竈門炭治郎になったけど妹まで同類だった   作:シスコン軍曹

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珍妙なタンポポ、登場!


再会

「997、998、999……、1000! ……ふぅ、とりあえず今日の筋トレ終わりっと」

 

 禰豆子が入った箱を背負いながらの腕立て伏せは結構きつい分、やりがいがあるな。その上腕立てしながら前進するのだから余計負荷がかかっていい。その上全集中の呼吸・常中もやってるしな! ……まあ、そのせいで到着に凄い時間かかって鎹鴉に怒られたんだが。っていうか、鍛錬のせいで少しお腹減ってきたな。

 

「……ん? なんか聞こえる――」

「頼むよーーーっ!! 頼む頼む頼むッッッ! 結婚してくれーーーっ! いつ死ぬかわからないんだ俺は! だから結婚してほしいというわけで!!  頼むよォォォォォォ――――ッッ!」

 

 俺が叫び声の方に視線を向けると、青い着物の女性に縋りついて、泣き喚きながら求婚するという、男としてのプライドをかなぐり捨てたような人物がいた。

 確認しなくても分かる。善逸だ。

 

「ちゅん! ちゅんちゅん!」

 

 俺が善逸の所業に呆れていると、俺の手元に雀が飛んできた。

 なにやら鳴いているが、生憎俺は日本語以外は受け付けないから分からない。……まあ、言いたいことは何となく分かるけど。

 

「頼むよ! 俺には君しか! 君しかいないんだァァァァ―――ッ‼」

「じゃあ俺が一緒に行ってやるからその人から離れろ善逸。迷惑してるだろ?」

「……へっ? こ、この声は……」

 

 俺が善逸のもとまで行って声を掛けると、こちらに気づいた善逸が今度は俺に縋りついてきた。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁ――――ッッ! 炭治郎ォォォォォ!! もう死ぬかと思ったよォォォォォ―――ッッ!」

「生きてるからいいじゃないか……すみません。本当にすみません」

 

 俺は巻き込まれていた女性に善逸に代わって謝罪し、退散してもらう。

 

「全く、雀を困らせるなよ。あと、そうやって恥をさらすのもやめてくれ」

「恥は言い過ぎだろ⁉ あの()は俺に優しくしてくれたから、俺のことが好きに違いないんだ!」

「妄想と現実の区別をつける訓練から始めようか善逸」

「酷すぎでしょ⁉」

 

 全く、相変わらずうるさいな。頭のネジちゃんと足りてるのか?

 

「あ! 今絶対俺に向かって失礼なこと考えただろ⁉ 音で分かるもん!」

「ソ、ソンナコトナイヨー」

「棒読み⁉ 少しは本心隠す努力して傷つくから!」

 

 すると、泣き叫んでいた善逸が俺の背負う箱を見て問いかけてきた。

 

「あれ? その箱に入ってるのってもしかして……」

「ん? ああ、そうだよ。前に話した……妹だ」

「へぇ……ねぇ、一目でいいから――」

「駄目だ」

「……ああ、そっか。今は日中だからね。じゃあ夜になったら――」

「駄目だ」

「ナンデ⁉」

 

 当たり前だ。ケダモノに妹はやらん! 俺はぜんねずなんて認めない!(血涙)

 

 ぐぅ~。

 

 ……突如、腹の虫の音がした。

 

「……善逸?」

「叫んでたら腹減ってきた……」

「はぁ……ほら、これ上げるから」

 

 俺は昼飯用に持ってきていたおにぎりを善逸に渡す。

 

「あ……、ありがとう。……炭治郎は食わないのか?」

「ん? 俺は別にお腹空いてないし――」

 

 ぐぅ~。

 

 ……………。

 

「……ほ、ほら……は、半分……食えよ」

「笑いながら言うのはやめてくれ……ありがとう」

 

 善逸が口元を抑えて顔を背け、プルプルと震えながら俺におにぎりを半分にして分けてくれる。

 ……恥ずかしい。腹減ってないとかいった矢先にコレは恥ずかしいぞ……!

