【本編完結】サイコロステーキ先輩に転生したので全力で生き残る   作:延暦寺

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鬼滅二次創作の感想欄でたまに見かけるズンビッパって何だろう
→なるほど、Twitterの公式アカウントでワニ先生が発した謎の擬音か
→それが転じて仲良しな2人を指すのか
→この世界では歯を出して満面の笑みを浮かべているお館様と賽のイラストが描かれるんだろうなと妄想したところで腹筋が死にました


Welcome to the Kisatsutai

 耀哉……おっと、今は奴と2人きりじゃないからボロが出ないようにしないと。

 お館様との会合から1週間後、ガヤガヤと騒がしいとある街の中、女学生風の装いに身を包んだカナエさんとしのぶに挟まれるようにして俺は歩いていた。

 ちなみに俺の格好は洋装である。

 本当は別の格好をしようとしたのだが、胡蝶姉妹から流石にセンスがなさ過ぎると言われたので2人によるコーディネートだ。

 なんで俺達が私服で街を歩いているかというと、勿論お館様のご褒美でデート……というわけではなくある人物……まぁ、さっさとネタ晴らしをしてしまうと珠世様に会いに来たのだ。

 いやー、珠世様の住処を探すのはめちゃくちゃ苦労した。

 お館様の協力の下、浅草から足取りを追っていきミステリアスな美人女医と目付きの悪い青年が最近家を買ってないかと調べまくってようやく見つけたのだ。

 原作ではもう少し後だったような気がするが、今後の為にも珠世様達の協力は不可欠なので早めに協力してもらおうというわけだ。

 俺一人で来てもよかったのだが警戒されても困るので、癒し担当として美女2人にご同行してもらっている。

 

「わー、しのぶ見て見て! この蝶の髪飾り可愛くない? ほら、丁度大きいのと小さいので私達みたい」

「もう、姉さんったら! 遊びに来たんじゃないのよ」

 

 と、肝心の美女達は少し目を離した隙に装飾品屋に並べられている髪飾りを眺めていた。

 うーん、美人姉妹がきゃいきゃいと楽しく騒いでいる姿は目の保養になるな。

 そんな2人と一緒に歩いていると思うと優越感が天元突破する。

 カナエさんを救えていなかったらこんな尊い光景も見れていなかったんだと思うと感慨深いものを感じる。

 

「もー、しのぶったら真面目なんだから。もう少し心に余裕を持たないとモテないわよ?」

「別にモテなくていいわよ」

「あ、そうね。1人の男性に好かれればそれでいいものね」

「ちょ、姉さん⁉」

 

 などと、何とも姦しい。

 うーん、お館様から2人の気持ちのネタバレを喰らっているだけに何とも気恥ずかしい。

 

「ほらほら、2人ともそんな騒いでいると他の人に迷惑だから」

 

 俺は、何にも知りませんよという体で騒がしくしている2人に割って入る。

 このままだと俺が恥ずか死してしまうしな。

 

「だって姉さんが……」

「あら、私は事実を……」

「はいはい! キリがないからやめんしゃい。ほれ、しのぶもこれやるから引っ込みなさい」

 

 俺は、先ほど2人が見ていた2つの蝶の髪飾りを買うと大きい方をカナエさん、小さい方をしのぶに渡す。

 

「あら、私にもくれるの? ありがとう♪」

「仕方ないから貰ってあげるわ」

 

 と、カナエさんは素直に喜び、しのぶは満点のツンデレっぷりを見せつけてくれる。

 あぁ、削れていたSAN値が回復していくようだ……。

 そんな感じで紆余曲折がありつつも適当に時間を潰しながら、日も暮れてきたのでいよいよ珠世様の住んでいる家へと向かった。

 

「いいか、しのぶ。相手は鬼とはいえ、害意はない。絶対に手を出すなよ」

「そうよ。絶対にいきなり斬りかかっちゃだめよ?」

「……まるで私が鬼と見ればすぐ斬りかかる血の気の多い人間みたいに聞こえるんだけど」

「「違うの?」」

「違うわよ! 私だってそれくらいの分別はあるわよ!」

 

 と、しのぶがちょっと本気で怒りそうだったので俺とカナエさんはからかうのをやめて真面目モードに入る。

 

