デートアルケミスト   作:+無音+

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【今日の三行あらすじ】
・雨時々パペット
・美少女 が あらわれた
・デートへ

年が開け、今年は2015年。いやはや、時がたつのが早いもの。
なんてじじ臭いことを呟きながら書いていく第六話。
そういえば、第五話のサブタイトルが消えていたことに驚き修正しました。
読者の方々、すいませんした


第六話 ケミスト

大粒の雫で染め上げられたアスファルトの道を小走りで走っている一人の少年。

五河士道は、急に降り始めた雨と的中率の低い天気予報に恨み言を呟きながら家へ帰宅していた。

手に持っていた鞄を上へ、できるだけ雨から身を守ろうとしているが既に全身が濡れ、服が水分を吸い水が滴っている。

自分の服装を見た士道は何処か雨宿りができる場所がないかと心で呟く。

だが、ここら辺にそれらしい店も場所もない。

 

―――せめてコンビニくらいあったら嬉しいんだがなぁ。

 

くんくんと士道の鼻が何かを犬の如く嗅ぎ取る。雨の匂いとは別に独特で味わい深いような匂い。

周囲から香るように漂っている。

何の匂いだったかと士道は思い出そうとしながら走っているとそれはどんどん近くなっていることがわかった。

匂いの元は、どうやらこの先の店から出てきているようだ。

確か、あそこは空き地だったような気がしなくも無いがちょうどいい、雨宿りさせてもらおう。

士道はその店に駆け込むように扉を開く。

カランカランっと扉についていたベルがなり、士道が入店してきたことを告げる。

店の中に入ると、あの独特の匂いが更に強くなったのを感じ、そこで思いだす。

 

「コーヒー?」

 

どうやらこの店は喫茶店のようだ。広すぎず狭すぎない間隔の店内にテーブルと椅子が並べられている。

落ち着いた雰囲気があり初めて入った士道でも居心地が良かった。

 

「こんな所に喫茶店なんてあったんだなぁ」

 

ふっと横に誰かの気配を感じ、振り向く。

 

「どわあっ!?」

 

居たのは羊の顔だった。真っ白な毛をした羊、それが横に立っていた。

乱れる心拍を押さ、もう一度見てみる。

どうやら羊の被り物のようだ。頭だけが羊で下はちゃんと人間。服装は執事服を着ている。

 

「あれ、確か遊園地で・・・でも白い」

 

『あははっ!それ、ほんとぅなのトウヤ君?』

 

「私は、間違いないと確信している」

 

楽しそうな声が店内の奥から聞こえてきた。片方は甲高い少女の声、もう一人は―――

 

「まさかっ!」

 

店内の奥へ走り出す。店内の奥は曇りガラスで仕切られ人影だけが見える状態。

 

「やっぱり・・・」

 

そこにいたのはレインコートを着た見知らぬ少女と、精霊〈アルケミスト〉だった。

前と同じ黒いローブを身に纏い、その顔はフードで相変わらず見えないままだった。

 

「おや、これはこれは士道君じゃないか。ちょうど君の話をしていたところだったんだ」

 

『君がトウヤ君が言ってた士道君?君もなかなかやるもんだねぇー』

 

少女が左手に持っていたパペットを動かしながら喋りかけてくる。腹話術か?

 

「君がクラスメイトの男子生徒・・・・えー、名前は殿様だったか?」

 

「誰だよそんな偉い名前の奴は。殿街だよってか何で知って」

 

「その殿様と士道がデキているとか。クラスでは男二人のラブロマンスが・・・」

 

「おいぃぃぃ!!何勝手なこと言ってるんだ!?」

 

何を言っているんだこいつはという目で見てくるこの変態黒ずくめ。

前の席に座っている少女は相変わらずパペットでカラカラ笑っている。

 

『いやあ、士道君ってそんな趣味があったなんて。大丈夫、よしのんは応援するから』

 

「いや、違うからね?誤解だから」

 

「士道、立ってないで座ったらどうだ?せっかく店に来たんだからコーヒーの一杯くらい」

 

変態ローブが言うことも一理あり俺は隣に座ろうとする。

 

「何隣に座ろうとしているんだ?君は床で十分だよ」

 

