リスタートで世界最強   作:ダマカッス

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あれこれ悩んでいる間にお気に入り100件半ば&評価バーに色が付いたことに驚愕を隠せないダマカッスです。

長らくお待たせしてしまい申し訳ありません。
なかなかこれだという文章が書けず、書いては消してを繰り返してました。
こんなに多くの方に読んでもらえるなら、もっとストックを作ってから投稿するべきだったかなぁと少し後悔してます。

ちょっと文にブレがあるかもですが最新話となります。


ステータス公開ですよ

 ──人殺し

 

 ──化け物

 

 ──貴様さえいなければ

 

 

 ──死ね

 

 

 

 ──死ね 死ね 死ね

 

 

 

 

 ──死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──死ね!!

 

 

 

 

 

「……っ」

 

 小さな呼気と同時に瞼が開く。いかにも高価そうな天蓋が視界に飛び込んだ。

 少しの間呆けて、思い出したように呟く。

 

「……誘拐されたんだったな。クラス丸ごと……」

 

 周りはまだ薄暗い。

 時計を確認する。

 

「三時……」

 

 身体を起こし両隣を見やる。ハジメと恵里がコナタの方に身を寄せ穏やかな寝息をたてている。コナタが身を起こしても起きる気配はない。

 よほど疲れがたまっていたのだろう。昨日は色々あったのだから無理もない。頭を軽く撫でてやると、心地よさからか二人の寝顔が嬉しそうに緩んだ。それを見てコナタも薄く微笑む。

 

「ぅっ……!」

 

 つと昨日の朝より遥かに大きな不快感が胃からこみ上げてきた。こみ上げるモノの強さに、たまらず小さく呻き声を発し口を押える。どうやら今日の分で精神的キャパシティを超えたようだ。昨日のように幸せ成分で上書きも出来ないらしい。

 ゆっくり、しかしなるべく急いでベッドから抜け出す。

 せっかくぐっすり眠っているのだ。起こすのは忍びないし、無用な心配をかけるわけにもいかない。

 

 部屋に備え付けられた洗面台まで向かい、胃の中のモノを洗いざらいぶちまけていく。

 ひとまず収まりを見せ、それでも長年の経験から全て出し終えた感覚がしないため、コナタはしばらく洗面台に顔を伏せる。

 暫くすると背中を左右から擦られる感覚。なるべく声や音は出さないよう注意していたはずだが、それでも二人は起きてしまったようだ。

 

「大丈夫、コナタ?」

 

「ああ……悪いな、起こしちまったみたいで……」

 

「ボク達のことは気にしないでいいから。背中擦っててあげるから、お兄ちゃんは全部出してスッキリしちゃお? ね?」

 

「……ありがとう」

 

 横目でチラッと見えたハジメと恵里は、慈愛に満ちた優しい表情をしていた。

 

 

 

 

 

 朝食を終えると、訓練と座学が始まった。

 まず、各自に十二センチ×七センチ位の銀色のプレートが配られる。不思議そうにプレートを見る生徒達に、騎士団長メルド・ロギンスが直々に説明を始めた。

 騎士団の団長が訓練とはいえ彼等に付きっきりでいいのかと言う疑問もあったが、対外的にも対内的にも“勇者様一行”を半端者に預けるわけにはいかないということらしい。なるほど納得できる理由である。

 メルド本人もなかなか豪快な性格らしく、むしろ「雑事を副長に押し付ける理由ができて助かった!」と笑っていたくらいだ。副長さんにとっては笑い事じゃないだろうが。これにはコナタも哀れに思い、顔も知らぬ副長さんに心の中で合掌だけしておいた。

 

「よし、全員に配り終わったな? こいつはステータスプレートって言ってな、文字通り自分の客観的なステータスを数値化して示してくれるって優れモノだ。でもって最も信頼のある身分証明書でもある。これがあれば迷子になっても平気だから失くさないようにしろよー?」

 

 非常に気楽な喋り方をするメルド。彼は豪放磊落な性格で、「これから戦友になろうってのにいつまでも他人行儀に話せるか!」と、他の騎士団員達にも普通に接するように忠告するくらいだ。

 その潔い性格は、コナタにリリアーナ程ではないにしろ信用に足る人物であると高評価を付けさせた。

 

「プレートの一面に魔法陣が刻まれているだろう。そこに、一緒に渡した針で指に傷を作って魔法陣に血を一滴垂らしてくれ。それで所持者が登録される。 “ステータスオープン”と言えば表に自分のステータスが表示されるはずだ。ああ、原理とか聞くなよ? そんなもん知らないからな。神代のアーティファクトの類だ」

