【完結】サイコロステーキ先輩に転生したので全力で生き残る   作:延暦寺

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総合評価がついに1万を超えました。本当にありがとうございます。
これからも面白いと思っていただけるよう頑張ります。


無限列車でGO!その壱

「賽くん、本当に行っちゃうの……?」

 

 カナエさんが潤んだ瞳でこちらを見つめながら懇願するように問いかけてくる。

 好みドストライクな美人がこちらを見つめているというだけで興奮ものだが、俺はそれを振り切らなければならない。

 

「はい、お館様の命令ですし……炭治郎くんの為に煉獄さんにも会わないと……」

 

 あと、最終決戦に向けての戦力強化のためにも。

 

「そんな……それじゃ、それじゃ……」

 

 俺の言葉に対し、カナエさんは何やら言いにくそうにしながらもじもじしている。

 うーん可愛い。

 

「禰豆子ちゃんだけでも置いていって! あの子をもっと愛でたいの!」

「ダメです」

 

 が、俺は首を横に振りながらきっぱりとカナエさんの申し出を却下する。

 この数ヵ月、炭治郎くん達が回復するまでの間暇さえあれば禰豆子ちゃんと遊んでいたカナエさんはすっかり禰豆子ちゃん中毒になっていた。

 禰豆子ちゃんは可愛いので気持ちは分からなくはないが、ここは心を鬼にしなければならない。

 炭治郎くんと禰豆子ちゃんはセットであるべきだし、彼女はこれからのイベントでも確か重要な役割があったはずなので置いていくという選択肢はない。

 

「ここに置いていけば安全かもしれませんが仲のいい兄妹を引き離すのは酷だと思いませんか? 炭治郎くんからしても、一緒に居た方が安心できるでしょうし。妹が居るカナエさんなら分かるでしょう?」

「……うん、そうね。ごめんなさい。禰豆子ちゃんがあまりにも(チョー)可愛いから我を失っていたわ」

 

 説得の甲斐もあってか、カナエさんは納得したようである。

 

「しのぶ、後は頼んだぞ」

「しっかり貴方の代わりをしておいてあげるから安心しなさい」

 

 カナエさんの方は片付いたので、俺は隣に立っているしのぶに話しかける。

 俺が炭治郎くんについていっている間、柱としての巡回ができなくなるのでしのぶに頼んでおいたのだ。

 しのぶは柱では無いにしても原作で柱になっていただけはあり実力は代行をするだけのものはある。

 俺達に同行できないのは残念だが柱としての仕事もこなさないと実弥とかイグッティに何言われるかわかんないからな。

 

 その後、炭治郎くんがカナヲちゃんとフラグを立てたりアオイちゃん達と別れを惜しんだりするほのぼのイベントをこなし、俺達は煉獄さんが待っているであろう無限列車のある駅へと向かうのだった。

 

 

「なんだあの生き物はー‼」

 

 駅に到着した後、列車を見つけるなり伊之助が大声を上げる。

 ……あー、山育ちだから汽車を見るのは初めてか。

 

「こいつはアレだぜ、この土地の主……この土地を統べる者。この長さ、威圧感間違いねぇ。今は眠ってるようだが油断するな!」

「いや汽車だよ知らねぇのかよ」

 

 完全に未知の生物を見るような態度の伊之助に対し、善逸が冷静にツッコミを入れる。

 

「待て伊之助。この土地の守り神かもしれないだろう?」

「「いや汽車だって言ってるだろ」」

 

 炭治郎くんまでもが真面目な顔してボケをかましてくるので俺と善逸のツッコミが思わず被る。

 このおのぼりーずさん共め。

 俺が炭治郎くんに汽車について説明していると、唐突に伊之助が「猪突猛進‼」と叫びながら列車に突撃をしていた。

 当然そんな事をしていると笛を鳴らしながら駅員さんが数名こちらへと走ってくる。

 

