竈門炭治郎になったけど妹まで同類だった   作:シスコン軍曹

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鬼屋敷ってお化け屋敷みたい。
あと、今回は今までと書き方を変えて三人称視点にしてみました。
どっちの方がいいかアンケートを取るので出来ればご協力ください。


鬼屋敷と猪、そしてタンポポ

「……よし、とりあえずは誰もいないな。お邪魔しまーす」

 

 能天気にふるまいつつ、欠片も警戒を怠らないで屋敷に入る炭治郎。

 ここの鬼は、今までよりも気配が濃いのが分かる。なにしろ、根城にすら気配がこびり付くのだ。

 襖を開き、鬼を探しながら少しづつ家の構造を把握し、迷わないよう気を付ける。

 

「……さっきの二人は……よし、追ってきてはいないな。禰豆子が相手をしてるのか?」

 

 禰豆子は普通とは違い、普通に人として他人と接することが出来る上に、鬼の本能を押さえつける事にも人一倍……いや、鬼一倍長けている。

 彼らを喰らうということはまずないし、むしろ守ってくれるだろう。

 そんな優しい彼女でも、鬼であるというだけで抹殺対象になる。それ故、一刻も早く人間に戻してやらねばならない。

 ここに居る鬼が鬼舞辻無惨に近い鬼なら、以前出会った珠世という鬼医者が、鬼を人間に戻す薬を作るための手助けになるはず。

 そう思い、炭治郎は新たに襖を開けると、

 

「……は?」

 

 その先には、真っ暗な部屋の中、猪の被り物をし、腰に刃毀れの酷い日輪刀を携えた男性でがいた。

 上半身は何も着ていない。文字通り半裸である。腰には鹿の毛皮と鬼殺隊の隊服のズボン。どう見ても普通の装いではなかった。

 

「ん?」

 

 すると、男性の方も炭治郎の存在に気づいたのか、彼の方を振り向く。

 

「……なんだテメェ?」

「それはこっちの……セリフって通じるかな? ……まあいい。俺は竈門炭治郎だ!」

「かまぼこ権八郎?」

「いや誰だ⁉」

「お前だろ。何言ってんだ頭おかしいのか?」

「違うわ! 俺の名前は竈門炭治郎だ! 間違えるな! それだと食べ物みたいで、ちょっと美味しそうとか思われるだろうが!」

「そうか悪かったな。代わりに俺様の名前を教えてやるよ。俺は嘴平伊之助だ!」

「そうか、いい名前だな!」

「そうだろう! 何しろ俺の名前だからな!」

 

 最初の文字にそが三回続く会話を繰り広げながらさりげなく自己紹介をする二人。

 

「君はどうしてここに?」

「三日くらい前に鬼の気配を感じて入った。だが、どういう訳か部屋が急に変わりやがるせいで見つけらんねぇんだ」

「それはつまり三日もここに居たということか⁉ あと、それは恐らく鬼の血鬼術だな!」

「血鬼術?」

「ああ。鬼は強くなると異能の力を扱うんだ。それを血鬼術という」

「つまり、この屋敷の鬼は部屋を入れ替える力を使うってことか?」

「推測だが恐らくそうだろう。……なあ、君も鬼殺隊だろ? 一緒に鬼を探さないか?」

「断る!」

 

 炭治郎の提案を考える間もなく拒否する伊之助。

 

「ええ⁉ そ、それはどうして……」

「この屋敷の鬼を殺すのは俺だ! お前に横取りされてたまるか! じゃあな!」

「うわっ⁉」

 

 短く別れを言い、伊之助はすごい勢いで部屋を飛び出していく。

 それをただ呆然と見つめていた炭治郎だが、突如鼓の音が響き、部屋が切り替わった。

 目まぐるしく変化していく部屋に、炭治郎が警戒心を強めていると、今までより断然広い部屋で変化が止まった。

 部屋は天井に明かりが六つぶら下がっており、二階分の高さがあった。

 そして、炭治郎は出入り口の方から、強い鬼の気配を感じ取り、腰の刀に手を添えながらそちらを振り向く。

 

「……、」

 

