竈門炭治郎になったけど妹まで同類だった   作:シスコン軍曹

15 / 45
アンケートで三人称視点の方が上だったんで三人称視点でいきます



鬼屋敷の戦い

「駄目だ、見つからない……どこにいるんだお兄さんは……?」

 

 散々屋敷の中を歩き回る炭治郎だったが、一向に探し人であるお兄さんを見つけることが出来ずにいた。

 ただでさえ広い屋敷なのに、途中で鼓の音とともに構造が変わっていくせいで、全く進展していなかったのだ。

 一つずつ扉を開け、中をじっくりと確認するが、人っ子一人見当たらない。

 

「……もしお兄さんが鬼に襲われて死んでいたら、あの子たちに示しがつかない。早く見つけないと――⁉」

 

 廊下の突き当りを曲がり、先へ進もうとした時、手のようなものが出てきて炭治郎の進路を塞ぐ。

 そのまま突っ込めば頭を握りつぶされていたかも知れない。なにしろ、その手の持ち主は――

 

「避けたな。随分生きのいい人間だ。おめーの肉は抉り甲斐がありそうだ」

 

 鬼だった。

 体は凄い肥満で、肉付きが凄い。筋肉というよりは脂肪の塊に近い鬼だった。

 

「悪いが、人を探してるんだ!」

「ほー、それは柿色の着物を着た稀血の餓鬼か? 俺も探してるんだよ」

 

 柿色……この屋敷で生きている子供なら、もしかしするとその子がお兄さんかもしれない。

 そう思い、お兄さんの情報が得られて内心ほっとしつつ、鬼への警戒を高めてる炭治郎。

 刀を抜き、水の呼吸の構えを取る。

 

「はぁ!」

「正面から向かってくるとはいい度胸――」

「水の呼吸【肆ノ型 打ち潮】ッ!」

 

 炭治郎の放つ連続の斬撃が、鬼が伸ばした手とを切り落とし、その頸を()った。

 鬼はすぐさま灰となり消滅する。

 

「……先を急がないと」

 

 響凱以外にも鬼はいる。もしお兄さんが襲われては太刀打ちできない。

 最悪の展開を予想し、そうならないよう先を急ぐ炭治郎。

 

 

――――――

 

 

 そのころ、善逸は。

 

「……勢いで入っちゃったけどさ……無理じゃね? 俺超弱いよ? カッコいいとこなんて一つも見せられないよ?」

 

 誰へともなく言い訳するように善逸が呟く。しかし、返ってくるのは沈黙だけだ。

 そして、自分一人しかいない状況に不安を募らせていく善逸。

 

「やばいよどうしよう……どこにいるんだよ炭治郎……早く俺を見つけてくれよぉ……!」

 

 先程までのやる気が嘘のように消えていた。

 そして、善逸の耳に妙な音が入ってくる。じゅるるると、舌なめずりするような、そんな音だった。

 嫌な予感がし、脳が警戒を促している。後ろを振り返るな。前だけ見て走れ、と。

 しかし、善逸は振り返ってしまった。後ろには何もないと、そう思いたかったのだ。そして、それは悪手だった。

 

「子供だ…舌触りがよさそうだ」

 

 四つん這いで地べたを這い、舌がカエルのように長い鬼がそこにいた。

 

「出ぇぇぇぇぇぇぇたぁぁぁぁぁぁぁぁーーッ⁉⁉⁉」

 

 瞬間、汚い絶叫を上げて走り去って逃げる善逸だったが、鬼の身体能力は伊達ではなく、善逸に追い縋っている。

 

「ちょ、待ちやがれ小僧!」

「いやいやいや無理無理無理ッ! これは無理だって! 来ないで来ないでやめてぇぇぇぇぇーーッ!」

 

 善逸は近くの襖をあけ、頭から飛び込んだ。

 

「ひっ⁉」

「……ん? 君は……」

 

 その部屋には、足に怪我を負った()()()()()()()()()()が、鼓を持って座り込んでいた。

 彼は善逸……より正確に言えば、彼の背後に佇む鬼を見て怯えていた。

 

「へへっ、こりゃついてるな。まさか例の稀血の餓鬼を見つけちまうとは」

「いぎゃぁぁぁああああああああーーッ! 追って来てたぁああああああああーーッ⁉」

 

 涙で顔をぐちゃぐちゃにしながら、柿色の少年の近くまで下がる善逸。

 