「何してる貴様ら‼ ……あ!刀を持ってるぞ! 警察だ、警察を呼べ!」

「やばっ、やばいやばいやばい。栖笛さん逃げ……はえぇ⁉」

 

 俺に話しかけようと振り向く善逸だったが、すでに俺の姿がない事に驚きの声を上げていた。

 そして俺はというと、駅員さんが炭治郎くん達の刀を見た時点でまずいと判断し、炭治郎くんと伊之助を抱えてすたこらさっさと逃げていた。

 え? 善逸? いやだって、あの子速いから大丈夫かなって。

 案の定、俺達にすぐ追い付いてきたし。

 

 

「いいかい炭治郎くんと愉快な仲間たち。鬼殺隊は政府公認じゃない、いわば非公式の組織なんだ。だから、本当は堂々と刀を持って歩けないんだよ。鬼がどうのと言った所で普通は信じてもらえないしな。とりあえず、刀は背中とかに隠しておくといい」

 

 無事に逃げ切った後、俺は炭治郎くん達にそう説明し刀を隠させる。

 

「一生懸命頑張ってるのに……」

 

 炭治郎くんは俺の説明に納得いかないようでしょんぼりしながら刀を隠す。

 そして、伊之助は刀を背中にさしてどや顔(?)を披露していた。

 

「伊之助くん、丸見えだ。俺の刀袋を貸してあげるからそれで隠すといい」

「栖笛さん、煉獄さんって方とはどこで待ち合わせなんですか?」

 

 俺が伊之助の刀を隠してあげていると、気持ちを持ち直した炭治郎くんが話しかけてくる。

 

「無限列車っていうのに乗っているんだ。ほれ、君達の切符だ」

 

 炭治郎くんの問いにそう答えると、俺は彼らに切符を渡してやる。

 さぁ、いよいよだ。

 落ち着け俺。大丈夫、最初の下弦戦は問題ない。

 えんむだかいんむだか忘れたが、アイツは眠らせるだけだったはずだから脅威ではない。

 問題はそのあとの上弦だ。上弦と戦うのは童磨以来だが今回は柱の最強格の一人である煉獄さんが居る。俺が全力でサポートすればいけるはずだ。

 

「さぁ行くぞ」

 

 俺は覚悟を決めると、煉獄さんの待つ無限列車へと乗り込むのだった。

 

「うぉぉぉぉ‼ 腹の中だ‼ 主の腹の中だ! 戦いの始まりだ‼」

「うるせーよ!」

 

 列車に乗り込むとテンション爆上げで騒ぐ伊之助に対し善逸がツッコミを入れる。

 腹の中、ってのはあながち間違いじゃないのが笑えない。

 

「えーと、煉獄さんは……っと」

「うまい!」

 

 俺がキョロキョロと辺りを見回して派手な神、もとい派手な髪を探しているとそんな声が聞こえてくる。

 声のした方へと近づけば、いくつもの弁当箱を空にしながらもなお新しい弁当を次から次へと平らげている煉獄さんが居た。

 

「えーと、あの人が煉獄さんですか?」

「え、ただの食いしん坊じゃないの?」

 

 言いたいことは分かるが、この食いしん坊は間違いなく頼れる兄貴分である煉獄さんである。

 

「煉獄さん」

 

 俺が声をかけると煉獄さんは弁当を食べながらこちらへ振り向く。

 

「うまい!」

 

 いやうん。それは分かったから。

 

 

 

 その後なんやかんやありお互いに自己紹介を済ませ、炭治郎くんは煉獄さんにヒノカミ神楽について尋ねる。

 が、当然のことながら煉獄さんも知らないのでバッサリと斬り捨て強制的に話題を終わらせる。

 

「俺の継子になるといい。面倒を見てやろう!」

 

 と、何の脈絡もなくそんな事を言いだす。

 うーん、相変わらずペースが独特な人だ。

 鬼殺隊の柱はどいつもこいつも個性が強いというか灰汁が強くてどうにもとっつきにくくて困る。

 炭治郎くんも突然の話題転換に困惑しているようで、ちらりと助けを求めるようにこちらを見るが俺は静かに首を横に振る。

 諦めろ、この人はこういう人だ。

 

