書記長が行く第四次聖杯戦争   作:ガチタン愛好者

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第9話~キャスター討伐~

徹底的に破壊され跡形もなくなったキャスターの工房。少しばかり工房を離れた隙にアートを破壊され尽くしたキャスターのマスターは

 

「ああ、ひでぇ、せっかく俺達が仕上げてきたアートが………酷すぎる、これが………人間のやることかよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」

 

下水道に響き渡る怒声。

 

「龍之介……本当の美と調和というものを理解できるのは極一握りの人間だけなのです。むしろ多くの俗物にとって美とは、破壊の対象にしかなり得ないものなのです」

 

「はぁ、俺達、あんまり楽しみすぎたせいで………もしかして罰が当たったのかな?」

 

ガシッ!

 

「ンンン!これだけは言っておきますよ龍之介」

 

龍之介の肩を掴んだキャスターが叫ぶ

 

「神は決して人を罰しない!ただ玩弄(ガンロウ)するだけです!」

 

「だ、旦那?」

 

キャスターの強い口調に思わずそう返す龍之介

 

「かつて私は、地上で具現しうる限りの悪逆と涜神を積み重ねた。だが殺せども汚せどもこの身に下るはずの神罰はなく!気がつけば、邪悪の探求は八年にも及んで放任され看過され続けた。結局、最後に私を滅ぼしたのは神ではなく、私と同じ人間どもの欲得でした。教会と国王が断罪の名目で私を処刑したのは我が手中にあった富と領土を簒奪したいがためだった!我が背徳に歯止めをかけたのは裁きなどとは程遠いただの略奪だったのですよ!」

 

「でも……旦那……」

 

龍之介は泣き腫らした顔で言う

 

「それでも、神様はいるんだろ?」

 

「何故?信仰もなく奇跡も知らぬ貴方がそのように思うのです?」

 

「だって、この世は退屈だらけなようでいて、だけど!探せば探すほど面白おかしいことが多すぎる!昔っから思ってたよ。こんなに愉快なことが仕込まれまくってる世界ってのは出来すぎてる位の代物だって。いざ本気で楽しもうと思ったらこの世界に勝るエンターテイメントはねぇよ。きっと登場人物50億人の大河小説を書いてるエンターテイナーがいるんだ。そんなやつについて語ろうと思ったら、こりゃもう神様としか呼びようがねぇ」

 

「では龍之介、果たして神は人間を愛していると思いますか?」

 

「そりゃあもうぞっこんに、この世界のシナリオをずっと休まず書き続けてるんだとしたら、そりゃ愛が無きゃやってられないでしょ」

 

「もはや民草が信仰を無くしたこの世の中に、こんなにも瑞々しい信仰が芽吹いていようとは!心服しました龍之介、我がマスターよ」

 

「嫌々、照れるなぁ」

 

「いいでしょう、マスターの倫理観にとっていかなる行いも神にとっては茶番に過ぎぬと、ならば神にお見せしましょう!最高のエンターテイメントを!」

 

暴走を続けるキャスターとギリギリのところで巻き込まれないマスター。かくしてキャスターは更なる暴走を始める。

 

 

 

同志(マスター)、遂に時が来たようだ」

 

「というと?」

 

「キャスターが盛大に暴れ始めたらしい。多くの人間が巻き込まれそうだ。向かうぞ」

 

「ああ、分かった」

 

スターリンの戦いに着いていくべく支度を始める雁夜。きちんと言われた通りに防寒着の準備をする。夏でなかったことが幸いし充分に着込むことが出来た。念のためダウンジャケットも手に持つ

 

「足りぬ気がするが、まぁ良い。向かうぞ同志(マスター)

 

門から取り出されたBT快速戦車に乗り込み、二人は現場に向かうのだった。

 

 

 

「ここか、おお!」

 

到着したのは冬木を流れる川。そこに巨大なタコのような化け物が存在した。

 

「なるほどなるほど。取り敢えずは他のサーヴァントも居るあそこに向かえばいいのかな?」

 

スターリンが到着すると既にランサー、アルトリア、イスカンダルが集っていた。

 

「遅れてすまない。状況は?」

 

「見ての通りだ。奴は再生する。あれが陸に上がれば人々から魔力を吸い上げ際限なく増殖するとのことだ」

 

「ふむ………」

 

イスカンダルの返答に少しばかり考えるスターリン。そして

 

「あれを一息に消し飛ばせば良いのかな?」

 

「再生前に消し飛ばせばキャスターが露出し倒せるだろう」

 

「ならば前回は征服王の力を見せてもらったのだ。今回は我が力を存分に見せつけてやろう」

 

「ほほう、面白い、見せてみよスターリン!」

 

「では………」

 

川岸へ移動するスターリン。見れば興味があるのだろう。しれっとギルガメッシュも居る

 

「これより我が理想、我がソヴィエトをここに示そう!我こそはソヴィエトの象徴たる書記長である!すなわちここは!」

 

集え同志、出でよ我が祖国(ソヴィエト)なり!」

 

カッ!

 

辺り一面をイスカンダルの時と同様に光が包み込んだ。

 

 

 

「ん?ここは………って寒い!というか痛い!」

 

辺り一面の雪原。慌てて雁夜はダウンジャケットを着る。辛うじて生きていられるレベルの寒さ、手袋、マフラーを忘れていれば雁夜はものの数分で凍死していただろう。吐く息は白く、鼻水はあっという間に凍り付く。

 

「この寒さじゃあ………だよなぁ」

 

落ち着いた雁夜はさっきの化け物を見る。そこには

 

カッチーン

 

カチカチに凍り付いた化け物がオブジェと化していた。水気の多い化け物が氷点下の極寒の雪原に放り出されれば当然である。

 

「見るがいい同志(マスター)、そして王達よ。これこそが書記長たる私が誇るソヴィエトの具現化である」

 

「「ほぅ」」

 

ギルガメッシュ、イスカンダルがそう呟く。そして

 

「では始めようか、蹂躙を。来い!」

 

その呼び掛けに応じるかのように

 

ブォォォォォ

 

百数十両のカチューシャロケットが雪を巻き上げながら疾走し

 

ブーン

 

大量のTU-95が空を埋め尽くす

 

「まずはその化け物を引き剥がしてやろう。Огонь!(アゴーニ!)(撃て!)」

 

偉大なるソヴィエトの戦いの火蓋が切られた。




TU-95:ターボプロップ2軸反転プロペラを計8枚も搭載した化け物爆撃機。最高速度が950kmとジェット機並だったり、ペイロードが凄かったり航続距離がトチ狂ってたりとヤベーやつ。その航続距離は15200kmとモスクワから日本の北海道から沖縄までぐるっと一周して帰られる程。かのツァーリ・ボンバを投下したのもこの機体。初飛行は1952年。運用開始は1956年。
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