書記長が行く第四次聖杯戦争   作:ガチタン愛好者

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ちょっとスターリンのキャラがブレるかもです。正直実際に会ったこともなければ話をしたこともない。教科書で彼がやったことだけを学んだだけなので皆さんのイメージとズレるかもしれませんがどうかご容赦下さい。


第6話~聖杯問答 前編~

「おお!来たか!ここだ。座れ!」

 

「待たせたな」

 

イスカンダルの挑発に乗り、雁夜を家に残してスターリンがやって来たのは山奥の城

 

「城があるのは知っていたが来ることになるとは思っていなかった」

 

「おお!この城を既に知っておったのか!流石だな。余は最近知ったのだぞ。そら、まずは飲め。今日は互いに矛を納め存分に語り尽くそうではないか!そのつもりだからこそ貴様らは集ったのだろう?」

 

そう言って脇においてある樽を叩くイスカンダル。蓋を割ってみれば赤いワインが入っている。それを柄杓で掬い

 

「ほれ、まずは駆けつけ一杯。まさかこの場に酒が飲めぬ者はおるまい?」

 

「いただこう」

 

「……」

 

そうしてワインを飲むスターリン。無言で飲む金ピカ。スターリンは

 

「…………緩いな」

 

何せ一般的に売られているワインだ。味はそこまで良いわけではなく、アルコールも弱い。ウォッカを飲む機会があったスターリンにとっては緩い酒だ。だがそれ以上に

 

「なんだ?この酒は。安酒ではないか。酒というのはこういうものを言うのだ」

 

口に合わなかったらしい金ピカは顔をしかめながら金色の渦を作り、そこから酒が入っているらしき金色の入れ物と金色の杯を取り出し

 

「どれどれ………おお!これは旨い!」

 

遠慮なく並々と注ぎ煽るイスカンダル。でかい口を叩くだけあって金ピカの酒は絶品だった。

 

「…………旨いな」

 

スターリンも満足の味である。それを見た金ピカは

 

「フハハッ。最早格は決まったようなものだな」

 

「何を言う金ピカ。酒程度で王の格が知れるものか。言ったであろう?行うのは問答だと。せっかくこれだけの王が集っているのだ。何も話さず殺し会うのはもったいないであろう?」

 

「すまないが…………」

 

そう言うイスカンダルに口を挟むスターリン

 

「私は王ではない。書記長だ。それと出来れば名前を聞かせてもらえるかな?そこの赤毛の大男がかの征服王イスカンダルであることは分かっているのだが他の二人は皆目さっぱり見当もつかん。歴史に名を残す英雄であることは分かるが………まあ昔の英雄は絵しか残っておらず真の姿を知らないと言うのも理由だが」

 

「名を聞くならまずは自分が名乗ったらどうだ?王…………ではなく書記長とか言ったか?」

 

「それもそうか」

 

イスカンダルの言葉に納得した様子のスターリン

 

「ところで私以外の全員はそれぞれ互いの名前は分かってるのかな?では私からいこう」

 

酒を置き、手を組むと

 

「ソヴィエト社会主義共和国連邦。二代目書記長。ヨシフ・スターリンだ。この度はバーサーカーのクラスで召喚された。聖杯に懸ける願いは…………」

 

「待て、まずはそこまでだ。聖杯に懸ける願いは後で語ろうではないか。ほうほう、なんだ一国の長であったか、ならば王のようなものではないか。ところで書記長とはなんだ?王とは違うのだろう?」

 

「そうだな。書記長というのは共産党の一番高い地位のことだ。共産党についてはまず共産主義についてから話さねばなるまい。共産主義というのはだな………」

 

~書記長説明中~

 

「ふむ、つまるところあれだ。貴様は究極の平等国家を作ろうとした。という認識でよいのか?」

 

「まあざっくりと言えばそうだな」

 

「フ、フハハハハハハ!」

 

ざっくりとまとめたイスカンダルに続くように高らかに笑う金ピカ。それに思わず顔をしかめ

 

「何がおかしい?金ピカ」

 

「フハハハハハハ!これが笑わずにいられようか!?貴様は気がついておらんのか?その共産主義とやらの致命的な欠陥を!」

 

「致命的な欠陥だと?」

 

真っ向から否定されるばかりか笑われて不機嫌さが増すスターリン。しかしそんなことは気にも留めず

 

