【完結】サイコロステーキ先輩に転生したので全力で生き残る   作:延暦寺

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賽「最後かもしれないだろ? だから、話しておきたいんだ」


今回は一気に時間が飛んでおり、無惨視点となっています。


風雲!無限城ー突入篇ー

「君が死ねば、全ての鬼が滅ぶのだろう?」

 

 長年、私の邪魔をし続けてきた産屋敷家の長である産屋敷耀哉のその言葉に、私は凍り付く。

 何故だ? 何故、こいつがそんな事を知っている?

 私は……自身のことを誰かに話したことはない。

 これも、こいつの言う血筋のせいだというのか?

 

「空気が揺らいだね……当たりかな?」

「黙れ」

 

 半死半生の身でありながらなおも軽口を叩くその姿に、私は殺意が湧く。

 

 禰豆子という鬼が太陽を克服するという千載一遇の好機を逃すまいと、まずは長年に渡り私の邪魔をしてきた鬼殺隊とかいう異常者の集まりの長をこの手で殺そうと思ってやってきたのだが、まさかこのような不愉快な話を聞くことになろうとは思わなかった。

 やはり、直接手を下しに来て正解だった。

 

 ――唯一、懸念すべき存在が居るが……そもそも至高の存在たる私が何故吹けば飛ぶような脆弱な存在に怯えなくてはならない。

 今まで、奴が鬼共を葬ってこれたのは鬼共が油断していたからだ。

 この私が直々に警告してやったというのに、どいつもこいつも油断し破れた。

 だが、私は油断しない。

 もし、愚かにも私の目の前に現れようものなら打ち砕いてくれる。

 だが、まずは憎たらしいこの男からだ。

 所詮は人間の集まり、頭を潰せば烏合の衆と化すだろう。

 

「もう貴様の言葉は聞きたくない。今すぐにでも楽にしてやろう。」

 

 私は産屋敷の目の前まで近づくと、力を込めた手で奴の頭を砕こうとする。

 だが、産屋敷はそんな光景を目の前にし、怯えるどころか不敵な笑みを浮かべながら口を開く。

 

「――あぁ、やっぱり来ちゃったんだね。賽」

「何っ⁉」

 

 瞬間、背中に寒気が走り私は仰け反るように振り返る。

 そこには、いつの間に来ていたのか隊服に身を包み、賽子模様をあしらった羽織を着た男が刀を振りぬいていた。

 バカな……こいつはいつ(・・)私の後ろに回り込んだ!

 

 私は一瞬たりとも気を抜いていない。

 こいつの戦い方も今までの鬼共から情報を共有し熟知している!

 当然、気配を消すことに長けている事も知っている!

 だが、それでも気づけなかった。

 今こうして対峙していても、存在が非常に希薄で少しでも気を抜けば見失ってしまいそうな程であった。

 こいつは……こいつは本当に人間なのか?

 

「来ちゃったんだね……じゃねーよバ耀哉(ばかがや)! お前、あれほど言ったのに無惨ごと自爆する気だったな! 爆薬回収するのに手間取ったじゃねーか!」

 

 そう怒鳴る賽という人間は、大量の爆薬を地面に放り投げる。

 自爆だと? 妻と子供も傍にいるのにか!

 

 どうやら、私は思い違いをしていたらしい。

 産屋敷という男を見誤っていた。

 この男は、完全に常軌を逸している。

 ……だが、その目論見もどうやら目の前の男に潰されたらしい。

 

「初めまして、だな。アンタが無惨か。……くそ、顔だけはいいなこいつ……」

 

 賽は、何とも不敵な笑みを浮かべながらまるで親しい友にでも会ったかのように軽く話しかけてくる。

 今すぐ奴の心の臓を貫いてやりたいが、何を考えているのかまるで読めない。

 闘気も殺気も感じず、一見すると弱い人間……そう、まるで……。

 

「ありえんな……」

 