「炎の呼吸は歴史が古い! 炎と水の剣士はどの時代でも必ず柱に入っていた。炎・水・風・岩・雷が基本の呼吸だ。他の呼吸はそれらから枝分かれして出来たものだ。溝口少年、君の刀は何色だ!」

「⁉ 俺は竈門ですよ。色は黒です」

「黒刀か! 賽と一緒だな!」

「え、そうなんですか?」

 

 煉獄さんの言葉を聞き、炭治郎くんは俺の方を見る。

 

「あぁほら。俺のは黒だよ。お揃いだな」

 

 俺はそう言うと、他の乗客に見えないように刀身の色を見せてやる。

 

「普通は黒刀の剣士は柱にならないし、どの系統を極めればいいのかも分からないんだが賽は色々おかしいからな!」

 

 いやそれ煉獄さんに言われたくないんですけど。

 

「そういえば、賽さんのは影の呼吸、でしたっけ。それはどっから派生したものなんですか?」

「えー……どれだろ?」

「えぇ……」

 

 俺の答えに対し、炭治郎くんはマジかよという表情を浮かべる。

 いやまじで分からないんだって。

 元々は生き残る為にステルス性能に特化した結果生まれた呼吸だし、強いて言うなら日の呼吸の派生?

 月の呼吸と被るがどちらも日ありきだし似たようなもんだろう。

 

「な? おかしいだろう?」

 

 と、何故か得意げな煉獄さん。

 くそう、何も言い返せねぇ。

 

 と、そんな話をしていると列車がついに動き出す。

 

「うおおおおお‼ すげぇすげぇ速いぇええ‼」

 

 当然、初めての列車でテンションが上がる伊之助はあろうことか窓から顔を出してはしゃいでいる。

 

「おーい、伊之助。顔を出すのは危ないからやめとけ」

「そうだな! それにいつ鬼が出てくるかもわからんしな!」

「え?」

 

 俺と煉獄さんが伊之助に注意していると、善逸が嘘だろ? といった表情でこちらを見てくる。

 

「嘘でしょ。鬼出るんですかこの汽車」

「あれ、言ってなかったっけ」

「聞いてないわぁ! 鬼の所に移動してるんじゃなくてここに出るの嫌ァーーッ俺降りる!」

 

 この列車に鬼が出ると聞いた途端に善逸は愉快な表情をしながら叫び始める。

 いやー見事なヘタレっぷりで親近感がわくなぁ。

 

「なんでも短期間のうちに、この汽車で40人以上の人が行方不明になっているみたいでね。数名の剣士も送り込んだんだけど全員消息不明。炭治郎くんが煉獄さんに聞きたいことがあるっていうから、いい機会だし一緒にやろうってね」

「はァーーーーなるほどね! 降ります‼」

 

 そんな感じで俺達がやいのやいの騒いでいると、いやに顔色の悪い車掌さんがやってきた。

 

「切符……拝見……致します……」

「?? 何ですか?」

「車掌さんが切符を確認して切り込みを入れてくれるんだ」

 

 不思議そうにする炭治郎くんに説明しながら、煉獄さんは切符を車掌に渡す。

 その後、炭治郎くん達かまぼこ隊の切符もパチンと切り込みを入れていく車掌。

 瞬間、まるで糸の切れた人形のように乗客を含めた全員が眠りにつき俺も瞼を閉じる。

 

 ガタンゴトンと列車が動く音のみが辺りに響き、車掌はそのままその場を去っていってしまう。

 ――そして、それを見届けた(・・・・)俺はカッと目を見開き立ちあがる。

 

「さて、と。やりますかね」




いつかの感想欄で賽の刀の色についての質問がありましたので今回の話で回答しています。
虹とか透明とか考えたんですが影の呼吸だし無難に黒かなとなって黒にしました。
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