災とは、ある震災のことを指してある。
空間震。
ここまで聞けばわかる人にはたぶんきっと解る。
俺の考えと記憶が間違いなければこの世界は……
「デートアライブ?」
うんまぁ、質量の法則を無視した錬金術を特典にしたんだもんな。そりゃ、物騒な世界だよな。
でも、大人しくしてれば対して危険でもない。
極力錬金術を使わなければASTとかに襲われないし。そもそも、俺精霊じゃない。女じゃない。
よって問題なし。ついでに、原作に関わって置きたいから士道やら琴里に接触してラタトスクに入れて貰おう。
だが、ここが別世界に来たと改めて知らされた。
もう、両親とも会えないと思うと少し寂しいものがある。元気にしているといいが。
俺は、憂鬱な気分を吹き飛ばすように頬を叩き、気合を入れる。
「よし!」
気合を入れたのはいいが、俺はどうすればいいだろうか。
天龍の頼みでこの世界に来たのはいいが。一体なにをやれと。
転生者ってよく原作に関っていくよな。時には、他の転生者を倒せとかなんとか。
そもそも、ここどんな世界だよ。いきなり転生して、街が崩壊してるとか。
まあ、適当に生きていきますか。
さて、なら早速・・・・
「トウヤの初めての錬金術コーナーキラ☆ミ」
自分の錬金術でも理解するか。
☆ ☆ ☆
「・・・士道。わかっていると思うけど精霊が出現したわ。今すぐ〈フラクシナス〉に回収するわ」
耳についているインカムから聞こえてくる妹の声をただ呆然と聞いている士道と呼ばれた少年。
だが、その声は右から左へと流れていく。
今、目の前で起こっていることが頭の中で処理できていないからだ。
「士道、聞いている?」
「ああ・・・聞いている」
目の前には・・・壁が壊れ、外が見えるようになった隙間とそこから見える廃墟と化した街並み。崩れかけた学校、割れた窓ガラス、教科書など散乱とし教室。
教室の中には崩れてきた壁の瓦礫で怪我をして呻く男子生徒。倒れている友達の名を必死に呼ながら泣き続ける女子生徒。
一体何が起きたのか。いや、そんなことはわかっている。
空間震だ。
空間の地震と称される突発性広域災害。発生原因、発生時期共に一切分かっておらず、被害規模不確定の爆発、振動、消失などの現象の総称。
初めて、この現象が観測されたのは、30年前、ユーラシア大陸の中央、ソ連・中国・モンゴルを含む一帯が一夜にして消失した。
それを皮切りに世界各地で小規模の空間震が頻発した。これを〈ユーラシア大空災〉という。
その6カ月後、〈南関東大空災〉を最後に一時は途絶えていたものの、5年前から俺達の住む天宮市周辺で再び発生し始めた。
それが今、起こっている。
いや、さっきの説明は一部間違っている。
空間震は、『精霊』という存在が起こしている現象だ。
この世界とは異なる隣界に存在する者。こちらの世界に現れる際に空間震という大爆発を引き起こすため、人類からは特殊災害指定生命体とされ、天敵として恐れられている。だが、それは政府からは極秘扱いとされ誰も知らない。
俺は、その精霊を封印するために〈ラタトスク〉という組織と協力している。
精霊と対話し、解決する。それが俺達の目的。
俺達の他にASTという陸自の部隊がいるが、彼らは戦力をぶつけて殲滅する方法をとっている。だが未だにそれを達成してはいない。何故か?
それは精霊の力が強大なためだ。
空間震を起こすだけではなく絶大な戦闘能力を有する。
そんな相手に士道は接触し、対話しようとするのだ。
無謀としかいえない。
だが、彼には精霊の力を封印する能力だけではなく、傷ついた身体を直す力も持っている。傷つけば炎が身体から現れ、傷を舐めるように治していく。
それによって精霊から致命的な攻撃を受けても耐えられるのだ。
だから、彼が選ばれた。
だが、精霊が出現しているのに関らず彼は動けずにいた。
視界に映るのは苦しむクラスメイト。友である男子生徒、殿街はガラスで切った肩を押さえながら他の生徒の介護をしている。気絶した教師のタマちゃん先生はぐったりと床に倒れている。そして頭から血を流し顔を青ざめた白い髪の少女、折紙が俺の手の中で倒れている。
「なんで、空間震が・・・空間震警報が鳴ってもいないのに」
空間震には空間の地震の名の通り、爆発する直前に“余震”が起こる。
それを観測することによって事前に警報を鳴らし、避難させるとなっている。
だが、今回空間震では鳴らなかった。
余震がなかった?故障で鳴らなかった?鳴る前に空間震が発生した?
