・シドー、無視すんなぁー(十香
・観覧車でお茶会
・紅茶ウメェ
今回はちょっと短いなって
タイトル変更しました
ザアザアと降る雨の中。真っ黒なローブを着た変態。もとい、精霊である灯夜は傘を差して歩いていた。
歩くたびに道路に溜まった水溜りがバシャッと跳ねるがそれを気にせず歩いていく。そもそも当たる前にまるで見えない壁のような何かによって弾き返される。
それによって、彼は全く濡れずにこの雨の中を歩いていける。
なら、何故傘を持っているのか。気分の問題のようだ。
雨のせいなのか、それとも余りここは誰も通らないのか。車道には車は通らず水を掛けて来る者は空から降ってくる雨だけだった。
パシャッ
そんな音が聞こえた。空耳かと思っているとまたパシャッと何か、水溜りの上を跳ねるような音が聞こえる。
それも近くから、上から。
近くには神社へと上がる階段。その上から聞こえてくる。
ゆっくりと音は近づいてくる。
パシャッ、パシャッ。
次第にその音の正体が見えてきた。
ひょっこりと見えたのがピンクのボタンと縫い目のついた大きなウサギの耳、のフード。
緑色のレインコートを羽織った水色の髪と蒼玉の瞳を持った少女が現れた。左手にはウサギ形の人形。
どうやらその少女が跳ねていた音のようだ。
少女がまた、ぴょんっと飛ぶ。まるで無重力にいるかのような身軽さで。
時間がゆっくりと流れるような感覚。振り続ける雨のカーテンの中、空を飛ぶように踊る少女を唯、見つめる。
そして、地面に着地・・・
―――ずるべったぁぁぁぁぁぁんッ!
その音は今までとは違う、少女が派手に、コケた音だった。
顔面と腹を盛大に地面に打ち当て、あたりに水しぶきが散る。水しぶきがこちらまで飛んできた。
水しぶきだけではなく、何かがこちらに飛んできた。
白い、人形。
あの少女が手に付けていた人形だった。それを開いている手で受け止める。
手の中には眼帯をしたコミカルなウサギ人形。目の先には倒れて動かない水色の少女。
灯夜は軽く地面を踵で叩くと、浮ぶように階段を跨ぎ、少女が倒れている傍に降り立つ。
「大丈夫か?」
小さな身体を抱きかかえるように仰向けにして声を掛ける。
間直で見た幼い顔、水色の髪は青空のような青。柔らかそうな唇は桜色。
西洋人形の美しさがその少女にはあった。
そこで少女が目を開く。宝石のような輝きの青い瞳が彼と目が合う。
青とフードの奥の金の視線が合わさる。少女はその闇が広がるその先を見つめてるだけ。まるで意思がその闇に吸い込まれるかのように見続けていた。
すると少女は今の状況を理解したのか顔を真っ青に染めて目の焦点をぐらぐら揺らし、灯夜の手から逃れるようにぴょんと飛び上がる。
少し距離を取った少女は、全身を小刻みにカタカタと震わせ、灯夜を怖がるような視線と態度を見せる。
手に人形を持っていたことを思い出した灯夜は、怯えている少女に近づく。
「・・・・!こ、ない、で・・・ください・・・・っ」
これは困ったと頭を掻くと少女は続けて言った。
「いたく、しないで・・・ください・・・・」
これ(ローブ姿の変態が少女を襲っているように見える光景)を見た第三者なら110番に直ぐに連絡物だろう。
「別に君に危害を加えるわけではない。これは君のだろう?」
手に持っていたパペットを少女に見せる。少女は大きく目を見開き、灯夜の方へ駆け寄ってこよう、とした所で、足を止める。
ジリジリと距離を積めたと思えば直ぐに離す。
パペットを取り返したい、だけど灯夜が怖い。彼女の心境はそんなところだろう。
そんな少女の様子に苦笑した灯夜は少し考える。
灯夜がパペットを少女に良く見えるように前へ突き出す。
「・・・・・?」
少女は灯夜何をしたいのか解らず頭にハテナマークを浮かべていた。
灯夜はまだ何をするかわかっていない少女に笑いながら、自らの力を使う。
ポンッと音と共にパペットが白い煙に包まれる。それを見た少女は叫びを上げそうになったが、煙が晴れたパペットを見て驚きの声を変わりに上げる。
黒い帽子、黒い衣装に早変わりしたパペットが現れた。
続いて、手を振ると同時に出てきたハンカチで包み指で三秒数えてから取ると、今度は少女と同じ服装になっていた。
今度は指をどんどん鳴らしていく。ポンッポンッと音と共にパペットの服装が変わっていくのを呆然と見ていた。
最後にハンカチでパペットを隠す。パペットの形に膨らんだハンカチに指を鳴らすと、ハラリとハンカチが手のひらに落ちる。
パペットの形は何処にも無く、ハンカチを取った手には何も持っていなかった。
そのことに未だに呆然としている少女に近づき、左手にハンカチを被せる。
「・・・っ!?」
そこでやっと灯夜が近づいていることに気が付いたのか、距離を離すように後ろに飛ぶ。
少女は無くなったパペットをどうやって取り返すかと考えるが、ふと左手に違和感があった。
いつの間にか、自分の手にパペットが帰ってきてたのだ。
パペットと灯夜の顔を見比べるように何度か見ると、パペットの口を動かし始めた。
『いやー、すっごいねぇ?今のマジック?まったくわからなかったよー』
腹話術でパペットを動かし、妙に甲高い声を発してくる。
『ぅんでさー、起こしたときに、よしのんのいろんなトコ触ってくれちゃったみたいだけど、どーだったん?正直、どーだったん?』
「変なところを触ったのなら謝る。申し訳ない。」
パペットはカラカラと身体を揺らし、笑いを表現している。
『まあ、一応助け起こしてくれたし、手品も見せてくれたわけだし、特別にサービスしといてア・ゲ・ルんっ』
「それは助かる」
少女の変わりっぷりに苦笑いしながら、パペットに返す。
『ぅんじゃ―――』
「とは言ったものの、身体を触ってしまったお詫びをしたい」
パペットの言葉に被せて言う。
『別にいいんだよー、全然気にしてなんかいないんだから』
「それでも、詫びがしたい」
黒いフードの奥で相手には見えない笑みを浮べ、パペットの返答を待つ。
少し悩んだような仕草をしたパペットは口を開き、答える。
『まぁ、そこまで君が言うならいいけどー』
「ははっ。なら、この近くに美味しいカフェがあるんだ」
灯夜は怯えて近付かなかった筈の少女の手を取って、階段を降りていく。
向かう先は、カフェ。名前を『ケミスト』。
店長が奇妙な被り物をしている可笑しな店で有名なカフェに向かっていた。
なんでも、羊の被り物をしているとかなんとか。
灯夜がよしのんをデートに誘う回。
今回のよしのんの衣装を作ったり、よしのん自体を消したりについて。
衣装のほうは雨水を錬金して作りました。
次、どうやってよしのん自体を消したのか。よしのん自体を分解し、四糸乃の手にハンカチを置いた時に再構成したって感じ。
そういえば、感想にあったんですがオリ主の錬金術について。
錬金は灯夜が触れた物や見たことがある物としています。
何かを通して見た物は練成できないってことです。テレビで見た料理や、アニメなどの武器などなど。
ちなみに灯夜は魂のことをエネルギーって思ってます。ハガレン風に。
雨水をどうやって弾いたか、ここでわかるかな?
では、次回をお楽しみに!
次は、カフェでゆっくり紅茶でも二人に飲ませるか・・・
※2017/4/25