書記長が行く第四次聖杯戦争   作:ガチタン愛好者

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第1話~召喚~

こんな言葉をご存じだろうか?

 

[1人を殺せば犯罪者だが、100万人殺せば英雄になる]

 

であるならば100万人を優に越える人間を死に追いやった彼は英雄になる権利があるのだろう。

 

 

 

「抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!」

 

無数のおぞましい蟲に囲まれ、今にも倒れそうな表情で召喚の儀式を行うのは間桐雁夜。彼は聖杯戦争に参加し、恐ろしい調教を受けている桜を救うために文字通りその身を削って召喚を行っていた。

 

[頼む!どうか、桜ちゃんを救えるようなサーヴァントを!そのためなら……俺は悪魔とだって契約してやる!]

 

口に出すと失敗する可能性があるためそう強く念じながら詠唱を続ける。術式は正しく作動し、光輝く魔方陣から姿を表したのは

 

「ふむ、サーヴァントバーサーカー、召喚に応じた。これから宜しく頼むよ?同志(マスター)

 

「なっ!?」

 

恰幅の良い、ふさふさの髪と凄まじいオーラを纏った軍服姿の人物が立っていた。あり得ない。それが雁夜が抱いた第一印象だった。確かに彼は既に死んでおり召喚される可能性が無い訳ではなかった。実際形はどうあれ英霊の座に刻まれるようなことも成している。しかしだ。

 

「まさか……あり得るのか?あなたのような現代の人物が召喚されるなんて……」

 

自然と口調がへりくだったものに変わる。魔術に囚われず世界を見ていた雁夜は彼のことをよく知っていた。彼を知っていれば誰でもこうなるだろう。しかし、彼を知らなければ話は別だ。

 

「あぁん?誰じゃ?こいつは?どう見ても円卓の騎士ではない。しくじったか、雁夜。それに現代のだと?使い手が使い手ならサーヴァントもその程度か。儂が知らんのだ。よほど名も無き英霊であろうよ」

 

「なっ!」

 

絶句する雁夜。この男、臓硯は知らないのだ。鋼鉄の男を。

 

「ふむ、そこの同志(マスター)はいいとして……君は誰かね?」

 

先程の臓硯の言葉に一層オーラを強くする男。それに対して

 

「カカカ!儂か?儂は臓硯という。まあ期待はしとらんよ。せいぜい頑張るんじゃな」

 

その物言いに思わず青ざめる雁夜。そして

 

「そうか、では………シベリアで木でも数えて来たまえ

 

その言葉は何か力が籠っていたのだろう。重かった。しかし、

 

「何じゃ?何かおかしなことをしたのか?貴様。まあ良い。特に何も起こっておらぬらしいわ」

 

重い言葉に反して何も起こらない。ただの脅しだろうか?しかし自分に向けられている訳でもないのにその言葉に身体が震え始める雁夜。それを見た男は

 

「ふむ、同志(マスター)は私のことを知っているらしい」

 

「はい。存じ上げております」

 

「何じゃ?雁夜よ。そんなサーヴァントごときに萎縮するとはなぁ。情けないのぉ」

 

最早雁夜は身体の震えに加えて冷や汗がダラダラと流れ始める。一体どれだけ貶せば気が済むというのだ!この爺は!

 

「では名を隠す必要は無さそうだな。改めて名乗ろう。サーヴァントバーサーカー、ヨシフ・スターリンだ」

 

「知らんな」

 

一般的な人間であれば知っているであろう。というか世界中で知らない人間を探す方が難しい人物。それがヨシフ・スターリンだ。しかし臓硯は生き長らえることと魔術に没頭していたため知らなかったのだ。そして彼は忘れていた。召喚されるということは腐っても英霊ということ。英霊というものはたとえ程度が低くとも常人より凄まじい力を持っているということを。

 

「ほお、知らないと、この私をか。ふむ………。まあ良い。我が同志(マスター)も見ての通り疲れているらしい。今日はこの辺でお開きとしようか。では」

 

そう言い残し部屋を立ち去るスターリン。残されたのは雁夜と臓硯だ。

 

「おい」

 

「何じゃ?」

 

「臓硯。今までありがとうな」

 

「何じゃいきなり。気でも触れたか?」

 

雁夜は知っていた。シベリアで木を数えるという意味を。

 

 

 

臓硯の体は複数の蟲の集合体だ。眠る必要はない。そんな臓硯がいつものように地下の蟲蔵で夜を過ごしていると。

 

コンコン

 

蟲蔵の扉が叩かれた。

 

「ん?こんな時間に誰じゃ?入れ!」

 

しかし扉は開かない。

 

「面倒な。向かうか」

 

扉に向かう臓硯。そして扉を開けると………

 

その夜。生にしがみついていた一人の男が姿を消した。

 

 




スターリンの口調を知らないので自分的にこうだろうなぁという口調で行きます。
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