聞き手は何も知らない釘崎さん
ちょっとやっつけぎみなのはご愛敬
前にも言ったけど煽リストの語彙力が欲しい…誰か煽りの呼吸を…
弐捨:異常であり、異質
都校との交流会のために意気揚々とスーツケースを引っ張ってきた釘崎だったが集合場所にいた他の面々が手ぶらであることと話の噛み合わなさに頭から疑問を飛ばした。
その後に釘崎とパンダは声に出して確認しあったことで釘崎が勘違いしていたことに気づいた釘崎は嘘でしょ〜と呻き声を上げる。
てっきり、京都に行くものだと勘違いした釘崎は交流会後に観光しようとわざわざ京都の観光雑誌を買っていたのだ。
もちろんバッチリと読み込んでおり、行きたい場所もピックアップ済みである。
「去年、勝った方の学校でやんだよ」
「勝ってんじゃねーよ!!!バカ!!」
パンダの説明で京都に行きたかった釘崎の口から理不尽な罵倒が出る。
「なんの騒ぎです?」
そこにひょっこりと出てきたのは去年の交流会の参加者の一人である藤花だ。
釘崎の叫びがうるさかったのか面倒そうに顔を顰めている。
「あんたは!!」
京都校が喧嘩を売ってきた以来の登場に釘崎は思わず藤花を指差すがそれを制すように伏黒が藤花の前に一歩出る。
「玉蟲先輩…。交流会には出ないって聞いたんスけど」
伏黒は誰もが思っている疑問を藤花に投げかける。
交流会には出ないと伏黒たちと京都校の前で宣言していた藤花が何故か集合場所であるここにやってきた。
たまたま外に用があって交流会の集合場所である正面入り口に来たのかもしれないが藤花の性格上、それはないと伏黒は断言できる。
「ええ、出ませんよ」
それに対して藤花はあっさりと肯定する。
「じゃあなんでここに」
真希の疑問に藤花は答えてもいいのか少し考える。
もともと、藤花は今日は学校に顔を出す予定ではなかった。
藤花がここに顔を出したのは虎杖との約束があったからだ。
だが、後輩たちの様子からまだ虎杖が生きていることは知らないようである上に正直に約束だからと話す必要性も感じなかった。
話したとしたら誰との約束だと問い詰められそうな気がしたこともある。
「別に。貴方たちには関係ないことです」
藤花はフイと顔をそらしてこれ以上、話すつもりがないと態度で示す。
後輩たちから一歩離れた所で腕を組んで虎杖と五条が合流してくるのを待つ。
そんないけ好かない態度を取る藤花を釘崎は睨み付ける。
初対面の時のことと言い、今と言い釘崎は藤花のことが気に食わない。
藤花も釘崎が自分のことをどう思っているのか刺さってくる視線で気づいたが特に反応はしない。
むしろ釘崎の対応にこれが普通だと内心、頷いて虎杖によって狂わされていた調子が元に戻った気がした。
「おい、来たぜ」
しばらく気まずい空気が流れるが真希の声に一同は階段の方へ視線を向ける。
「あら、お出迎え?気色悪い」
真依の早速な物言いに軽く言い返そうと思ったが藤花は参加ではなく見学なので控えた。
それでも鼻で笑って流す程度だが。
「乙骨はいないが玉蟲はいるな。考え直してくれたようで何よりだ」
「勘違いしているようなので再度、言っておきますが出ませんからね?」
東堂は後ろにいる藤花の姿を確認して退屈そうな顔から嬉しそうな顔になったがそれを見た藤花は顔を盛大に歪める。
嫌そうにしながらもこの場にいたらそう思ってしまうかと虎杖たちと共に行動しなかったことを軽く後悔しかけたが下らないことに巻き込まれるよりはマシだと思ってしまったので渋々、訂正する。
「
その様子に東堂の隣にいる狩衣姿の男──加茂が怖気付いたのかと藤花を一瞥する。
喧嘩を売ってきたと判断した藤花は頬に手をやって口の端を吊り上げる。
「あら、随分な言い様ですねぇ。京都校のみなさんが去年のように蹂躙されるのは可哀想だと思って身を引いたのに…。私のせっかくの優しさをそんな風に見るなんて…心が卑しいのでは?」
「…加茂家の嫡男としてそんなことを思われるのは心外ですね。去年は特級がいたからあのような事態になったのであって貴女が何かしたわけではないでしょう」