様々な憶測が飛び交うが答えは見つからない。
今は、妹が乗っている〈フラクシナス〉へ行かなければ。
「殿街、折紙を頼む」
「し、士道。お前、怪我は大丈夫なのか?」
怪我をしていないのか心配してくれる殿街。
士道の怪我は、既に炎で癒えてあり、あるのは制服の傷だけだ。
殿街に怪我はないと伝え安心させてから折紙を預ける。
「お、おい!何処行くんだよ」
「ちょっと、他の先生を呼んでくる。直ぐに戻ってくるから安心しろ」
そういって直ぐに教室を抜け出す。
後ろで殿街が何か言ってくるが、それを聞かないで走る。
廊下に出ると、教室から出てきた生徒が何人かいた。その全てが何らかの怪我をしていた。それを見るたびに自分に嫌気がさす。何も出来ない自分に。
屋上へ向かい、そこで〈フラクシナス〉の転送装置で回収して貰い、直ぐに妹が居る船橋へ案内される。
船橋に入ると、クルー達が慌ただしく指示を出しているのが聞こえてきた。
避難誘導、負傷者の輸送、精霊の観測。
それを渋い顔しながら指示を出している半楕円の床の中央にあるの艦長席に座っている少女。俺の妹である琴里。
「士道、来たわね」
「一体どうなっているんだ、琴里。空間震警報が鳴っていないのに空間震がっ」
「それは私から説明するよ」
隣に座っていた軍服を着た隈が酷く胸ポケットに傷だらけのクマのぬいぐるみを入れている女性。この〈フラクシナス〉の解析官、村雨 令音だ。
彼女は、モニターを操作し映像を映し出す。
「これが先ほど撮影した映像だ。シンにとっては少し、刺激が強いかもしれない」
映し出された映像、普通の天宮市の街並みだ。今は上空からの撮影となっている。
そんな平和そうな映像に異変が起こる。
青い空に突如波紋のような歪みが。それは直ぐに空間震となり天宮市を襲った。発生共に途絶える映像。
しばらくすると映像は映るが、次に映っていたのは廃墟となっている街。
なぎ倒されたような建物。発生した空間震の下は潰れたようにあらゆるものが埋まっていた。先ほど映っていた映像では地面からかなり離れていたはずだった。なのに、この災害。
俺はその映像を見て唖然とするしかなかった。
「今回の空間震は、余震は限りなく短い。そのため観測できず空間震警報がならなかったのだろう」
「いままでそんな事...」
「ええ、なかったわ」
空間震は時間は様々だが、避難できる余裕はあった。だが今回はそれがない。
琴里は唖然としている士道にいう。
「現在、現界した精霊を捜索しているけどどこにも見当たらないの。観測に遅れたことにもあるけど、霊力も観測できないから建物中に観測機を飛ばして探しているわ」
「ASTは、来てないのか?」
「ASTは今、空間震の被害を受けて出撃が遅れているみたい。あと数十分は.....」
士道はASTで、折紙のことを思い出し顔をしかめる。
「今回の空間震は、異常よ。空間の余波は観測されない。精霊の霊力も観測されない」
「どういうことだ?」
「さっきも言ったように精霊を発見出来てないのよ」
空間震が起こったのに精霊を発見出来てない?士道は琴里が言った言葉に首をかしげる。
「今回の精霊は今まで確認されていないパターン。新しい精霊の可能性がある」
「それはあるわね、霊力を隠蔽できる類か。でも、空間震が起きたからには精霊が現界したってことよ。しばらくすれば見つかるはず―――」
「天宮市大通り近くのデパートで精霊らしき映像を見つけました!!」
クルーの一人が観測機の映像を見ながらそう叫んだ。
直ぐにその映像は主モニターへ移される。
デパートの店内が映し出される。だが、一瞬そこが本当にデパートの中なのか疑った。
壁、床、天井全てが宝石でできていたのだ。
宝石をあまり知らない士道でもいくつか分かるものもあるほどの宝石の数。
床には金のテーブル、椅子。テーブルの上には銀のカップと皿。皿の上にはケーキが。
そこでやっとここがカフェテリアだとわかった。あまりの変わり様で一瞬わからなかった。
その椅子に座り優雅にティータイムを楽しんでいるローブ姿の人。これが今回の精霊。この惨状を生み出した精霊。
と、急に映像は途切れてしまった。それに慌てるクルーは直ぐに別の観測機を回せと言っている。どうやら観測機が壊されたようだ。
「周りの物質を鉱物、宝石などに変える精霊だろうか。今まで見たことがない」
「それって、つまり・・・」
「新たな精霊よ。十香とは別の」
既に士道は十香という精霊を封印している。
彼女と対話し、分かり合えてその精霊の力を封印した。
今は学校にも通っているが今日は、検査で〈ラタトスク〉が管理してる施設にいる為、今回の空間震に巻き込まれはしなかった。
「さて、士道。やることは変わらないわ」
「精霊と対話し、解決させる・・・」
「ええ、精霊とデートしてデレさせてキスする」
その言葉に未だに慣れない。あの映像の精霊をデートに誘い、好感度上げてキスし封印する。そう、封印方法はキス、接吻である。
それに関してはよくわかっていない。
精霊に心を開かせ、キスをする。それで封印が完了する。
どこのギャルゲーだよ。と突っ込む士道。
「さあ、士道?わたしたちの
琴里の言葉で、俺の戦争が始まった。
はい、主人公が精霊に間違われる回です。
さっそく主人公が錬金術を多様してますね。
ここで主人公の特典、錬金術について説明を。
まず、この錬金術は鋼の錬金術師をベースで考えています。
いくつか制限がありますが、等価交換のほうは少し変えています。
無から物質を作り出すことはできませんが、性質の違う物を作り出すこと、質量が違うもんを作り出すことはできるようにしています。
錬金術を行うための練成陣。これは必要なしにしてます。
簡単に言っちゃえば七罪のような天使のようなものだと思ってください。
あれ?違うような?
そのほか何かありましたら感想などでどうぞ。
※12/23 タイトル変更
※2017/4/22