 そこには、全身に鼓が埋め込まれ、赤い瞳をした灰色の肌の鬼がいた。

 無言で佇むその姿は、今まで対峙したどの鬼よりも強い威圧感を放っており、炭治郎は無意識に冷や汗を流す。

 しかし、逃げるつもりはない。己の弱さは既に痛感している。慢心は絶対にしない。

 その決意を胸に、鬼へと声を掛けた。

 

「お前! この屋敷の主だな! 俺は竈門炭治郎。今からお前を斬る!」

「……、」

 

 炭治郎の言葉に答えるどころか、欠片も反応を示さない鼓の鬼。

 炭治郎はそれを、戦闘で言葉を交わすつもりはないんだなと勝手に解釈し、水の呼吸を使って勝負を決めに行く。

 

(水の呼吸【壱ノ型 水面――⁉)

 

 水を纏った刃が、横一線と振るわれ、鬼の頸元へと到達する瞬間、部屋が回転し、炭治郎は重力に従い落下する。

 そのせいで体勢が崩れて技が不発になってしまったが、この特殊な血鬼術を見て、炭治郎は思い出した。この鬼の正体を。

 

(……そうだ。この鬼は、確か響凱(きょうがい)! 元十二鬼月で、確か『稀血』の子供を狙ってる……)

 

 だが、相手の情報が分かったとしても油断してはならない。矢琶羽の時にそれで痛い目を見たのを忘れてはならない。

 さらに、彼のことを思い出すのと同時に、炭治郎は伊之助の事も思い出した……が、今は関係ないのでいったん頭の隅に追いやった。

 そして再び、炭治郎から見て壁に張り付いてるような立ち方をする響凱に対し、刀を構える。

 

「あいつらさえ…あいつらさえ邪魔しなければ……!」

 

 そこで初めて言葉を発した響凱。そして炭治郎は、この部屋に向かってくる新たな気配を感じ取った。

 鬼のものではない。ならば、必然的に該当する者は一人。

 

「ハハハハハ――ッッ! 猪突猛進! 猪突猛進ッ‼」

 

 凄まじい叫びとともに、部屋の襖を破って侵入してくる伊之助。

 伊之助は刀を抜いて着地するが、直後に炭治郎の存在に気づき、憤りを見せる。

 

「おい! なんでテメェがここに居る権八郎!」

「だから俺は……もういい! それより、アイツがこの屋敷の主だ!」

「知っている! そして、それを破るのは俺だ!」

 

 そういって伊之助が真正面から響凱に向かって突進する。しかし、響凱は再び鼓を叩くことで部屋を回転させ、伊之助の態勢を崩させて攻撃を失敗させる。

 

「ヒャハハハハ! 部屋がぐるぐる回ったぞ! 面白いぜ! 面白いぜぇーーッ!」

 

 しかし、伊之助はそれを意にも介さず、むしろ楽しんですらいる。

 そんな伊之助に、炭治郎が忠告する。

 

「真正面から行ってもダメだ! 作戦を練ろう!」

「あァ⁉ 俺に指図してんじゃねぇ!」

 

 伊之助が苛立った様子を隠そうともせず、手に握る刀で炭治郎に切りかかった。

 突然味方だと思っていた人物に切りかかられ動揺するが、なんとか受け止める炭治郎。

 

「へぇ……俺の攻撃を止めるとは、少しは出来るみてぇだな! オラッ!」

 

 伊之助から振るわれる連撃を、なんとか耐えきる炭治郎。

 

「ちょ、よせ! お前も鬼殺隊だろ! 鬼を無視するのか⁉」

「うるせぇ知るかァ!」

「虫め…消えろ…死ね!」

 

 炭治郎と伊之助が言い合っていると、響凱が業を煮やしたのか、鼓の一つを叩く。

 ポン、という音ともに、嫌な予感がした炭治郎と伊之助がその場を飛び離れる。

 すると、先ほどまで二人のいた場所がまるで爪に引っかかれたかのように裂けた。もし、まともに食らっていれば即死だろう。

 再びポン、ポン、と。鼓の叩く音が響く。それを拍子に部屋が回転するが、その動きには規則性があることをすでに炭治郎は見抜いている。

 

(出来れば伊之助には協力してほしい……けど)

 