 そこまで考え、とある人間の姿が思い出されるが奴とは似ても似つかない。

 我ながら愚かな結び付けだと自嘲気味に笑う。

 

「なぁ、無惨様。タコ……って知ってるか?」

「何?」

 

 私は、賽の一挙一動を注意深く観察し、どんなことも見逃すまいとしながら答える。

 タコだと? 何故、急に海産生物の話をするのだこいつは。

 

「聞いたところによるとさ、タコって心臓が3つに脳が9つあるんだって」

 

 だから何だというのだ。

 あんな生物がそんな生態だというのは驚きではあるが、到底今するような話ではない。

 こいつは、頭がおかしいのか?

 

「で、これを聞いてどう思います? タwwwコwwwとwww同www種wwwのwww無www惨www様www」

「殺す」

 

 瞬間、私は賽の目の前に肉薄していた。

 策だの何だのはもう関係ない。今すぐにでもこの愚か者をこの世から消し去りたかったのだ。

 だが、その行動はまたしても邪魔される。

 目の前に肉の種子のようなものが現れたかと思えば、ビシリと辺りに棘のようなものが細かく広がり、私の体を固定する。

 

 なるほど、奴の腹の立つ話し方は、これから目をそらさせるためか。

 誰の血鬼術かは知らんが、これで私を捕獲した気でいるのなら片腹痛い。

 これくらいの量であれば、吸収すればいいのだ。

 そう思い立ち、血鬼術を吸収しようとしたところで誰かの腕が私の腹へと突き刺さる。

 次は誰だ!

 何故、次々と私の邪魔をする!

 苛立ちを隠しきれずに下を見れば、そこにはかつて私から逃げ出した珠世の姿があった。

 

「珠世‼ なぜおまえがここに……」

「この棘の血鬼術は貴方が浅草で鬼にした人のものですよ。そして、吸収しましたね? 無惨。私の拳を! 拳の中に何が入っていたと思いますか? 鬼を人間に戻す薬ですよ!」

 

 バカな、そんなものできるはずが……。

 だが、自信満々に語る珠世のセリフからすると真実だと思った方がいい。

 私は吸収してしまったその薬を分解すべく、邪魔になるだろう珠世を引き離そうとする。

 だが、珠世も必死なのか中々に離れようとしない。

 

「悲鳴嶼さんお願いします!」

 

 そして、好機とばかりに珠世が叫ぶ。

 すると、どこに隠れていたのか鉄球を持った男が念仏を唱えながら私の頭を砕く。

 ――普通の鬼ならば、それで終わるだろう。

 だが、私はそれくらいでは死なない。すぐに頭を回復させると先ほど私の頭を砕いてくれた人間を殺すべく血鬼術を放つ。

 しかし、それ等の攻撃は全て賽によって防がれた。

 そうこうしているうちに、周りに人間どもの気配が集まってくるのを感じた。

 

「くくく、これで私を追い詰めたつもりか?」

 

 まんまと私に釣られ集まってきた人間どもを見渡し、私は意趣返しとばかりにほくそえみながら叫ぶ。

 私が何の備えもせずにここへやってきたと思ったのか!

 むしろ、貴様らは私の罠にかかったのだ!

 

「貴様らがこれから行くのは地獄だ! 目障りな鬼狩り共。今宵、皆殺しにしてやろう!」

 

 私に向かって攻撃してきた人間共は、鳴女の血鬼術により無限城へと落とされていく。

 あの賽すらもこれは予測できなかっただろう。

 どんな顔をしているのか嘲笑いながら確認してやろうと視線を動かせば――奴は笑っていた。

 そして声にこそ出さなかったが、奴は間違いなくこう言っていた。

 

「無惨、アンタの頸は必ず狩る。俺は有言実行の男だぜ」と。

 

 

 




タコの仕組みを聞いたとき、マジで無惨様が思い浮かびました
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