 

 アーティファクトとは遥か昔、神代に作られた強力な力を持った魔法具のことで、現代では再現不可の国宝なのだとか。ただしステータスプレートだけは複製するアーティファクトもセットで存在するので、唯一一般にも流通しているアーティファクトとのこと。

 

 説明を聞き終え指先に針をチョンと刺し、プクと浮き上がった血を魔法陣に擦りつける。すると魔法陣が一瞬淡く輝いた。

 

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南雲コナタ  17歳 男 レベル:ーーー

天職:掃除屋

筋力:1

体力:1

耐性:1

敏捷:1

魔力:1

耐魔:1

技能:言語理解・??? 

=========================

 

 コナタのステータスが表示される。見事に1が並んでいる。どう考えても一番低い数値のはずだ。レベルに至っては非表示になっている。イシュタルの話では、自分達の力はこの世界の住人の数倍から数十倍あるはずだが。

 

「どういうことだろうな。それにこの天職……」

 

 しかしそれよりもコナタの目を引いたのは天職だった。

 

 ──掃除屋

 

 一般的に清掃員などを指す単語だが、殺し屋など裏世界の住人の暗喩として使われることもある。むしろ漫画等のフィクションでは後者の意味合いでよく使われるものだ。

 

(なんか引っかかる……。漫画とかでもよく見る単語だけど、その時は特に何も感じなかったのに……。何というか……しっくりくる……?)

 

 今までもこんな感覚に襲われたことがあった。

 例えばコナタのペンネームである“東雲彼方”。自らの名前をもじって付けたものだが、その際も妙にしっくりきたのを思い出す。ピタリと嵌ったというかどこか懐かしい感じがしたのだ。今回もそれに似ていた。

 

「お兄ちゃんのステータスはどうだった?」

 

 思索に耽っているとハジメが尋ねてくる。ちょっとホクホク顔だ。結構いいステータスだったのだろうか?

 

「僕も興味あるな。コナタの事だから、すっごいチート持ってそう」

 

「見せっこするか?」

 

 恵里も興味津々と近づいてきたので三人で見せ合うことに。

 

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南雲ハジメ 17歳 女 レベル:1

天職:錬成師

筋力:10

体力:10

耐性:10

敏捷:10

魔力:10

魔耐:10

技能:錬成・言語理解

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中村恵里 17歳 女 レベル:1

天職:降霊術師

筋力:15

体力:35

耐性:40

敏捷:20

魔力:85

魔耐:85

技能:降霊術・魂魄感知・火属性適性・氷属性適性・闇属性適性・全属性耐性・複合魔法・魔力回復・言語理解

=========================

 

「なんかお兄ちゃんのステータス変じゃない? ていうか恵里、魔力と魔耐が異様に高いし技能も多い。……あれ、これってもしかして……」

 

「たぶんハジメの数値は一般平均なんじゃないかな……」

 

「や、やっぱりそう……?」

 

「……い、いや、わかんないよ? もしかしたら1が平均かもだし。それにしたってコナタのはツッコミどころ多すぎるけど……」

 

「だよね……」

 

「試してみるか」

 

 コナタのステータスに二人は有り得ないという表情を浮かべた。

 試しにと近くに落ちていた手ごろな石を二つ拾い上げ、ハジメと恵里に放る。

 

「お兄ちゃん?」

 

「それを思い切り握ってみてくれ」

 

 そう言うと、二人は意図を汲んで思い切り石を握りしめる。「ふぬぬ~!」という声を出し、固く目を瞑って力を籠めるためにプルプルと震える姿は実に可愛らしい。念のため言っておくが、別にこれが見たいからやってもらったわけでは断じてない。

 やがて全力を出し切ったのか、力を緩めてフゥッと息を吐く二人。手を開くと石は渡した時の状態を保っていた。

 

「うーん、欠けすらしないや」

 

「僕も同じく」

 

「ふむ……二人共ありがとな。その石もらえるか?」

 

 返された石を握り、少しずつ手に力を籠めていく。

 石は容易く握り潰され、砂となってサラサラと手から零れ落ちた。

 

「わー……あいっかわらずの馬鹿力だねぇ……」

 

「これで筋力1は無理があるんじゃないかな……」

 

「考えられるのはプレートのバグだな。別にこのままでいいけど、とりあえず団長さんに報告だけはするか」

 