 チラリ、と。伊之助のほうを見るが、次々部屋が回転することに興奮していて、完全に炭治郎の存在を意識の外に追いやっているのが分かる。

 こんな状態では作戦を練るなど不可能だろうし、そもそも伊之助がそれを聞き入れるとは思えない。

 更に言えば、まだあの二人のお兄さんを見つけていない。とにかくやることが多いので、今更だが善逸に来て欲しいと強く思った炭治郎だった。

 

「ハハハハハ――ッ! さァ、屍を晒して俺がより強くなるための、踏み台となれェ!」

 

 そういって、伊之助が響凱に突貫した……その瞬間、

 

「うおッ⁉ くそ、またこれか!」

 

 鼓の音が鳴り、部屋が切り替わった。響凱の姿は消え、部屋には伊之助と炭治郎だけが残る。

 だが、響凱は鼓に手を触れてはいなかった。それはつまり、部屋の切り替えは彼の意志ではないということ。

 どうやら、部屋を切り替える鼓は響凱以外の誰かが持っているらしい。

 

「チッ!」

「あ、おい!」

 

 伊之助は再び鬼を探す為に部屋を出ていった。それを引き留めようかと思ったが、ぶっちゃけると戦いになるのが面倒なので、放っておくことにした。

 三日間この屋敷にいたというなら、ちょっとやそっとではやられないだろうし、とりあえず最優先はあの二人のお兄さんを見つけることだ。

 だが、そこで問題が発生した。

 

「あれ? お兄さんって……どんな姿なんだ?」

 

 そう。炭治郎はお兄さんの特徴を、何一つとして聞いていなかったのだ。

 それは人探しにおいては致命的過ぎる。なので、炭治郎は予定を変更し、お兄さんを探しつつ響凱を撃破することにした。

 この屋敷に巣くう鬼を倒せば、必然的にお兄さんの安全は確保されるからだ。

 

「よし、行くか」

 

 そうして、炭治郎は部屋を出てお兄さんと響凱を探すために走った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方そのころ、屋敷の外では。

 

「……大丈夫かな、炭治郎さん」

『大丈夫大丈夫。お兄ちゃん意外と強いから』

「い、意外となんだ……」

 

 屋敷の外で待ち続ける少年少女……正一とてる子は、箱の中にいる炭治郎の妹である禰豆子と話しをしていた。

 最初は禰豆子も鬼であると知って恐れた二人だが、禰豆子が怖くない鬼だと分かると安心しきって、すっかり打ち解けていた。

 

「ハァ……ハァ……あれ? どうしたの二人とも」

「あ、善逸さん」

 

 すると、怪我を負った男性を医者のもとまで運んでいた善逸が荒く息を吐きながら戻ってきた。

 汗をびっしょりと掻き、相当急いで走っていたことは、その額に掻く汗や佇まいから容易に想像がついた。

 

「えっと……あの人は?」

「だ、大丈夫だって。応急処置がしっかり施されていたから命に別状はないってさ……ハァ、ハァ」

「……だ、大丈夫ですか?」

「え、へ、平気平気! これくらい爺ちゃんの修行に比べたらなんてことないから!」

 

 そういって軽快に笑いかける善逸。

 

「えっと、この中にいるのが炭治郎の妹さん? 初めまして、俺は我妻善逸です」

『……どうも、竈門禰豆子です』

「おぉ……! 凄い、鬼の音がするのにちゃんと話が出来る! しかも女の子! もう最高じゃん!」

『……えっと、善逸さんはどうしてここに? 屋敷の中にはいかないんですか?』

「へ? いや、俺が入っても死ぬだけだし、炭治郎の足を引っ張るだけだしね。うんうん」

 

 そういって腕を組んで頷き、自分を納得させるように言う善逸に、禰豆子がいった。

 

『私、善逸さんのカッコいいところみたい……!』

「待ってろ炭治郎今行くぞォォォォォ―――ッッ!」

 

 先程までの怖がり様が嘘のように元気いっぱいに屋敷へと突入していく善逸。

 その後ろ姿を見届けながら、正一とてる子は禰豆子のほうを見る。

 

『あ、私寝るから……猪の被り物してる男の人来たら起こして。……スヤァ』

「……え、ホントに寝たの?」

 

 マイペースな禰豆子に振り回された二人であった。

 




伊之助のキャラ難しいな、これでいいのか?
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