「さっきから俺の扱い、酷くないですか?」

 

冗談、と言って座れと言ってくる

コイツのせいで深いため息が出てくる。

とりあえず、テーブルの上にあったメニューから選ぶ。雨で体も冷え、なにか暖かい物は無いかと探しホットココアをを選び、店員を呼ぶ。

直ぐに店員がくるがさっきの羊の被り物をした執事だ。

 

「って、この羊・・・執事はお前が、造ったやつじゃ・・・」

 

「よく覚えていたんだね。てっきり三歩歩いて忘れていたかと思ったよ」

 

「俺は鳥頭かっ!」

 

注文をとり終わった店員は奥へ消えていくのを見て、隣の精霊に問いかける。

 

「いろいろ聞きたいけど、まず何でお前がここにいるんだ?」

 

「デート」

 

「は?」

 

「目の前の子と」

 

指を刺すのは水色の可愛らしい少女。なるほど、そういうことか。

・・・いやいやいや。

 

「なんで精霊がナンパしているんですか?!」

 

「君だって最初、私をナンパしようとしたではないか。それに、あの黒髪の少女にも」

 

『士道君って、純粋無垢な少女を汚したって聞いたよー?』

 

「誤解だ!?」

 

本当にコイツは何で俺のことを知っているんだ?

そもそもなんで十香のことを・・・

 

「私の『錬金術』に、常識は通用しない」

 

「どこのメルヘンさんだよ・・・」

 

「やろうと思えば翼くらい生やせるけど」

 

もうこの精霊、何でもありだ。

 

「それで、なんであの羊がここで店を?しかも色違うし。」

 

「ああ、それ?ここ、私の店だよ?あと、イメチェンらしい」

 

「はっ?」

 

「だから、私の店。店の名前は『ケミスト』。化学者って意味なんだけどね」

 

「なんで精霊が店を開いているんだよ・・・」

 

呻くように士道は呟いた。手続きとかどうしたんだよ。

 

「士道君。人間、金を積めば何でもやってくれるんだよ?」

 

「そんな汚い真実を聞きたくない」

 

「なら、そのホットココアを飲んでさっさと帰れ。私は彼女デートを続けたいから」

 

何時の間にか立っていた店員がホットココアとタオルを俺に差し出してきた。

俺は礼を言い受け取ったタオルで頭を拭きつつ、ホットココアを一口。

冷え切った身体にココアの甘味と熱が染み渡る感覚で一息つく。

 

『あはは、それは嬉しいけど。よしのんはそろそろ帰らないといけないから』

 

少女がパペットで言うと席を立ち、そのまま出て行こうとする。

 

「またね、よしのん」

 

『バイビー、トウヤ』

 

カランカランと音と共に扉は閉じられる。

店員は奥へ引っ込んでしまい、俺と〈アルケミスト〉の二人っきりとなってしまった。

 

「いつまで士道君は、私の隣に座っているのかな?」

 

つまり、空いた前の席に座れと。

よしのんと呼ばれた少女が居た席に座り直し、ホットココアで口の中を湿らせる。

 

「そういえば。あの、よしのんだっけ?お前の名前を呼んでいたけど、トウヤって名前なのか?」

 

士道は精霊である十香のことを思い出した。始めて会った十香は名を持っておらず、十香という名は士道が付けたのだ。

 

「・・・あぁそうだ。夜空に灯ると書いて灯夜。どんな闇でも輝き続ける、希望を持って生きていく。そんな名前」

 

その話を退屈そうに手に持っていたティーカップを飲みながら話す灯夜。

人間らしいその名は、今の灯夜の姿には似合わないものだ。

真っ黒なローブ。それに身を包む姿は夜と言うに相応しい。だが、その中に光はない。

ある筈の顔の場所は暗闇が広がっていて顔は見れない。まるで、拒絶しているかのようで。

 

「私の名前なんてどうでもいい。ちなみに、士道が呼ぶのは禁止。呼ばれたら鳥肌が止まらなくなりそうだ」

 

「俺、何かしたの?」

 

その問いに無視してもう一度ティーカップを口に持っていく灯夜に腹が立つ。

あっと何かを思い出したかのように声を出した灯夜に何かと思う。

 