「え、ちょ、なんでこっちに⁉」

「ごめんね君! 俺なんかのせいで危ない目に遭わせちゃって! 出来れば君だけでも逃げてお願い! 俺はもう恐怖が八割足に来て無理なんだ!」

「そ、そんなこと出来ないですよ!」

 

 え、滅茶苦茶いい子じゃん、と善逸は思った。

 見ず知らずの彼をおいて逃げる事などできないと、怪我を負って恐怖で涙を流しながら言う少年の姿は、善逸にはとても尊いものに感じた。

 せめて彼だけでも守らないと、可哀そうだ。そう思い、なんとか立ち上がって刀を抜こうとするが、

 

「へへへっ……お前たちの脳髄を耳からじゅるりと(すす)ってやるぞ!」

「あ、無理」

 

 瞬間、まるで眠るように気絶する善逸。

 

「え、ちょっと⁉ 危ないですって、早く逃げないと!」

「なんだそいつ……?」

 

 敵の前で眠る善逸に鬼が疑念を持つが、柿色の着物の少年の血の匂いに、その疑念を頭の隅に追いやった。

 

「あ、あぁぁ……!」

 

 柿色の着物の少年が絶望の表情で鬼を見て、そんな彼を見た鬼は下種な笑みを浮かべて舌を変えるの様に伸ばした。

 少年は思わず目を瞑り、いずれ襲ってくるであろう痛みに備えた。

 鬼の舌が少年と善逸の二人の頭を真っ二つにしようとする……その瞬間―――

 

「……えっ?」

 

 いつまで経っても襲ってこない痛みに疑問を抱き、少年が目を開けると、顔を俯かせた状態で立つ善逸がいた。

 

「な、なんだ……?」

 

 舌を切り落とされた鬼が、困惑の声を上げる。

 いつの間にか畳の上に落ちている舌。刀を持って起き上がっている善逸。それらを確認し、漸く自分が助かったことを自覚した少年。

 すると、そんな彼に、仕草で下がっているよう伝える善逸。無言で鬼に立ち向かうその姿は、先ほどまでの情けない姿とはまるで別人のように頼りがいがあった。

 

「雷の呼吸……【壱ノ型――」

 

 腰を落とし、刀を納刀した状態で対峙する。

 そして、ほんの刹那の瞬間、善逸の刀が抜かれた。

 

「――霹靂一閃】」

 

 いつの間にか、善逸は鬼の()()()()()。そこまでの間に、電気が迸っているのが見えたが、少年は気にもならなかった。

 チャキン、と。刀を鞘に納める音が部屋に響く。その瞬間、鬼の頸が飛び、傷口から血が噴水の様に噴き出す。

 鬼は自らがなぜ殺されたのかも理解できないまま、絶命した。

 

「……嘘……だろ」

「うぅ~……うん? あれ? 鬼は……あ」

 

 体が灰となって消えたことで、鬼はこの世から消えた。

 それと同時に、眠っていた善逸は目を覚ますが、いつの間にかいなくなっている鬼に戸惑いを見せた。

 

「もしかして……君が?」

「えっ」

 

 瞬間、嬉し涙を流しながら少年に縋りつく善逸。

 

「うぉおおおおおッ! もうそんなに強いなら最初に言ってよぉぉぉぉぉおおおおおおおッ! ありがとぉぉぉぉぉぉおおおおおお―――ッ!」

 

 少年は、目の前で何も知らないと言った感じで縋りついてくる善逸を見て、ただただ困惑していた。

 

 

――――――

 

 

 そのころ、伊之助は。

 

「ハハハッ! ようやく見つけたぜ、屋敷の主!」

「……、」

 

 散々走り回った中、いきなり変わった部屋で、響凱と二人っきりになっていた。

 高笑いを上げながら、二本の日輪刀を構えて、響凱へと殺気を飛ばす伊之助。

 

「……忌々しい……」

 

 ポン、と。

 響凱が鼓を叩くと、部屋が回転する。しかし、既に伊之助はどの鼓を叩けば部屋が回転するのか、完璧に記憶していた。

 唯一分からないのが部屋の切り替えだが、それは次の時に見極めればいい。そう思い、響凱へと突貫していく。

 

「行くぜ! (けだもの)の呼吸【壱ノ牙 穿ち抜き】ッ!」

「チッ! 消えろ虫けら! 超速鼓打ち!」

 

