竈門炭治郎になったけど妹まで同類だった 作:シスコン軍曹
後悔はない。だからやり直しもしない。
転生した。
転生しちゃいました……『鬼滅の刃』の世界に……憑依という形で……。
……嫌ァァァァァアアアアアアアア!!!
しかも名前が……『竈門炭治郎』だってさ。ハッハッハ……はぁ。
先に行っておくと、俺はアニメ勢であって原作の詳しい話は知らない。けど、俺は実はネタバレを気にしない人間で、先の展開やラストを勝手に見ている。だから当然知っている。
みんなのトラウマ……というか、最終決戦で何が起こるのかを。……嫌だなぁ。
「……目が覚めたら
そう、気が付くと俺は雪の上で寝そべっていた。慌てて起き上がってみたら目の前には誰かの死体と、血塗れになったボロ小屋。
それだけでは俺は自分自身が誰なのかは気づけなかったが、突如として、『竈門炭治郎』としての記憶が俺の頭に流れ込んできたのだ!(棒コ〇ン風)
そう言う訳で、俺としては全く知らないはずなのに知っているという妙な感じになっていて困っているのだが、取りあえず放置はダメだよな?な?(威圧)
「……死体……埋めるか」
正直抵抗感が凄い。触りたくない衝動に駆られる。けど……流石にちょっとかわいそうっていうか……。我慢だ我慢!
「……あれ? そういや、
確か原作ではこの辺りで弟を庇ってたりしていたはずだが……あっ。
「俺が寝てたから凍死したのか⁉ それとも、勝手に人を襲いに行ったとか⁉ 嘘だろそれはやばいって‼」
原作は禰豆子ちゃんが居たから何とかなった場面も多い(と思う)。
なので彼女無しに原作を生きるというのは少し無理がある。
「いやでも……禰豆子ちゃんに俺の言葉が届くとは思えないな……だって俺、偽物だし」
勝手にお兄さんの体乗っ取ったやつにいい顔はしないはず。というか喰われる。絶対喰われる。
「あれ? もしかしなくても詰んだ? ……えっ?」
思わず諦めモードになっていると、家の庭……畑みたいなところから
やっべ……どんな顔して会えばいいんだよ……とりあえず挨拶? いや、無事でよかったか聞く方がいいのか?
「あのー」
「ちょっと待って今考えてるからちょっと待って」
「ちょっと待って二回言った。っていうかこっち向いて」
「痛い! チョップはやめて‼ お前鬼になってるんだから力が強…い……」
「えっ、何で鬼になってるって分かるの?」
待って。なんで禰豆子ちゃん俺を襲ってこないの? それどころかなんでこんな構ってムード出してるの?
えっ? 兄妹の力で鬼の本能を乗り越える感動話は? いや俺に出来るとは思えないけど。
てか今更だが……、喋ってない?
「……あの、俺……ついさっき目が覚めて、いつの間にか竈門炭治郎になってたんですけど……」
「……………貴方
オウマイゴッド。……
「……起きたら種族変わってるし、目の前には誰か知らない人の死体があってビックリしました」
禰豆子がそう言う。……あ、ふ~ん。……もうやだ。
「詰んだ」
「酷くない⁉」
「ていうかなんで喋れるんだよ……?」
「私が聞きたい。鬼なのに知性あるし」
「鬼って普通に喋れなかったっけ?」
「鬼は強くなるほど人間から離れていくからその影響で人間の記憶も飛ぶ……はず」
「曖昧だな」
「だって原作読んでないもん」
Oh……そんなところまで同じなのか。
「後私、ネタバレが嫌い」
「あ、そこは違うのね」
俺はネタバレを気にしない質だが、禰豆子(?)は違うらしい。
「……あれ? 家の中に死体がない?」
「私が埋めておいた。途中凄い飢餓感が来て泣きそうだったけど」
「えっ? 大丈夫なのそれ⁉」
「勿論。何かギリギリ大丈夫だった」
「えっ、でも口の端から血が流れてるけど」
「……、」
禰豆子は無言で口を拭くと、こちらに向き直り、額に冷や汗を滲ませながら言った。
「……ギリギリ大丈夫だったから」
「いやアウトだよな⁉ 思いっきり喰ったよな⁉」
「生きてないからセーフ」
「アウトだよォォォォォォォオオオオオオ―――ッッッ‼‼‼」
思わず俺は叫ぶが。
「うるさい」
「アベシ⁉」
何故か禰豆子にチョップされる。いや、怒りたいの俺。チョップしたいの俺。
「大体、それなら珠世さんの輸血だってギリギリアウトになるんじゃない?」
「いやあれは……セーフなのか?」
「じゃあ私もセーフ」
「鬼の価値観が分からない……」
思わず膝をつく。
「とりあえず……呼び方はどうする? 前世の名前とか覚えてる?」
「転移ならともかく、憑依ならなるべく、その人物の名前でいきたい」
「お前がそれでいいならいいが……」
「よろしく炭治郎お兄ちゃん」
ぐフッ!? これは強烈……!
……まあ、でも……。
「正直、これでよかったのかもな」
「?」
「俺が憑依したのついさっきだから、竈門炭治郎として原作の禰豆子に顔を合わせられる自信が無かったし」
「……、」
「目が覚めたら寒い雪の中で一人だったし……『鬼滅の刃』の話を誰にも出来ないのはちょっと寂しいっていうか……なんていうか……。それに、俺が竈門炭治郎なら、この先過酷な修行とかも――」
「大丈夫」
すると、弱音を吐いていた俺を禰豆子が抱きしめた。……暖かい。
「……禰豆子」
「主人公とか、そんなの関係ない。貴方は貴方だから」
「……、」
「それに、私もちょっとだけ不安だった。どんな顔して炭治郎に会えばいいのか分からないから」
「禰豆子……」
一応……妹のはずなんだけどなぁ……。
「なんなら、私は人間に戻れなくてもいい。だから、貴方が望むなら…… ッ⁉」
すると、禰豆子が唐突に俺を引き剥がし、投げ飛ばす。
それと同時に、ただでさえボロかった小屋が更に破壊された。
「……、」
「クソっ、一体何が……⁉」
俺は痛む頭を押さえながら起き上がると、
「……、」
「……何のつもりだ?」
そこでは、刀を禰豆子に向けて、威嚇するような動作を取る男性と。
「……、」
俺を背に、庇うように無言で立つ禰豆子がいた。
禰豆子ちゃん可愛いぺろぺろしたい
どっちがいい?
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