「究極の平等、聞こえは良いだろうよ。誰も不幸な者もおらず、差別される者もいない。だがな、それは究極の停滞であることを貴様は理解しているのか?」

 

「究極の停滞?どこがだ。我がソヴィエトは停滞などせず発展し続けたぞ?」

 

「貴様の話を聞いたところそれはアメリカとかいう対抗する国のお陰であろう?もし全世界が貴様の言うソヴィエトになったとしてそこから成長するか?」

 

「…………………」

 

「平等というのはな、誰かと競おうとする競争が起こらんということだ。差が無いのだからな。人間というのは難儀な生き物でな、誰かと競わねば成長せぬ、むしろ退化する生き物なのだ。つまり究極の平等の先にあるのは究極の停滞よ。いや、究極の退化と言っても良いな。このような最初から破綻した思想を聞いて笑わずにいられようか!?フハハハハハハ!」

 

「…………………」

 

スターリンもバカではない。それゆえこの男の言うことが全て理解できてしまう。いっそ完全に狂ったバーサーカーであったならばまだ良かったのだろうが

 

「私は、間違っていたのか?実際に現在の地図にソヴィエトは存在していない……」

 

なまじインターネットに触れたせいで知ってしまったソヴィエト崩壊のシナリオ。それを尻目に発展し続けた憎き資本主義のアメリカ合衆国。それはまさしく彼が言った通り競争が無いことによる崩壊だった。

 

「どうすれば………良かったのだ?私は…………」

 

俯き、下手に理性があるだけに悶々とするスターリン。いっそ狂えたならば良かったのだろうが彼の狂うポイントはここではない。そんな彼に救いの手を差し伸べたのは以外にも

 

「どうすれば良かったのか?だと?そのままでよいのだ!貴様はその信念を形はどうあれ貫き通して死んだのだろう!?だからこそここにいる!自分の国が無いだと!?ここに集う者のなかで自分の国がまだ残っているものなどそこの騎士王くらいよ!しかも騎士王が生きた時代とは全く異なる、名前と土地だけが同じ国よ!間違っていたのかだと!?貴様は貴様の作り上げた時代そのものを否定するのか!?」

 

イスカンダルだった。

 

「実はな、そこの金ピカが言わなければ余が言うつもりだったのだ。その共産主義の根本的な欠陥をな。だがな、今の貴様を見て言わずにはおれん。たかが真っ向から自分のやり方を否定された程度で潰れる男か!?貴様は!貴様は余が王………正しく言ってやろう!書記長として認め!同じ立場の者としてここに招いておるのだ!もっと堂々とせんか!」

 

「!」

 

イスカンダルの叫びに顔を挙げるスターリン。

 

「ああ、すまない。確かにそうだな。かの征服王にここまで言われるとは私もまだまだだったな」

 

その顔に先程のような暗い影はない。晴れやかとしている

 

「誰がなんと言おうと私はソヴィエト社会主義共和国連邦書記長、ヨシフ・スターリンである!」

 

自分に言い聞かせるようにそう叫ぶスターリン。恐怖ではない純粋なカリスマが見え隠れする姿は生前では予想もできない姿である。

 

「よく言った!それでこそ余の見込んだ男よ!」

 

「ハッ、良い目になったな、雑種。貴様のその破綻しきった共産主義とやら、ひとまずこの戦争の間だけはこの我が見定めてやろう。退屈させるでないぞ?」

 

「じゃあ次は金ピカ、お前だ。余はもう済ませたようなものであろう?」

 

「まさかこの我を知らぬ不埒者がいるということが許しがたいが、まあ良い。…………」

 

こうして三人の一国の長であった者同士の問答は続いていった。




スターリンがひ弱に見えるかもしれませんが彼はああ見えてコンプレックスの激しい男です。顔もそこまで綺麗ではなく、レーニンやヒトラーのようなカリスマもない。生まれも決して高い身分ではない。そんな彼が名前は分からずとも歴史に名を馳せた英雄に囲まれ、真っ向から自分の威圧が効かない者に反論の余地なく言われればああなるかと。実際彼が生きていた頃、彼にあそこまで意見できる存在は無かったでしょうし。最終的にはいつもの彼に戻ったので許してください。ギルガメッシュはですね、ちょっと傲慢さが足りないように感じるかもですがZEROのギルガメッシュはあんなだったかなぁと。
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