「士道、濡れた服のままでは風邪を引いてしまう。早く変えたらどうだ?」

 

確かに、濡れて肌に張り付く服は冷たく気持ち悪い。だが、今は雨が降っていてたとえ出てもまた濡れてしまう。

そう思っていると、目の前の精霊は持っていたカップを置くとその指を鳴らす。

すると、濡れていた士道の服が一瞬で乾いた。

 

「まあ、これもサービスだ。私と話をして風邪でも引かれたら後味が悪い」

 

「あ、ありがとう。って話?」

 

「・・・やはり鳥頭か?」

 

ぐっ!っと言葉が詰まる。

 

「今度、私と話すと約束したじゃないか」

 

はぁーとため息をつく精霊。士道はそこで思い出したのかあっと声を出す。

 

「士道が鳥頭という事がわかったと言う事で」

 

「何も言い返せない...」

 

「この前は、士道が質問したから次は私でいいかな」

 

「あ、ああ。何が聞きたい」

 

「...これと言って何もないな」

 

「無いのかよ!!」

 

灯夜の言葉にツッコム士道。

 

「取り敢えず、士道の家族構成でも聞かせてくれ」

 

適当に思いついたことを聞いているのに気がついて士道は思わず殴りたくなる衝動を抑える。

 

「両親と俺に、下に妹がいるな」

 

「ほお、妹がいるのか」

 

「名前が琴里っていうんだけど」

 

今頃、自宅で夕飯を待っている頃だろう。早めに帰らないとな。そう考えている士道は灯夜の次の言葉で停止する。

 

「そいつが、お前の組織の司令か?」

 

その言葉に士道は凍りつく。

 

今、なんて言った?

 

「私は耳がいいんでね。つい聞こえてきてしまったんだ、インカムの向こう側の可愛らしい声がね」

 

「何のこと―――」

 

「ああ、安心してくれ。会話が聞こえたのはそれくらいだ。別に空中艦がこの天宮市上空にあるとかそちらの組織の名前とか〈ラタトスク〉とかの会話は聞いてないよ」

 

こちらの情報が筒抜け。その事に士道は焦る。

〈ラタトスク〉の事をどこで知った?それ以前にまさか、封印のことも...

 

「という冗談を言ってみたり、あはは」

 

「...笑えない冗談だな」

 

「でも、こんな冗談を他の人にでも聞かせたら思わずその人のとこまで飛んでいってしまうかもしれないな」

 

「っ!」

 

それはつまり、琴里達に報告するなってことか?

目の前の精霊を見るが表情は見えないが雰囲気からして笑っているようだ。

 

「お、雨が止んだみたいだ。そろそろ帰ったらどうだい?可愛い妹のところに」

 

窓を見てみると、雨は止み分厚い雲の隙間から太陽が見えているのが見えた。

 

「...そうだな。じゃあ、俺は帰るよ。えっと、ココアの代金を」

 

「いや、今回は私のおごりでいいよ。君がいて少しは楽しめたからね」

 

俺を弄ったから楽しめたのではないか?などと思いながらもう一度、灯夜に別れを言う。

 

「そうそう、一つ。言っておく事があった」

 

席を立って俺を呼び止める灯夜。

 

「是非とも"彼女達"もウチの店に来てくれ。サービスするから」

 

それだけ、といってまた席について店員に紅茶の追加を頼んでいた。

俺は特に疑問に思わないまま店を出て行った。

 

「本当に晴れてる・・・」

 

土砂降りだった空はすっかりと晴れ晴れとした快晴となっていた。

既に夕方。帰り道は茜色に染め上げていた。

 

 

時間も時間で、冷えた身体を早く温めたいと思いながら小走りで家へと帰宅していた。

 

家で待ち構えているドキドキ☆訓練が待っているとは知らずに・・・

 




今回、灯夜君がよしのんとカフェデートのまき。

リア充爆発だね!

キンなんとかさん「呼びましたかね?」

士道へ名前を教える灯夜は士道に対しての好感度が順調に上がっているようです。
このまま封印フラグへと持ち込めるのかっ!?

次回に続く!!


次は、よしのとデパートデートか、ASTとガチバトルかを考え中。
どっちがええやろ

1/14 訂正
※2017/4/25
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