【完結】サイコロステーキ先輩に転生したので全力で生き残る   作:延暦寺

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とある食堂で「鬼のサイコロステーキ先輩定食」を提供してると知ってクソほどに笑った


柱稽古

 ――最終決戦に向けて合同強化訓練が始まり、しばらくの時が経過した。

 その間、鬼の襲撃もなく一言で言えば平和であった。

 こんな時間がいつまでも続けばいいのにとも思うが、無惨が居る限りはそれも叶わないだろう。

 原作よりも上弦が減った状態の為、このまま無惨が雲隠れしないかと不安であったが珠世様と狛治から「太陽を克服した鬼が出た以上それは無い」とお墨付きをもらったので、このまま準備を進めさせてもらうことにする。

 鬼を倒す、というのは正攻法では無理なのでこの時間を利用して色々と小細工させてもらう。

 

 ちなみに、狛治に無限城の場所について聞いてみようとも思ったが、こちらから攻めると確実に逃げるとも言われたので、無惨からの出方を待つことにした。

 こっちから下手に動いたら即逃げるとかホントにラスボスとは思えないほどの小心者っぷりだ。

 そのくせ、スペックだけはラスボスなので質が悪い。

 奴が来るまでは、おとなしく訓練と下準備を進めるしかないだろう。

 

 そうそう、合同強化訓練は柱稽古とも呼んでいる通り、柱主体で訓練が行われる。

 スタンプラリーのように柱を順繰りとまわっていき、次に行ってもいいと許可をもらったら次の柱の訓練へと向かうのだ。

 水柱である冨岡さんが最初はボイコットしていたが、炭治郎くんとお館様の説得により長年の拗らせをようやく解消し、柱稽古に参加し始めた。

 あんだけの実力があって、俺は柱じゃないとかどの口がほざいてんだって感じよな。

 

 ちなみに、影柱の訓練だが……当初はとある漫画を参考にし、俺も実践していた凡人を達人級まで押し上げる地獄の特訓法をやろうとしたのだが、最終決戦の前に隊士達が使い物にならなくなるとしのぶやカナエさんからNGを喰らったので残念ながら断念した。

 あの特訓法をこなせば、間違いなく強くなるんだけどねぇ……。

 んで、仕方ないので別の案。

 折角、上弦である狛治が居るのだから利用しない手はないという事で、血鬼術なしのハンデ有狛治さんとの実戦形式の戦闘訓練を行っている。

 『実践に勝る経験なし』という言葉もある通り、仮想敵として狛治と戦った方がよっぽど強くなれるだろう。

 何せ、血鬼術なしというハンデがあるとはいえそのスペックは間違いなく上弦なのだ。

 これで強くなるなという方が無理な話である。

 かといって、そう簡単に勝てるものでもないので、クリア条件としては一定時間耐えるか、一撃でも有効打を与えられるというものにしている。

 無限の体力を持つ狛治だからこそできる特訓法だ。

 狛治本人もそれで助けになるならと快く引き受けてくれた。

 これによって他の柱から信頼されるとも思わないが、それでも少しは心証も変わってくるだろう。

 

 俺の特訓は戦力の強化もあるが、生存率を高めることを主軸にしているのでこういう条件にしていた。

 狛治相手に耐えきれるのなら、大抵の鬼相手が楽勝になるだろう。

 もちろん、上弦に当たったら柱よりも下の奴らには無駄死にするだけだから即逃げろと伝えてはいる。

 ちなみに、狛治の現在の格好は全身包帯に和装という出で立ちで、事情を知らない隊士達には皮膚の病を患っている武術の達人とだけ伝えている。

 下手に鬼ですが仲間ですと言っても混乱を招くだけだしな。

 

 そして、今日も今日とて道場からは「イヤー!」とか「グアー!」などなど愉快な悲鳴が響いてくる。

 

「賽さん! よろしくお願いします!」

 

 他の柱の訓練を終えて、ついに俺の所へとやってきた炭治郎くんは元気いっぱいに挨拶をする。

 心なしか一回り強くなったようにも感じられる。

 

「ついに俺の所へ来たな。俺のところの稽古は狛治との戦闘だ。一定時間、耐えきるか一撃でも有効打を与えれば合格だ」

「が、頑張ります!」

 

