【完結】サイコロステーキ先輩に転生したので全力で生き残る   作:延暦寺

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タイトルに深い意味はないです()


奥さんは退鬼忍

 ――色と欲に塗れた眠らない街、遊郭。

 いくつもある店の中でも、京極屋と呼ばれる店に俺は居た。

 その中の一室で、華美な服装に身を包んだ俺はおっさんの上に跨り、太くて逞しいものに優しく触れる。

 

「あぁ……いいよ、安楽ちゃん……」

「ふふ、こんなに硬くしちゃって……どんだけ溜めてたんですか?」

 

 俺が触れる度、おっさんの口からは嬌声が漏れる。

 

「んん……安楽ちゃんに会うために頑張ったんだよ。俺、安楽ちゃんに会う為なら何でもできるよ!」

「お気持ちは嬉しいんですが、無理はなさらないでくださいね? 貴方が健康でいてくれることが私の幸せなんですから」

「ありが……んいーっ⁉」

 

 俺がそう言いながら強く触れれば、おっさんは仰け反りながら大声を出すと、そのままハァハァと息を荒くして満足そうな笑みを浮かべていた。

 

「はい、これで終わりです。どうでしたか?」

「……あぁ、体が軽いよ! こんなにすっきりできて満足だ。これで、明日からも仕事を頑張れるよ!」

「それはよかったです。拙い技術ではありますが、満足してくれて何よりです」

「いやいや! 安楽ちゃんの技術はそりゃもう天下一品だよ! 一度味わったらもう抜け出せないね……安楽ちゃんの按摩(・・)!」

 

 おっさんは満面の笑みでそう言うと、一言二言会話をした後満足げに部屋から出ていくのだった。

 

「……ぶはぁっ! いやー、今日も働いた働いた」

 

 周りに人が居ないのを確認すると、俺は姿勢と表情を崩し仕事モードから解放される。

 俺は今、宇髄からの要請によりかまぼこ隊と共に遊郭に潜入していた。

 その中で、俺は按摩の腕を買われ、この京極屋にて『安楽太夫』と名乗り世の男性達から高評価を受けていた。

 透き通る世界を併用し、的確に相手の患部をほぐしていくので、そりゃもう極上、天にも昇る気分と賛美の数々を受けている。

 俺としては少しでも違和感なく溶け込もうと思った結果なのだが、今ではすっかり売れっ子である。

 金も貰えるし血生臭い場面にも遭遇しないし、もう鬼殺隊を辞めて一生これでやっていきたいレベルだ。

 

「安楽、居るかい?」

 

 仕事の合間に俺がくつろいでいると、そんな女性の声と共に美人だが気の強そうというか性格がきつそうな人物が入ってくる。

 

「蕨姫花魁、何か御用でしょうか」

 

 そう、彼女のここでの名は蕨姫花魁。

 またの名を堕姫。鬼いちゃんとペアを組む上弦の陸である。

 

「何か御用だって? とぼけんじゃないよ、あんたのことだ。用件は分かってるんだろう?」

 

 まるで養豚場の豚でも見るかのような目でこちらを見下しながら冷たく言い放つ堕姫。

 

「……はぁ、分かりました。いつものあれですね」

 

 しばらく見つめあった後、俺はわざとらしくならないように溜息を吐き、堕姫に俯せになるように促す。

 

「ふん、分かってるんならとぼけんじゃないよまったく」

 

 そんな事を言いながらも堕姫はどことなく嬉しそうにしながら自身の着ていたものを脱ぎ薄着になる。

 こうして見ると、ほんと良い体してるよなぁ堕姫。

 見た目はまさに一級なのだがいかんせん中身が残念過ぎる。しかもおっかない鬼いちゃんもセットである。

 

 俺がそんな下賤な事を考えている間も堕姫は服を脱ぎ、そのまま布団の上でうつぶせになる。

 

「それじゃ、失礼しますね」

 

 俺はそう言うと、いつものあれ……つまりは按摩を行っていく。

 

「あぁ~……人間の癖に、ほんと按摩が上手いわね安楽は」

「ありがとうございます」

 