「私に秒で伸されたのを忘れたんですか?流石、天下の御三家様。その覚えについては是非とも見習いたいものですね」
双方、顔に笑みを作っているが目が一切笑っていない。
背後に黒いオーラと共に蛇や狐が現れてそうな重い雰囲気にたまたま加茂の近くにいた三輪がヒッと悲鳴を上げる。
「何、この空気」
「あー…先輩と今話している人、加茂家の嫡男な──の家、めちゃくちゃ仲が悪いんだよ」
突然発生した言葉の殴り合いに釘崎はついていけんと半眼になる。
その横でパンダはどうしたもんかと頬をかきながら何も知らない釘崎に説明する。
「なんで」
「ざっくり言うと玉蟲家の人ってもともと加茂の人間でな。100年前くらいに勘当される形で分離したんだよ」
関係的には真希と伏黒が近いな。先輩たちの方が血の繋がりは圧倒的に薄いけどと言われて釘崎は思わず後ろにいる真希と伏黒を見る。
どう言うことだという顔をしている釘崎に伏黒は面倒臭そうにどうでもいいだろと手で払う。
「分かれた経緯が経緯だから仲が悪いってワケ。今まではそこまでじゃなかったんだけど…先輩が昇級してからは特にな」
どう言う意味とパンダに視線を戻した釘崎に先輩の方が階級が上。しかも同い年だから本家的には面白くないんだろとパンダは投げやりに説明を追加する。
「ちょっと喧嘩しないでよ」
禪院家よりも深そうな確執にどうするんだと思っていた一同だが、パタパタと急いで登ってきた人物によって鉾を収めることとなった。
「ああ、引率は貴方でしたか…庵教諭」
「ええ。藤花は……元気そうで良かったわ」
藤花は割り込んできた人物を確認するなり、興味を失ったようで視線を外す。
庵は一瞬、自分の生徒である加茂を見て言葉を詰まらせたが振り払うように藤花に笑みを向ける。
東京と京都で関わりが少ないはずなのに呼び名が名前であることに視線が集まるがそんなこと知らないとばかりに藤花は何も反応しない。
相変わらずな藤花の反応に庵は口元をひくつかせるが、いつものことだとため息を一つついて話題を変えることにした。
「で、あの馬鹿は?」
「悟は遅刻だ」
「
名前が出ていなかったが誰を指しているのか分かったパンダと真希はいつも通りだと返し、庵もそうと頷く。
「誰もバカが五条先生の事とは言ってませんよ」
「あの男がバカであることは周知の事実でしょう」
その様子に伏黒は半眼になりながら一応の擁護はするが藤花がバッサリと切り捨てる。
その瞬間にパンダたちを轢き殺しそうな勢いで五条が登場した。
面倒なことが起こる前振りのように急に近況を語り始めた五条を他所に藤花は五条が押してきた台車に乗っている箱をじっと見る。
藤花は休憩室で五条が碌でもないことを企んでいるのを知っている。
悪ノリした五条を止める術を持ち合わせていなかった事と巻き込まれたくなかったのでその内容を聞く前にその場を後にした。
どんな登場の仕方をするつもりかは知らないが五条が持ってきたということはそこに虎杖が潜んでいるのは明らかで──。
「故人の虎杖悠仁くんでぇーっす!!」
「はい!!おっぱっぴー!!」
やはり虎杖は箱の中に潜んでいた。
思わず真顔になるパンダ、感動も何もなく呆気に取られて何とも言えない表情になる伏黒たち。
あんまりな登場に藤花はそんな後輩たちの後ろで頭が痛いとばかりに頭を手で押さえて思いため息を吐いた。
虎杖は自身の登場の仕方が盛大に失敗したことを悟った。
せめてもの救いは初めて会うおじいちゃんがまともな反応を返してくれたことだが、虎杖が反応を求めていた人物ではない事と雰囲気的に歓迎してくれていないので正直言って全然嬉しくない。
助けを求めるように後ろにいる藤花を見るがため息をついた後のどう考えて成功すると思ったの?と言うような絶対零度な眼差しを受けて虎杖はアッ、コレ助けてくれないヤツだと理解した。
「おい、何か言うことあんだろ」
げしりと箱を蹴った釘崎に視線を戻すと不機嫌そうな顔をしているが若干涙目になっていた。
「黙っててすみませんでした…」
これは自分が悪いと一気に罪悪感が湧いた虎杖は素直に謝るしかなった。