 元上弦の参との戦いと聞いて無限列車の時を思い出したのか、ブルリと震える炭治郎くんだったが、両の手をグッと握りしめ気合を入れてそう叫ぶ。

 

 ――その日、愉快な悲鳴の中に炭治郎くんの悲鳴も混じっていたのは言うまでもなかった。

 

「あたたたた……」

 

 狛治との訓練を終え、満身創痍になった炭治郎くんは痛そうにしていた。

 残念ながら今日は合格できなかったので、また明日から頑張ってほしいものだ。

 

「大丈夫か?」

「はい、なんとか……血鬼術なしとはいえ、やっぱり上弦は強いですね。一撃与えるどころか、耐える事すらできませんでした」

 

 今日の訓練を思い出したのか、炭治郎くんは悔しそうな表情を浮かべながらそう語る。

 現在、俺と炭治郎くんは蝶屋敷の屋根の上で月を見上げながら会話をしていた。

 特に意味はなく、なんとなく邪魔されずに話をしたかったのだ。

 

「賽さん、俺……賽さんには感謝してもしきれないです」

「どうした急に?」

「いえ、なんとなく感謝を伝えるなら今が良い機会かなと思いまして。那田蜘蛛山で最初に助けてもらって、その後の裁判でも庇ってもらって……思えば会った時からずっと助けてもらってました。賽さんは……どうして、俺達にここまで良くしてくれるんですか?」

 

 最初は確かに主人公だから、彼らに死なれると詰む事になるから助けていたというのはあった。

 だが……。

 

「最初はね、お館様の命令で君達を助けたんだ。裁判でも売り言葉に買い言葉で正直に言うと成り行きだったんだ。でも、一緒に行動するうちに、心の底から守りたいと思うようになっていた」

 

 これは、俺の正直な気持ちだ。

 彼らを、そして俺のまわりに居る奴らを守りたい。

 そのためなら、俺は何だってできるだろう。

 

「だからね、俺は意地でも君や禰豆子ちゃんを守るよ。こう見えて、俺は最強の柱らしいからね」

「俺も、賽さんを守れるくらいに強くなります。だから、一緒に無惨を倒しましょう」

 

 炭治郎の言葉に俺は頷き、お互いに無言で握手をする。

 

「……この戦いが終わったらさ」

「はい?」

 

 しばらく静寂な空気が流れた後、俺は前から考えていたことを炭治郎くんに伝えることにする。

 

「炭治郎くんと禰豆子ちゃんさえよければ……俺の義弟と義妹にならないか? こう見えて、俺の家は裕福でね。君達2人を養うくらい朝飯前だしさ」

 

 実家の連中は、長年の悲願であった柱の誕生に盛大に喜んでおり、俺の言う事なら何でも聞く状態なので問題ない。

 俺自身も柱になってから稼いだ金があるので2人くらい扶養家族が増えても余裕である。

 

「君達の境遇は知っているし、良ければ……だけどね。もちろん、炭治郎くん達の意志も尊重したいから嫌なら断ってもいいよ」

「……賽さんの気持ちは嬉しいです。俺も、賽さんが兄だったらいいなって思う事もあります。だけど、禰豆子の気持ちも聞かないと何とも言えません。なので……禰豆子が完全に人間に戻ってから相談して決めてもいいですか?」

 

 炭治郎くんが申し訳なさそうにそう言う。

 まぁ、その気持ちも分からなくもない。

 簡単に、じゃあ義兄弟になりますとも言えないだろうし、身内とも相談してじっくり考えて決めたいだろう。

 俺としては急かす気もないので、じっくり考えるように伝えておいた。

 

「炭治郎くん、最終決戦……頑張ろうな」

「はい!」

 

 そして、俺と炭治郎くんは夜更けまで様々な事を語り合う。

 その後、しのぶやカナエさんもいつの間にか混じり、嫉妬に狂った善逸の乱入、伊之助まで会話に入ってきたことで何とも騒がしい夜となった。

 

 あまりにうるさ過ぎたため、アオイちゃんに怒られたのは言うまでもなかった。




おかしい、炭治郎がヒロインみたいになってるぞ 
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