 お前は自分が鬼だという事を隠す気あんのかこらとツッコみたいのをこらえつつ礼を言う。

 何故こんなことになったのかというと……俺が売れ始めた頃に、一度堕姫がここへ乗り込んできたことがあるのだ。

 曰く、「醜女(しこめ)の癖に調子に乗ってんじゃないわよ」という事だった。

 その瞬間、彼女が堕姫だという事を思い出したし、この京極屋こそが堕姫と鬼いちゃんの拠点だという事も一緒に思い出してゲロ吐きそうになったしで、内心穏やかではなかったが、俺の長年鍛えてきた対人スキルで何とか事なきを得たのだ。

 そもそも堕姫は花魁で俺は太夫なので客に求められることが違う事や、美しい蕨姫花魁には足元にも及ばないとごまをすっておだてたりとそれはもう死なないようにすることで必死だった。

 

 とりあえず溜飲は下がったものの、どうやって人気になったのか気になったらしく、按摩の事を教えたら試しにやってみろと言われ、恐る恐るやってみたら毎晩のように按摩を受けに来るようになったというわけだ。

 ……なんだこの状況。

 上弦すらも虜にしてしまう俺の按摩技術が怖い。

 これはもう、『サイコロステーキ先輩に転生したので俺の按摩で鬼を虜にする』とかそんなタイトルに改題した方がいいのではなかろうか。

 

「ん……ふぅ……ねぇ、安楽。もし何かあってもアンタだけは殺さないでおいてあげるわね」

 

 俺はその言葉に対しどう返していいか分からなかったので、とりあえず愛想笑いだけしておいた。

 それにしても、こうやって俺の下で素直にうつぶせになってる姿は隙だらけだった。

 これなら簡単に頸を斬れるかもと考えるが、2人同時に頸を斬らなければいけないというクソみたいな条件があるのでそうもいかない。

 俺単体だと堕姫は何とかなるかもしれないが鬼いちゃんが無理ゲーである。

 

 一応、蕨姫花魁が鬼だというのは宇髄に伝えてはあるが、彼からは時機が来るまで動くなと言われている。

 せめて嫁ズの安否が分かってからという事だろう。

 流石の俺も、嫁ズがどこに居るかとかまでは覚えてないしな。

 3人のうちの誰かが宇髄の手によって救出されるくらいまでは覚えてるんだが……まぁ、素直に宇髄の指示を待っていた方がいいだろう。

 

 ちなみに、堕姫が鬼という事は伝えたが、上弦だという事や鬼いちゃんが居ることは伝えていない。

 それを伝えたら、何でそこまで分かるんだと逆に俺が疑われかねないからである。

 ただでさえ柱を引退させてもらえなくて困っているのに、諜報活動が得意な元忍者? である宇髄よりも情報収集能力に長けていると思われたら、もう絶対に引退させてもらえない。

 それだけは絶対に避けたい。

 俺はな、楽にお金を稼いで楽に女の子とイチャイチャして楽に暮らしたいんだよ。

 

 勿論、実際に戦うようになったら全力で戦うつもりだ。

 宇髄とかまぼこ隊の陰に隠れながらな!

 俺の火力の低さは伊達じゃないので、サポートメインで戦うのが一番なのである。

 

「……はい、終わりましたよ。蕨姫花魁の肌は相変わらず美しくて羨ましいです」

「当然じゃないの。私を誰だと思ってるのよ」

 

 俺が施術を終えると、堕姫は胸をはりながら自慢げにそう言う。

 

「さて、アンタのお陰で体が軽くなったわ。またお願いするわね」

 

 もう二度と来るなと言いたいが、今はまだ堕姫を怒らせるわけにはいかないので「お待ちしてます」とだけ答えておいた。

 

 

 堕姫が立ち去った後、情報収集をしていた善子ちゃんと落合い、情報のすり合わせを行う。

 ……なぜか、善子ちゃんが俺と顔を合わせる度に顔を赤くしてもじもじしているのは深く追及しない方がいいんだろうな。




遊郭について検索した際、花魁と太夫が違う役職と知ってはえーっってなりました。
「花魁」は高級遊女に対する呼称で、「太夫」は主に芸事をサービスする芸妓の最高位の称号だそうです。
つまり蕨姫花魁と呼ばれる堕姫はそういう事ですよね、興奮してきた。

余談ですが、主人公の女装は「サイコロステーキ先輩 女体化」でググるとツインテのメスガキ先輩が出てきますがあんな感じです
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