書記長が行く第四次聖杯戦争   作:ガチタン愛好者

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第14話~片鱗~

それはライダーを倒して数日が経ったある日のこと。少しだけ冷や汗を流す同志書記長に部屋に呼び出された。

 

「一体何事だ?同志書記長」

 

「…………今から私が話すことは同志(マスター)にとっては好ましくない話かもしれない。あの少女。桜のことだ」

 

「桜ちゃんが?一体何が…………」

 

「単刀直入に言うとだな、今は彼女に魔力供給を頼っている都合上できないが、この戦争が終わったら彼女をどこか魔術に詳しい人の元へ学びに行かせるべきだと思う」

 

「何だと!?」

 

雁夜は激怒した。あのおぞましい経験をさせた魔術の世界に再び桜を向かわせようと言うのだ。この男は。だが

 

「その反応は予測済みだ。だがまずは私の話を聞きたまえ。激怒し弾劾するのはそれからにしてくれ。いいかね?

 

「っ!はい…………」

 

サーヴァントとはいえ鋼鉄の男にそう言われては黙る他無い。

 

「なあ、同志(マスター)は不思議に思ったことはないか?私は一般的なサーヴァントよりも魔力消費が激しいだろう?バーサーカー故な。しかも宝具を遠慮なく使った。しかし桜に一切の不調はない。体調を崩すどころか顔色一つ変えていない。明らかに普通ではない。例え名の知れた魔術の家系だとしてもだ」

 

「確かに………」

 

あんな大規模の宝具、魔力消費が少ないはずがない。しかも宝具を使わずともスターリンの戦い方は大量の兵器を召喚しての物量作戦。しかし桜は何一つ不調なく日々を過ごしている。

 

「それとな、ここからが本題なのだが………正直私は最近桜が恐ろしい。なんというかだな、ふとした拍子にこうゾゾゾッと背筋が凍りつくのだよ」

 

「?俺はそんなこと無いが………」

 

「最近だとそうだな。我々は家事が一切出来ないから家事の全てを桜に頼っているだろう?先日の夕食の時に味が濃いと文句を言ったとき、あのとき背筋が凍りついた。ほんの一瞬だけだがね」

 

「そうか?あの時は俺も居たけども別に普段と変わらない様子だったが」

 

「とするとさらに確実だな。私も詳しくは分からんが桜には何か我々サーヴァントの天敵のような能力があるのかもしれん。そうだとすれば私だけが恐怖することにも説明がつく」

 

「もしそうだとしても…………」

 

雁夜はスターリンの提案に否定的だ。何せ実家が実家なせいで雁夜の魔術に対する嫌悪感は凄まじい。しかし

 

「なあ、同志(マスター)。君の考えは分かっている。桜には魔術に関わらず平穏に暮らして欲しいのだろう?だがな、制御できない強すぎる力は滅びしか生まんぞ」

 

「強すぎる力?」

 

「ああ、魔術に疎い私ですら分かるほどの力があの歳であんななんだ。今後一切成長しないならばいいかもしれんが、桜はまだ幼い。あの力がさらに成長したときに制御できなければ大事になるぞ」

 

「でも………………」

 

雁夜はまだ否定的だ。しかしスターリンの次の言葉が彼の決意を揺るがした。

 

同志(マスター)は経験済みではないか?人間が自らの手に余る力を手にして起こった悪夢を。我がソヴィエトで起こった全世界を巻き込んだあの事故を。例え平和利用と言えど制御できぬ力はいつか滅びを生むぞ」

 

「!」

 

雁夜の脳裏に浮かんだのは絶対安全だと吟われ、未来のエネルギーともてはやされた力。しかし実際には人間が振り回される凶悪な力。一度振るわれれば後世まで尾を引く恐ろしい力。

 

「なあ、一番恐ろしいのは強すぎる力を強すぎる力だと自覚できないことだ。無知は罪だと言うだろう?確かに桜をどこかへ行かせれば無事に帰ってこられないかもしれん。最悪ホルマリン浸けということもありうるだろう。だがな、それでも同志(マスター)はそれを嫌がって無知な魔術を知らぬ一般市民を危険に晒すのか?」

 

「………………」

 

「まあすぐに結論は出まい。それに結論を出したところで兎に角この戦争を終わらせねば何も出来ん。時間はまだある。ゆっくりと考えておいてくれ」

 

「ああ、分かった」

 

話が終わったので出ていく雁夜。その背中に向けて

 

「だがな、もしどこかへ預けるというのならば約一名信用が置けそうな人物がいる。一応行き先の候補は決めてある。それを考慮した上でじっくりと結論を出したまえ」

 

スターリンの脳裏には馬鹿正直な、隠し事が出来なさそうな、苦労人になりそうな一人の少年が浮かんでいた。

 

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