竈門炭治郎になったけど妹まで同類だった 作:シスコン軍曹
あとなんか遊郭の話で苦情来てるとかいう噂を耳にしたんですけど、マジなんですか?
前回投稿から約一月経っていることについて弁明?
シスコン軍曹「……弁明すれば、怒らないのか? 本当に、怒りのコメントは来ないのか……? 低評価だけ済むのか?」
読者の皆様(作者の妄想)「(ニタァ)ああ、怒りのコメントは送らないでやる。低評価と引き換えのギブアンドテイクさ。言えよ……早く言え!」
シスコン軍曹「だが断る」
すみません、やってみたかっただけです。投稿が遅くなり誠に申し訳ございません
とある日の夜。
大きな屋敷の一室で、一人の少年が本棚を漁っていた。
整った髪と顔立ちに、まるで包帯のように白い肌。寡黙な雰囲気を纏い、冷めた視線で熱心に何かの書物を探している。
「御報告に参りました」
そんな少年のもとに、刺青の入った男が窓の外から声を掛けた。
猗窩座。
上弦の参の名を冠する鬼であり、つい先ほどまで鬼殺隊と死闘を演じた男だ。
それ程の猛者が、恭しく頭を下げ、敬語で話しかける少年は一体誰なのか?
「無惨様」
「……
無惨……すなわち鬼の首領、鬼舞辻無惨。
この小さな少年が、あの鬼舞辻無惨なのだ。今はとある製薬会社の家系の養子の少年に擬態しているようだ。
「いえ、調べましたが、確かな情報はなく、存在も確認できず……”青い彼岸花”は見つけられませんでした」
「で?」
猗窩座の報告に、間髪入れずに催促を促す無惨。
あまりにもあんまりな塩対応に、猗窩座は眉一つ動かさず、
「……無惨様の御期待に応えられるよう、これからも尽力しま――」
「期待に応える? 貴様のような愚かな男がか?」
瞬間だった。
猗窩座の衣服が裂け、その身が糸で引き絞られているかのように軋む音を立てる。
無惨の
常人ならば発狂死し、普通の鬼でも即死するであろう激痛に、猗窩座は動じることなく耐える……ただひたすらに。
「話を逸らそうとしているな? 貴様には”青い彼岸花”以外にも、柱を殺すこと、耳飾りの小僧を殺すことを指示したはずだ。なのに貴様は、柱どころか小僧一人殺せず、あまつさえ逃れの鬼に苦戦を強いらされ、結局あの場の人間をだれ一人殺すことが出来なかった。……貴様は私の命令を何だと思っている? 最低限柱は殺さねば駄目だろう、馬鹿でもわかる。私の望みは鬼殺隊の殲滅……一人残らず叩き殺して二度と視界に入らせないようにする事……この単純な命令の、何が理解できないのだ? なあ、猗窩座……いや、敢えてこう呼んでやろうか? ――馬鹿座」
いつの間にか、猗窩座の肉体はボロボロになっていた。
腕は腐ったように落ち、顔の面積の八割がひび割れで埋め尽くされている。足もひしゃげて、既にまともに立つことすらできていない。
そんな状態でも……上弦の鬼の矜持なのか、彼は悲鳴の一つも上げなかった。
ふん、と無惨は鼻を鳴らし、
「お前には失望したぞ。貴様のような愚者に座らせてやれるほど、”上弦の参”は安くない。これ以上失態を犯せば、上弦であろうと始末する……肝に銘じておけ。……下がれ」
死に体の猗窩座が、小さく一礼し、部屋を去る。
その姿を横目で見届けた無惨は、先の戦闘で起こった猗窩座の変化について考えていた。
(猗窩座……人間の頃の記憶を取り戻しかけた瞬間、私の呪いを外しかけていた。……念のため、記憶は封印したが……あの状態では、気休めか)
あれほど愚かだ何だといっていたが、無惨は上弦の鬼の中では猗窩座は一、二を争うお気に入りだ。
だからこそ、猗窩座にはなるべく裏切って欲しいとは思わない。命令に忠実なのはいいことなのだ。
(にしてもあの小僧……猗窩座の視点越しだったが、何も出来ずに這いつくばるしかない姿は実に滑稽だったな。……あの化け物と同じ耳飾りをしているということで警戒していたが、あの様子なら問題はないだろう。……問題は、奴の妹のほうだ。あの小娘、人間を一人も喰らうことなく、既に上弦並の力を付けている……これは由々しき事態だ。鬼の常識は通じない存在……要警戒対象だな。……待てよ?)
無惨の本を捲る手が止まる。
(あの小娘は、元来の鬼とは異なる変化を遂げている。……ともすれば、太陽を克服する可能性があるのでは……? あの耳飾りを受け継いでいる小僧の妹なら、それぐらいの予想外はあって然るべき……)
無惨の目的は太陽の克服。そのために、己では出来ない太陽を克服する鬼の誕生を待ち続けて、既に千年が過ぎた。
無論、本気で禰豆子が太陽を克服する鬼となると信じているわけではない。
しかし、無惨本人ですら予想だにしない事態が彼女の身に起こっているのは確固たる事実。
今まで影の形も掴めなかった、もう一つの太陽を克服する鍵である”青い彼岸花”よりも、禰豆子のほうがまだ可能性がある。
「……ふむ、禰豆子とかいう小娘に少々人員を割くべきだろうか?」
無惨が今後の計画を練っていた……その時。
コンコン、と。
彼の部屋を小さく叩く音が聞こえた。
「坊ちゃま、夕飯のご用意が出来ました」
「――分かりました、直ぐに向かいます」
今までの傲岸不遜な態度が一変、紳士然とした雰囲気で部屋に入ってきた使用人の女性に応対する無惨。
彼は人間に化ける。鬼殺隊の目を欺くため、必要な物資や資金を揃えるために……そのためなら、己の性別や年齢、性格すら欺く。
こうして、鬼の始祖は人の世界に身を隠していき……影も形も掴ませないのだった。
次回からいよいよ遊郭編の序章です! ……章立てしたほうがいいかな?