 伊之助が全力で二刀を使って突きを放つ。

 響凱は回転が把握されたと分かるや否や、目に見えないスピードで鼓を何度も叩き、部屋を縦横無尽に回転させた。

 伊之助の刃は響凱には届かず、彼は回転する部屋で次々と方向が変わる重力に振り回される。

 

「うはははははッ! すげぇすげぇ! 何だこの技、凄すぎるぜ! 見た事もねぇ! 面白れぇ!」

「⁉ す、ごい……?」

 

 一瞬、響凱の動きが止まった。

 それに合わせ部屋の回転も止まり、伊之助が地面を蹴って加速した。

 

「ハハハッ! テメェはすげぇ! だが、俺の方が凄い! 獣の呼吸【参ノ牙 喰い裂き】ッ!」

「ガ――⁉」

 

 間合いを詰め、交差した腕から放たれた二刀の振り抜きが、響凱の頸を跳ね飛ばした。

 宙を舞う響凱の頸が地面に落ち、彼の体が灰となって崩れていく。

 己の死を実感しながら、響凱は伊之助に問いかけた。

 

「おい、小僧……」

「ん?」

「小生の血鬼術は……凄かったか?」

 

 一瞬、血鬼術とはなんだと思う伊之助だが、炭治郎が響凱が使う部屋を操る力だといっていたことを思い出す。

 

「おう! 凄かったぜ、この俺の次にな!」

「……ふっ、小生を破ったのだから、劣るのは必然。だが、それでも次、か……それだけあれば、じゅう、ぶ……」

 

 完全に消滅した響凱を見ながら、伊之助は思う。

 

(今までそんなこと聞いてくる鬼はいなかった……なんなんだ?)

 

 響凱の頸を切った刀を見ながら考えるも、答えは出てこなかった。

 

 

――――――

 

 

「……なんだ、この感じ……?」

 

 屋敷を走り回っていた炭治郎が、突如違和感に気づく。

 今までの先の見えない迷路のような雰囲気を纏っていた屋敷から、そう言った気配が完全に消えた。

 集中すれば、屋敷から感じていた鬼の気配も感じなくなっている。

 

「鬼はみんなやられたのか? 伊之助がやったのか? それとも……」

「ヒィィ! なんで鼓消えたの⁉ もうどういうこと⁉」

 

 すると、近くの襖から善逸の叫び声が聞こえてきた。

 炭治郎は急いで声の聞こえる部屋へ入った。 

 

「善逸!」

「うぇ……? 炭治郎……⁉ うわぁぁあああああーーッ! 怖かったよぉぉおおおおおおーーーッ!」

 

 泣きじゃくりながら炭治郎に縋りつく善逸に、炭治郎は苦笑いを浮かべる。

 

「なあ、善逸、そっちの子は……?」

「ああ。えっと、名前は清っていうんだ。多分だけど、あの子たちのお兄さんだと思う」

「そっか。善逸が守ってくれてたのか。ありがとうな」

「えっ、いやいや、俺清君に守ってもらってたんだよ? 勘違いしないでね?」

 

 真顔で言う善逸に、炭治郎は複雑な笑みを浮かべた。

 そして、三人で出口へ向かう。清は怪我をしていたので、善逸がおぶさって運んでいる。

 

「なあ、善逸。あの男性は大丈夫なのか?」

「命に別状はないってさ。炭治郎の応急処置のおかげって言ってたぞ」

「……そっか」

 

 自分の行動で人の命が救われた。そう思うと、炭治郎は自分の胸に熱いものがこみあげてくるのを感じた。

 しばらく歩いていると、遂に出入り口までやってきた。

 外から伊之助の気配しないから、禰豆子が襲われている心配はなさそうだ。

 そう思い、内心安心する炭治郎。

 扉を開くと、すぐ近くで箱に向かって話をする二人を見つけた。

 

「あっ! お兄ちゃん!」

「てる子! それに正一!」

「ぶ、無事でよかったぁ……!」

 

 兄妹感動の再会だった。彼らの流す涙が悲しみの涙にならなくてよかったと、ほっと胸をなでおろす炭治郎。

 すると、

 

「猪突猛進ッ!」

 

 そんな叫びとともに、二階の部屋から伊之助が飛び出してきた。

 

 




え、主人公が一番活躍してない?言わないで。
響凱の血は入手できなかったけど十二鬼月の血取れば十分だよね?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。