 

「っていうか、怖がりなのはいいけど、雀を困らせるのは不味いぞ善逸」

「え? 雀? 困ってたの? なんでわかるんだ?」

「なんとなく。こう、動きで大体……善逸が仕事全然しないーとか、女の子にだらしないーとか、いびきうるさいーとか」

「えっ、そいつそんなこと言ってるの⁉ 嘘でしょ⁉ 嘘過ぎじゃない⁉」

「カァーッ! 駆ケ足! 炭治郎! 善逸! 走れ! 共ニ迎エ! 次ノ場所マデ!」

「いやァァァーーーーーっ!! カラスが喋ってるゥゥゥゥゥゥーーーーッ!!!」

 

 善逸がブリッジしながら絶叫を上げる。

 もう面倒だから俺は善逸を置いて先を急ぐが、置いていかれるのが嫌なのか、善逸も必死に、泣き喚きながらもついてきた。

 そして、とある山奥まで入り、途中で鬼の気配を感じたのでその方向に進んでいく。

 

「なぁ炭治郎。やっぱり俺じゃ無理だよぉ……」

「大丈夫大丈夫。善逸はやればできるから。気が付いたら何もかも終わってるくらいできるから」

「それってどういう意味? 気が付いたらあの世にいるとかそう言う意味じゃないよねそうだよね⁉」

 

 いや、善逸が気絶したら勝手に動いてくれるから何とかなるって意味なんだけど……まあ本人自覚ないし伝わらないのは無理もないか。

 そうこうしていると、木々に囲まれた大きな屋敷を見つけた。中からは鬼の気配をビシバシと感じる。

 

「今までで一番強い鬼の気配だな」

「えっ、炭治郎気配とか分かるの? っていうか、それよりなんか音しない?」

「音? いや、全然聞こえないけど……ん?」

 

 善逸が耳を澄ましているが、俺には全く聞こえない。……そういえば、善逸は耳が良いんだっけ?

 そう思っていると、背後から子供の気配を感じた。振り返ってみると、そこには怯えた表情でこちらを見つめる少年少女がいた。

 

「君達、こんな所で何してるんだ?」

「「ッ⁉」」

 

 あ、相当怖がってるな。

 

「うーん……ま、いっか。善逸、中に入るぞ」

「え、嘘でしょ? この中鬼がいるんでしょ? 嫌だよ」

 

 いやお前鬼殺隊だろうが。

 内心ツッコムが、善逸が怖がりなのは今に始まったことではないので、無理やり引きずって入ろうとする。

 すると、

 

「ま、待って!」

「ん?」

「そ、その中に入るの……?」

 

 少年少女……恐らく兄妹であろう二人の、お兄ちゃんの方が、半泣きで俺達に声を掛けてきた。

 

「まあそうだけど……ここは二人の家なのか?」

「ち、違う! 違う……ここは……ば、バケモノの家なんだ……だから危ないよ! 夜道を歩いてたら、お兄ちゃんもバケモノに連れて行かれて……! 俺達には目もくれずに……!」

「そっか……でも大丈夫」

「……えっ?」

 

 俺は二人を安心させるように笑い――

 

「俺たちは鬼殺隊……まあ、君たちが見たような化け物をやっつけるのが仕事なんだ。だからとっても強い。心配はいらないよ。君たちのお兄さんも俺たちが連れ戻すから、ね?」

「え、もしかしてその俺()()の中に俺も入ってる? 嫌だよ俺弱いし」

「あの珍妙なタンポポの言うことは無視してね」

「珍妙なタンポポ⁉」

 

 すると、先ほどまで半泣きだった二人がアハハと笑いだす。そんなに面白かったのか?