「まぁ、しのぶをからかうのはこれくらいにして、こっからは基本的に俺が話を進める。やばそうになったら2人にも協力してもらうから」

 

 俺の言葉にカナエさんとしのぶが頷くのを確認すると、俺達はスッと家の中へと入っていく。

 本当なら、呼びかけるのが礼儀なのだろうが相手が相手だけに素直にそんな事をしたら警戒されてどこかへ雲隠れしてしまう可能性がある。

 特に愈史郎に血鬼術を使われると見つけられる自信がない。

 珠世様には悪いが超法規的措置という事で不法侵入させてもらう。

 

 そこそこに豪華な一軒家の中を探し回っていると、とある部屋から気配を感じる。

 カナエさんとしのぶには静かにするように目配せをし、俺は扉をノックしてから部屋へと入った。

 

「夜分に失礼します。私の名前は栖笛賽。不法侵入をして申し訳ありませんが、貴方に会いに馳せ参じました。いやー、ここを見つけるの苦労しました。隠れるのが大変お上手なんですね」

 

 と、俺はなるべく警戒させないように少し砕けた敬語を使いながら話しかけるも、珠世様は眉をひそめながら様子をうかがっている。

 愈史郎の姿は今のところ見えない。

 

「貴方がたは何者ですか? それに、どうしてこの場所が……?」

「浅草から足取りをたどったんですよ。人脈もかなり使いましたね。そうそう、私達が何者かですが……私達は鬼殺隊です。産屋敷の命により貴女と愈史郎くんを迎えに来ました」

「私達を……?」

「はい、炭治郎くんから貴女達の話を聞いて是非とも協力していただけないかと思いまして。どうでしょうか? 一緒に鬼舞辻無惨を倒しませんか? 勿論、貴女と愈史郎くんの安全は保障します」

「改めて初めまして。私は胡蝶しのぶと申します。貴女は薬学に長けていると聞いています。私も薬学をたしなんでいますが、鬼に関する情報が足りないため、協力いただけると非常に助かります」

「私は、しのぶの姉の胡蝶カナエと言います。私は鬼と仲良くしたいと常日頃から願っています。どうでしょう、ついてきていただけると助かるのですが……」

 

 俺に続き、しのぶとカナエさんも説得をする。

 珠世様は俺達の真意を探ろうと悩んでいるようだった。

 

 その後、掃除中だった愈史郎も乱入してきて一悶着あるのだが、説得の末なんとか2人とも来てもらう事になった。

 くくく、これで俺のやりたかったことができるぜ……。

 

 

 

 そして、困惑する珠世様と殺意剥き出しの愈史郎を産屋敷邸に届けた俺達は蝶屋敷へと帰ってくる。

 

「お、ようやく帰ってきやがったな」

 

 そこにはつい先日共闘したばかりの派手柱、宇髄の姿があった。

 

「お前さんご要望の奴を連れてきたぜ。さっきまで派手に暴れてたんだがようやく大人しくなってきたところだ」

「手間をかけさせて悪いな」

「別に構わねーよ。それよりも、何であんな奴に会いたかったんだ? 俺から見ても、あいつ派手にクズだぞ?」

「だからこそだよ」

 

 宇髄に対してそう答えながら、俺は簀巻きにされて転がっている人物を見下ろす。

 

「ようこそ、蝶屋敷へ。気分はどうだ?」

「ふっざけんな! いくら柱だからっていきなり捕まえるなんて横暴だろうが! 俺が何したって言うんだ!」

 

 俺が主犯だという事を聞いているのか、俺に向かってソイツは吠え出す。

 確かに、今はまだ何もしてないだろう。

 だが、俺は知っている。この後、確実にやってはいけない最悪な事をやらかすと。

 

「まぁ、そう怒るな。何もお前を取って食おうって訳じゃないんだ。ただ、少しばかりお話(・・)をしたくてね」

 

 俺は、後に鬼になり穴埋めとして上弦の陸になる獪岳(・・)へそう優しく話しかけるのだった。








正直、獪岳は眼中になかったんですが感想で見かけて面白そうだったので救ってやることにしました
千葉しg……桑島慈悟郎さんも救えるしね!

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