 ここでメルドから追加の説明が入った。

 レベルはRPGのように、魔物を倒しただけで上昇するということはないらしい。地道に腕を磨くことでステータスを上げると、それに応じてレベルが上がるシステムのようだ。

 そして天職。天職は主に戦闘系と非戦系に分けられ、戦闘系は千人に一人、場合によっては万人に一人しかいないとのこと。非戦系は、百人に一人か十人に一人くらいらしい。

 そしてステータスの値だが、レベル1の平均値は10前後とのこと。それを聞いた瞬間、ハジメの表情が絶望に転じた。メルドは全員に期待に満ちた目を向けている。

 

 最初に報告したのは光輝。天職は勇者で、レベル1の段階でパラメータオール100に様々な技能持ちと、正に勇者らしいステータスだった。

 

(天職が勇者ってなんか嫌だな。そもそも勇者は職業なのか? いや、某代表的RPGでは職業:勇者もあるけども)

 

 その後も続々とメルドに報告していく面々。どれも戦闘系天職ばかりで、光輝には及ばないものの十分チートと呼べるステータスだった。

 いよいよ恵里、コナタ、ハジメが報告する番となりメルドの元に向かう。今まで規格外のステータスばかり確認してきた彼の表情はホクホクだ。

 まずは恵里が報告する。

 

「ほぉ、これまたすごいな。降霊術師は死者の残留思念を汲み取ったり遺体を動かしたりできたりと、闇魔法を主体とした上級職だ」

 

「死者の残留思念……遺体を動かす……。なんか裏切者とかが使いそうな力みたいでやだな……」

 

 恵里が戦闘系上級職持ちであったことに嬉しそうなメルドとは対照的に、降霊術師の能力説明を聞いた恵里は浮かない表情を見せる。

 少し沈んだ様子の恵里にコナタが声を掛けようとするが、その前に小さな影が恵里に近づいた。──鈴だ。

 

「大丈夫だよエリリン! エリリンは自分の思ったことはズバババン! って言える裏表のない性格だって鈴は知ってるもん! そんな恵里が裏でこそこそ悪い事するわけない、でしょ?」

 

「鈴……」

 

 屈託のない笑顔で恵里への大きな信頼を込め断言する親友に恵里は目を丸くする。恵里が南雲家以外でかけがえのない存在に出会えたことに嬉しく思いつつ、コナタは鈴の頭に手を乗っけて恵里に言った。

 

「谷口の言う通りだぞ恵里。それに天職どうこうで敵も味方もないさ。力をどう使うかなんて、結局本人の意思次第なんだからな」

 

「そっか、そうだよね。僕が君達を裏切るなんて有り得ないし気にする必要なんかないよね!」

 

「そういうこった」

 

 鈴とコナタの励ましに恵里が吹っ切れた様に笑顔を返す。

 

「……ところでコナタンはいつまで鈴の頭に手を置いとく気かな?」

 

「あっすまん。ちょうど置きやすい位置に頭があったもんでつい」

 

「鈴をチビと申したか。よろしいならば戦争だ!」

 

「……そろそろいいか?」

 

「あ、はい、すみません」

 

 後ろで「ちょっとは鈴に身長を分けろこんにゃろー!」とか「はは、小動物の攻撃なんて痛くも痒くもないぞ」といった親友と幼馴染の声をBGMに、メルドの方に意識を戻す。

 

「いい奴らじゃないか。大事にしろよ?」

 

「言われなくてもですよ」

 

 コナタ達の方を微笑ましそうに見ていたメルドが恵里の即答にさらに笑顔を深めた。

 

「さて、続きだが、とんでもない技能まで持ってるな」

 

「とんでもない技能?」

 

「これだ」

 

 メルドが指したのは“魂魄感知”の技能。

 読んで字のごとく魂を感知する技能で、突き詰めれば対象の魂の揺らぎから虚実を把握する事すら可能になるらしい。かつてこの技能を持っていた者は、若くして司教の座に上り詰めたりなど目覚ましい功績を残してきたそうだ。

 

「お前の今後の活躍に期待してるぞ!」

 

 ステータスプレートを恵里に返しながらメルドは良い笑顔でサムズアップした。

 

 次にハジメがプレートを渡す。するとメルドは「うん?」と笑顔のまま固まり、ついで「見間違いか?」というようにプレートをコツコツ叩いたり、光にかざしたりする。そしてジッと凝視した後、もの凄く微妙そうな表情でプレートをハジメに返した。

 

「あー、その、なんだ。錬成師というのは、まぁ、言ってみれば鍛冶職のものだ。鍛冶をするときに便利なんだとか……」

 

 メルドが歯切れ悪くも説明する。まさかこんなザ・平均が出てくるとは思ってなかったんだろう。ハジメの天職は非戦系、戦闘には向かない職業だ。戦えないこともないだろうが、戦闘時に役立たずになる可能性は高い。