 俺は善逸と見つめ合って首を傾げる。

 

「っていうか、さっきから……(つづみ)の音が聞こえるんだけど……」

「鼓ねぇ……そう言われても……――ッ⁉」

 

 善逸が再び屋敷を見上げてそう言うので、俺も振り向くと、ポン、という音が聞こえた。

 そして、人の気配を屋敷の二階から感じ取った。

 俺はそれと同時に屋敷に走ると、二階の襖が開き、中から血塗れの男性が飛び出してきた。

 それを見た善逸が絶叫を上げ、俺はその男性を助けるために動く。

 

「ギャァァァァ―――ッ‼」

「危ない!」

 

 屋敷の壁を蹴り、空中に飛び上がって男性を抱きかかえて、地面の土を滑って削りながら着地する。

 男性の顔色は悪く、体の至る所から出血している。明らかに重傷だが、致命傷になるような傷は見た感じ確認できない。

 

「善逸! 何か敷くものはないか⁉ 寝かせるにしても、傷口に地面の雑菌を触れさせたくない!」

「……え、えぇ⁉ そ、そんな急に……と、とりあえずこれで……」

 

 善逸が羽織っていた黄色い羽織を脱いで、地面に敷いてくれる。俺はその上に男性を寝かせ、懐から前に鱗滝さんに貰った傷薬と、念のために買っておいた包帯を取り出す。

 大丈夫だ。手当てをすればまだ助かる。この人は助けられる!

 俺は手遅れにならないよう、男性の傷の深いところから薬を塗り、包帯を巻いて止血をする。どうやら痛みが強すぎて気絶してるみたいだな。

 すると、俺の治療するところを見ながら、善逸が問いかけてきた。

 

「随分手際がいいけど、慣れてるのか?」

「慣れてるってわけじゃないけど……()()()()()()()()()()()()()()()()

「……あれ? 炭治郎ってお姉さんいるの?」

 

 あ、しまった。つい前世の姉のことまで話してしまった……。まあ、別に大丈夫か。

 

「まあ、うん……そんなところ……よし、応急処置は完了だ。俺は医者じゃないから詳しくは分からないし……善逸、頼めるか?」

「この人を連れて医者のとこに行けってこと? ……それは別にいいけど……この人って、あの二人の……」

 

 俺たちは二人に視線を向けるが、二人は突然現れた死体っぽい見た目の男性に恐怖を抱いて涙を流しながら、無言で首を横に振った。

 どうやら、この人は二人のお兄さんじゃないみたいだな。

 

「よし。二人とも、危ないからここに居てくれ。大丈夫だ。バケモノは日の下にはやってこれないから、太陽が出てる間は安心してくれ。もし太陽が沈むまでに俺が戻ってこなかったら、迷わず家に帰るんだ。いいな?」

「う、うん……」

 

 俺の注意に二人が頷く。

 よし、次だ。

 

「善逸、この人の生死はお前に掛かってる。頼むぞ」

「う、うぅ……わ、分かったよぉ……鬼と戦わないでいいなら俺も頑張るけど……炭治郎はやっぱり……?」

「……あの二人のお兄さんを助けないといけないからな。それに多分、お兄さんだけじゃないと思うんだ。捕まってるのは」

 

 既に二人捕まっている人がいる以上、あと何人かの人が捕まってると考えた方がいい。その人たちの為にも、急いで鬼を倒さないと。

 

「……あ、そうだ、二人とも。もしもの時のために、この箱を置いていく。この中には俺の妹がいるから、何かあったら二人を守ってくれる。でも、絶対に太陽の下で開けたらダメだぞ?」

「妹……?」

「ああ。とっても強いんだ。な?」

『……ん? なに、どうしたのお兄ちゃん?』

 

 俺は禰豆子の入っている箱を木陰に置き、禰豆子に話しかける。向こうもどうやら今起きたようで、グッと伸びをする雰囲気を感じた。

 そういえば、禰豆子は二年間寝てたから原作知識があるのか。じゃあ、今何が起きてるのかもわかるのかな?

 まあ、そんなことは置いといてだ。

 

「じゃ、行こうか善逸」

「な、なぁ! ……死ぬなよ、炭治郎」

「! ……当たり前だ。善逸も頼んだぞ」

 

 善逸は男性を抱え、医者のもとに。俺は鬼を倒す為に……それぞれの目的の為に歩みだした。

 

 




最後に禰豆子声だけ出演しましたが、声だけじゃ善逸は禰豆子のことが完全には分からなかったので特に騒ぎませんでした。

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