その後、夜蛾が五条を〆ながら今回の交流会の団体戦である”チキチキ呪霊討伐猛レース”についての説明と諸注意を言って解散となった。
「もう分かっていると思いますが私の枠で参加するのは悠仁です」
移動する前に藤花は虎杖が本来なら藤花が使うはずだった枠で交流会に参加することを伝える。
夜蛾は何かを言いたそうに五条と藤花を見るが二人ともスルーを決め込む。
「藤花先輩!来てくれてありがとう!」
「まあ、約束を破るほど薄情ではないし。わざわざ来てあげたんだから何もしないまま終わったら…分かるわね?」
嬉しそうに近寄ってくる虎杖に藤花は面倒臭そうにあしらった後に何の気紛れなのかニッコリと笑って圧をかける。
藤花が問答無用で顔面スレスレにスティレットを突き立てる姿を想像した虎杖は冷や汗を流しながらモチロンデスと敬礼をする。
「「「「!?!?!?」」」」
そんな二人を見た二年生+伏黒は信じらないものでも見たかのように二度見する。
「おい、伏黒。俺たち幻覚を見ているわけじゃねーんだよな??」
「信じられないですけど現実ですね」
何がそんなに信じられないのかついていけない釘崎は一人首を捻るしかなく、それを察した真希が説明する。
「先輩って苦手な人が多いんだけどはっきりしていて分かり易いから逆に付き合いやすいんだよ」
「一番分かり易いのは呼び方だな。そん中でも名前呼びはレア中のレア」
さらにパンダがアイツ以外で名前呼びは見たことないと説明し、釘崎は他の面々が二度見した理由を理解した。
虎杖に真希のお家事情を伝えた釘崎はつい先ほどまでいた気に食わないセンパイを思い浮かべる。
詳しいことは知らないが真希と同じようにいや、それ以上に御三家に目を付けられているのはすぐに分かった。
それなのに頭打ちである一級にいるなんて…真希さんの方が強いのに…。
「真希さん以上に面倒そうな家系なのに何であのセンパイは妨害喰らっていないのよ」
「先輩も妨害は喰らっているぞ」
愚痴るように言う釘崎にパンダはさらりと藤花も妨害を受けていたことを告げる。
「先輩って優秀な上に玉蟲家の特異性がモロに出てるからなあ…」
信じられなさそうにする釘崎を横にパンダは感慨深そうに呟く。
「特異性?」
「そ、毛嫌いされている玉蟲家が今日まで呪術師やっていられる理由でもあるし、先輩が周囲の妨害をものともしなかった理由でもある」
それと妨害をものともしなかったことがどう繋がるのかと首を傾げる。
「釘崎、お前持っている術式何個だ?」
「術式?そんなの言われるまでもなく一個でしょ」
突然のパンダの質問に何を当たり前なことをと答える。
それを受けてパンダは普通そうだよなと頷いてから続ける。
「なんでか知らんけど玉蟲から術式二つ持っている人がたまに出てくんだよ。玉蟲家の相伝術式とそれと全く関係ないやつ。しかも先輩が持っているもう一つの術式がな…」
何か嫌な姿を想像でもしたのかパンダはあーヤダヤダと体を震わせる。
二つの術式を持っている。
釘崎は一般家庭の出でこの界隈については詳しくないことを理解している。
それでもその事実が異常であることくらいは分かる。
先ほど言った通り、どんなに才能があっても術式は一人一つ。
それが当然であり、真理であるからだ。
センスがあれば誰でも使える簡易術式ならば話は別になるがパンダの口ぶりからするとそれも違うのだろう。
そんなあり得ない事実に釘崎は絶句すると同時に妨害を受けてもなお、一級である事に嫌でも納得してしまった。
パパ黒と禪院双子はどんな関係なんだろうね?伯父姪??だったら伏黒はイトコか。
〜どうでもいいお家関係補足〜
加茂さん家は勘当させるくらい玉蟲さん家が嫌い。すぐに潰したいけど有能な人材を排出しているし、そこまで力がないから見逃しています。でも嫌いだから妨害はする。
玉蟲さん家は加茂さん家のことは嫌々ながら本家顔してくるし、邪魔してくるから鬱陶しくて嫌い。潰されない程度に嫌がらせを行っているけどいつか潰してやるとかなんとか。
まあ、そんな家の人間同士だから毛嫌いし合うよねー
どっちも心の中で中指立ててそう(こなみかん)