 

「メルド団長。これ、俺のステータスなんすけど」

 

「お、おお……っ! どれ、見せてみろ!」

 

 場のよくない雰囲気を察知したコナタが、鈴との戯れを終え続けざまステータスをメルドに報告する。

 コナタからの報告にメルドは、「助かった!」といった表情でステータスプレートを受け取る。そして再び凍り付いたように笑顔のまま固まった。

 

「え、えー、その……ちょ、ちょっっと待て! これはステータスプレートが壊れてるはずだ! すまないが、もう一度試してもらえるか!?」

 

「まあ、いいっすけど」

 

 どうしても信じられなかったようで、コナタに新しいステータスプレートが渡され、再度血を擦り付けステータスの開示を行う。

 

「……変わらないな」

 

「っすね」

 

 結果変化なし。同じ内容が新しいプレートにも刻まれた。

 

「こんな天職は知らんぞ……。レベルも非表示になってるし、隠蔽された技能もある。何より……このステータスは……」

 

「俺は気にしませんよ。これでも身分証にはなるんすよね?」

 

「あ、ああ。まあ、それぐらいにはなるが……」

 

「ならいいです」

 

 ステータスプレートを返してもらう。コナタの淡泊な答えにメルドは少し呆然とした。

 元々自分の能力を数値付けされるのに気乗りしなかったコナタとしては、むしろこの結果は好都合だった。

 しかしそれで終わりとはいかず、いかにも小物っぽい雰囲気を纏った軽薄そうな男が近づいてくる。名を檜山大介と言い、取り巻きである斎藤良樹、近藤礼一、中野信治を引き連れてきた。

 檜山は香織に惚れており、香織に構われるコナタを四人で袋にしようと突っかかったところ、見事返り討ちにされた過去を持つ。それ以来恐怖を刻まれ遠巻きに睨むことしかできなかった彼等だが、メルドの反応からコナタのステータスが酷いモノだと小物特有のセンサーが嗅ぎつけたようだ。いやらしい笑みを浮かべながら、ここぞとばかりに突っかかってくる。

 

「オイオイ南雲。どんな天職かも分からないって、そんなんでどうやって戦うつもりなんだよぉ? 妹の方も非戦系みたいだし? 無能って言葉はお前等のためにあるんだよなぁ~?」

 

 うざったい口調で檜山が肩に手を乗せてくる。やっと仕返しが出来ることにテンションが上がっているのか、香織や雫、コナタの中学時代からの級友など、周りからの視線が冷ややかになっていることに気付く様子はない。

 

「ちょっとステータスプレート見せてみろよ。天職がショボい分、ステータスは高いんだろ?」

 

「見たいなら勝手に見ろ」

 

 粘着質すぎてキモイため、離れさせるためプレートを投げ渡す。

 そうしてしばらく眺めた後、檜山達は爆笑した。

 

「ぶっははは~、なんっだこれ! 超貧弱!」

 

「ぎゃははは~、こいつ赤ちゃんより弱いぜ絶対!?」

 

「だはははは~、見ろよ! 妹の方も完全に一般人だぜ!? 兄妹揃って弱すぎっしょ~!」

 

「無理無理! 直ぐ死ぬってコイツら! 肉壁にもならねぇよ! つーか兄貴の方の天職はゴミ清掃員にでもなるつもりなのかな~!? ヒァハハハ~!」

 

 今までの鬱憤を晴らさんと、コナタとついでに妹のハジメを嘲る小物四人衆。周りでは中学組以外の連中も爆笑なり失笑なりしていく。もう我慢の限界とばかりに香織や雫が憤然と動き出そうとするが、コナタは彼女達に掌を向け静止を促すと、いつの間にやら取り返していたステータスプレートをかざしてみせた。

 

「ほら、ハジメ」

 

「あ、……うん」

 

「なっ!? い、いつの間に!?」

 

「こんな場所に来てまでねちっこくマウント取りとか、本当に下らねえ連中だ。さすがはイジメ界の粘着セロハンテープってか? 小物臭極まってんな」

 

「っ!? 誰がセロハンテープだ!? キモオタが吐かしてんじゃねえぞ!!」

 

「確かにセロハンテープに失礼か。便利なあれと違って、お前らはただただ害悪に尽きる」

 

「てめえ……!」

 

 いつステータスプレートを取り返されたのか分からず驚愕を露にする檜山だったが、続くコナタの挑発に激昂し顔を真っ赤にして食って掛かる。

 それを光輝が見かね止めに入った。

 

「やめろ! 仲間同士で争っても意味はないだろう! 南雲、心配して声をかけてくれた檜山達に対してなんてことを言うんだ。今すぐ謝るんだ」

 

 ただ止めるか喧嘩両成敗にすればいいだけなのに、なぜかコナタを一方的に非難する光輝。それも言い分はかなり的外れだ。

 コナタは冷めきった瞳で光輝を一瞥し、すぐに興味も失せたと視線を外した。

 

「おい、無視するな!」

 

 コナタの態度が気に食わなかったのか、後ろから光輝が肩を掴もうとする。

 

「俺に触んなクズが」

 

「ぐっ!?」

 

 それをすんでのところで振り返ったコナタが、光輝の手首を掴み返して阻止する。先ほど石を砕いた時とは比較にならないぐらい弱く握ったのだが、それでも痛みを与えるには十分だったようで光輝は苦悶の声を上げた。

 手を離すと光輝が手首を抑えコナタを睨みつける。檜山は下衆な笑みを浮かべ光輝の後ろに着いた。光輝と一緒に攻め立てようという腹なのだろう。実に小物極まりないムーブだ。

 

「こらー! 喧嘩はやめなさーい! 仲間同士で争い事なんてしちゃダメですよ!」

 

「そうだな。そろそろやめとけよお前達。というかなんで仲裁に入ったお前まで険悪になってるんだ……」

 

 重苦しい雰囲気が流れ出したところで、愛子とメルドが待ったを掛けた。腕をブンブン振りながら、ちっこい体で必死に三人を仲裁しようとする愛子。メルドも木乃伊取りが木乃伊になった光輝に呆れながらも注意に入る。この時コナタの中で、光輝にも平等に注意できる人物としてメルドへの評価がかなり上がったことをメルド本人は知らない。

 

 横槍が入り毒気を抜かれた檜山が舌打ちをしながら離れていき、光輝は雫の指示を受けた龍太郎に引っ張られていく。

 檜山と光輝が下がったことで、もう大丈夫だろうと判断した愛子がコナタとハジメに向き直り励ますように背中を叩いた。

 

「南雲君、南雲さん、気にすることはありませんよ! 先生だって非戦系? とかいう天職ですし、ステータスだってほらっ、ほとんど平均ですから!」

 

 提示される愛子のステータスプレート。

 

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畑山愛子 25歳 女 レベル:1

天職:作農師

筋力:5

体力:10

耐性:10

敏捷:5

魔力:100

魔耐:10

技能:土壌管理・土壌回復・範囲耕作・成長促進・品種改良・植物系鑑定・肥料生成・混在育成・自動収穫・発酵操作・範囲温度調整・農場結界・豊穣天雨・言語理解

=========================

 

 ハジメは死んだ魚のような目になると「あははっ、皆凄いなぁ~」と乾いた笑みを浮かべながら、どこか遠くに意識を持っていかれた。

 確かに非戦系だ。だが魔力は光輝に匹敵しているし、なにより愛子の天職は作農師。戦時下において兵力と並ぶほど重要とされる糧食問題を解決できるだろう超レアモノだった。付随されたスキルも、考え得る限り完璧だ。

 愛子の天職を知ったメルド達も当然騒ぎ出し、俄かに慌ただしくなる。

 

「先生。先生も十分チートっすよ」

 

「えっ?」

 

「あらあら、愛ちゃんったら止め刺しちゃったわね……」

 

「は、ハジメちゃん大丈夫!?」

 

「ハジメンが死んだ!?」

 

「この人でなし! ってネタはともかく、思いもしない方向から止めが来るとか……愛ちゃんもなかなかえぐいことするねぇ……」

 

「えっ、えっ……?」

 

 固まったハジメとコナタ達の苦笑交じりの言葉に、愛子は「あれぇ~?」と可愛らしく首を傾げていた。




コナタの体調不良の原因が判明
眠りに就くと毎日欠かすことなく聞こえてくる怨嗟の声が少しずつコナタの心を蝕んでいき、許容できる精神的キャパシティを超えてしまうことで起こる。その周期が二週間に一回くる。
声が聞こえ始めたのは七歳の頃で、今でこそ二週間周期だが当初は毎日のように戻していた。十年間も聞き続けてきただけあり、鍛えられたコナタの精神力は鬼のように強靭。召喚に巻き込まれても冷静さを保っていたのはそのため。


恵里の技能“魂魄感知”はありふれ零から引っ張って来てます。ただ私はコミック版しか持ってないので、もしノベル版で正確な技能名が出てましたら教えてください。


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